Year of the Ladybug: Season 1(イヤー・オブ・ザ・レディバグ:シーズン1)
Fiction Roast
ホラーノベルゲーム
Android:1,500円 iOS:1,500円
狂気と恐怖に満ちた病院から娘を探し出せ!8年の時を経てリリースされたホラー・ビジュアルノベルダウンロード(Android) ダウンロード(iPhone)
病院に閉じ込められた人々を襲う恐怖と狂気を描いたホラー・ビジュアルノベル
「Year of the Ladybug: Season 1(イヤー・オブ・ザ・レディバグ:シーズン1)」は、病院に閉じ込められた人々を襲う狂気と恐怖を描いたホラー・ビジュアルノベル。
内容を紹介する前に、まずは本作の経緯について説明したい。というのも本作はそもそも、三人称サバイバルホラーとして企画されていた作品なのだ。
ことのはじまりは2016年。アーティストであるデイヴ・カン(Dave Kang)氏が本作のコンセプトアートを発表した。
コンセプトアートはデイヴ氏の個人作品だったが、そこに描かれていた狂気と恐怖が話題を呼び、三人称サバイバルホラーの開発プロジェクトとして始動しだす。
しかし開発会社が見つからず、2017年に開発中止。その後クラウドファンディングなどで画集を展開するなどの動きはあったものの、ゲームという媒体で世に出すという話は途絶えていた。
そんな「Year of the Ladybug」が、インディーゲームとして復活。三人称サバイバルホラーからビジュアルノベルへとゲームジャンルを変えてリリースされることになった。
ゲームジャンルが変わったことで、正直残念に思う部分はゼロじゃない。けど、そんなことより「Year of the Ladybug」の狂気と恐怖を味わえるという喜びが大きい!そして本作は、喜びに応えてくれるだけの狂気と恐怖を持っている!
タップでメッセージ送り!物語を読み進めよう
物語の舞台となるのは、閉鎖された病院。主人公・ジェームスは気づくと病院の中。さらに娘の姿がない上、外へと繋がるドアはすべてロックされていた。ジェームスは娘を探して行動を開始する…。
ジェームスは基本的に物語のメイン主人公だが、本作はジェームス以外の登場人物も含めて群像劇スタイルで描写していく。
ゲームの流れは、同人ゲーム版「ひぐらしのなく頃に」のように、基本的に一本道。なので、画面をタップし、メッセージを読み進めることでゲームが進行していくぞ。
本作はシーズン1!結末が描かれるわけじゃない点に注意
本作はiOS、Androidとも1500円の有料アプリとして配信されている。
購入する上で注意しなければならない点が、本作だけでは完結しないこと。本作はあくまでシーズン1。物語は今後のシーズンへと継続するかたちになっている。
筆者はこれまでデイヴ氏の画集も買っており、「Year of the Ladybug」になみなみならぬ興味を持っていた。さらに、昔から同人ビジュアルノベルを買う習慣もある。その上で、1500円という価格にさほど不満を感じていない。
とはいえ、一般的な有料スマホゲームの価格とボリュームから比べると、やや高めの価格設定といえる。なので、購入時には上記の点をしっかり確認しよう。
「Year of the Ladybug: Season 1」の魅力は狂気と恐怖の表現
筆者のように8年前から「Year of the Ladybug」の情報を追っていたという人と、今回はじめて「Year of the Ladybug」の情報に触れるという人では、当然本作に抱く印象が違ってくるだろう。
三人称サバイバルホラーとしての本作を知っている身からすると、良くも悪くも「ビジュアルノベルになってしまった」という認識が避けられない。
…といっても筆者は、本作のジャンル変更に悪い印象を持っていない。そもそも一度は開発中止されているので、本来なら一生プレイできなかった作品。加えて筆者はインディーゲームクリエイターとしての顔を持っているので、プロジェクトがスムーズに進まないつらさも分かるし、作品がリリースできない悔しさもわかる。
なので、どんなかたちであれ「Year of the Ladybug」をリリースしてくれたことに感謝しかない。ありがとう!
