韓国発の新感覚RPGであり、ユーザーから圧倒的人気を誇っていた「エラキス」。
「エラキス」といえば、さまざまな固有スキルやサイコロの種類、二種のチャージスキルなどの組み合わせによる高い戦略性と、すごろくという理解しやすく、また絶妙なバランスで設定された運要素が組み合わさった「ダイスRPG」であるが、その進化版とも言える「Lord of Dice」が日本での配信目前となっている。
「Lord of Dice」では、前作を上回る豊富なコンテンツ量、グラフィックスを実現しており、入り込みやすいストーリーや直感的に理解できるゲーム進行はライトユーザーでも楽しめることは間違いない。
それでいて、前作の長所である高い戦略性は変わらず、コアユーザーも楽しめる内容となっており、まさに前作からの進化と呼べるだろう。
今回は、NGEL GAMESの社長であり「Lord of Dice」のディレクターでもあるパク・ジフン氏にインタビューすることが叶った。
▲インタビューを受けるパク氏
「Lord of Dice」の特徴や前作からの改善点、普段聞くことが出来ない開発者の前歴、開発における裏話などまで余すところなくお話を伺っていこう。
※パク氏は韓国語のため、通訳を介してのインタビューとなっています。
目次
Lord of Dice ディレクターのパク氏は元プロゲーマー
――今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いできますか。
パク氏
エラキスとしてサービスしたことがあるんですけど、今はLord of Diceとして生まれ変わったタイトルを開発したNGEL GAMESの社長でもあり、
ゲームのディレクターであるパク・ジフンと申します。
――今は会社を作って代表をされているわけですよね。これまでどういう経歴があったんでしょう?
パク氏
まず大学で専攻としてはコンピュータを専攻していて、初めてゲーム業界に入ったのは、2003年にシールオンラインというタイトルがあって、それの開発として参加したことがきっかけとなり、ゲームをやることになりました。
そこからはプロゲーマーとして活動した前歴もありまして、NCで出しているギルドウォーというタイトルで「ラストプライド」というプロゲームのチームとしてそこで参加して、大会で優勝したこともあります。
そこからギルドウォー2にもプロゲーマーとして活動はしていました。
プライベートではクラッシュロワイヤルやアナザーエデンをプレイ
――MMORPGの開発に関わっていたというところと、プロゲーマーだったということですね。今おいくつですか?お若いですよね。
パク氏
83年生まれで、韓国では35で、日本では34ですかね。韓国は数え年なんですよ。
2009年にKOGという会社、エルソードとかグランドチェイサーとかを作った開発会社ですけど、グランドチェイサーの企画リーダーとして3年間働いて、2013年に今のNGEL GAMESを設立しました。
メンバーとしては、初めは小規模で始めたんですけど、プロゲーマーをやっていた同僚と、KOGの仲間と一緒に会社を作りました。
――なるほど。ご自身でプレイされるときに、今プライベートで遊んでいるお好きなゲームって何ですか?
パク氏
もともとはPCのMMORPGがとても好きなんですけど、今はモバイルゲームの開発に携わっていて、そっちには時間が割けなくて、最近やっているのは、クラッシュロワイヤルと、アナザーエデンもちょっとやってましたし、前はパズドラも興味深くみていました。
日本のゲームは言葉がわからなくても魅力がわかる
――遊んでいるゲームは日本語版で遊んでいるんですか?それとも韓国版で遊んでいるんですか?
パク氏
パズドラは韓国で出てましたよね。
それで韓国版でやっていましたけど、アナザーエデンの場合は日本でしか今サービスしていないので、日本語版ですけど、でも楽しいです。
日本語わからないけど楽しいです。
――アナザーエデンは結構ストーリーが多いですよね。内容は分かるものなんですか?
パク氏
むしろ興味を持っているんですよ。
日本語がわからなくて、ストーリー重視のゲームだということは明らかなのに、それでも魅力的に感じて続けてしまう。
そして、文字が読めなくても演出とか雰囲気とかサウンドとか、そういうものがとても素晴らしく組み合わされていて、それが伝わってくる、ストーリーを伝える方式がすごいなと思って、不思議に思いつつ楽しくやっています。
そういうのは今言ったように、演出の面が特化されているところが、日本のゲームのすごい上手な点というか、強いところだと思います。
いろいろなMMOをプレイ、ゲーム作りのきっかけもそこから。
――MMOはどんなものをプレイされていたんですか?
パク氏
さっき申しましたギルドウォーとかアイオンとかテラとか、名の知れたMMOは大体やっていると思います。
もともとゲームが大好きなので、それがゲームを作ろうとしたきっかけでもありますし、今のメンバーはみんなそうですね。
――今、仰ったゲームって全て韓国のゲームですよね。アメリカのMMOのゲームなどはプレイされますか?
