違う冬のぼくら
Kodansha Ltd.
パズルゲーム
Android:710円 iOS:710円
同じ気持ちを抱える親友が見ていたのは別の世界…!切なさが響く2人プレイ専用パズルアドベンチャーダウンロード(Android) ダウンロード(iPhone)
世界や時間は共有しているのに見えるものは違う…切なさを味わう2人同時パズルアドベンチャー
「違う冬のぼくら」は、「ひとりぼっち惑星」などで知られるインディゲームクリエイター・ところにょり氏最新作となるパズルアドベンチャーゲーム。
主人公は2人の大人。彼らはある日、かつて親友だった友だちとの出来事を思い出す。
少年時代、一人は、ネグレクト気味のシングルマザーに育てられ、欲しいゲームソフトすら買ってもらえずにいた。かたやもう一人は、経済的に恵まれてはいたものの、親にその存在を無視されるような状況。同じような家庭環境を持つ2人はあるとき、山の頂上にそびえ立つ像を破壊と、家出を敢行する。
山の頂上を目指す中、2人は鹿の死体を発見。これがきっかけとなり1人は人間が動物に見える世界へ、もう1人はすべてが機械に見える世界へと足を踏み入れてしまうのだった…。
本作最大の特徴が、必ず2人同時にプレイしなければならないという点。2人のプレイヤーが見る世界は異なるもののように見えるが、実体としては同じもの。そこで、いかにコミュニケーションをとってパズルを乗り越えるがカギとなる。ちなみに、アプリも端末も2つ必要なので、注意されたし。
世界や時間は共有しているのに、見ているものは違う…。ゲームシステム的にも、ストーリー的にもそんな切なさが詰まっている。まさにところにょり氏の真骨頂といえる一作だ。
協力してパズルを解こう!コミュニケーションが大事
2人同時という点を除けば、基本的なゲームシステムは「LIMBO(リンボ)」や「Playdeads INSIDE(プレイデッド インサイド)」に近い。サイドビューで主人公を動かし、パズルを解くことで先へ進んでいく。
移動は画面左側をスワイプで行え、ジャンプは画面右側スワイプで行える。また、画面右側を長押しタップすることで、箱をはじめとしたオブジェクトを押したり引いたりすることができるぞ。
なお、パズルを解くには基本的に2人の協力が必須。たとえば1人がスイッチを押している間に、もう1人が扉を通り抜ける…といった分担が必要になっている。
なので、どちらがどう動くかコミュニケーションを取りながらプレイしよう。
アイツ今何やってんだっけ?相手探しもゲームの内
本作は買い切り型として配信されている。ただ、2人同時プレイでしか遊べないため、1本買うだけではプレイできない。
もし「iPhoneもiPadも持っている」といった具合に、アカウントの共通する端末を2台以上持っているのであれば、1本買って2つの端末にインストールし、無理やり1人で起動することもできないわけじゃない。ただ、ゲーム内のパズルは2人同時プレイを前提として知るため、1人で楽しむことはできないだろう。こうしたつくりは、Rusty Lakeの「The Past Within(ザ・パスト・ウィズイン)」と同様だ。
アプリマーケットの情報によれば、プレイ相手を探すという点も、本作のゲーム性に含まれるのだという。
確かに、プレイヤーが「最近あそばなくなっちゃったけど、アイツ、今どうしているかな…?」という相手に声をかける…という現実の行動が発生した場合、本作のストーリーは最大限に効果を発揮するだろう。2人同時プレイだからこそ「どうしても相手が必要で…」と、声をかけやすい面もある。
本作をきっかけに旧交を温める…なんてできたなら、それは素晴らしいことだ。
「違う冬のぼくら」の魅力はコミュニケーションが持つ切なさ
ところにょり氏といえば、「ひとりぼっち惑星」をはじめ、切なさを感じさせる作風が魅力。そんな氏の最新作たる本作も、切なさが魅力となっている。
少年時代、親友との冒険の結果発見した死体がきっかけで、異なるものを見るようになってしまう…。このストーリーラインがまず、映画「スタンド・バイ・ミー」的切なさを宿している。
そこに加えて、コミュニケーションのすれ違いという切なさをゲームシステム的に表現していることが、本作ならではの魅力といえるだろう。
避けられないすれ違い!だから青春時代は切ない…
少年時代は切ない。もちろん、少女時代も切ない。それは、すれ違いが避けられないから。
青春時代は誰もが、家や学校によって生活パターンが一定範囲内。だからこそ、友だちと同じイベントを経験し、感情を共有することができるのだ。
しかし、青春時代のラストには待ち受けているのは、卒業。友だちも、それぞれ別の道を歩むことになる。同じ方向を見ていたと思ったのに、いつの間にか別の方向を向いていた…。当たり前のことなんだけど、ここにどうしようもない切なさを感じてしまう。未来を見据える視線のすれ違いが、切なさを感じさせるのだ。
そして、すれ違いという意味で共通するのが本作におけるゲームシステム。なんといっても、そもそもコミュニケーションという要素そのものが、すれ違いをはらんでいる。
