2016年1月をもって15周年を迎えるアプリゲット。
15年の歩みを通してimodeの誕生からはじまる日本のモバイルゲームをあらためて振り返る特別企画の第2弾・インタビュー!
第2回目のゲストは、オリジナルキャラ・ふにゃもらけのアプリをアプリゲットで多数登録していただいていた、株式会社ピースさん。
今回はガラケー時代・雑誌時代のアプリゲットについて振り返ります。
iモード開始3日でリリースしたアプリは、数字キーを交互に押して走るカジュアルゲーム
――自己紹介を簡単にお願いします!
増田氏 株式会社ピースの代表 増田と塚本です。
ふにゃもらけのゲーム自体を初期から二人で制作していまして、塚本がキャラクターデザインやゲームのグラフィックを担当、私増田の方が企画からプログラムまでを担当しています。
ピースのゲームといえばふにゃもらけというキャラクターが登場するのが特徴。(HPはこちらから)
――最初に制作されたのがガラケーアプリだったんですか?
増田氏 そうですね。
2001年の1月末に、初のjavaアプリ搭載のiモード携帯(503i)が発売されて。
その3日後くらいにはアプリゲームをリリースしていました。
iアプリが初めて搭載された503iが発売されたのは2001年の1月26日。
NTTドコモの「503i」発売初日、アキバの人気度調査
――503iのリリース前から制作を進められていたんでしょうか?
増田氏 仕様は前から出ていたのだけど、実際に開発できる環境を見たりは発売と同時だったと思います。
2000年12月27日 NTTドコモ,仕様をついに公開
――どんなゲームだったのですか?
増田氏 数字のキーの4と6を交互に押していくカジュアルゲームで、4を押すと一方の足が出て6を押すともう一方の足が出てきます。
塚本氏 足がもつれないようにキーを押していって、ゴールまでの時間を競うっていうめちゃくちゃシンプルなゲームでしたね。
増田氏 まずは自分のサイトでゲームを公開したのですが、当時アプリゲットも既にゲームの登録を受け付けていました。
当時はアプリゲットに直接ゲーム自体を載せるか、リンクを貼ってそこから自サイトに遷移させるか、
どちらか選べたのですが私たちは自サイトにリンクする形でアプリゲットに登録していました。
――当時のユーザーの反応はいかがでしたか?
増田氏 今に比べて、GooglePlayやAppStoreのユーザーレビューみたいなものも無く、最初の方はtwitterなども無かったのでユーザーの反応は大分見えにくかったのを覚えています。
本当に勝手にサイトを立ち上げて、ふにゃもらけと話せる掲示板を作ってだんだんそこからファンがついていきました。
2008年4月23日より、日本語版twitterサービスが開始。
なので特にすごく評判になったとか、ひどいことも言われなかったのですが、後になってから「ふにゃもらけのアプリを見て僕もゲームを作り始めました」というクリエイターの方がいてうれしかったですね。
増田氏 あとは、当時はプログラマが一人で作っているものが多かったし、容量もすごく小さかったので画像もそこまで頑張らないというか、棒人間のキャラや、単なる四角を敵だって言い張るみたいなゲームが多かったんです。
塚本氏 その点うちは当時としては比較的グラフィカルなゲームだったので目を惹く感じだったのかなあと思います。
――アプリゲットの当時の雰囲気というのはどんなものだったのでしょうか?
増田氏 公開した当初のころはアプリゲットと、もう一つギガアプリというケータイダウンロードサイトの二強サイトがあって、そこでゲームを載せれば多数のユーザーが来ていました。
2001年iアプリダウンロードサイト「アプリ★ゲット」,開発者向けにオープン
2001年ギガフロップス,iモード用Javaアプリのアーカイブサイト「ギガアプリ」開設
アプリを公開したらとりあえずはその2サイトには登録しておこうと考えていました。
ガラケーアプリ時代の後半になってからは、ユーザレビューやランキングも出来て、GooglePlayやAppStoreみたいな形で見ていてクリエイターとしても楽しかったですね。
ケータイゲーム専門誌・雑誌版アプリゲットで4コマ漫画も連載
――アプリゲットの雑誌でふにゃもらけのマンガを連載をしていただいていましたが、きっかけを教えてください。
増田氏 元々ふにゃもらけの4コマを自サイトで公開していて、ケータイゲームでマンガも描いているクリエイターってほとんどいなかったので、その流れで連載を始めたと思います。
塚本氏 連載前にアプリゲット編集部の方達と会議をして、新しく書下ろしを1、2本描いて、他はサイトで公開したものを連載していました。割とメールベースで淡々とやりとりしていましたね。笑
塚本氏 当時はコンビニに普通に置いてあったなあ。アプリゲットの雑誌、大分安かったもんね。定価290円!
