『ファイナルファンタジーⅪ』や『聖剣伝説2』の田中弘道氏をプロデューサーに、コンシューマーRPGやオンラインRPGで多くのゲームユーザーを魅了してきたクリエイター達を迎えて開発され、『パズル&ドラゴンズ』のガンホー・オンライン・エンターテイメントより配信されているスマホRPG『セブンス・リバース』。
▲井上 信行氏(写真左)と細野 淳一氏(写真右)
本作のシナリオを担当されている井上 信行氏と、イベント演出のプランニングとディレクションを行っている細野 淳一氏の2名に、『セブンス・リバース』の世界に登場する魅力的なキャラクター達と、まだ謎が多い世界設定や用語について、開発秘話やココでしか読めないウラ話も交えて、たっぷりお聞きした。全6回連載の第2回です。
目次
井上氏「主人公がフリーダムなのは振り切りました」
■村長(プレイヤーキャラ)/20歳
つい先日祖父の跡をついで新米の村長となったプレイヤーの分身で、本作品の主人公。
8歳の時に母親をなくし、その半年後に父が村を出て、その後は祖父と二人で暮らしている。両親のことははっきりとは覚えていない。幼い頃から妹の世話を焼いてきたが、ある程度手がかからなくなったところで祖父に任せ、村のはずれで思索にふけることが多くなった。村の仕事を放り出すこともしばしばで、近頃では妹のほうが兄の世話を焼くようになってきた。性格は、選択肢によってユーザーに委ねられるが、3番目の選択肢を選ぶと概ねいい加減な性格になる。
――村長、プレイヤーキャラについて性別を決める際に、クレアという妹がいるので、男性にする人が多いといううわさを聞きました。
井上氏:
そうなのですか。
僕のギルドは割と女性アバターが多いので、この前なんかも女子高生祭りみたいな感じのパーティーになっていたんですけど。
――皆ブレザーを着用した感じですね。妹がとにかくかわいいという意見が目立っていました。
井上氏:
よかったです。「生意気」と言われたらどうしようみたいなのが、ちょっとあるんですけど。
――やっぱり「ませてる」感じはありますね、言ってしまうと生意気というか。
井上氏:
生意気ぐらいが妹はかわいいですよね。
――村長がフリーダム過ぎる印象なのですが、これはもう一気に振りきったのでしょうか?
井上氏:
振り切りましたね。
三択の3番目は必ずボケが来るじゃないですか。最初は徹底していなかったんですけれども、企画会議で森下(※)さんが、必ずボケ入れたら面白いんじゃない?みたいなことをさらっと言ったので。
それを聞き逃さずに、よし、やってやるぞみたいな感じで(笑)。
その後、ちょこちょこ手を入れて、今の形が完成したみたいなところはありますね。
(※編集部注:セブンス・リバースのエグゼクティブ・プロデューサー。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の代表取締役社長CEO。)
――皆さん3番目を選ばれるということが多いので、1、2が逆に見られる機会が減ってしまうんじゃないでしょうか?
井上氏:
去年クリスマスイベントでは、選択肢の2が僕はお勧めなんだけど、結構3が選ばれてしまって、「2を見てほしかったのに・・・」みたいな(笑)。
――やっぱり井上お勧めマークつけた方がいいんじゃないですか?
井上氏:
ああ、そうかもしれないですね。
――多くのRPGが、「しゃべらない主人公」だったと思いますが、「セブンス・リバース」は主人公がとにかくしゃべったりボケたりという印象です。
井上氏:
僕どっちかというと「しゃべらせたい派」なんですよ。
主人公がしゃべらないと、「主人公はしゃべらない」というのが主人公の個性になって、やりとりしているうちに、どうしてももう突っ込みたくなっちゃうんですよ。
「しゃべれよ、お前」みたいな(笑)。
――大事なときにしゃべらないぞこいつ、ということですね。
井上氏:
だからそこはしゃべった方がやり易いはやり易いんだけど、ただ、あまりしゃべると引いちゃうユーザーも多いので、その間をとってああいう形でしゃべっている感じですね。
――間をとっている(笑)。
細野氏:
今は、三択でしかしゃべれないというのを逆にネタにしていますよね。
主人公の妹「クレア」。マフィンを焼くのが趣味という話はいつの間にか定着していた
■クレア/14歳
主人公の妹。2歳の頃に母を失い、その半年後に父とも別れ、その後は兄(姉)と祖父の手で育てられた。両親のことはまったく記憶にない。そのため重度のお兄(姉)ちゃんっ子であったが、最近では兄(姉)のほうから距離を置かれるようになった。そんな生い立ちではあるが、自分のほうが兄(姉)よりしっかりしていると思い込んでいて、時折母親のように兄(姉)の世話を焼こうとするが、どこか大雑把でうまくいかない事が多い。村をまかされている責任を果たしたいと思いながらも、冒険に出る兄(姉)をうらやましく思っている。
――先ほど出た妹のクレアについてもお聞きしたいんですけど、どんな印象を持たれていますか?