一方、今回初めて本作に触れるという人には、三人称サバイバルホラーというイメージがまったくない。なので、純粋にビジュアルノベルゲームの新作のひとつとして触れることになる。
ビジュアルノベルゲームとして本作に触れた時、正直残念に思う部分はゼロじゃない。しかしそれ以上に本作は、魅力あふれる狂気と恐怖を持っている。
そこで、残念な部分に触れた後で、本作の魅力について紹介したい。
ここは残念!ビジュアルノベルとしてのゲーム性
ビジュアルノベルとして本作に触れた時残念に感じたのは、ゲーム性の部分。
本作は一本道で進んでいき、選択肢が出てこない。この点は単なるビジュアルノベルゲームとして見た時に残念に感じた。
とりわけ、「Year of the Ladybug」のコンセプトアートで描かれていた狂気と恐怖は非常に斬新だった。だからこそ、ビジュアルノベルになったとしても斬新なゲーム性を生み出してほしかった…というのが正直な気持ちだ。
これが見たかった!魅力的な狂気と恐怖
残念に思う部分はゼロじゃない。だが本作は、残念な気持ちを大きく上回る魅力を持っている。
それはもちろん、デイヴ氏のコンセプトアートを具現化したシナリオとビジュアル!
冒頭、国内のいたるところでで暴力事件や自殺事件などが原因不明なまま次々発生していく様子がまず怖い。この時点で一気に引き込まれる。
また、「恐怖現象が起きる…と思わせて起こらない」「かとおもいきや、いきなり恐怖現象!」といった緩急も巧み。
その上で、デイヴ氏のあのコンセプトアートに基づくビジュアルのインパクトが素晴らしい!
残念なところはあれど、魅力はそれ以上。ぜひとも、ラストシーズンまで出し切って欲しい。
ゲームの流れ
ゲームを起動すると、メーカーロゴに続いてこの画像が表示される。
植木鉢に人の頭…?冒頭からクレイジー!そう。この狂気と恐怖を8年間求めていたんだよ。
続いて表示されるタイトル画面は、弁当箱。…なんだけど、たくさんの顔が詰まっている。
「何がなんだかわからない」この不条理感は、デイヴ・カン(Dave Kang)氏が8年前に描いたコンセプトアートの時点で存在していた。
タイトル画面で「ニューゲーム」をタップすると、ゲームがスタートする。タップでテキストを読み進めるだけでOK。セリフはすべて日本語化されているぞ。
キャラクターイラストは、デイヴ氏以外の方のタッチに見える。最初はちょっと違和感があったのだけど、プレイしているとさほど気にならなくなった。
ストーリーはチャプターごとに区切られており、チャプターを読み終えるとこの画面が表示され、次のチャプターへと移る。
シーズン1には6つのチャプターが収められているぞ。
狂気&恐怖演出について、一枚絵で表示されるタイプのものはデイヴ氏のアートが使われている模様。ただ、場面によってはキャラクターイラストの方が担当しているケースもあるっぽい。
一度見た一枚絵は、タイトル画面の「ギャラリー」から見返すことができるぞ。
「Year of the Ladybug: Season 1」を楽しむコツは没入できる雰囲気づくり
本作はプレイヤースキルを問うタイプの作品ではない。タップして文章を読んでいけば、誰でも先に進めることができるぞ。
ただ、本作をより楽しむためには、没入できる雰囲気作りが大事!落ち着ける場所でじっくりプレイしよう。そうじゃないとせっかくの狂気&恐怖演出がもったいないぞ。
落ち着ける場所で!ヘッドフォンで!いざ没入
では、どんな場所でプレイするといいのか?
それはやはり、一人きりになれる自分の部屋だろう。スマホゲームなので通勤通学の車内でプレイしたくなってしまうが、周囲に人がいると恐怖が半減してしまう。
自分の部屋で、できればヘッドフォンを装着してのプレイがオススメだぞ。