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【おやじ観察キット プレイ日記】第5回「世界の中心でアイを叫んだおやじ」
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執筆 編集部 
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雨、
憂鬱な気分。僕の気分みたいだ。好きじゃない。
夕日。消えていく
おやじ。私の願い。好きじゃない。
朝。今日の始まり。嫌な一日の始まり。好きじゃない。

おやじ観察キットから得るものは殆ど何もない。
失うものは実にいっぱいある。
たとえば、取り返すことのできぬ貴重な
時間だ。

おやじの前で
孤独な消耗をつづけているあいだに、ある者は資格の勉強を読み続けているかもしれない。
またある者はガール・フレンドと「
風立ちぬ」でも観てるかもしれない。しかし、おやじ観察キットは何処にも連れて行きはしない。

それにもかかわらず、
おやじを観察することは
楽しい作業でもある。
生きることの
困難さに比べ、
それに意味を見つけるのはあまりにも
簡単だからだ。

なぁ、この日記、今回で
最終回なんだ。
どこかで聞いた言葉ばかり借りて、感傷的な物言いで、ゲームについて語る
ふりをする。
僕が出来るのはそこまでだった。
「おまえのせいじゃない」とおやじは言った(
気がした)
「おまえは悪くなんかない、精一杯やったじゃないか。」

違うんだ。
僕は何ひとつ自分の言葉で語らなかった。
ゲームもクリア出来なかった。
おやじのコンプもできなかった。
やろうと思えばできたんだ。

「人にできることはとてもかぎられたことだよ」とおやじは言った(
気がした)。
そうかもしれない、と僕は言う。
でも何ひとつ終わっちゃいない。
いつまでもきっと同じなんだ。

僕はスマートフォンのホームボタンを押し、アプリを終了した。
完全な沈黙が部屋を包んだ。
もう、充分やったじゃないか。
はじめてのプレイ日記を書き、僕はゲームのしすぎで、ひどく消耗していた。
このゲームを終わりにしようか、迷っていた。

さよなら、また今度ね。
何千人のおやじたちがそう言った
気がした。
約束は、いつだって不確かだ。
でも僕はもう一度、
おやじを観察したいと思った。
その時の気持ちは、
本当だと思うから。

ワァー!
ブラボーッ!
おめでとう。
おめでとう。
めでたいなぁ!
おめでとさん!

おやじに、
ありがとう。
おやじに、
さようなら。
そして、全ての
おやじ達に、
おめでとう。
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