RPG激戦区の日本マーケットに討って出たワケ【魔女の泉インタビューその3】

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執筆者:編集部

皆さんは、Kiwi Walksというデベロッパーからリリースされている育成×マルチエンディングRPG「魔女の泉」シリーズをご存知だろうか?

韓国で圧倒的な知名度を誇るシリーズの1作目「魔女の泉(Witch Spring)」は、2016年韓国のGoogle Playベストゲームで「OGN 2016 G-Rank Seoul特別賞」を受賞しているのだ。

今回、アプリゲット編集部ではKiwi Walks代表のSuyoung Jang氏が日本に来日するという情報をキャッチ!宿泊先のホテルまでおしかけて、絶賛リリース中の「魔女の泉」「魔女の泉2」のお話に加え、現在開発中の「魔女の泉3」についてのお話を伺った。

「魔女の泉」のレビュー記事はこちら
「魔女の泉2 Lite」のレビュー記事はこちら

全5回に渡ってご紹介していく本インタビュー。第3回となる本記事では、RPG激戦区である日本のマーケットに進出した背景を伺った。

第1回インタビュー
キャラクターを眺めているだけでほのぼのできるRPGが作りたかった。
第2回インタビュー
年200ドルの売り上げから韓国有料No.1ゲームが生まれるまで。

kiwiwalks 魔女の泉2
Kiwi Walks代表のJang氏。「魔女の泉2」のポスターを持ってニッコリ。

「魔女の泉」は「ゼルダの伝説」に似たゲーム?

「魔女の泉」を作る上で、狙っていたユーザー層は?

Suyoung Jang氏:
もともと遊んでもらえるかなと思っていたのは、ストーリー型のRPGをプレイしていたユーザーですね。特に性別や年齢で、狙いをつけたりはしていませんでした。

実際にリリースしてみて、予想していなかった層がプレイしていたといったことはありますか?

Suyoung Jang氏:
中学生ぐらいの子どもたちが「ゼルダの伝説」に似たゲームがある!といってプレイしていたのが印象的でした。そもそも「ゼルダの伝説」年齢的に知っているの?って。(笑)

自分が実際に開発を始めたのは、20代の頃だったので、同じ世代の人たちが反応するのかなと思っていたんです。そしたら小さな子どもたちもプレイしてくれて、とても嬉しかったです。スマホでも、ストーリー型のRPGがまだまだ人気なんだなと実感しました。

大手の会社にとってはストーリー型のRPGが小さな市場かもしれませんが、1人で開発しているのでこの分野にも十分チャレンジできると思っています。それが、1人開発の魅力かなとも思います。

ユーザーの後押しで日本へ配信を決意

日本への配信を視野に入れ始めたのはどのタイミングですか?

Suyoung Jang:
「魔女の泉」がGoogle playの中で特集されて、それがきっかけで人気が出てきました。それを見たTwitterのユーザーさんが「日本でも流行りそうだから、配信したほうがいいよ!」と言ってくれました。

日本では素晴らしい、人気のあるRPGがたくさんリリースされていたから、初めは配信を考えていませんでした。しかし最初から大ヒットを目指していたわけではないので、とりあえず「魔女の泉」というIPを築くためにもリリースして今に至ります。

「魔女の泉5」ぐらいまで出せば良いIPとして認めてもらえると思うけど。(笑)それまでは1人でコツコツと開発して、良さを伝えていきたいと思います。

日本でリリースしてみて、日本ユーザーの反応は?

Suyoung Jang氏:
リリースしてみて、「魔女の泉」がGoogle playでも特集をされたのですが、思ったほどは注目されませんでしたね。

でも「魔女の泉2」を出したら2016年の11月時点でApple store有料ランキングで4位という結果を出せたので、もっと日本市場でも頑張ろうという気持ちになりました。

いま「魔女の泉3」を作っているので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

日本を含め、海外に配信するにあたり問題などありましたか?

