ライター高野京介がインディーデベロッパーを紹介するシリーズ。
今回は基本無料ながら、硬派なアクション、重厚なダークファンタジー、最高のレトロBGM、やりこむほどに噛みしめるやりこみ要素を網羅した極上の2Dアクション、SphereKnight(スフィアナイト)を輩出したデベロッパー、PepperBombを紹介する。
目次
無料ながら極上のレトロアクション!SphereKnight(スフィアナイト)
SphereKnight-呪われし仮面-は、紛れもない名作だ。
スマホでプレイスキルを要求される、昔ながらのアクションを求めているならこれをプレイしない理由は一つもない。
回転し続ける騎士を操り、フリック入力でオーラを纏ったダッシュ攻撃を行う。移動・回避・攻撃を兼ねたリスクとリターンを兼ねた操作がスピード感と緊張感を生む。効果音も気持ちよく爽快だ。
BGMは『パズドラ』の中島享生さんが担当
まずは胸を焦がす、メロディアスに燃える勇壮でマイナーなBGMに打ち震えてほしい。レトロチックなサウンドが、ドット絵で構成されたゲーム画面に激しくマッチする。
特にオープニングテーマの重厚さはストーリーと見事にシンクして見事だ。ドット絵やピコピコサウンドに、壮大な世界を見出してきたファミコン・スーファミ世代として感涙した。
作曲は中島享生さん。「パズル&ドラゴンズ」「サモンズボード」「パズドラレーダー」の音楽を担当。
とりわけ戦闘音楽好きなゲームBGM好事家に愛される「エストポリス伝記」シリーズのアレンジも手がけるツワモノだ。このBGMだけでもプレイする価値がある。
爽快感のあるアクションと多彩な武器、超強力アイテム
ダッシュをすれば体から発するオーラで敵に攻撃をすることが可能。装備武器を変えることでオーラの形が変わり、戦略の幅が広がる。
そして道中に落ちているアイテムはどれも超絶に強力。これにより、倒せない敵を倒すこともできたりする。被弾するリスクを背負ってでも拾う価値がある。
物語を掘り下げ、世界観を記される「遺品」を集めるコレクション要素
ボスやレアモンスターを倒した時は宝箱が出現し装備品のレシピや「遺品」を入手できる。
想像力をたぎらせるストーリー〜アイテム収集の魅力〜
立ち入るものには「呪われし仮面」がとりつくという禁忌の地、滅びの国レブラリア。
前述のコレクションアイテム「遺品」には物語のバックグラウンドが記されている。世界観や攻略のヒントが隠されていることもある。一つ一つのテキストが秀逸で、アイテムを集めていくことで、物語の謎が明かされていく。
多くを語らずに、テキストだけで想像力を最大限に刺激する良演出だ。
強敵との死闘〜アップデートで難易度も改善
全8ルート33ステージ。8体のボスが待ち受ける。何度もやられ、攻略方法を見つけ撃破したときの喜びは至上である。
スフィアナイトは「難易度が高い」とレビューされる事が多かった。絶望的なまでに凶悪な3面のボスに泣きそうになったユーザーも多いのではないだろうか。
実はリリース時より、アップデートによって難易度が低下し、死んだ時も拾ったアイテムやレシピを持ち帰れるようになり、ゲームに置ける「詰み」の可能性は激減した。
今もう一度挫折したプレイヤーにこそプレイしてほしいところだ。攻略情報ならいくらでも書ける。まあこれはプレイヤースキルがものを言うアクションなのではあるが…。
中毒性の高いコンプ要素。やりこみ要素も充実
全S評価。何十時間やっただろうか。自分はこのゲームを極限までやりこんだプレイヤーの一人だろう。
繰り返しプレイすることによってアイテムの効果を強化可能。そのRPGのような育成要素もあり、かなり長く遊び込めると言っていい。
ミスなく連続して敵を倒し、コンボを繋ぐことにより獲得スコアやクリア時の「宝物庫」の中身や、評価があがっていくのだが、ユニークなのは高評価になると、ステージの敵構成も変化していく点。
なんとS評価を取ろうとすると、周回プレイの雑魚だと思っていた1面のボスすら凶悪な強さに変化する。ナメてかかると瞬殺される。
一度クリアしたステージも再びクリアすることで新要素も解放されるのは昔のゲーム的には燃える演出だ。
インディーゲームスタジオ「PepperBomb」(代表:Hiroaki Saito)の次回作に恋をしている
僕はレビュー時こう書いた。
「スマホならではの爽快感のある操作、熱いボス戦、繰り返しプレイできる育成要素…どれも超一流。」
その評価は未だに覆らないどころか、アンインストールできない名作として語り継ぎたい。その気持ちは強まるばかりだ。
インディーゲームスタジオ「PepperBomb」とは一体何者なのだろうか。実はスマホゲームは本作1つしかリリースされていない。
代表であるムギメシロウ氏(Hiroaki Saito)氏は何者なのだろう。Twitterではゲームへの熱い思いとや開発の経緯などと、美味しそうなもつ焼きをよく投稿されている。
いつか場末の大衆居酒屋でレモンサワーやホッピーセットでもしばきながら、ゲームの魅力をインタビューしたいものだ。