『株式会社モブキャスト』は「モバサカ」や「【18】キミトツナガルパズル」などをはじめとするスマホゲームの開発・運営を行う企業だ。
モバサカでは、2,000名以上の実名と実写を用いた独自のスタイルで幅広いユーザーの心を掴んだ。また、「【18】キミトツナガルパズル」は、200万DLを突破。本作を用いたテレビアニメーションも絶賛放送中である。
そんな同社が、2017年5月にリリースした「モバプロ2 レジェンド」は、500万以上インストールを記録した「モバプロ」の新シリーズだ。プロデューサーを務める窪田哲也氏とディレクターを務める北田幸弘氏の2名に、本作が生まれたきっかけや開発秘話などを伺ってきた。
▲窪田 哲也氏(写真 左)と北田 幸弘氏(写真 右)
本稿は、全4回連載の第2回目。
目次
世に出したいと思っていたゲーム。夢が叶った!
――「モバプロ2 レジェンド」をリリースした直後でなんですが、作ってみたいと思うゲームジャンルはなんですか?
窪田氏:
自分は元々モバサカのブラウザの運用等やっていたので、これがネイティブだったらすごく良いなと思っていました。
そういう意味では、今回の「モバプロ2 レジェンド」は世に出したいと思っていたゲームだったんです。
北田氏:
自分の場合は元々スポーツがすごく好きで、スポーツ全体に興味があります。今回野球ゲームとなったのですが、サッカーも結構好きなんです。
色んなスポーツの楽しさをゲームに持って来れたらいいなという意味を込めて、スポーツで色んな事をやりたいなというのが1つ思っています。
個人的に本当にやりたいのは対戦ゲームですね。スマホはずっとネットに繋がっているので、すごく対戦ゲームに向いたデバイスだと思っています。世界中の人とも繋がるので、繋がりながらどこかで競い合うようなものを作りたいなとずっと思っています。
それはダーク・エイジ・オブ・キャメロットの影響が根強く自分の中に残っているからだと思います。あの興奮を知らなかった人たちにも味わってもらいたいなと思っています。やっぱり対戦の面白さは格別だなという気がします。
――窪田さんに関してはやりたいことがそのまま実現できた、ということですね。
窪田氏:
そうなんです。今出ているゲームはポチポチ時間がある時にやっていたりとか、接続時間が長いゲームが多いかなと感じています。
ネイティヴでストレスなく遊べるゲームというのが世にあってほしいと思っていました。そういった意味では、時間がない人でも楽しめるのが「モバプロ」「モバサカ」だったりするのかなと思っています。
そういう背景含めて「モバプロ2 レジェンド」は非常に出したかったゲームだと思っています。
――このゲームで伝えたかったことはなんでしょうか。
窪田氏:
ずっと繋げなくてもいい所を見てほしいなと思っています。例えば通勤のタイミングで接続して、勝ったか負けたか確認して、ちょっと編成してまた後で結果の勝敗を見る。
そんな放置の楽しみというか、やることが無いということがむしろ楽しい。そういう部分を見てもらいたいなと思ってます。
社内での定期的な企画大会は自分たちの作りたいものを作れるチャンス。若いクリエイター達が狙ってるんです。
――モブキャストはどういう会社だと感じていらっしゃいますか?
窪田氏:
自分は入って5年半ぐらいなんですが、メンバー間の仲がいいなと感じています。転職経験とか少ないですが、前々職とかと比べても雰囲気がいいですし、休日にグループとかで遊びに行ったりします。
とはいえ、仕事中は真面目にいいもの作るという真剣さがあるので、メリハリのあるしっかりとした会社だと思っています。
北田氏:
本当に真面目な人が多いです。結構人付き合いも良くて壁を作らないというか、みんなが話し合っていいものを作ろうというムードが凄くあります。自分もいくつか会社を経験してるんですが、とりわけモブキャストはそこが大きいと思います。
――もの作りの視点で、他の会社と差異を感じるのどういった部分ですか?
北田氏:
ゲームを作るにあたって考え方は色々あると思います。
この方針でやれみたいな独断式な会社もあると思う。色々なパターンでモブキャストの場合は、自分たちで作りたいものを提案して、それを勝ち取ると言う部分があると思います。
経営陣にこういった理由で作りたいと提案して、それを作っていける会社かなと思います。その為に実際の現場のメンバーがもっとこうした方が良い等、積極的に考えて検討していける形かなと思います。
基本的に社内で企画の募集とかよくやっていますし、その中でいいものとか。
――募集しているのですか?
北田氏:
社内で定期的に企画大会みたいなものをやっているんです。そういうチャンスを狙ってる若いクリエイター達も沢山いるんです。
――狙ってるんですか。
窪田氏:
自分はあまりクリエイターよりではないですが、そういう機会には参加したりします。
北田氏:
そこで出してきた企画と、会社が狙う方向性がマッチした時には実現します。今回も自分がずっとやりたいといっていた企画を、ようやくやらせてもらえる。2年ぐらい前からやりたいと言っていたんです。
――モバプロ2が生まれたきっかけは北田さんの企画なんですか?