Suyoung Jang氏:
結果から言ってしまうと、1作目の「魔女の泉」のローカライズがあまり良くなかった点ですね…。インターネットで検索してみると「翻訳があまりよくない」という書き込みをよく見ました。

例えば、「イノシシ隊長」というキャラクターがいました。発音が近かったせいか、翻訳家の人が「イノシシ大腸」と勘違いしてしまい、ユーザーから「変じゃない?」とツッコミを受けました。

日本のユーザーさんが翻訳に厳しいことは知っていたし、翻訳代に対してかなり投資していたのですが、それでもクオリティが低かったということはショックでしたね…。

当初色々と指摘が多かったので、満を辞して追加投資をして、2回の翻訳を行なってリリースしたのにも関わらず「イノシシ大腸事件」が防げなかったのが残念です。

「魔女の泉」の翻訳レベルが足りなかったのは申し訳ないですが、努力は怠らなかったのでこれを機に汲み取っていただけたらと思います。「魔女の泉2」はシリーズを好きな人が翻訳してくれたので、ユーザー評判は良かったです。翻訳以外は、特に困ったところはなかったと思います。

衝撃の「イノシシ大腸事件」


こちらのタレコミにより事件は発覚した!制作者は感謝しているとのこと。確かに愛のあるレビューだ。

たしかに「魔女の泉2」を遊んだ時、日本語がかなり自然だったので、日本人スタッフが関わっているのかなと思いました。

Suyoung Jang氏:
「魔女の泉2」の日本語ローカライズを経験した今思うのは、翻訳作業に大切なことは、作業してくださる方に作品への愛情があるかどうか、だと思いました。

※「魔女の泉2」の翻訳は、インタビューを同時通訳してくださったYeonju Kim氏。8年間もの間、日本に住んでいたという、日本語の達者な韓国人で、「魔女の泉2」の日本語ローカライズとマーケティングを担当しているJang氏のビジネスパートナーだ。業務提携のきっかけは、Kimさんが「魔女の泉」のファンだったことだったそう。

繊細な部分もしっかり伝わる日本語翻訳の例。

台詞もさることながら、シンクロして変化する、パイベリーやルナの表情にも注目したい。

無料のゲームが強い日本のマーケットに有料ゲームで参入するのは、どういう気持ちでした?

Suyoung Jang氏:
自分が本当に作りたいものを作って、ユーザに問うていこうという気持ちですね、3年ぐらいは苦労しよう!という覚悟はありました。

元々デザイナーだったのですが、アルバイトをしながら作りました。ゲーム開発に必要なUnityといったゲームエンジンも必要であったり、生活費も必要だったので。

RPGとしては異色の時間制限を入れた理由とは?

次回インタビューでご紹介!

というわけで、第一回はここまで!第二回は、「魔女の泉」がRPGとしては異色の時間制限を入れた理由などを伺っていく!

どうしてこうなった…。主人公ルナの立ち絵は90枚以上に。【魔女の泉インタビューその4】(2017年2月11日10時公開)

「魔女の泉2 Lite版」を遊んでみよう!

END後にきちんと「思い出」を語れるストーリー型の周回RPG!小さな魔女ルナを独り立ちさせるのだ

無印版の「魔女の泉」はプレイ済であり、エンディングを迎えた後に感慨にひたれるような名作だったんだが(個人的にはこれとヒュプノノーツくらい)、2は無印版と同じ時間軸で起こった物語が描かれている。

ストーリーの背景にある魔女への恨みや恐怖

それを抱えながら様々な人と出会い、ときには争い、分かり合っていくというルナの精神的な成長を感じられる。

前作の補正もあるが、冒頭のバトルからちょっと泣きそうになった

ゲーム的な育成においても、アイテムや魔法の生成、特訓によるステータスアップ、ペット機能などが取り入れられている。

とくに、昼夜が変化する時間の概念はそのままに100日という時間制限がなくなったため、前作以上に深いキャラクターの育成やアイテムの生成といったやりこみが可能となった。

Lite版では1章まで無料。それ以降は有料となるが、単行本1冊程度の値段であり(400円or480円)、世界観やシステムなど全体的にクオリティが高いので買って損はない。

この機会にLite版だけでも遊んでほしいアプリだ。※有料版へのデータ引き継ぎができない点だけご注意を。

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執筆者: 編集部