「機動戦士ガンダム」という名前だが、ちょっと気になった事はないだろうか?
「ダム」ってなんだ?――――――と。
ホワイトベースに乗っているMSは他に「ガンキャノン」「ガンタンク」と外見をそのまま名称にしたような感じだ。
ならば、この「ダム」にも何かある!絶対にしっかりとした意味があるハズ!
というコトで、「ガンダム」という名前に辿り着くまでの経緯を企画段階から追ってみたいと思う。
意外な作品にも大きな影響を与えていたガンダムという企画とは!?
キシリア「ガンダムの「ダム」とは 何だ?」
シャア「「ふくらはぎのくびれ」です!!」 byトニーたけざきのガンダム漫画
企画段階のガンダム
当時、以前に大ヒット作「宇宙戦艦ヤマト」を研究し、コアターゲットに絞ったファン向けのアニメで十分に商売が可能であるコトをいう結論を得ていた。
そこで「ヤマト」を意識してSF作品として企画されたのが「ガンダム」のはじまり。
当時としては、時代的にまだ早いと言われていた本格的なSFをテーマとした作品作りが立ち上がった。
後の作品に影響を与える企画
まず、ターゲット層に中学生以上を取り入れる為、「十五少年漂流記」をモチーフに「ヤマト」よりキャラの年齢を下げて企画されていった。
最初の企画「フリーダムファイター」は、「宇宙空母ペガサス」に乗り込んだ少年少女たちが宇宙戦争に巻き込まれ、「宇宙戦闘機」で「宇宙人」と戦うという設定ではじまった。
なんと!この時点ではロボットモノの企画じゃなかった!
しかも、この設定は、サンライズ作品を良く知る人には分かると思うが、「銀河漂流バイファム」に近い。
それもそのはず、サンライズの幾つかの作品は、この「ガンダム」の企画段階のコンセプトを受け継いで制作された経緯がある。
「銀河漂流バイファム」もその一つで、この他に「蒼き流星SPTレイズナー」、「恐竜冒険記ジュラトリッパー」、「無限のリヴァイアス」がこのコンセプトを起点として制作された作品だ。
その為、各作品のOPテロップにもガンダムの原作者の一人「富野由悠季」さんがクレジットされているぞ。
ガンダムの世界観は
スポンサーの要請で作られた!
ロボットの登場予定が無かった「フリーダムファイター」だったがメインスポンサーであるクローバーから、ロボットを登場させてほしいと言う要請を受けた。
最初に考案されたのは、ロバート・A・ハインラインのSF小説「宇宙の戦士」のパワードスーツを元に、2.5mサイズの「突撃攻撃型機動歩兵」だった。
しかし、これはスポンサーが納得するコトなく再検討に―――。
ちなみに、この時のデザインは、「ガンキャノン」や地球連邦軍の宇宙服のデザインとしてリファインされている。
後に巨大化の限界点、妥協点として「マジンガーZ」と同じ18mが設定され、名称も「パワードスーツ」ではそのままなので「モビルスーツ」へ改名。
こうして生まれたのが「ガンキャノン」「ガンタンク」そして―――
「ガンボーイ」だ。
まだちょっと、ガンダム風には見えないが、現在のMSのスタイルには近づいてきた。
企画名も「フリーダムファイター ガンボーイ」(別案として「機動鋼人ガンボーイ」や「宇宙戦闘団ガンボーイ」などがあったとされる)に―――。
ちなみに、2.5mサイズで考えられていた時には宇宙ステーションを舞台とする予定だったが、18mのMSが活躍するいは狭すぎる為、「スペースコロニー」の着想を作品に取り入れるコトとなったらしい。
「ガンダム」の「ダム」とは?
試行錯誤されて設定は我々が知るガンダムに近くなったが、この時はまだ仮題「ガンボーイ」のままだった。
「ガンダム」という名称になるきっかけは、1978年という時代がカギとなるぞ。
命名はダジャレかよ!
改変1回目では、当時大人気だった米映画「コンボイ」の影響を受けて――――――。
「ガンボイ」
うん、ちょっと近い!おしい!
これじゃない感がある名称になった。パチモノくさいし……。
改変2回目で持ち出されたネタが、チャールズ・ブロンソン主演CMのセリフ――――――。
「う~ん……、マンダム」
語感がいいというコトで参考にされ、「フリーダム」の「ダム」を取って――――――。
「ガンダム」
この名前に辿り着いた!やっぱりカッコいいな!
つまり、「ガンダム」の「ダム」は、トニーたけざきのガンダム漫画で描かれた―――――――。
「ふくらはぎのくびれ」
という意味ではなく、企画段階の名称の一部「フリーダム」の「ダム」と、マンダムとのダジャレ的融合によって作られていた。
受け継がれる「ダム」
こうして生まれた「ガンダム」は、その名前を受け継ぐ多くのシリーズにつながった。
だが、「ガンボーイ」という名前も一度復活したコトがある。
月刊ニュータイプで掲載されていた小説作品「フォー・ザ・バレル」は、企画段階の「ガンボーイ」を元に再構成されたストーリーだった。
主役メカも「ガンボーイ」で展開していた。
この他にも有名な作品で言えば、「機動戦士ガンダムSEED」シリーズに登場する「フリーダムガンダム」や「ストライクフリーダム」が企画段階の「フリーダムファイター」の名前を継承している。
新世紀のファーストガンダムを目指して、オマージュとして命名されていた。
きっと、今後もこの「ガンダム」という名前と、ガンダムという企画全体は伝説を作り続けていくことだろう!
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