ゾンビ・オブ・ザ・ドット
KEMCO
コマンドバトルRPG
Android:800円 iOS:800円
1ターン毎にゾンビが迫る!王道素材を構築し直しスリリングなゲーム性へ昇華させたケムコの傑作RPGダウンロード(Android) ダウンロード(iPhone)
70年代アメリカを舞台にゾンビ・パンデミックを描いた古くて新しいターン制コマンド型RPG
「ゾンビ・オブ・ザ・ドット」は、ゾンビの溢れる70年代アメリカを描いたケムコの新作RPG。
ケムコといえば「アルファディア」シリーズをはじめRPGに定評のあるゲームメーカー。しかも今作は企画・原案・監修 イシイジロウ氏、開発がHit-Pointという顔ぶれによって作られている。
イシイジロウ氏といえば、ヴィジュアルノベル「428-封鎖された渋谷で-」をはじめ、魅力的なストーリーを作り出す人気クリエイター。Hit-Pointといえば人気ゲーム「ねこあつめ」のゲームメーカー。この2者とスマホRPGの雄、ケムコが組むのだから期待するなというのが無理というもの!
そんな本作の仕上がりはどうだったか?結論から言ってしまえばおもしろい。個人的には傑作だと思う。
ゾンビ×70年代アメリカ、そしてターン制コマンド型バトルというよくいえば王道、悪く言えばベタベタな題材を使いながら、きわめて斬新なゲーム性にまとめている。すごい…。
ダッシュでゾンビを回避!バトルでは距離感が重要
本作の基本は、シンボルエンカウント型の見下ろした型RPG。マップ上にいるゾンビと接触するとバトルシーンへと切り替わる。
バトルシーンでプレイヤーが行える行動は大きく4つ。固有スキルの使用、近距離武器の使用、遠距離武器の使用、アイテムの使用。
固有スキルは一般的なRPGだと必殺技的な扱いになりがちだが、本作の場合は通常攻撃に近い。威力は小さいが、回数無制限でキャラクター固有のアクションが行えるというもの。たとえばベンであれば投石による攻撃が、バーバラであれば応急処置による回復が行える。
近距離武器も回数無制限で行える通常攻撃だが、文字通り近距離まで敵が接近しないと使用できない。
本作のバトルには距離の概念が存在し、敵は1ターンに少しずつ接近してくる。最接近して敵の攻撃が発生する…というかたち。そしてこちらの近距離攻撃もこの、敵が最接近した状況でしか発動できない。つまり、ダメージのリスクが高い行動となっている。
一方、敵との距離によらず攻撃可能なのが遠距離攻撃。銃などの武器を使用するため火力も非常に高いが、貴重な弾薬を消費してしまう。
ちなみにシンボルエンカウントなので、マップにいるゾンビを避けることでバトルそのものを回避することも可能。ゾンビに気づかれぬよう遮蔽物の陰を移動したり、ダッシュで一気に駆け抜けたり…といった方法でバトルの回避ができるぞ。
筆者的には買ってよかった!新たなゲーム体験が嬉しい
本作は買い切り型ゲームとして配信されている。価格は800円。
この価格、人によっては高いと感じるかもしれないが、筆者としては安いと感じた。というのも、内容に満足しているから。
正直に話をすると、本作プレイ前は、ケムコのRPGとゾンビものということで「まあ、それなりにおもしろいだろう」と考えていた。王道の組み合わせだし大きく外すことはないだろうけど、期待を大きく上回ることもないだろう、と。
いやでも、ごめんなさい…筆者が生意気でした!期待を大きく上回ってました!!