パク氏
ブリザードのゲーム、ディアブロとか、ワールドオブウォークラフトとかは全部やっていますね。
――ファイナルファンタジー11はプレイされましたか?
パク氏
ちょっと時期が合わなくて…一番忙しい時に韓国でリリースしたのでそれはちょっと楽しめなかったんです。
ファイナルファンタジーは7が一番好きです。
Lord of Dice は直感的に楽しめる全く新しいゲーム
――それではそろそろ本題のゲームについてお伺いします。まずLord of Diceはどんなゲームですか?
パク氏
正直、韓国でもインタビューをするとこの質問から入るんですけど、いつも答えに迷っちゃうんですね。
前あったようなジャンルじゃなくて新しいゲームなので、どのように言えばいいのかちょっと迷います。
まず基本から申しますと、モバイルRPGですね。もともと友達と一緒に楽しめるゲームが作りたかったんです。
そこからユーザーが自分で何かを選択して、戦略を生み出すっていう方向に発展させていく、その過程で生まれてきたのがLord of Diceですね。
まずユーザーが直感的に何かを選択するとなると、ボードが一番直感的だと思って、そのボードの一つ一つのマスに意味を込めているんですね。
キャラとしても、普通にキャラを選択するだけじゃなくて、その選択というのを直感的に表すのがダイサーと呼んでいるカードで、そのダイサーを選択することで戦略が生まれる。
それで、全ての一連の過程が全部戦略として作用して、同じダンジョンでも全部違う戦略が出てくるというかたちに今なっています。
――「直感」って言葉が出てましたけど、「直感」というキーワードにこだわって作っているのですか?
パク氏
直感的にという言葉を使ったのは、Lord of Diceってターン制なので、基本的にテンポが速いゲームではないんですね。
でもユーザーがそこで退屈さを覚えたりするといけないので、テンポよく何かを選択しながら、自分で考えながら、っていうのを一番わかりやすくするには直感的に今何をやっているのかを見せるのが大事です。
それで、それを直感的に見せられるのがマップ、普通のマップ形式じゃなくて、ボードだということに着想して、じゃあボードにしようかとなって今のかたちになっています。
協力プレイやPVPが充実した盛りだくさんのコンテンツ
――なるほど。友達と遊ぶというところにもこだわっているんですか?
パク氏
ギルドウォーというゲームが8人で一緒にやるゲームだったんですけど、2004年、2005年ぐらいの当時にはそんなにみんなでわいわいできるゲームというのはあまりなかったんですね。
その中でギルドウォーをみんなでやっていて、そのチームですごくいい経験をして、それはいい思い出として今も残っているし、ゲームを作ろうとしたきっかけにもなったし、今モバイルゲームってそういう要素はあまりないじゃないですか。
韓国は日本と比べて、協力コンテンツとか、コミュティ要素とかが少ないほうなんですよ。
それで、モバイルユーザーにもそういうみんなでやるという楽しさを伝えたくて、その方向で今もコンテンツのアップデートを全部もっていっていますし。
――Lord of Diceはみんなと一緒に誰かと戦うのか、それともプレイヤー同士の戦いなのかでいうとどっちがメインなんでしょう?
パク氏
それは結構複合的で、両方ですね。
例えば今Lord of Diceにはレイドコンテンツがあるんですね。みんなで普通に力を合わせて一つの敵を倒して。それから、プレイヤー同士で戦うアリーナもあります。
PVPでユーザー同士で、1対1で戦い合うっていうコンテンツもあります。そこから1段階上がるとギルドがあるんですね。
ギルドでも、ギルド冒険ってコンテンツが、まだ仮ですけどね。そこはギルドのメンバー同士で集まって一つの敵を倒すというコンテンツがあって、
ギルド対戦はまた、ギルドメンバー同士で、ほかのギルドと戦う、PVPと協力が合わさったコンテンツです。全部用意をしています。
ユーザー1人1人が自分の好きな楽しみ方ができる
――盛りだくさんですね。全て魅力的だと思うんですけど、イチオシというか、一番楽しんでほしいところはどこですか?
パク氏
正直これも答えづらいんですけど、レイドもそうですしアリーナもそうですし、実はほかのゲームにも全部あるんですけど、でも、Lord of Diceではみんな違う楽しさが味わえるんですよ。
ほかのゲームでのレイドとはまた違うという、そういう楽しさがあるし、ユーザー一人一人がみんな好きなコンテンツが違うと思いますので、それも、この人にとっては楽しくてもこの人はこっちのほうが楽しいかもしれない。
なので、開発元としてこれがイチオシっていうよりは、楽しいと思うコンテンツをそれぞれに楽しんでほしい。
そのために今何か一つに注力しないで開発元としても全てのコンテンツをすき間なく完成度を上げていく作業も常にやっているんですよ。