井上氏:
結構皮肉屋さんですよね。
――この性格というのは、どのぐらいからこの方向になったのでしょうか?
井上氏:
クレアの性格は、最初のオープニングの「お兄ちゃん、何してたの?」みたいなイベントがありまして。
もうあそこの頃から大体固まっていますね。
ただ、最初はまだ幼い設定だったんですよ。
算数が苦手とか、何かそういう感じで、ちょっと子供っぽい設定あったんですけども、だんだんとそういう設定が抜けて、突っ込み役が定着してきた感じになっていますね。
――完全に「上手な突っ込みの人」ですよね。キャラクターデザインも当初から変わっていないんですか?
井上氏:
そこがちょっと記憶があやふやなんですけど、基本変わっていないんですけど、最初は背負っているランドセルっぽいものがなかったような気がしているんですが…。
細野氏:
なかったです。あれは。
井上氏:
誰かが趣味で足した。
――趣味の領域という感じですよね、赤いランドセル風のカバンですから。
井上氏:
キャラクターデザイナーの山下君(※)?
(※編集部注:セブンス・リバースのキャラクターデザインを担当した山下修平氏。ブラウニーズ所属。)
細野氏:
山下さんですね、ある日突然足されていましたね。
――あと「マフィンを焼くのが趣味」というのも気になりました。
井上氏:
それは本当に何気なく言っちゃっただけなんですよ、実は。
とあるイベントで、置いていかれるときに、「じゃ、マフィン焼いて待ってるね」みたいなことは軽く言っちゃっただけなんだけど。
その後誰かに拾われたのかな?同じネタを誰かにかぶせられたか何かで、そこからもう自分でもかぶせるようになって、マフィンが定着していったと。
――じゃ、本当に最初は出来心といいますか。
井上氏:
出来心でした。
アシュリンは元々教官キャラだった!?
■アシュリン・フリック/27歳
由緒ある貴族の血統、フリック家に生まれた娘で、騎士。生家は、ユモルウム湿原の穀倉地帯にあったが、現在では急激な天候変化に見舞われ、沼に沈んでしまった。兄とともに騎士の位を受け継ぎ、宗主国であるタッカー王国に仕えていた。強き指導者だった父と、その後継者の兄を慕っている。兄ファデリーは、裂け目の修復の中心的な役割を負っていたが、アシュリンにはその詳細について知らされなかった。17歳の時にオベリスクの暴走が起きて、タッカー、及び騎士団領が、それぞれ氷と沼とに閉ざされ、それ以来騎士団はバラバラになってしまい、しばらくは屋敷の中に閉じこもったような暮らしをしていたが、現在は思うところあって二人の従者、デーニュとコーニュを引き連れて旅をしている。
二人の従者からは姫と呼ばれている。両親とも10年前に起きた混乱で命を落としている。負けず嫌いで、正義感が強く、プライドが高く、曲がったことが嫌いだが、人当たりはとてもやわらかい。期間限定イベントで垣間見えるように天然ボケの側面もある。
――アシュリン・フリックはまとめている感じもあり、天然ボケっぽい面があるなと。
井上氏:
そうですね、天然ボケなんですけども、何か頭の悪い感じのボケじゃなくて、お姫様として育ったから、世間のことにあまり興味がないし、合わせる気もないという感じの自然な感覚のずれみたいなのが出せればいいかなと。
だからほかのボケキャラほどひどいボケはしてない――よね?(笑)
細野氏:
そうですね。
――じゃ、本人的にはあまり意識していなくてずれちゃっていると。
井上氏:
そうですね。
――かわいいボケですね、あと年齢が結構高いんだなと思いました。
井上氏:
結構高いです。
10年前に何かいろいろ事件が起きたという設定があるので、その頃に何歳だったかみたいなところも加味してあるので。
27歳になっているんですけど、件の頃17歳なんですね。その頃にその年齢じゃないと、ちょっとつじつまが合わないところがあるという。
――なるほど、当初からキャラはこういう天然ボケ風のキャラだったのでしょうか?
