きもすぎる話題作、「かっぱコレクション」にまなぶ「ネタ系カジュアルゲーム」のつくりかた。

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執筆者:編集部

リワード広告の効果に陰りが見え始めるなか、無料人気ランキングで上位をねらえる「ネタ系カジュアルゲーム」への注目度が高まっている。

本命タイトルへの送客を期待できるからだ。

送客を目的にしたゲームではないが、最近では「マッチに火をつけろ」「毎日の耳かき」「ぴよ盛り」などが無料ゲームの人気ランキングをにぎわせた。

「かっぱコレクション」も「ネタ系カジュアルゲーム」のひとつ。

かっぱコレクション

さまざまな種類のかっぱたちが、きゅうり欲しさに集まってくる。

「かっぱコレクション」は、どう考えても気持ち悪いかっぱたちを、きゅうりでおびき出して捕獲していくコレクションゲームだ。

「ネタ系カジュアルゲーム」にしては珍しく、広告収入だけでなく個別課金もいいバランスで採用していて、無料ゲームランキングでは最高位2位売上ランキングでも最高位62位を記録している。

「ネタ系カジュアルゲーム」はシンプルなだけに高度な発想力と決断が求められる。

そのあたりについて、「かっぱコレクション」を開発・リリースしたアリスマティックの寺島代表にお話しをうかがった。

オフィス

オフィスは広尾にある。

代表みずから企画

本日はインタビューを快諾頂いてありがとうございます!
早速ですが、「かっぱコレクション」企画はどなたが考えられたんですか?

寺島氏:
こちらこそありがとうございます。実はこれ、企画もろもろは私の方で行いました。

こういうエンターテインメントに振り切るものやビジネスモデルに関しては私の方で全体統括を行うことが多いです。

アリスマティック 代表取締役 寺島義貴氏

アリスマティック 代表取締役 寺島義貴氏

かっぱのイラストもネットで探した「奇々世丸」さんという方を見つけて、絵のテイストが今回の企画でいけると思いお願いしました。

こういう方が企画であったりシステムであったりといったフィルターを通してあげることで価値を持ち出すというのがスマホマーケットの新しい良いところだと思っています。

奇々世丸氏のブログ

奇々世丸氏のブログ(画像クリックで遷移します)

そうだったんですか!? トップダウンでプロジェクトを進められるのは大きなアドバンテージかもしれないですね。開発はどれくらいかかったんですか?

寺島氏:

システム概要の企画に2日程度、そこから開発に入り1か月ちょっとくらいでしょうか。

私が企画する時はパワポに4,5枚で落としてその後は口頭で伝え出来たものを見ながらどんどん修正を加えていきます。

なのでそれが効率的か非効率的かと考えてもその場で新しいアイディアがあれば絶対に入れたい、だから入れる、という感覚です。

課金と無料のバランスなどは結構難しかったと思うんですが、そのあたりはいかがでしたか?

寺島氏:

実は、あまり難しく考えてなくて、結局「時間ゲーム」なので時間を売るという感覚です。

ただ、実は課金は入れなくてもよかったかなとも思っています

このキャラのカッパ達も企画段階から狙っていたグッズ化が決まっているのですが、そっち方面に行くのであれば別に課金はどちらでも良かったかなと思っています。

月1000万円とか売り上げが行くのであれば課金要素は大きいと思うのですが、そこまで大きく上がっているものでなければ、課金なしで緩やかに遊んでもらい裾野を広げ、広告とグッズ化で収益化するというのも1つの選択肢だと思います。

「企画は広告であるべき」

ここまで「キモいもの」に振ったのは狙いがあったんですか?

寺島氏:

弊社の他のタイトルや企画もそうなんですけど、私の中では実はロジカルに組み立てています。

奇をてらうのは簡単ですがそれでは中々当たらないのが実感です。

何かコンテンツをつくるときに「その企画は広告であるべきだ」というのを常に思っていて、要するにその企画自体が広告になるくらい強いものでなければならないと。

それでそのときに有効なのが概念のギャップだと思っていて、

私は昔広告会社に勤めていたんですがその時色々思っていて、「生茶」っていうお茶の商品があるのですがあれが最強の広告商品だと思っています。

「お茶」に対して生ビールの「生」という概念を持ち込んで「生茶」と言って出すと。ネーミングは概念のギャップそのものを表に出してあげる、と。

それでまったく新しい市場がそこに生れて今までの「お茶市場」じゃない「生」市場に参入したのが「生茶」だと思っています。生チョコとかもそういうカテゴライズだと思います。

2つの違ったものを合わせることで調和を取り、新しいものになるというのが本質的なところではないでしょうか。

常にこういうことを思っていて、かっぱコレクションも(企画の強さとして)気持ち悪さを狙ったので、それをマイルドにするためにBGMをつけてハワイの音楽を流して、さらにかっぱたちに面白いことをしゃべらせることで、気持ち悪さを中和して心地よい商品にしてあげてあとはただ「なんだそれ!?」である「かっぱコレクション」で出す、と。笑。

かっぱたち

かっぱたちは捕獲すればするほど多くを語る

見えないコンテンツのネットワークを裏で持つ

こういったカジュアルアプリを数多くマーケットに投下して、そこからマネタイズしやすいアプリにユーザーを送客する、ということを狙っている企業が出始めているので「強い企画」はこれから多く出てくるかもしれないですね。

寺島氏:

そう思います。実はうちでもこのゲームはまだごく一部で、これから出すアプリがメインになってくる予定です。それらのアプリからすべての自社アプリに送客、繋ぎ込みをして、「見えないコンテンツのネットワークを裏で持つ」というところを狙ってます。

ゲームを単純に一要素とするような全体を円で描いておいて、その円を形成している点をひとつひとつつぶしていくと、初めてそれがビジネスモデルになる。なので、表だけ見て真似しても実はまったく真似ができていないというマーケットができてくる気がしますね。

なるほど、今後のリリースからも目が離せないですね。
本日はありがとうございました!

アリスマティック
http://www.arith-metic.jp/

かっぱコレクション
https://appget.com/appli/view/62506

執筆者: 編集部