80年代、初代ガンダムのガンプラがブームとなっていた時代。
パチモノとカテゴライズされる「TVアニメからではないオリジナルのロボット」のプラモたちが発売されていた。
多くのパチモノの中、最も悲劇を生み出したシリーズがあった。それが――――――。
「太陽系戦隊ガルダン」
伝説のパチモノシリーズだ!
今回は、この「ガルダン」にスポットライトを当てて特集していこう。
楽しくなければプラモじゃない、ってね! by京田四郎(プラモ狂四郎)
「太陽系戦隊ガルダン」とは?
「機動戦士ガンダム」のプラモデル、通称「ガンプラ」が1980年代に大ブームとなっていた。
そんな中、アリイ社から発売されたのがSFロボットプラモデルシリーズ――――――。
「太陽系戦隊ガルダン」
アニメなどの原作は全くなく、プラモデルのみで展開するシリーズでで、設定などはガンダム風のSF戦争モノの味付けになっていた。
シリーズとしては以下の8つのメカが発売。
ロボットシリーズ
・最強戦士ドン
・超鋼戦士ガン
・戦略戦士バク
・電磁戦士マグ
戦車シリーズ
・特殊重戦車ゴムル
・機動戦車ダムラ
・突撃戦車ベラダ
・歯光戦車ジラン
主役メカや、ライバルメカっぽいのにはドリルがついてます。
また、ガンプラが戦車や戦艦などのスケールモデル同様のスケール表記をしたコトもあり、こちらのシリーズでも表記はあった!
1/500アニメスケール!?
「Oh!!アニメスケール」とパッケージには書かれており、ガンプラの1/144スケールを真似たにしても……。
計算してみると全長約60mのロボットか―――ちとデカいか?
しかも、戦車シリーズとロボットシリーズは合体するのに、戦車シリーズだけ1/100アニメスケールってどうなってるんだ!?
世のお子様とパパたちを苦しめた
「太陽系戦隊ガルダン」というプラモ
悲劇を生む問題とは、「ガンプラ」風に作ってあったパッケージ。
本当に大ブームとなっていた「ガンプラ」は、入荷しても即日売り切れ。
何をしても売れるとあって、途中から抱き合わせで販売されるコトも多かった。
「ガンダム」と「アッガイ」がセットなんてのは生ぬるい方だ……。むしろご褒美!
「Gファイター」とガンダムと関係ない「大阪城」のプラモがセット(実話)という作品を冒涜したような抱き合わせまで登場する有り様。
子供たちも色んな店に探しに歩くが、欲しいガンプラがなかなか手に入らない。
「ガンプラ買ってきて!」と頼まれるパパさんも多かった。
子供たちが持っているプラモのパッケージだけを知っていて、それ以外のガンプラを買おうと奔走するパパさんたちに試練が訪れる!
「ガルダン」のパッケージ群、これは何となく似てる絵柄と、パイロットが描かれているという類似点がポイントになる。
当時のパパさんたちが「これがガンプラかな?」、「これは息子も持ってないからいいか?」といった感覚で買って帰ると――――――。
「パパ!これじゃない!ガンプラが欲しかったのに!」
という悲劇的な結果になる。
数多くのパチモノの中でも、この「ガルダン」はこの手の悲劇を多く生んだコトで、良く知るガンプラファンは多い。
プラモデルとしての「ガルダン」シリーズ
パッケージで悲劇を生んだ「ガルダン」だが、これだけで終わらないスペックを秘めている!
それがその中身、プラモデル本体にあった。
ガルダン大地に立つ!
動かない関節に謎の合体!
たとえガンプラと間違って買われたモノでも、カッコよければ飛びつく子供も多かったパチモノの世界。(筆者も数多くのパチモノを収集していた)
数多のパチモノの中でも「ガルダン」の造形は驚愕のディテールだったのだ!
可動部分はほぼ無く、巨大な頭部は1980年代のメカとしてはありえない程のカッコ悪さ。
また、唯一自由に可動する肩のパーツだが、接合部が超が付くほど破損し易く、ちょっと力を入れるとプラモのランナーより簡単に折れてしまう。
更に驚くべきことに、合体機構を持っていたという点――――――。
この有り様である―――(絶句)
下半身と武器が合体!……って、上半身どこいった!?
こんなんが戦場を歩き回ってるのを想像しただけで、恐怖する以上に大爆笑で戦うどころじゃないんじゃなかろうか?
「ガルダン」の秘密
金型の流用プラモだった!
ここまで時代遅れなのは珍しいと感じるが……それには理由があった。
1980年代とは、かなりSFブームでメカデザインも洗練されていった時代。
どう見ても1970年代以前のデザインにしか見えない「ガルダン」シリーズ。
―――秘密は会社の経費削減案だった!
1975年に同じくアリイ社で製作されたオリジナルSFロボットプラモデル「合体ロボシリーズ」というものがあった。
まったく同じじゃねぇか!
パッケージは、これをガンダム風にリファインしただけだったのだ。構図まで一緒!
プラモの原型である金型は、何もない状態から制作するとなるとかなりの大金がかかる。
その為、金型はそのまま流用し、安価で改変可能なパッケージと名前だけを変えて販売された商品。
それが「太陽系戦隊ガルダン」の真の姿だったんだ!
ちなみに「合体ロボシリーズ」も、「鉄人28号」や「マジンガーZ」などのパチモノだったようだぞ!良く見るとわかるだろう。
後に「ガルダン」は別のお菓子のおまけプラモへ名前のみが受け継がれ、更にその後は別のパチモノシリーズ「ザ・アニメージ」に吸収されていくが、それはまた別の話。
アプリゲットが贈る「パチモノプラモ特集」もご覧ください!
ロボット大好き!記者むらさきが贈るちょっとだけ濃ゆい「パチモノプラモ戦記」をご覧ください……。