『株式会社コーエーテクモゲームス』は、「真・三國無双」や「戦国無双」などをはじめとする無双シリーズや、「信長の野望」シリーズなどの家庭用ゲーム機用のゲームソフト、オンラインゲーム、スマートフォン向けモバイルゲームの企画・開発会社。
その中でも、2017年4月にリリースしたばかりの(android版:3月)新作スマホ向けハンティングアクションである『討鬼伝 モノノフ』。
本作は、和風のファンタジーな世界観をコンセプトに、武術を鍛えたモノノフと”鬼”との死闘を描いたアクションゲーム。
今回は『討鬼伝 モノノフ』の開発秘話や社内の雰囲気などの話を、エンターテインメント事業部ω-Force(オメガフォース)プロデューサー中臺 重人氏と、ディレクターである石川 久嗣氏に伺ってきた。
▲中臺 重人氏(写真 左)と石川 久嗣氏(写真 右)
目次
新人の研修も充実!活気のあるゲーム制作現場。
▲中臺 重人氏
ーーコーエーテクモゲームスについてお聞きしていきたいと思います。社内はどのような雰囲気でゲームを作られていますか?
中臺氏:
一昨年度、組織が大きく変わりまして、それまでのパッケージやオンラインで分かれていた体制から、扱うIPによって分けるブランド別組織に変わりました。今まで同じIPを使っていながら離れたところで開発が進んでいることがあったのですが、同じIPは同じブランドに仕分けされたことで、開発作業もやりやすくなりましたね。
あと、今のタイミングはちょうど新人が配属される時期で、若い社員のエネルギーに我々も良い意味で影響を受けています。チーム内も活気があってみんな意欲的に開発に取り組んでいますね。
ーー新人の方というのは、初めはどのような業務をされていくのでしょうか?
中臺氏:
最初は新人共通の研修がありまして、その後に実際にプロジェクトに配属されます。
プロジェクトの進捗にもよりますが、企画者であればデータ作成や調整、モニター、プログラマーであれば、ツールやコンバータ作成など、まずはゲーム開発になれるところから始まります。
開発者もさまざまなゲームに触れて「ユーザーの方が楽しめるゲームを」というこだわりをモットーに。
ーー『討鬼伝モノノフ』にかかわっている開発メンバーについてお聞きしていきたいと思います。皆さんのキャリアを教えてください。
中臺氏:
入社直後は、プレイステーションでSRPGを制作するチームに配属されました。
その後、何タイトルかの制作に携わった後、今のオメガフォースに合流しました。
そこからはずっとオメガフォースで開発させてもらっています。
特に、初めてディレクターを務めた『無双OROCHI2』、プロデューサーを務めた『アルスラーン戦記×無双』は思い出深いです。
色々と勉強させてもらいました。
ーー中臺さんがプロデューサーをされていく上で、何か意識されていることはありますか?
中臺氏:
とにかく遊んで、さわってみて、楽しいと感じること、そこですね。
ユーザーの視点も大事にしていますよ。
例えば、開発を進めていくと、自分よがりな部分って結構出てくるんですよ。
ここはこうしなきゃだめ、みたいな。でも、それって本当に面白いの?そのルールは簡単に理解できるの?というような遊ぶ側の視点を持ちつつ、独善的な作りにならないよう目を光らせることですかね(笑)。
後はプロデューサーの一番重要な役目である、売上を如何にあげるかということです。
ーーありがとうございます。石川さん、よろしくお願いします。
▲石川 久嗣氏
石川氏:
私は中臺とは違う道を歩いていて、シミュレーションゲームを作成する部署で「三國志」シリーズにⅦから11まで携わってきました。
その後、旧ネットワーク事業部に移って、『100万人の三國志』というソーシャルゲームの開発・運営に携わったので、その経験を生かすということで、このタイトルに来たという経緯ですね。
ーー石川さんがゲームの方でこだわっているポイントはありますか?
石川氏:
私はゲームを遊んでいて「ああ、楽しかったな」というだけではなく、副産物的に「ああ、そうだったのか!」と気づきがあったり、知識が増えたりというところも重要と思っているというか、興味があります。
本作にも「ミタマ」という英雄の魂が登場して、歴史的な人物のセリフがゲーム画面に表示されるのですが、そのセリフを見て、「この人はこんなことを言ってるけど、実際どんな人なんだ?」のような。
勉強でなくても良いのですが、そういう次の関心事に移っていくきっかけになれたらいいなと思っています。
ーーお二人は普段、ゲームはプレイされたりしますか?
中臺氏:
最近は『Horizon Zero Dawn』ですね。コンプリートまであと少しです(笑)。
その前だと『マフィア3』をプレイしていました。
そうそう、途中までプレイして放置していた『Grand Theft Auto V』、かなり遅まきながらPS3を引っ張り出して遊び直してました。
ーーどちらかというと、スマホよりはコンシューマーの方で新しいゲームをプレイされていますね。
中臺氏:
そうですね、家にいるとそういう形です。
ただ、外に出ていたりするときは、やはりスマホをいじっているときが多いので、ゲームアプリで遊んでいることが多いですね
ーー石川さんはいかがでしょうか?
石川氏:
最近買って遊んでいたゲームは『ファイアーエムブレム Echoes』です。
シミュレーションゲーム畑ということもあって、こういう戦術を考えるタイプのゲームが好きです。
最近に限らず、よくやっていたゲームを挙げるなら『モンスターハンター』です。
ーー新しいシリーズ(ダブルクロス)は、プレイされましたか?
