『ファイナルファンタジーⅪ』や『聖剣伝説2』の田中弘道氏をプロデューサーに、コンシューマーRPGやオンラインRPGで多くのゲームユーザーを魅了してきたクリエイター達を迎えて開発され、『パズル&ドラゴンズ』のガンホー・オンライン・エンターテイメントより配信されているスマホRPG『セブンス・リバース』。
本作のシナリオを担当されている井上 信行氏と、イベント演出のプランニングとディレクションを行っている細野 淳一氏の2名に、『セブンス・リバース』の世界に登場する魅力的なキャラクター達と、まだまだ謎が多い世界設定や用語について、開発秘話やココでしか読めないウラ話も交えて、たっぷりお聞きした。全6回連載の第3回です。
今週から連載で公開してゆくので楽しみにしてほしい。
▲井上 信行氏(写真左)と細野 淳一氏(写真右)
目次
チュートリアルからインパクト大。ミステリアスな女の子
■サラ/15歳
異界・ルナリアから、主人公たちが住む世界・ソラスへ行ったまま2年近く帰らない母を探しに来た、精霊の声を聞くことが出来るという、神秘的で、少し翳のある少女。1000年前の滅亡の時に、当時の権力者の手をのがれて異界に住むようになった者の末裔。物語の序盤では母がソラスの地で息絶えたこと、母を巡ってどんな事件が繰り広げられていたかも知らず、母の消息を追っている。母の厳しい躾でサバイバル能力と自活能力を持ち、母がいない2年間は、ひとりでヤギのチーズを作り、畑の野菜の面倒を見るなどしていた。 冷静で無口で、思い込みが激しく、ソラスの人間と距離をとりたがるが、マリウスにだけは心を開く。母・エレインはソラスにサラを招くことを夢見、安住の地を探していたが、ハイブリスとアバラボーンズの抗争に巻き込まれていく中で、サラと暮らすことよりも、目の前の危機を防ぐことを選ぶ。
――サラはチュートリアルの存在感がすごくて、驚かれる方も多いんじゃないかと思います。
井上氏:
サラは本当はあんな初っ端から出すつもりじゃなくて、第1部の真ん中あたりからミステリアスな存在として出てくるみたい展開が、最初の田中さん(※)のプロットにありました。
(※編集部注:田中弘道プロデューサー)
それだと先の引きがなくなるのと、最初に物語がどこを目指していくとかいうのを、大筋感じさせたかったので、チュートリアルから出しました。
――サラのキャラクターを作られる際に、参考にしたははありますか?
井上氏:
サラだけが田中さんの最初のプロットにあったところから持ってきているキャラで、ほかのキャラというのは、プロットだとそんなに固まっているキャラってなかったんですよ。
そのプロットでは、もうちょっと半エルフ的なというか、何とか神殿の巫女のような感じで、精霊の声を聞いて、世の中が崩壊しているのを憂えているような感じのキャラでした。
だんだん書いているうちに、何かすごくリアリストになってきたという感じはありますね。
――マリウスとの関係性はどのような感じでしょうか?
井上氏:
第1部では、マリウスとの関係性は、くっつくのか、くっつかないのか、面白コンビなのかみたいなのがよくわからない感じになっていると思います。
これから先、お話が展開にしていくにつれて、ちょっとずつ関係性が変化していくところがあるので、そこは楽しんでほしいと思っているところですね。
お話を展開していく上で、豪快で破天荒なキャラがいると助かる
■ドレッド・シーガル/23歳
金と女に目がない豪傑の賞金稼ぎ。タッカー国と貿易のあった西方の海域の港町の出身で、両親とは幼くして死別。年端の行かぬ頃から親戚の家で育てられ、その家の事情から16歳でハイブリス評議会の傭兵になる。村はハイブリス評議会から派遣される管理官を受け入れているうちに、吸収されるようにしてなくなっていった。傭兵となって間もなく、傭兵では武勇をあげる機会もないことを悟り、1年後には賞金稼ぎの道に入る。基本的にはハイブリス評議会が指定する異端者を捕縛し金に換えるが、旅先の村で有力者の仕事を請け負ったり、武勇になることなら仕事は選ばない。歴史に名を残したいという野心を持っているために、他の賞金稼ぎがやりたがらないような危険な仕事でも請け負う。いつかは伝説の勇者とあがめられ、故郷に錦を飾りたいと思っていたが、故郷はすでに寂れ、なかば目的を見失っている。
――ドレッド・シーガルについてお尋ねします。ストーリーの中で、「金と女性に目がない」ということで、自分のことでいっぱいというキャラクター性を感じますが、どういった思いからつくられたキャラクターなんでしょう?
