今回は大ヒットアプリ「五七五オンライン」や新作「定時退社オンライン」を制作した杉谷透さんにインタビュー!
定時退社オンラインをリリースした裏話や五七五オンライン制作のきっかけにヒットした時の実話など、驚きの実状をスッキリ全部語っていただきました。
目次
今年退職して本気で個人制作しています
2014年からIT系の会社でゲームエンジニアとして勤め、今年退職してフリーランスで仕事をしつつ個人でゲームを制作している杉谷と申します。
作られてるゲームが定時退社オンラインと五七五オンラインですよね。
はい。
あと投げリバーシw
そうです、よくご存知でw
定時退社オンラインは孤独に耐えきれず出しました
定時退社オンラインについて聞かせてください。
このゲームを作ろうと思ったきっかけってなんだったんですか?
関西の方で活動されてるわけんさんという開発者の方がいらっしゃるんですが、今年の春に個人開発の方が集まる合宿みたいなのをやられてたんです。
そしたらTwitterで開発合宿にキャンセルが出たので空いてますっていうのを見かけて。
それで急遽参加させてもらって。
飛び込みだったんですね。
そこでゲームを作るってなって、定時退社オンラインのモックみたいなのを作ったんですね。
それを最終日に皆さんの前で発表したら、めっちゃ面白いって言っていただけたので、これはちゃんと作ってみたいなというので作りました。
そこから作るのは大変でしたか。
ゲーム自体は2ヶ月位である程度出来てたんですけど、悩みだすとわからなくなって、8,9,10月ずっと悩んでたんです。
それでもうとりあえず出しちゃえということで10月にリリースしました。
8,9,10月はどういうことで悩んでたんですか?
タスク投げるの?とか日報って出すの?とか、作り込みだしたら細かい仕様が気になりだしちゃって。
結構開発あるあるだと思うんですけど、これダメなんじゃないかっていう風に完成に近づいていくにつれて作品に対して疑心暗鬼になってきて・・・。
一人でやってるとフィ-ドバックもないじゃないですか。
個人だとそこは大変そうですね。
孤独な戦いというか、それがもう耐えきれずに最後アンケート機能と報告機能だけ入れて。
とりあえず出してみてユーザーさんの意見を聞きつつアップデートしていこうということで。
ということは現状ベータ版に近い状態なんですね。
そうなりますね。
でも当初考えてたこういうゲームにしたいなという方向性は、ユーザーさんの要望と近いのがわかったのでそれは良かったですね。
自分もプレイしてたんですけど、未完成の部分多いなと思ってたのでバカゲーの一環として出したのかなって。
そう思いましたよねw
アイデアはしっかりしてたのでもったいないなーと思ってたんですけど、今話を聞いてようやく合点がいきました。
そういう意見が聞けただけでも今日は良かったです。
Friday the 13thとデッドバイデイライトを参考に
システム的なところってデッドバイデイライトですよね。
そうです。
そのへんが近いんですけど、実はプレイしたことは・・ないです。
そうなんですか!
そうなんです。
実況動画が好きで、そこでよく動画は見てて。
あとジェイソンが出てくるFriday the 13thというゲームは、実際にかなりやり込んでました。
なので最初はそっちよりのものを考えてたんですけど、どうしても部下を引きずるっていうのをやりたくて。
そこはデッドバイデイライトに近くなっちゃいましたね。
※Friday the 13th: The Game・・・「13日の金曜日」をベースにした非対称型サバイバルゲーム
なるほど。
ジェイソンのゲームだと、捕まえたら引きずらずにその場で処刑しちゃいますもんね。
そうなんです。
でもFriday the 13thだとサバイバー側がジェイソンを倒せるようになってて、定時退社オンラインでも部下が集まれば上司を倒せるというのはやってみたいなと。
なので参考にしてる部分はFriday the 13thの方が多いです。
今後も運営していく感を伝えたかった
まだ作りかけの状態で聞いても難しいかもしれないんですけど、こだわりとかってありますか?
バカゲーで終わらせたくないと思ってたので、ユーザーさんに今後も作っていくのかなっていうのを感じてもらえるように気をつけました。
トップ画面もカジュアルと言うよりは、今後も運用するのかなっていうのを匂わせる感じになるように気をつけて作ってあります。
今後もあるよって。
そうだったんですね。
そういうちゃんとやっていきますよって言うのが伝わるようには気をつけたんですけど・・・伝わってましたかね?