石川氏:
まだプレイしていません。
ちょうど発売されたときが、『討鬼伝 モノノフ』リリース間際の繁忙期だったので(笑)。
新作以外はまんべんなくやっています。
ーーちなみに好きな武器は何ですか?
石川氏:
私は大剣です。
ーー討鬼伝モノノフにもあるので太刀でくると思っていました(笑)今後作ってみたいゲームのジャンルありますか?
中臺氏:
色々作ってみたいものはあるんですが、今までずっとアクションゲームを作ってきたので、引き続きアクションゲームを作りたいなというのはあります。
あとは、プラットフォームは問わないんですが、手軽にプレイできて、シンプルなんだけど奥が深いと思えるゲームを作ってみたいですね。
ーー本当にカジュアルなユーザーも、コアなユーザーも楽しめるゲームをということですね。石川さんは何かありますか?
石川氏:
私が最近、興味あるのはe-sportsです。
ーー対戦系ということでしょうか。
石川氏:
そうですね。
複数人で協力しながら対戦できるゲームをつくりたいと思っています。たとえば3対3のサバゲーをゲーム上で遊べるような。
ーーいまの流れを見ると、FPSですとか、カードゲームというのが盛り上がっていますね。
「誰でも気軽に遊べるように」を重視して制作を開始した。
ーー『討鬼伝 モノノフ』についてもお聞きしていきたいと思います。本作の簡単なご説明をお願いできますでしょうか。
中臺氏:
「討鬼伝」のIPとしては以前にもアプリになっているんですが、アクションゲームとしてアプリにしたのはこのタイトルが初めてです。
とにかくスマホなので、手軽に、誰でも簡単に遊べるというところを一番大事にデザインしています。
コンシューマー版は、“鬼”を倒す手順があって、例えばまずは“鬼”を探すところから始まります。見つけたら、プレイヤースキルを駆使して強大な“鬼”と立ち回るような遊びですよね。
この辺はもう完全に取っ払ってしまって、“鬼”が常に目の前にいて正対している状態、探す手間も要らないという形に持ってきました。
それを実現したのがサークルハンティングシステムです。これは“鬼”を中心に自分がその内周・外周を回って遊べるというスタイルの戦闘です。
あとは本当に片手でできるぐらいに、タップすれば攻撃ができて、“鬼”の攻撃を周囲を回ることで避けながら遊ぶという、誰でも簡単に理解できて、ちょっとしたすき間時間で遊べるようなものにデザインされています。
ーー鬼を探すとか、そういった手順を入れてしまうと、ちょっとスキマ時間だとなかなかできないですもんね。
中臺氏:
はい、とにかく拘束される時間はなるべく短くしました。
あとは、いつでもネットワークにつながる環境があるので、マルチプレイという点でも手軽に爽快に遊べるようにしています。
もう一つ、「討鬼伝」シリーズはストーリーもしっかり作り込まれていて、ユーザーさんの評価も高いんです。
本作でもストーリーは大事に考えていて、オリジナルストーリーを展開しています。
ーー既存のファンユーザーも、新規の方も楽しめるということでしょうか。
中臺氏:
そうですね。
シリーズのキャラクターも出てくるので、本作のストーリーにどのような関わり方をしていくか、というところも楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。
ーー『討鬼伝』がスマホのアプリとして選ばれたきっかけや理由はありますか?
中臺氏:
先ほど組織が変わったという話をしましたが、一昨年までは、主にパッケージタイトルを制作するソフトウェア事業部、オンラインやモバイル系タイトルを制作するネットワーク事業部がありました。
ゲーム市場の方といえば、スマホを筆頭とするモバイルゲーム市場がかなり大きくなっていて、ソフトウェア事業部でもアプリ開発をやっていこうという会社の方針があったんです。
その中で、“鬼”というわかり易い敵とオメガフォースの得意分野であるアクションというところから、『討鬼伝』が選ばれました。
ーーターゲットにしていたユーザー層は、もともとの『討鬼伝』ファンの方でしょうか?
中臺氏:
やはりコアなところは『討鬼伝』なので、「討鬼伝」シリーズのユーザーになります。
『討鬼伝』はプレイしたけど『討鬼伝 極』はプレイしていないとか、離れていったユーザーもいますので、そういった方がもう一回遊んでみようかなと思えるようにデザインしています。
あとは、討鬼伝に触ったことが無いユーザーへの入り口になれば良いかなと。
ーー今、プレイされているユーザーも、そういった新しい方ですとか、実際にファンだった方というのは多いですか?
中臺氏:
多いですね、今回初めて「討鬼伝」に触ってみたよというお客さんも意外といますね。
ハンティングアクションはちょっと敷居が高いよねと控えていた人たちも、このくらいだったらプレイできるというコメントもあるので、丁度良いところに落とし込めたのかなと思います。
第1回まとめ
本インタビューの第1回目は、コーエーテクモゲームスの社内の様子や今回お話を伺ったブランドシニアマネージャーの中臺さんやマネージャーの石川さんの経歴、『討鬼伝 モノノフ』開発への経緯を語った。
「討鬼伝 モノノフ」インタビュー記事:
『討鬼伝』のイメージ・クオリティは保ちつつ、こだわりは取り入れる。開発者としての苦難。【討鬼伝 モノノフ インタビュー#2】
今後は危機感のあるハラハラドキドキするストーリーを描いていきたい。【討鬼伝 モノノフ インタビュー#3】