井上氏:
豪快で破天荒なやつが1人いると、お話を転がしてくれるんですよ。
なので、そういう人を1人置いて、みんなそれに引きずられていくみたいな、「ああ、あいつ行っちゃったよ。どうする?」みたいな感じで引っ張られていくような感じでお話が書けると楽だなというポジションなんです。
細野氏:
困ったときはいつもドレッドでオチがつけられたりとか、すごい便利なキャラクターですよね。
井上氏:
オチ役ではありますよね。
――「金と女に目がない」ところまですれていくには、結構若い年齢だなと思いました。
細野氏:
でも最近ちょっとドレッドがいじめられ過ぎていて。
井上氏:
最近ちょっとかわいそう。
細野氏:
スタッフの中でも、ちょっとこれはかわいそうなんじゃないかみたいな声が出ていますけど(笑)。
井上氏:
プロットに書いてありましたよ。
細野氏:
書いてありました?すみません(笑)。
――プロットに書いてあったということは、田中さんということですか?
細野氏:
あれは自分です。発注する資料に既に書いてあったんです、「思い切りいじめてください」って。
井上氏:
「ヒャッハーとか言って飛んでいって、撃ち落とされる」って、この間書いてありましたよ。
細野氏:
書いてありました(笑)。そうです、便利ですよね、ドレッドは。
井上氏:
ドレッド便利。
――便利キャラなんですね。都合のいい男といいますか。
井上氏:
これこのまま番外編があの調子で進んで、本編で彼はちゃんとやっていけるんでしょうか?
細野氏:
そうですね、もう。真面目なことを言わせづらくなっちゃいますからね。
井上氏:
本編だと結構ちゃんとしっかりした役をこれからこなしていきますよ。ドレッドファンはすごい楽しみにしておいてほしいです(笑)。
――多分、判官びいき的な感じで気に留めているファンは多いんじゃないでしようかね?
井上氏:
最初の予定としてはドレッドとマリウスでバディものというイメージしていたんですよ。
でも、マリウスが割とサラと行動しちゃっていて、ドレッドとなかなか一緒にかっこよく決めてくれないというのはありますけど。
細野氏:
そうですね。
井上氏:
だから、ドレッドかわいそうポジションですよ。
割と常にかわいそうポジション。
――これから重要な役を担ってみたいなところで、かわいそうだけじゃ終わらないぞという。
井上氏:
だけじゃ終わらないですね。一番僕すごいドレッドには思い入れはあるんで。
思い入れはあるけれども、ああいう扱いになっているという。
――それは愛情の裏返し?
井上氏:
愛情の裏返し、あるかもしれないですね。
――印象には残りますよね。
マリウスは天才少年ポジション?!
■マリウス・トゥリート/19歳
ハイブリス評議会の若き魔法使い。西方の険しい山脈の高地に生まれたが、7歳の頃に旅の魔法使いに腕を見込まれ、その弟子としてマルギニ地方の小さな村に移り住む。村はたびたび裂け目から現れる魔物に襲われ、その裂け目の秘密を知るためにハイブリス評議会の幹部登用試験を受けた。ユモルウムでのハイブリス対鬼神+エレインの戦いにも参加し、そこで鬼神の強さを目の当たりにし、鬼神がハイブリスに捕らえられた後は、鬼神からフレア・シェルの隠し場所を聞き出す役を自ら買って出ている。戦いの直後から、鬼神とエレインには憧れのような気持ちを抱いていたが、獄中の鬼神から聞いた話がきっかけで、鬼神を逃亡させるとともに自分自身もハイブリスを出た。ハイブリスと行動をともにしていた頃は鬼神からフレア・シェルを取り上げることで平穏が戻ると信じていたが、今では世界情勢の複雑さを知り、ものごとの判断には慎重になった。鬼神を逃して以来、評議会に追われ、評議会の差し向ける賞金稼ぎと何度も渡り合ってきた。
――マリウスについてお聞きしたいんですけども、ドレッドとは対象的に若くて、でも世界情勢についてしっかり見られているなという。キャラクターとして何かすごくよくできているように感じますけど、これはどういった思いから?
井上氏:
天才少年役というポジションで最初出そうと思ったんですね。
小さいのに何でも解決できるキャラクター。
で、最初は13歳、14歳とかという設定でやっていたんですけど、過去の出来事とかと整合性とっていると、ちょっと13、14だと、このとき何していたの?この人はみたいな感じになるので、19歳まで一応引き上げて。
――限界まで若くしたので19ぐらいになったと。
演出でもできることが増えてきて、ついにはモンスターの尻が写るまでに
――イベントシーンの演出がだんだん変わってきているようなんですけれども、何か運営しながら進化といいますか、意識されている部分というのはありますか?
細野氏:
そんなに変わってきていますか(笑)?
