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やれやれ、またおやじか、と僕は思った。
煙草を吸うならこのタイミングかもしれない。
とか言うものの、煙草はおろか、パチンコもキャバクラも一回もいったことがない無趣味な自分は、今日もおやじを育てている。
少し昔話をしよう。
そういえば、僕が中学二年生の頃、ペットを育てるキーホルダー型のゲームが流行っていた。
しばらくして、すぐに廃れた。
1997年、我らが年。そして、もうだいぶ遠い日の話。
ゲームというには白黒の画面は小さく、画面内のペットの動きは拙かったが、そのゲームは入手困難の大人気アイテムとなり、高値で販売されたりもした。
2013年。今こうして、奇妙なおやじを育てている自分は、何かを取り戻そうとでもいうのか。過去という名の後悔が追いかけてくる。
諦めよう。すべては終わった事じゃないか。
少年じゃなくなった。青春は終わった。
若くはあるが、昔よりは若くない。
あの頃に戻りたいなんて思わない。
生きる代償を背負わないといけないんだ。
おやじになりかけているんだから。
閑話休題。
そろそろゲームの話をしなきゃ。
「おやじ観察キット」の話に戻ろう…。
おやじたちは多種多様に進化する。
まずはこの画像を見て欲しい。
具体的にいうと、ケージ、床材、登り木によって一度に育成できるおやじの数や、生まれてくる種類が変化する。
育成を促進するカプセルや、ケージの温度を変化させるアイテムもあり、条件によってレアなおやじが発生するときがある。
団塊おやじの生態系が垣間見えるかとおもいきや、
大間違いだった。
ともあれ、おやじを回収し、レベルアップする時や、博士の課題をクリアすることで、ボーナスポイントを獲得し、新しい環境を築くのも、このゲームの醍醐味だ。
百鬼夜行、千変万化するおやじたちの生態系をちょっとずつ紹介したい。
シュールとか、キモいとかそういう言葉で片付けるには、
彼らの存在は、
哀しみに包まれていた。
そして博士と少年少女は無邪気だ。
矛盾ない笑顔が、逆に恐ろしい。
ふと、人が家畜として扱われるSF小説を思い出した。
回収しないまま放置され、天命をまっとうしたおやじは花になる。
それは、決して枯れない白い花だ。
僕はそれをずっと見つめていたくなった。
嘘じゃない。
自分に酔っているだけかもしれない。
暗い部屋で一人、スマートフォンの明かりは強すぎる気がした。
今年の夏は去年より涼しいかもしれない。
夜風に吹かれようと思い、真夜中、自転車に飛び乗った。
夏は夜だね。
満月なら言うまでもない。
雨が降るのも風情がある。
夏よ。
思い出のうた、口ずさむ。
恋の懐かしい痛みが、そっと頬を撫でる。
僕は、
星空の下、
おやじを育て、回収した。
PCから閲覧の場合はコチラから
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.liica.oyajikit
[次の回]
・2013年7月25日(木) 17:30公開予定
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