今もシリーズが継続している「ストリートファイター」というゲームシリーズ。
対戦格闘ゲームと呼ばれるジャンルを世に定着させた名作で、そのブームの火付け役となるタイトルが―――
「ストリートファイターⅡ」
このジャンルでは知らない者はいない程の名作だ。
対戦ゲームの可能性を飛躍的に進化させたタイトルで、ゲーム史の中でもとびきり大きな功績を残した作品と言える。
だが、このタイトルは日本市場だけでは誕生しなかったであろうコトをご存知かな?
世界中で対戦ブームを引き起こす引き金となった名作「ストⅡ」の誕生秘話にスポットを当てて特集するぞ!
俺より強い奴に会いに行く byリュウ
元祖「ストリートファイター」って?
1987年にカプコンがリリースしたアーケードアクションゲーム「ストリートファイター」。
後に大ブームを引き起こすシリーズの元祖は、1対1で戦うスタイルとコマンド必殺技というコンセプトは現在の格闘ゲームと変わらないが、一人用のコンテンツの方がメインのアクションだった。
対戦は可能だが、使えるキャラは1Pがリュウ、2Pがケンのみ。
キャラは他にもたくさんいるのだが、リュウ・ケン以外は全てCPU戦の敵キャラクターとして登場。
システムは、8方向レバー1つにパンチとキックのボタンなのだが、2系統存在していた。
一つは、現在と同様のパンチ3つにキック3つの6ボタン形式。
もう一つが、パンチ1つにキック1つの圧力ボタン形式!
圧力ボタン!?
―――と不思議に思う人も多いかと思うが、パンチングマシーンのようなもので、巨大なボタンを拳でドン!と叩く強さで弱中強を使い分けるものだった。
これがまた、非常に遊びにくい!
筐体を殴る「台パン」行為が合法かのような殴打音を、当時の店内に響き渡らせるはた迷惑なモノだった。
コマンド必殺技は、現在のリュウ・ケン同様に三種の神器と呼ばれる「波動拳」「昇竜拳」「竜巻旋風脚」が存在していた。
インストカードにコマンドが載っていないので、自分たちで発見しろ!というスタイルだったが、コマンド自体は現在と同じもの。
しかし、入力タイミングが難しく、なかなか出せる人はいなかった。
まぁ、相手に当たれば体力の1/3以上を奪う、正に必殺技だったわけだが……。
入力のコツとしては、レバーを最後にニュートラルにすると同時にボタンといったタイミングで入れると出やすかった……と思う。
対戦が盛んだったのは米国!
カプコンUSAからの続編の要請
「ストリートファイター」は、日本ではアクションゲームとして人気ではあったものの、対戦ゲームとしては流行ってはいなかった。
しかし、当時の日本カプコンに、カプコンのアメリカ法人である「カプコンUSA」から「ストリートファイター」の続編要請が来たのだった。
アメリカでは日本以上に遊ばれているので、早く続編を出してほしい。
こういう申し出だったようだ。
続編登場!
別の名作が爆誕!
日本では続編の予定はなかったようだが、カプコンは「ストリートファイター’89」というタイトルの作品を制作してゲームショーに出展した。
あれ?これ違うゲームじゃね?
そう、この作品は後の「ファイナルファイト」(1989年にアーケードで稼働)。
名作ベルトスクロールアクションである。
こちらも一時代を築いたベルトスクロールアクションというジャンルを世に定着させたタイトルで、超が付く名作。
だが、「カプコンUSA」からの答えは―――
これじゃない!対戦格闘ゲームの続編プリーズ!
というモノだった。
対戦に特化!
いよいよストⅡ起動!
対戦ツールとしてのゲームがアメリカでヒットした要因だと知ったカプコンは、本格的に対戦を意識したゲームを制作するコトとなる。
使用できるキャラクターをリュウ・ケンの2キャラから全8キャラへ変更。
コマンド必殺技だけでなく、溜め必殺技なども用意し、入力も簡単に―――。
そして、必殺技が何度も使用されるコトを考慮したダメージ量の調整―――。
まさに今でも望まれる対戦ゲームとしてのバランスの調整を行って生まれたのが、我々が知る名作……
「ストリートファイターⅡ」
通称「ストⅡ」である。
このストⅡは日本でも大ヒットとなり、ゲームセンターのあり方を大きく変化させていく。
それまでは高難易度のゲームを提供するコトでプレイ時間を調整する方法だったが、コアゲーマーはそれでも長時間遊んで、ゲームの回転率を悪くしていた。
だが、この対戦というシステムをメインにするコトで、敗者は次の挑戦者へ変わり、僅か数分のプレイ時間で次々とインカムを稼いでいくコトとなった。
ゲームシステムも、後のバージョンアップ版が制作されるたびに進化を遂げていく。
同キャラ対戦
ボスキャラの使用
使用キャラのカラーチェンジ
新キャラの導入
スーパーコンボの登場
現在の対戦格闘ゲームにある基本要素の全てが、このストⅡを起点として生まれていった。
そして現在でもシリーズは続き、ファンの間で対戦ツールとして親しまれている。
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