でも、やっぱりゲーム自体もどんどんバージョンアップしてできるようになったりするんですよ、こういうアップデートタイプのゲームだと、それが普通のコンシューマーゲームと違って。
――ライブラリが増えてくるということですか?
細野氏:
そうです。今まではこれできなかったんだけど、バージョンアップしたことでできるようになったから、じゃ、これちょっと使ってみようみたいな、そういうところはあるかもしれません。
――コラボではイベントカメラが結構動いていましたよね。モンスターの尻が映っていましたよ。敵の尻が映ったの、今回初めてじゃないですか?
細野氏:
そうです、頑張って試行錯誤しました(笑)。
■アンガス・ガレオン/42歳
ハイブリス評議会の議長。1000年毎の絶滅と、それを乗り越えてきた謎の民族、その民族が持っていた秘宝、異界、裂け目から生み出される魔物のことなど、多くのことに通じている。中でも興味を示しているのがフレア・シェルで、それがあれば1000年毎の滅亡を避けることもできるというが、何よりもそれが秘めた魔力に興味があった。ハイブリス評議会には多くの派閥があり、古参による長老会が実権を握っていて、表向きの顔となるアンガスには汚れ役を押し付けられる事が多く、このため内心では他の幹部を毛嫌いしている。ハイブリス評議会の目的は、エロールの意志を探り、平和裏に滅亡を乗り切る事とされるが、アンガスは自分自身の力と、組織での地位にしか興味が無い。表向きにはフレア・シェルの力を使って、最凶の魔獣トゥルクを使役し、エロールの意志に従って世界を滅ぼすことを目的としているというが、それも長老会への反逆や、地位の奪取など、個人的な動機を隠すための方便でしかない。ただし、魔物が町を襲い破壊することや、人を支配して従わせることに関しては、疑いもなく快楽を感じるタイプで、その行動は決して理性的とも、計算ずくであるとも言えない。
――アンガスと主人公はどのように絡ませようとして登場されたんですか?
井上氏:
アンガスが本当はもっと巨悪というか、最後の本当にすべてを裏で仕切っている敵みたいな感じでいこうかなと思っていたんですが、これもちょっと第1部だけ考えているときはそれでよかったんですけど、後半どんどん、どうしても敵ってインフレしてくるじゃないですか。
いろんな敵がこう出てきてそこら辺まで考えていくと、アンガスじゃちょっと弱いな、みたいなところが出てきて。
アンガスもいろいろ暗躍はあるんですが――(笑)。
――今後のアンガスの動向はしっかり見ておいたほうがいいと。
細野氏:
第2部はでも、もっと印象が変わるキャラになるかもしれません。
秘密の多いキャラクター鬼神。実は読み方も人によって分かれていたり…
■鬼神/43歳
12年前にフォルエイ国のヴァラー騎士団に志願、その才能からとんとん拍子に地位を上げ、すぐに隊長職にまで上り詰め、フリック家当主ファデリーの剣術指南役となる。立場としてはファデリーの臣下であり、ファデリーを君主として立てるが、剣の師としての誇りからか、ときに厳しく接することもある。騎士団では各地の裂け目を調査し、記録を取っていたが、2年前、異界からやってきたサラの母エレインと出会ってからは、裂け目を封じるために行動をともにするようになる。しばらくは二人が中心となって各地の裂け目を修復して回っていたが、ハイブリス評議会に追われる中で、ちょっとしたミスから裂け目が拡大することもあった。最大の裂け目をエレインが命とひきかえに封じたあとは姿を消すが、その後しばらくして賞金稼ぎのドレッドに捕縛され、この1年ほどは収監されていたが、評議会の若き魔法使いマリウスの手助けで脱獄し、今は行方をくらませている。騎士団の中でも偽名を使い、本名を知る者は少ない。責任感が強く、過去の過ちをずっと引きずっている。
――鬼神は、ぱっとの印象なんですけれども、ほかのキャラクターと名前のテイストが違うなと感じたんですけど。
井上氏:
鬼神が初登場というか、案が出たのは、僕は田中さんから最初のプロットを引き取って、その後そこに肉付けしていったんです。物語の背景として過去に何があったか?というところの核になる登場人物として、鬼神という強烈なキャラがいて、それをめぐる攻防の余韻的なお話が続いているんだ、というところをベースにして考えたんですね。
そのときには、そういう鬼神を中心にしますよというお話は書いたんですけれども、本名を設定していなかったんですよ。
本名を設定しないまま、ずっと来てしまっているという。いつか本名を決めないといかんなとは思いながら、いまだに実は決まっていないという。
――では、本当の名前があるですね?
井上氏:
本当の名前がありますね。
で、本当の名前があるんですけれども、この後、知り合いからも「鬼神」と呼ばれているのはすごい変だから、知り合いが呼ぶあだ名があるんですが、それも本名と違うという。
――まだ決まっていないとなると、実は誰かの兄弟だったとかという想定もできるということですね。
井上氏:
第1章でどのぐらいにおわせていましたか?ほとんどにおわせていないんでしったけ?