本作は王道、ベタベタな素材を組み合わせながらも、斬新なゲーム性が味わわせてくれる。本作をプレイできてよかったし、買ってよかった。…そう思える一作なので、ぜひRPGファン、ゾンビゲーファンはプレイしてほしい。
「ゾンビ・オブ・ザ・ドット」の魅力はゾンビゲー×ターン制コマンド型RPGという王道の組み合わせがもたらす斬新なゲーム性
ホラーゲーム大好きっ子である筆者は、もちろん「バイオハザード」に代表されるゾンビゲーも大好き。
さらにいえば、ファミコン時代をキッズとして過ごした筆者は。「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズの進化とともに年をとってきた。なのでもちろん、ターン制コマンド型RPGを嫌いなわけがない。
ただゾンビゲーにしても、ターン制コマンド型RPGにしても、最近は大きな進化を感じない。「バイオハザード3」から「バイオハザード4」への進化は画期的だったよな?「ファイナルファンタジーIII」のジョブシステムや「ファイナルファンタジーIV」のアクティブタイムバトルだって衝撃だった。最近のゾンビゲーやターン制コマンド型RPGも確かにおもしろいのだけど、そういう衝撃的なおもしろさが足りないように感じていた…本作に出会うまでは!
本作のシステムは、要素だけ見るとゾンビゲーにしてもターン制コマンド型バトルにしても使い古されたもの。でもその組み合わせで新鮮なゲーム性を味わわせてくれる。
今までのどのゾンビゲーとも、どのケムコRPGとも異なる楽しさ。でもしっかりおもしろいぞ!
これぞホラー!ターン制なのにスリリングなバトル
なんといっても本作で秀逸なのは、バトルがちゃーんとスリリングな点だろう。
これは筆者の考えだけど、ホラーゲームにおける怖さというのは「焦り」が担っているように思う。たとえば「敵が大きな音とともに突然出現し、焦って上手く狙えない…だから怖い」だとか、「不死身の敵が刻一刻と迫ってくる焦りの中、アイテムを的確に使わなければならない…だから怖い」といった具合。
これがターン制になるとゆっくり考えられるし、敵は静止画だし、何も焦る部分がなくなってしまう。しかし本作はこの点を、敵との距離という要素によって解決した。
1ターンに1歩ずつ、確実に敵が迫ってくる。そして、倒すには銃弾かHPか…なんらかの犠牲を払わなければならない。だから、ターン制なのにスリリング。
ゾンビが出てくるからホラーというざっくりした作りではなく、バトルを通じてきちんと怖さを感じられる作りになっている点が素晴らしい。ターン制コマンド型RPGのシステムを新たに開発したといってもいいだろう。
バトルか?回避か?マップにまでゲーム性を持った作り
また、ゲーム性をバトルシーンだけでなく、マップシーンにまで押し広げている点も偉大だと思う。
シンボルエンカウント型RPGの場合、敵の後ろから接触すると有利に戦える…といった形でマップにある程度のゲーム性を持たせているものも少なくない。しかし本作の場合、敵に気づかれないようスニーキングを意識して歩くだとか、気づかれたら残りのスタミナに注意しつつダッシュで敵を振り払う…といった具合に比べ物にならないほどのゲーム性がもたされている。この時点で実は、サバイバルホラーのようなゲーム性を持っているのだ。
ただサバイバルホラーが攻略のために、プレイヤーの操作技術を要求するのに対し、本作は何を犠牲にしてどう戦うかという判断の比重を高めている。この結果、アクションが苦手な人でも得意な人でも、同じようにスリルを味わえるようになっているのが素晴らしい。
余談だが、ゾンビゲームの金字塔「バイオハザード」の原点ともいえるカプコンのホラーRPG「スウィートホーム」もまた、本作のようにターン制コマンド選択式であり、マップ上での立ち回りが要求されるシステムになっていた。
もっとも「スウィートホーム」はファミコン時代の作品なので、敵毎に異なる弱点を突かなければ被ダメージが大きくなってしまうだとか、マップ上の影の部分を歩くと敵出現率が高いだとか、敵エンカウント時、別パーティーの仲間をマップ移動で合流させないとフルメンバーで戦えないだとかいった風に、現代的な視点から見てそこまで恐怖度の高いシステムではない。ただそれでも当時は、「スウィートホーム」のシステムから恐怖を感じたものだった。
あの「スウィートホーム」が、3Dアクションアドベンチャーとしての「バイオハザード」に進化せず、2D見下ろし型RPGのまま進化していたら、もしかすると本作になるのではないか?ファミコンキッズだった現おじホラーゲーマーとしてはそんな妄想を抱かずにはいられない…。
つまり、妄想まで含めてディープに楽しめる一作なので、要プレイだぜ!