井上氏:
最初はバトルのチュートリアル役だったので、厳しい感じのキャラを書いていたのですが、最初に出会う女子キャラがこれだと引いちゃう人もいるんじゃない?みたいなことを言われて。
ちょっと丸い感じになったのですが、ある日ばっと全部セリフ、直した瞬間は全然愛着がわかなかったんですよ(笑)。
前のが好き過ぎて。あーあ、ちょっと残念な感じになっちゃったなとか思っていたんですけど、書いてきているうちに、また楽しくなってきてしまって。
デーニュとコーニュが一緒にいるのは大人の関係をにおわせないため
■デーニュ/26歳
アシュリンの従者の従騎士。ファデリーからアシュリンを危険に近づけないようにとの密命を受けている。身内のボディガードとしてつけられるくらいなので、実力は折り紙つき。実家は農家で、12歳から地元の少年騎士団に入団、15歳で正式に騎士として志願したが、混乱の煽りで正式な叙勲は得られていない。本来はハンマーを得意とするが、フリック家に仕える騎士の習わしとして片手剣を携行する。生真面目に従者としてアシュリンに仕える。性格はコーニュとくらべるとやや朴訥としておおらかだが、実際のところほとんど差は無い。
■コーニュ/26歳
アシュリンの従者の従騎士。ファデリーからアシュリンを危険に近づけないようにとの密命を受けている。身内のボディガードとしてつけられるくらいなので、実力は折り紙つき。
実家は狩猟で生計を立てていて、14歳から騎士見習いとしてフリック家に奉公に来ていたが、デーニュと同じく、混乱の煽りで正式な叙勲は得られていない。本来は弓を得意とするが、フリック家に仕える騎士の習わしとして片手剣を携行する。生真面目に従者としてアシュリンに仕える。性格はデーニュとくらべるとやや斜に構えたリアリストな面があるが、実際のところほとんど差は無い。
――デーニュとコーニュは、アシュリンと3人の組み合わせで動いていると思うんですけども、アシュリンとデーニュかコーニュ、どちらかだけの組み合わせでも、ストーリーとしては十分じゃないのかなというところがあるんですけれども、あえてこの2人の騎士をつけた経緯は。
井上氏:
これは多分、アシュリンともう1人――の2人だけだったら大人の関係、ちょっとあるんじゃないの?みたいなのがにおってしまうので、そこのにおいを消したいというのがありました。
――2人は設定としてほぼ同一なのでしょうか?
井上氏:
ほぼ同一なんですけれども、設定していくうちに、2人の出身が違うという設定があって、そこら辺をたどっていくと、キャラクターの違いというのはあるんですけど、書いているうちに自分でもちょっと混乱してきて、「これコーニュだっけ?デーニュだっけ?」って聞きながらたまにわからないという(笑)。
いまだに「青いのどっち?」と言われても、ぱっと出てこない。青いのはコーニュ?
細野氏:
デーニュです。
あえてそういうちょっと無個性な感じにしているんですよね、影が薄い感じの。
井上氏:
ゲームというかストーリーになじんでいないうちにキャラクターをばっと増やすと、プレイヤーも混乱するので、そこら辺はもうこの人たちはセットで扱えばOKという感じにしています。
慣れてきたところで、この人とこの人って実はこんなふうな違いがあるんだなというところに気がついてもらえればいいかなと。
だから例えば、『水戸黄門』の助さん格さんも、助さん格さんという人がいるんだなというのがわかるけど、じゃ、どっちがどうってあまりわからないじゃないですか。
1人は格闘が得意みたいなのがあるので、感じの違いが実はデーニュ、コーニュにもあるんだよというのが先々わかって、描き分けられればいいかなと。
――助さん格さんを彷彿とさせるものはありましたね。3人で来て、お伴がいてという。
井上氏:いつか印籠も出したいですね(笑)。
――だんだん年齢上の人のネタが…。
井上氏:
つい上に行っちゃうから、そういうネタを振らないでほしいみたいなところが。
――振っているのあるんですか?こういうのをどう使うという。
細野氏:
毎月いろんなイベントをやっているので、その報酬にちなんだ劇を書いていただいているので。
井上氏:
この間、直前は学生服?
細野氏:
4月だから、そうですね。
――物でネタを振られている状態ということですか?
細野氏:
モノボケみたいなことです。「これでボケてください」と。
豪華クリエイター陣が生み出す。壮大な物語と魅力的なキャラクター達の大冒険。スマホ用オンラインRPG「セブンス・リバース」
『セブンス・リバース』は、広大な世界のとある村の村長となって、村を発展させながら世界の行く末を左右する壮大な物語を体験するオンラインRPG。
プレイヤーの操作する主人公に他のプレイヤーが育てたキャラクターの3人を加えてパーティを組み、様々なボスモンスターが待つダンジョンに挑む。
基本は自動進行で、防御コマンドと、溜まったAPを消費するスキルで介入するセミオート式。スキル発動も自動化される全オートもある。
スキルチェインというコンボシステムがあり、繋ぐためにスキルを発動するタイミングの他、クールタイム・AP消費などのバランスも考える必要がある。
スキルや装備をカスタマイズ、複数のジョブを鍛えてアビリティを取得したり、自分の村を発展させたりと、スマホRPGらしいやり込み要素が充実。
『聖剣伝説2』や『FFⅪ』などを手掛けた田中弘道プロデューサーをはじめ、ディレクターに廣瀬髙志氏(『ラグナロクオンライン』)、ミュージックに光田康典氏(『クロノ・トリガー』)、コンセプトアートに津田幸治氏(『聖剣伝説3』)など豪華クリエイターが参加した大作RPGとなっているぞ。