細野氏:
そうですね…。
井上氏:
何か関係のある人かもしれない。
細野氏:
秘密があるキャラですよね。
――割と構想はもう決まっていらっしゃるんですか?
細野氏:
すごい先まで決まっていますよね。
シナリオも結構先までできているし。ムービーとしても結構先まで。
井上氏:
2年前に起きた事件のことも、結構詳細に書いていまして。なので、うっかり変なことを書いちゃうと、そこと齟齬がでてきちゃうという。
――ストーリー中のポジションというのは、何か重要になるんですかね?
井上氏:
この後鍵を握ってくるというか、さっきドレッドが物語を転がす役みたいな感じでしたけど、鬼神も同じように、頑固で言っても聞かないやつだから、勝手に突っ走って、何か起きてしまうのをみんなで何とかするみたいな動きにもなるかな。なっていないかな。先の話なんで、ちょっとわかりませんが(笑)。
■ファデリー・フリック/34歳
ユモルウムの騎士団領で大きな力を持つフリック家の当主であり、伝統あるヴァラー騎士団の団長。ヴァラー騎士団は現在アバラボーンズと名乗り、騎士団の栄光を取り戻すべく裏で画策している。10年前、24歳の時にフレアシェルの事故で父を失い、そのときに騎士団長の座についた。フレアシェルの事故の直接的な責任は無いが、その事後処理に躓き、騎士団の信頼を地に落としてしまったことで、自らの無力さを痛感しながらも、事故の責任は常に騎士団の邪魔をしてきたハイブリスにあるものと考え、自分たちの罪は一切認めていない。事故のあとヴァラー騎士団を名乗ることをやめ、謎の集団アバラボーンズとして裂け目の修復に勤しんでいるが、目立った成果は上がっていない。また、配下のアバラボーンズは暴走しがちだし、鬼神は我関せずで単独行動することも多く、ときに無関係な人たちまで巻き込んで揉め事をおこしてしまうこともあるが、それに関してはダークヒーローになったつもりで黙殺している。
――鬼神とこのファデリーは、主人公たちとどのような関係性を持たせたくて登場させたのでしょうか?
井上氏:
王国とか騎士団が、いろいろあるという世界なんですけれども、システム的にそういう人たちをいっぱい出したりとかできないので、ファデリーは、それを象徴するキャラクターとして出した感じです。
――ゲーム中ではタッカーの騎士団名乗っているけれども、このタッカーの国の方なのかなという。
井上氏:
それは本当にごめんなさい。タッカーの国の人じゃないんです、実は…。
タッカー国と別に騎士団領という国がありまして、本当はそこの国の人なんですけれども、あそこでタッカー国の騎士を名乗ったのが、シナリオのミスのように見えますけど(笑)。
タッカー国の属国なのでタッカー国に重用されている騎士団ということで、タッカー国の騎士を名乗っているという。
――ちゃんと筋が通りますね。
井上氏:
通っているはずです。騎士団の数が幾つあるという設定も、たびたびわからなくなっていて、すごい毎回適当な数を言っているという、本編の中でも(笑)。
――じゃ、それは割とそのまま世に流通しているんですね?
井上氏:
そうですね(笑)。
ただ、ぎりぎり矛盾はないと思います。
豪華クリエイター陣が生み出す。壮大な物語と魅力的なキャラクター達の大冒険。スマホ用オンラインRPG「セブンス・リバース」
『セブンス・リバース』は、広大な世界のとある村の村長となって、村を発展させながら世界の行く末を左右する壮大な物語を体験するオンラインRPG。
プレイヤーの操作する主人公に他のプレイヤーが育てたキャラクターの3人を加えてパーティを組み、様々なボスモンスターが待つダンジョンに挑む。
基本は自動進行で、防御コマンドと、溜まったAPを消費するスキルで介入するセミオート式。スキル発動も自動化される全オートもある。
スキルチェインというコンボシステムがあり、繋ぐためにスキルを発動するタイミングの他、クールタイム・AP消費などのバランスも考える必要がある。
スキルや装備をカスタマイズ、複数のジョブを鍛えてアビリティを取得したり、自分の村を発展させたりと、スマホRPGらしいやり込み要素が充実。
『聖剣伝説2』や『FFⅪ』などを手掛けた田中弘道プロデューサーをはじめ、ディレクターに廣瀬髙志氏(『ラグナロクオンライン』)、ミュージックに光田康典氏(『クロノ・トリガー』)、コンセプトアートに津田幸治氏(『聖剣伝説3』)など豪華クリエイターが参加した大作RPGとなっているぞ。