増田氏 やっぱりケータイゲームって、スマホゲームに比べるとマーケットが狭かったので雑誌としても珍しかったですね。
iモードが出始めの頃は特集を他の雑誌でもやっていたけど、ケータイゲーム専門誌っていうとアプリゲットくらいだったかと。
――アプリゲットでの思い出は何かありますか?
増田氏 ガラケーの無料アプリって今のようにアプリ内に広告をいれたり、マネタイズできなかったんですね。
で、月額制の公式サイトにしっかりとしたボリューム感のあるゲームを提供して売上を得ていたんです。
アプリゲットに登録していたのは無料ゲームのみだったのですが、それとは異なる有料ゲームも特集記事としていただいたこともあり嬉しかったですね。
――ガラケーでリリースしたゲームの数はどのくらいあるんですか?
増田氏 有料ゲームを含めると29本ですね。
有料で出していた「GO!GO!西遊記」は制作時間も長かったので思い入れが強いです。
個人的にはわりとバトルやRPGが好きだったりすることもあり、制作していて楽しかったですね。
最近はご無沙汰になっていますが、RPGもまた制作したいなと思っています。
ふにゃもらけも今年の11月で15周年
――現在もふにゃもらけのスマホゲームを制作されていますよね。
塚本氏 はい。現在更新を続けている育成ゲーム「ふしぎな生き物 ふにゃもらけ」は2009年から開発を始めて、mixiゲームで出してたくさんの人に遊んでいただけて、それが今もずっと続いていて。
育成ゲームって結構長く遊んでもらえて、愛着を持ってもらえるので継続率は高いですね。
増田氏 「ボクと契約してマンションを買ってよ。フフフ…(以下ボクマン)」とかはタイトルなども狙って作りました。
最初はすごくのんびりしたゲームで借金という設定も無くてリリース直前になってこれじゃダメだとなり、借金という設定を付け加えたんです。
一応現在試作段階ですが、この世界観を引き継いだ新作ゲームを制作しています。
今度はくらげふにゃの下僕になってくらげふにゃの息子を次々といろんなクラゲふにゃに育てていくんです。笑
ゲーム性自体は放置ゲーだけど、「ボクマン」とはまたちょっと違ったものにしようと考えています。
――ふにゃもらけもちょうど15周年ということですが、ゲーム制作以外にも企画やイベントなどは考えられているんですか?
増田氏 今はどちらかというとゲームに専念していく方向で進めているので、グッズだけちょっと作ろうかな、と考えています。
こだわった手ぬぐいを作る。笑
塚本氏 あとは今まで作ってきたゲームのBGMを入れたサウンドトラックCDをサイトで売ろうかと思っています。
具体的な販売開始だったりとかはまだ全然決めていないんですが、ふにゃもらけの15周年が11月1日なのでまあそれを目安にやろうかなと。
――最後に今後の展望を教えてください!
増田氏 「ふしぎな生き物 ふにゃもらけ」を引き続き更新しながら、他にも色々と新しい方向でスマホゲームを作っていきたいです。
「ふしぎな生き物 ふにゃもらけ」は「ふにゃもらけ」が持っているキャラの魅力を正面から伝えるゲームなので、内容的にあまり冒険的なことはしにくいんですよね。
その分、並行して作っていく他のゲームでは、「ふしぎな生き物 ふにゃもらけ」ではできない変わったゲームを作っていきたいと思っています。
――ありがとうございました!
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