新・無駄をそぎ落としすぎたRPG
Realize Factory
コマンドバトルRPG
基本プレイ無料
スタート地点の隣に魔王!RPGの素晴らしさを教えてくれるミニマルの極みレトロRPGダウンロード(Android) ダウンロード(iPhone)
「もうマップの移動とかもいらなくね?」←
「新・無駄をそぎ落としすぎたRPG」は、会話やワールドマップ、レベル上げなどといった要素をそぎ落としまくったコマンドバトルRPG。
クリアに数時間はかかるであろうRPGを10分でクリアできるように無駄を削ぎ落としまくっている。
会話は少ない。ワールドマップは1画面。製作期間に5時間を費やしたというRPGが悲願のリリース。だが僕は、このゲームに奇妙な感動を覚えた。
※iOSユーザーの方はブラウザ版でプレイできます。
無駄って素晴らしい!!
勇者ハロルドと仲間たちが活躍する、ぬか漬けパリピマン的なツクール系RPG。作者のKSB氏は、毎回RPGを再構築するポストモダン(死語?)な作風が特徴だ。
ゲーム内容はいわゆる王道のコマンドバトルRPG。だが、会話もマップも少ないんで10分くらいでクリアできてしまう。ツッコミ所も含めて最後まで遊んでほしい。
「新・無駄をそぎ落としすぎたRPG」の特徴は言葉が失われつつある世界への警鐘(たぶん)
会話やレベル上げ、フィールドなんていらなくね?そう言わんばかりのミニマルなつくりは、まるでRPGに対しての皮肉のようにみえるかもしれない。
だが、それは違う。作者が以前制作した「弱すぎるRPG」を遊んだ僕に言わせれば、作者がRPGに対して深い愛を持っていることは自明だった。
無駄が排除された物語を遊ぶことで、我々はゲームや、ひいては日常生活に散りばめられた「無駄」こそが愛おしかいと気づく。
なんでもないような事を、幸せだったと思うように。
あるいは「言葉狩り」に対する強烈なアンチテーゼ
この世界は3文字以上の言葉を喋った人間は爆発四散し、死ぬ。いわば言葉を奪われた状態なのである。たんなるギャグや手抜きではない。たぶん。
この設定には筒井康隆「残像に口紅を」や、冨樫義博「幽遊白書」に登場した「あ」を言ってはいけない「禁句(タブー)」という能力を思い出す人もいるかもしれない。
言葉をしゃべれない世界で勇者たちがどんな結末を過ごすのか。単なるギャグで終わらないエンディングに注目してほしい。
ゲームの流れ
説明不要のコマンドバトルRPG。買い物はしてもしなくてもいいよ。
最初はとりにすら負けるような貧弱な勇者が、強くなれる理由を知る。
3文字を超える言葉を発すると死ぬ。なんと理不尽な世界なのだろう。
言葉を狩って、文化を規制する権力者は、歴史の中に繰り返し登場してきた。そして今も…。
「メタルギアソリッドV ファントムペイン」では特定の言語を話す人間を選択的に殺害する「声帯虫」という生物兵器がいた。
言葉を奪うことは概念が消えること、魂を奪われることと同義なのだ。ならばどうする。
世界に打ちのめされて負ける意味を知った。
ありがとう、悲しみよ。誰かのために、強くなれる。
本作は移動や探索といった旧態依然のRPGへ「めんどくさくね?」というアンチテーゼなのかもしれない。絶対違うけど。
はたまた言葉を奪い思想を統制していくディストピア小説、ジョージ オーウェル「1984」を10分で模したもの…なのかもしれない。絶対違うけど。
「新・無駄をそぎ落としすぎたRPG」の序盤攻略のコツ
予想はしていたが、特に難しい困難はなくクリアできた。攻略のコツなど不要である。暇なときにさくっと遊んでくれ。
iOSの場合はブラウザ上で遊ぶため、たまに読み込みに失敗してしまう事があった。
そういう時は再びページを更新する必要があるので、こまめにセーブはしたほうがいいね。
魔王を倒したら、どうなるの。平和ってなに。
艱難辛苦を乗り越え、買い物をし、強敵を倒し、強くなれるバネにして修行をし、四天王を撃破し、ついにたどり着いた魔王との死闘。魔法を使って勝ってくれ。
遊んだ人は、衝撃の結末をどう受け止めるのだろうか。僕は少し感傷的になって、残り数時間になった9月の雑踏で、ガムを噛んでいる。