皆はテーブルトークRPG(TRPG)というものをご存じだろうか?
コンピュータRPGにおけるシナリオ、戦闘、ルール、システム、キャラクター作成もろもろをすべてを人力によって処理し、
複数人が卓の上で語り合うことでゲームをプレイしていく、いわゆるごっこ遊びにルールや設定を細かくつけて本格化させた歴史の長いゲームだ。
…というかテーブルトークRPGは普通のコンピュータRPGより歴史が古く、いわばRPGの原典といえるべきものである。
コンピュータRPGのように決まったシナリオを進むだけではなく、その時プレイヤーが思った通りの行動を(周りの人の同意のもと)自由にキャラにさせることが出来るので、その自由度は現行のRPGより未だ高いかも。
ダンジョンズ&ドラゴンズ
ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)はアメリカで生まれた世界初のテーブルトークRPGで、今もなお多くの人に愛されているゲーム。
このゲームのルールブックや、拡張要素であるサプリメントに影響を受けたゲームは数知れず…
特に初代「ファイナルファンタジー」なんかはこのゲームに影響を受けたであろうモンスターを多くゲーム中に出していて版権元と問題になってしまったとか。
ダイス
引用:http://ur0.link/tKdO
TRPGにおける乱数…ランダム要素を必要とする判定はすべてダイスを使用する。
たとえば敵に攻撃する際はキャラのステータスに応じて命中のダイスを振って命中値をきめ、相手のダイスによる回避値を上回っていたら攻撃がHIT。
HITした攻撃のダメージを算出するためまたダイスを振る、といった感じ。
ダイスは状況に応じて振る数や種類を変えており、ルールブックには2d6を振る、3d8を振るなどの記述がそこかしこに散在している。
「d」の前の数字はサイコロを振る数、後の数字はサイコロの種類が指定されており、たとえば2d6は「6面サイコロを2つ(2回)振る」といった意味だ。
判定のたびに異なるサイコロを用意して、出た目を数えていくのは非常に面倒な作業ではあるのだけど…
ウィザードリィ
引用:http://ur0.link/tKrB
TRPGをプレイするには、シナリオを進行させたり、ダイスを振ってゲームの判定を行うゲームマスターと、ゲーム中のパーティ人数と同じ数だけのプレイヤーが必要になる。
まとまった人数を揃えることが出来ない、あるいは時間がないという人のためにゲームマスターの役割であるシナリオ進行とダイス判定をコンピュータに行わせたのがコンピュータRPGの始まり、というわけ。
そうして生まれたのがWizardry(ウィザードリィ)。世界初のコンピュータRPG…というわけではないけど、家庭用コンピュータであるApple IIで遊べるRPGは瞬く間に大ヒットを記録した。
ダメージ計算にはやっぱりダイスが使用されている。
たとえば最下級攻撃魔法の「ハリト」のダメージ値は1~8。1d8
中級魔法の「ダルト」のダメージ値はグループに6~36。6d6
最上級呪文の「ティルトウェイト」は敵全体に10~100。10d10
最上級呪文でも運が悪ければ10しかダメージを与えられないのかよ!と思うかもしれないけどこれはサイコロを10個振って全部1が出たらの話。まずありえない。
とはいってもダメージの偏りが激しいことは確かだけど…
ドラゴンクエスト
引用:http://ur0.link/tKkF
日本RPGの元祖・代表と言えるドラゴンクエスト。製作者はウィザードリィやウルティマを参考にしたとか。けれどもダイス要素はほとんどない。
このゲームはとにかく小学生でも理解できるような「わかりやすさ」を重点に置いてるので、偏りが激しく魔法ダメージを体感しづらいダイス要素は極力排除しているのかも。
攻撃呪文のギラのダメージは5~12。
べギラマのダメージは58~65。
ラスボスが使う「ほのお」のダメージは65~72。
…あれ、どのダメージも振れ幅が7で固定されている? ひょっとしてドラクエの乱数は1d8が基本なのか?
ドラクエの内部判定がどうなっているかはわからないけど、つまりべギラマのダメージは1d8+57(固定値)ということなるのだろうか?
ドラクエ2以降はこのようなダイスの固定は無くなっているけど…
…ウィザードリィの時点ではまだTRPGらしさが残っていたコンピュータRPGだったけど、ドラゴンクエストの時点ではTRPGの面影はほとんど残っていない。
ドラゴンクエストの時代あたりからコンピュータRPGは完全にTRPGから独立した、と考えるとまた面白いかも。