北田氏:
そういうことになります。元々ずっとモバプロの開発から運営をやってきて、ネイティヴの良さがすごくあったりしました。そのモバプロをやっていた中で、もっとこうしたいと言うのが沢山あった。それを改良すると言うよりも、1回綺麗に新たに作り直したいという気持ちが非常に大きかったんです。そういう所で言い続けていたんです。
――2年ですか?
北田氏:
そうです。1回中で消えてしまいました。タイミングが合わなかったというのもあるんですが。リソースが少し足りなかった部分があったりして、その時には実現できなかったんです。
今回すごくタイミングが良くて、出したら企画が通りました。
公には募集されていた訳ではなかったんですけど、「次やるタイトルを仕込みたいんだけど何かいい企画ないか?」という所で2本ぐらい出したうちの1本が通りました。
――もう1本は対戦のやつですか?
北田氏:
対戦です。この前出したモンスターダッシュというタイトルがあったのですが、それも自分的にはリニューアルして作り直したいという思いがあったので、リニューアル版という形で提案したものになります。
――リニューアルしたい内容が多いのですね。
北田氏:
実際作っていた時と、サービスになった時にギャップがどうしても出てきてしまうので。それがうまくサービス中に埋めれなかったりすることもあるし、やっていくうちにユーザーもどんどん変わってきます。
ネイティヴのゲームの流れとか流行りも変わってきて、基本の面白さはあるんだけど時代に合わせて変えていかないといけない。そういった所が、もう1回作りたいという気持ちに繋がります。
遊びながらこんな選手いたなとユーザー同士で思いを巡らせて欲しいんです、そこに重点を置きました。
――モバプロからモバプロ2に生まれ変わって、大きな差異というかここが違うというのはどこにありますか?
北田氏:
実は大きく変えようとは思っていませんでした。モバプロの持っている面白さをもう1回ちゃんと表現しようというのが、今回の企画の軸になっているんです。
ユーザーに見える部分としては、OB・懐かしいプロ野球の古い選手だけで構成されたという所がターゲットを絞ることに繋がっていると思います。そこが見え方として、大きな違いです。
今も野球は人気があると思うのですが、80年代・90年代とかって、プロ野球自体がテレビのゴールデンタイムで放送されていましたよね。
当時の松井選手やイチロー選手は本当にスーパースターで、憧れみたいな対象だったと思います。小さい子供たちがああなりたいみたいな、そういう時代だった気がします。
――松井選手、イチロー選手でもまだ新しい世代で、さらに秋山選手、清原選手が活躍していた時代や、さらにさらにもっと前の時代ですよね。
北田氏:
70年代・80年代・90年代も野球の人気って国民の娯楽だと思っています。そういう時に楽しんでいた人達に、あの時の野球ってすごく楽しかったよねとか、本当に面白かったよねという気持ちを今回このゲームを通して呼び戻してほしい。
ユーザー同士であの時すごかったよね、みたいな話ができるようなゲームになれたらいいなというのは凄く思っています。
――フレイバー・テキストを見ても、皆のことを褒めているのはそれぞれファンがいるからでしょうか。
北田氏:
実際に40・50年間の中でいい選手が出てないのは、全員が本当にすごい選手だからなんです。だから優劣とか作っていく時につけ辛くて、すごい苦労しました。
――名プレイヤーって入ってるんだけど言い方を変えている。いい選手だけ抜粋して入れている感じを受けます。
北田氏:
選んでいくといい選手だけでも今回の登場選手数ぐらいになっちゃうので。
――ターゲットにしていた年齢層ってどのくらいの人たちなのですか?
窪田氏:
元々のコンセプト的には30代から50代の野球ゲーム好きがメインのターゲットになります。
北田氏:
今回のプロジェクトで、すごく野球のことを勉強しました。やっぱり自分もV9より前とかは全然わからないので、楽しく作れたというよりも色んなことを学びながら作っていきました。
――窪田さんはポカーンという感じだったのですか?
窪田氏:
そうです。(笑)
北田氏:
80年代・90年代の有名な選手とかでも、あんまりわからないので。知ってるでしょみたいな人が多かったんじゃないかと思います。
窪田氏:
名前は聞いたことあります。桑田選手とか駒田選手とか、それぐらいの世代なので。
――小学生ぐらいの時のお話でしょうかね。
窪田氏
そうです。初めて東京ドームに行ったのが父親に連れられた小学校の時でした。その時にまだ原選手が出ていたくらいです。
北田氏:
東京ドーム自体が結構新しいから。
――往年の選手が実名でという部分が普通の野球ゲームとは違うところですね。
北田氏:
そこの部分で特化してるところが特徴かな。
窪田氏:
あと普通の野球ゲームって現役の選手たちが並んで出てきて、OB選手が出てくるゲームが結構あると思うんですけど。助っ人扱いというか、限定選手カードになっているのを感じています。
CBTのテストの時にも意見いただいたのですが、メインのゲームがOBにフォーカスしているという所で、こんなゲームないからぜひ頑張ってほしいという意見をいただいています。
(つづく)ブ公認