ゲームの流れ
B級!ゾンビ!アメリカ!…そんなテイストがスクリーンからから溢れ出しているタイトル画面。
こいつは期待せずにはいられない。ゾンビウィルスに感染したわけでもないのに、期待のあまり手が震えちゃうぜ…!
物語は、バーバラという医師と、その恋人らしきジョンとの物語から幕を開ける。2人とも街にゾンビが蔓延していることは理解しており、なんとか脱出しようとしている模様。
この逃避行の途中でシーンが変わってしまうが、その結末は序盤で明らかになる。とてもゾンビものらしい展開で、筆者は思わずグッときた。
場面変わってプレイアブルキャラクターがベンという警察官に変更。病室で目を覚ますが、どんなにナースコールを鳴らしても誰も来てくれない…。
病院で目を覚まして…というくだりは「ウォーキングデッド」だし、事故にあってからの日数は「28日後」。満載のゾンビネタに、思わずニヤリとしてしまうぜ。
病院内はおぞましい光景が続くものの、移動や探索のチュートリアルになっており、敵とのバトルは発生しない。
病院を出て交差点に差し掛かると、そこには人影が。このね、背後から声をかけるっていうシチュエーションも初代「バイオハザード」のゾンビ初遭遇シーンや「スウィートホーム」の振り向き男を連想させてイイよね。
背後から声をかけた相手は、やっぱりゾンビでした!…というわけで戦闘へ。主人公はまだ近距離武器しか持っていないので近距離武器と固有スキルでレッツバトル。
ちなみに近距離武器は消防用の斧。斧やらチェーンソーやらといった物騒な近接武器で戦うというのもB級ホラーらしくて好き。
「ゾンビ・オブ・ザ・ドット」の攻略のコツは残弾数のマネジメントにあり
「バイオハザード」から連綿と続くゾンビゲー攻略の鉄則。それは、銃弾を節約し残弾数をしっかり管理すること。
とはいえ本作は、「バイオハザード4」以降の作品のように、敵を倒せば銃弾が出現する。とはいえ基本的には、敵を倒すのに消費する銃弾の方が多いため、やっぱり銃弾の節約は重要。しっかりマネジメントしていきたい。
固有スキルで敵体力を削ろう!とどめを銃で
バトルの立ち回りは、概ね3パターン考えられる。
ひとつめは、遠距離攻撃だけで敵を倒すパターン。これはHP減少のリスクこそないものの、銃弾消費が大きすぎる。強力な敵が大量に出た時などに限定したほうがいいだろう。
ふたつめは、固有スキルと遠距離攻撃の組み合わせ。まずは固有スキルで敵の体力を削り、とどめに銃弾を使う。HP減少のリスクを抑えつつ銃弾消費も最低限にすることができるバランスの取れた立ち回り。
基本的にはこの立ち回りがオススメだぞ。
固有スキル×近接!銃弾を稼ごう
最後のパターンは、固有スキルで敵体力を削り、とどめを近接攻撃で決めるというパターン。
敵接近と合わせてうまく体力を削った上で近接攻撃を決めればノーダメージな上、銃弾消費がゼロで済む。ということは、首尾よく勝利できれば銃弾がプラスになるということ!
ただ失敗するとダメージを受けてしまうので、強力な敵が大量にいる場合などは避けたい。
逆に積極的に使いたいのが、マップ上で敵単体を狙って上手くバトルを挑めた時。敵単体であればこの戦い方でもリスクを抑えることができ、安全に銃弾を稼ぐことができるぞ。