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「完全なおやじなんて存在しない。完全な絶望が存在しないようにね。」
今年の夏は暑くなさそう。
2013年7月某日。
日差しこそ強いが、涼しい夜が続いている。
夏が、本気を出す前に、足踏みをしてるようにも思えた。
女の子の家に転がり込んで、
エアコンを効かせた部屋でLサイズのピザをとったりして
気だるい映画を観ながら、ベッドで転がってみたい。
夏なのにめっちゃくちゃ辛いカレーをつくってみたりとか、泳げもしないのに海に行くのもいいね。夕暮れ、空が明るいうちからお酒を嗜んでみたり。
プレーリードッグも飼ってみたいね。
夢ばっかりふくらんで、
夏休みなんかもうないし、
僕は今日も、
おやじを育成している。
おやじを育成するにあたり、僕のやるべきことはひとつしかなかった。
あらゆるおやじを深刻に考えすぎないようにすること。
あらゆるおやじと自分のあいだにしかるべき距離を置くこと。
それだけだった。
僕は花になった何百人のおやじや、おやじの育成にかかった時間…。
そんなものをきれいさっぱり忘れてしまうことにした。
蟹や蜘蛛。
蜂みたいな異形のおやじ。
落花生のように変異したおやじ。
邪悪な物体。
ちょっとしたバイオハザードだ。
そんな何もかもを。
「おやじ観察キット」では、絶えず育成されたおやじたちの消失が描かれ続ける。
回収されたおやじの行方…時間内に回収できず花となったおやじ…
それはどうしても、
「死」という言葉と切り離すことができなかった。
僕は博士の課題をこなすため、ポイントのため、課題のコンプリートのため、
何度となく、おやじたちを見殺しにした。
劣悪な環境でのみ突然変異するおやじもいる。
おやじたちの気持ち悪さ。
それ以上に漂う悲哀の根源。
神の視点から育成しているつもりの自分もまた、
おやじに近い存在だったのかもしれない。
夢の中ですらスマートフォンをフリックし、
おやじを回収する悪夢を観るようになった頃、
僕のゲーム内のレベルは、
40を超えた。
PCから閲覧の場合はコチラから
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.liica.oyajikit
[次の回]
・2013年7月26日(金) 17:30公開予定
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