2016年も終わろうとしていた去年12月の下旬、とんでもないスマホアプリがリリースされた事をご存知だろうか。
その名も『死の商人(Merchant of Death)』。都市伝説と噂される「陰謀論」を題材にした極めて異質な作品だ。
戦争・ドラッグ・宗教・銀行・国際連合・人工地震・核爆弾……。身近なものから危険物まで。あらゆるを要素を駆使して人類と経済をコントロール。
ざっくりゲーム性を伝えると、兵器(カード)で人口を減らして場の資金(マネーカード)を跳ね上げ、美味しい所を掻っ攫うという悪魔のようなコンセプト。
いつ表現を規制されてもおかしくない、発禁寸前のアウトローな闇のボードゲームである。
今回我々編集部は、幸運にも作品作りに携わったとされる株式会社リフレクト(Reflect)の方々に直接話を伺うことが出来た。
何故このようなゲームが世に出たのか、どのような組織が、何の目的があっての活動なのか。
全4回に渡ってのインタビューとして記し、知られざる世界の裏側の一端に迫ってみる。
第2回である本記事は、どのような経緯で「死の商人」が生まれたのかについて語っていただこう。
(あやしい表現は演出であり、実際には頭の捻りつつ、試行錯誤を繰り返す本格ボードゲームです。面白いのでゼヒ。)
目次
強烈なインパクトは市場で埋もれないための戦略
――「死の商人」は、どういった経緯で生まれたのでしょうか?
森田氏:
完全に新規参入の事業でしたので、他社作品と比較しても市場で埋もれない、インパクトのあるコンセプトを目指しました。
これは最初から決めていて、形にしていく中で生まれたのが「死の商人」です。最初は全くモチーフが違うゲームの予定でした。
当時You Tubeやテレビで都市伝説の特集を見ていまして、イルミナティやダ・ヴィンチ・コードも題材として挙がっていました。
――どのようなゲームが候補だったんでしょうか……!
森田氏:
ブラックなのは同じなんですけど、世界にウイルスをバラ撒くようなゲームだとか。Plague Inc.のカード版のような構想もありました。
祢津氏:
死の商人というタイトルにも候補がいろいろあって、666・イルミナティなどがありましたね。分かりやすいので。
森田氏:
開発段階では実際に自分たちでカードを刷ってゲームを遊んでみまして、その中でゲームが変化していきました。仕事中ですので遊びも真剣ですが(笑)
最近までは残っていたんですが、もう捨ててしまいまして。
祢津氏:
難しかったんですよね……。
――目指した成功形、参考にした作品はありますか?
森田氏:
人気な作品ですが、クロッシーロード、Plague Inc.当たりでベンチマークをしました。
初めての事業でリリースには苦労があった
――開発にかかった期間はどれぐらいだったのでしょうか。
森田氏:
2.5~3ヶ月くらいでしょうか。会社から年内に完成させてと要望がありましたので頑張りました。(リリースは12月の中旬頃)
人数を言いますと外部の方を含めて4人で作っています。
――タイトルからインパクトのある題材ですが、リリース時に支障はなかったのでしょうか。
森田氏:
NGワードは指摘されることもありましたが、リリース自体は全く問題がありませんでした。
――Androidとiosでアプリの違いはありましたか?
森田氏:
内容的な差は、最終的に無くなりました。最初はAndroidのみで先行リリースして、ストアでの意見を参考する案もあったのですが、後々の調整も考えて変更は無しで。
異質な作風は客観的な視点から作り出されていた
――陰謀論をダイレクトに持ち込んだのはかなり衝撃的でしたが、狙いがあったのでしょうか。
森田氏:
そもそも私がこういった話や都市伝説が好きでして、普段から映画などを見ていました。
社内にこんなモチーフで、ゲーム性なら年内に完成できそうだと言った所、開発が決定しました。
実は過去にコンシューマ作品を開発する会社に在籍していた経歴がありまして、こういう作品作りは得意だったんです。これが大きかったです。
市場の他社さんを見てもあまり挑戦されているような分野ではなかったので、挑戦する価値があるなと踏み入れました。
――開発時のメンバーの反応は如何だったでしょうか。
祢津氏:
開発中はみんなもうノリノリでしたね(笑)
森田氏:
でもリリースに近づくに連れて不安が増して、リリース前はとにかく心配だらけでした(笑)
短期間での開発でしたので、繁忙期は一日30時間くらい働くって勢いでした。今回は更にアカウント発行などの手間もあり、配信までは本当に駆け足でしたね。
もう夢の中でドラックのカードが出て来るくらい大変でした。そういった所から構想を得ていた部分もあったかもしれません(笑)
――やはり、陰謀論は信じられているのでしょうか。凝った内容からは執念を感じるほどでしたが……
森田氏:
(笑) 祢津さんの陰謀があるかも。
祢津氏:
まあ、信じては……います(笑)
インタビュー第2回まとめ
冷静なマーケティングに裏打ちされて作られた作品だった!
内容が内容なだけにどんなあぶない思想……狙いがあって作られたのかと思いきや、面白そうだというとてもシンプルなものだった。
世の中には有象無象な都市伝説が存在するが、フタを開けてみれば今回のようにおかしな理由はなく、勝手に話が盛り立てられているだけなのかもしれない。
(筆者はゲームプレイをすると様々な思惑を感じたがそれはただの印象に過ぎず、実際にはエンタメ作品であった)
人の想像力ってコワイなぁと学習した所で、次回はいよいよゲーム内容本編について触れていくぞ!
闇の世界を、自分の手で体験してみるべし!
「死の商人」ゲームプレイレビュー
『死の商人(Merchant of Death)』は、世界を牛耳る秘密結社として人類(家畜)を支配する1人用のボードゲーム。
画面上側がマネーカード(単位は兆)で、下側が手札。金額を上下させる物、カードを回収する物、人口を調整するものなど。
人口をギリギリまで減らして1つの金額を倍にし、他も同率にまで引き上げて儲けたりと様々なコンボが存在する。
異質なのはその世界観。戦争・ドラッグ・宗教・銀行・国際連合・人工地震・核爆弾……あらゆる要素をカードとして使い、人類・経済をコントロール。
知ってはいけない、世の裏に潜む闇、渦巻く陰謀。その一部を垣間見るように、想像を超えたスケールに浸れる珍品。
削除される可能性があるので興味があれば早めに触っておくといい。なお、プレイは自己責任とする。
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