家庭用ゲームの熟練スタッフでもスマホ市場の独自性には頭を抱えていた【ソウルクリッカー&ソウルナイツ開発者インタビュー#2】

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執筆者:編集部

上記の画像にピンとこないだろうか。アプリゲットのランキングでも連日1位を獲得した新作スマホアプリ「ソウルクリッカー」のスクショだ。

コミカルで個性的なキャラ群、親しみやすい頭身、ワチャワチャと画面上を賑やかに埋め尽くす賑やかさ。

ゲーム好きな方ならどこかで見たような……と何かを感じ取れるのではないだろうか。

▲期待せざるをえない良さがある

そう!日本一ソフトウェアより発売された史上最凶のやり込みシミュレーションRPGを自称する「魔界戦記ディスガイア」の雰囲気である。

この既視感は正しくて「ソウルクリッカー」と「ソウルナイツ」の2作品は多くの有名コンシューマ作品に携わったクリエイター達が結集して創り上げたゲームなのだ。

▲キャラデザも絶対ヒーローの今泉昭彦氏!!

デベロッパーである「プランタゴゲームス(plantago-games)」は2014年、クラウドファンディングでの目標支援額を達成。

国内だけでなく世界的な注目と期待を集めて活動を起こしたという異例の経歴を持つ。

今回は幸運にも、プランタゴゲームスの代表取締役 兼 企画の仕掛け人である小島俊彦ディレクターに話を伺うことが出来た。

元々は日本一ソフトウェアにて10年近く、ゲーム開発責任者としてPS2、PS3、DSなど10タイトル以上の家庭用ゲームを手掛けた経歴をお持ちだ。

「ディスガイア1~4」「ファントム・ブレイブ」「絶対ヒーロー改造計画」
「流行り神 警視庁怪異事件ファイル」「神様と運命革命のパラドクス」など。

氏の参加代表作を挙げるとRPGからADVまで幅広く、特に2000年中期以降の日本一ソフトウェアファンにはタマラナイ作品ばかりである。

全5回に渡ってインタビューを記し、どのようにして良きJRPGを彷彿とさせるゲームが創り上げられたのかを追っていこう。

・「ソウルクリッカー」「ソウルナイツ」アプリ開発陣インタビューまとめ(リンク)

作品を知らないという人は下記プレイレビューを見てね。どちらも大いに遊ぶ価値があります。(ソウルナイツは3月30日でサービス終了予定)

・「ソウルクリッカー」まずは転生してみて!インフレの爽快感が魅力の放置系RPG(リンク)

・「ソウルナイツ」日本一ソフトウェアの元スタッフが仕掛けた夢のJRPG (リンク)

スマホ市場に本格的なRPGを出したかった

 
――ソウルナイツが生まれたキッカケを教えてください。

小島氏:
丁度リリースから一周年を迎えたのですが、開発はかなり前からでして。期間にも1年程掛かっています。

当時の2014年頃はスマホで遊べるRPG作品が少なく、パズルゲームくらいしかありませんでした。スマホの性能も凄く上がっていたので、RPGも可能では?ということで話が持ち上がりました。

▲マップ移動などは当時目新しかった

業界的には、この頃に開発者が皆そう思って食い合う状態になったのかもしれませんが(笑)

もっと手軽にいろんな人が遊べるRPGをやれたら、ということで乗り出しました。

――どのようなユーザーをターゲットに作られたのでしょうか。

小島氏:
やはり企画していた当時はRPGが少なく、ゲームらしい要素を持った作品が少なかったという印象がありました。

そこで、フィールドを歩いて敵を倒す。といったゲームをスマホでも遊んでもらいたいと願って作りました。

手軽ながらも本格的に遊べるゲームを目指す

▲極めれば戦闘も一瞬で終わる

――3倍速の加速機能はコンテンツ消費速度が心配になりますが、問題なかったのでしょうか。

小島氏:
RPGらしい作品とは言え、やはり全ての肯定をやると長くなってしまいます。

電車での移動中のように何かの合間に遊ぶ人が多いですので、オート&手軽にパッと触れるようにすべきと思っていましたので。

強敵相手には1倍速で隊列交代や必殺技を使って遊んでもらい、ザコ相手にはサクサクと進めてほしいということで実装しました。

――ユーザーからの声で嬉しかった反応はありますか?

小島氏:
キャラが可愛い!といってもらえたのは嬉しかったです。

今はPvP対戦などの機能も実装していますので、ユーザー間でパーティ編成を見て驚いたりしてもらえるのも良かったですね。

遊びごたえと手軽さのバランスに苦悩

 
――逆に辛い、悲しかった声はありますか?

小島氏:
ソーシャルゲームとしてスマホに落とし込む以上、どうしても単純になってしまう部分がありまして。

1キャラ1キャラはコマンド操作ができないだとか、コンシューマ作品と比較して単調に見えるという不満もいただきました。

大作RPGを好むコアなゲーマーの方にとっては、意にそぐわなかったかもしれません。そこがコンセプトと食い違って辛いなぁと。

戦闘キャラ自体は12人もいますので、全て指示するとなると大変なので仕方無くもありますが(笑)

――今だからこそ、直したいと思う箇所はありますか?

小島氏:
早い段階でランダムダンジョンを入れたいと思っていました。入る度にダンジョンが変わる自動生成のローグライク風だとか。

構想は色々ありまして、今後はソウルナイツシリーズの完全新作としてランダムダンジョンを攻略していくような物も作っていきたいです。

まとめ:開発側としての工夫が裏に出ることもあった

 
スマホゲームは遊びやすいほど良いというのが一般論だが、とはいえ中身が無いと感じてしまうと楽しいのか不安になってしまう。

本格的に、かつ手軽に遊べるのを両立することは業界では永遠の課題とも言える。熟練のスタッフにも、スマホという独自市場ならではの悩みがあったそうだ。

次回は、最新作であるソウルクリッカーについて触れていくぞ。

・「ソウルクリッカー」「ソウルナイツ」アプリ開発陣インタビューまとめ(リンク)

執筆者: 編集部