たとえばゲーム中、「上にあるスイッチを踏んで」と表現したとしよう。しかし、「上」とは相対的な表現なので、「何の上なのか」気づく人もいれば、気づかない人もいる。
しかも本作は、2人が異なる様相の世界を見ている。「スイッチ」と表現されたものが、もう片方にとっても本当にスイッチ的なビジュアルをしているのかどうかはわからない。
つまり本作は、「きちんと説明しているつもりなのに、意図が伝わっていない」というすれ違いが起きやすいのだ。この結果プレイヤーは、ゲーム内のストーリーのみならず、コミュニケーションを通して現実世界でもすれ違いを経験することになるのだ。
人生は続く!そしてゲームも現実へと続いている
親友と離れ離れになってしまう…。そんな「青春時代からの卒業」に、切なさを感じずにはいられない。しかし、人生は続く。一度は疎遠になった友だちと、何かの拍子にまた仲良くなることもあるだろう。
これは本作も同様。ゲームをプレイし終わった後も、現実は続く。そこでは、「あそこのパズルで、お前が言ってたこと勘違いしちゃったわ!ごめん」だとか、「こっちこそ、もう少しわかりやすく説明すればよかったね」だとかいった具合に、楽しく盛り上がることができるだろう。
ゲームプレイ後に楽しく盛り上がれるというのは、よくできた協力型ゲーム共通の醍醐味。ただ本作の場合、ゲーム内の展開が切なさを感じさせる分、ゲームプレイ後の盛り上がりが、より楽しく感じられるように思う。
ゲームの流れ
ゲームが起動したら、まず片方のプレイヤーは画面中央下の家アイコンをタップ。同時プレイのためのパスワードが生成されるので、もう一人のプレイヤーに教えてあげよう。
教えてもらったプレイヤーは、家アイコンの右にある矢印アイコンをタップ。パスワード入力画面が表示されるので、教えてもらったパスワードを入力!
パスワードが正常に入力されると、同時プレイがスタートする。まずは担当するキャラクターを選ぼう。2人が別々のキャラクターを選ばない限りスタートできないぞ。性能差はないので、使用キャラが被った場合、話し合ってどちらを使うか決めよう。
ちなみに、ゲームプレイはちゃんとセーブされているので、ゲームを途中で中断し、同じ人と同じ場面から再開することができるぞ。
まずは現在が描かれる。2人のプレイヤーはそれぞれ電車の中。風景は同じもののようだが、お互いの姿は見えない。
モノローグからすると、どうやら遠い昔、疎遠になってしまった模様。この時点でもう切ない…。
夕焼けに照らされた公園。2人は携帯ゲームのパケモンで対戦をしている。クラスでは新作のルビーとサファイアが流行っているようだが、2人はそれぞれの事情によって旧作をプレイしている模様。くう、俺の中の切なさゲージがアップしていくぜ…。
山の上にある像を見た2人は、軽口が発展して像の破壊を決意。山へ向かうことになる。
山の中は2人で協力して進むパズルが満載。協力しない限り解けないので、どちらがどう動くか、しっかりコミュニケーションをとってパズルをクリアしよう。
山の奥に着くと、そこには鹿の死体。そして、死体を見た瞬間から、2人の見る世界に異変が発生してしまう…。
「違う冬のぼくら」の攻略のコツはコミュニケーションの段取りを決めること
本作のパズル攻略は2人での協力が大前提。お互いがどう動くのかという段取りなしで解くことは不可能に近い。
では、どういう段取りで動くのか?…本来は、この部分のコミュニケーションで発生するすれ違いも、本作の楽しさのうちなのだろう。
とはいえ、あまりにコミュニケーションが難航し、険悪なムードになってしまうのは避けたいところ。そこで、プレイ前にある程度コミュニケーションの段取りを決めておくことをオススメしたい。
パズルは順番に解く!失敗したら順番交代
コミュニケーションの段取りというと難しく見えるかもしれない。ただ中身はそんな難しいものではなく、要するにどちらが先にパズルの攻略法を話すか、その順番を決めておこうというもの。
たとえば、「最初のパズルの攻略法は自分に考えさせて。で、もし1分考えても、分からなかったら交代するね。あと、攻略法を考える役割はパズルごとに交代しよう」といった具合。
別に順番を決めずともプレイできるのだが、対人ゲームなので相手との関係性においては「いつもこっちが攻略法考えてばっかり」といった不満が発生するケースもゼロじゃない。
一定のルールを定めておけば、不公平を減らすことができ、結果として不満を避けることができるだろう。
得意を活かそう!アクションが要求される局面の攻略
本作には、シビアではないもののアクションが要求される局面が存在している。たとえば、足場ギリギリからジャンプして足場を飛び越えるだとか、狭い足場を連続で飛び越えるといったもの。
ただこうした局面が両方のプレイヤーへ同時に訪れることは稀。たいていのパズルは、どちらか一方のプレイヤーがアクションを担当することでクリアできるようになっている。
こうした局面を突破できないなら、素直に担当を変えよう。アクションを得意とする方が担当すれば、スムーズにゲームが進むぞ。