たぶん伝わってなかったかと・・・。
でも上司側が操作できなかったりしたので、これからアップデートしていくのかなとは思ってました。
今回のがきっかけでみんなにわかってもらえるんじゃないですかね。
だといいですね。
実は今は上司がプレイできないんですけど、内部的には上司もプレイできるようになってたんです。
どうしようかなと迷って、まずは部下だけにしてあったんですけど本来そこも選べるようにしておくべきじゃないですか。
※現在は上司も実装済み。
そうですね。
上司が弱すぎるのがもったいないなと思ってたので、上司がプレイできるようになればその問題は解決ですね。
しばらくは定時退社オンラインを完成させるのが目標なので、早めに上司は実装したいと思います。
完成したらまたしっかり宣伝していこうとも思っています。
上司の実装は楽しみにしてますw
日報はこだわって30~40くらい作った
あと色々と小ネタを入れてるので、そこで共感してもらえるようにというのもこだわりですかね。
それについて個人的に絶対聞きたかったことがあって、日報の内容ってあれいくつくらいあるんですか?
日報は30~40くらいあって。
やっぱり!
結構やったんですけど、かぶることがなくて凄いなと思ったんですよ。
しかもどれも面白くて。
嬉しいですw
そこをちゃんと見てもらってたのは。
なんか独白してましたよねw
元いた会社で日報の文化があったので、それが活きたかもしれないです。
ゲーム制作は父親の影響
ゲーム作りを始めたきっかけってなんだったんですか?
父親が凄いゲーマーだったので、その影響は強かったかもしれないです。
ドラクエⅢとかギャラガとか一緒にやってたので。
親がゲームやってると影響大きそうですね。
そのあとプログラミングを勉強したいと思ってたので、大学の時にプログラミングサークルに入ったんです。
それでゲーム作るようになって、結構簡単に作れるなという風に感じたんです。
作るようになったのは大学からなんですね。
そうですね。
それでゲーム系の会社を目指そうかなと思って探したりして。
大学ではどういうゲームを作ってたんですか?
大学のときはリリースとかはしてなくて、作って動けば楽しかったです。
唯一完成させたのは島根県のプログラム合宿で作って発表した「進撃の砂場」っていうシューティングの作品ですね。
遊んでみたかったですw
五七五オンラインの元はChatPad
次は五七五オンラインについてお聞きします。
凄く斬新なゲームでしたが、どう思いついたんですか?
2015年の社会人2年目から定期的に個人でゲームを作るというのをやってて、2018年の夏に新しく何か作ろうと思ったんです。
それでコミュニケーション系で面白いのを作りたいなと思って。
コミュニケーションできるものとして考え始めたんですね。
そんなサービスがあったんですね。
今も稼働してるんですけど、チャットルームに入ると誰かが勝手に入ってきて、プロフィールとか何もなしで会話が始まるんです。
いつでも出てってOKだし、誹謗中傷や下ネタ以外なにしゃべってもよくて。
なんとアバウトな。
それに中高くらいの時にハマってたんです。
でもチャットって終わりがなくって、気分で退出するとか嫌だったんです。
それをなんかうまいこと出来るやつないかなって考えてて。
終わりがないのはきついですもんね。
それとは別に俳句とか川柳って面白いなって思ったので、組み合わせたら面白いなって。
それで出来たのが「五七五オンライン」なんですね。
マッチングシステムと五七五を交互に詠みあうというところが凄く良く出来てると思いました。
良かったですw
そう言ってもらえると嬉しいですね。
いやー面白かったですよ!
こんなに奇跡ってしょっちゅう起こるんだっていうくらい、面白い俳句が出来るのでハマってましたね。
意外と敷居低いんです
制作にはどれくらいかかったんですか?
10日ぐらいですぐ出来てしまったんです。
土日にガーーって一気にやるのを数週間繰り返して、実働10日くらいでしたね。
めちゃくちゃ早いですね!
プライベートでも仕事でもリアルタイム通信のものを作ってたので。
なるほど。
ではノウハウがしっかりあったんですね。
個人開発者でここまでオンラインがしっかりしたのってあまり見ないので貴重ですね。
でも意外と敷居低いんですよ。
複雑なものだともちろん難しいんですけど、リアルタイムで通信するだけなら簡単にできちゃうので。
ハードル高いイメージありますけど、作ったら簡単なんですね。
最近はいい個人向けのツールもあるので、競合増えるのは怖いですけどおすすめですw
累計5000万句以上
人気が出てからは人が殺到して大変だったと思うんですけど、実際どうでしたか?
大変でしたね。
最初のリリースして数日までは自分と友達くらいしかいなくて。
マッチングしたらまたお前かってなってたんですよ。
それで「人いないね」「うるせえよバカ」「がんばれよ」みたいなやり取りばっかりしててw
ありそうですねw
そうやってたらねとらぼさんが記事にしてくれて、そこからポッキーさんやはじめしゃちょーさんとかYoutuberの方が動画にしてくれて。
錚々たるメンツですね。
そうなんです。
でもその当時のサーバーとか格安のプランでやってたんで、同時接続100人くらいしか出来なくて。
そこをユーザーさんに合わせてどんどん拡大しないといけなくて。
1週間で10万句読まれたって書いてましたよね。
そうですそうです。
今累計でも5000万句超えてます。
凄いですね!
ちょっと膨大になりすぎて怖いですけど。
そうですね。
維持費が結構w
マックスで1日何人くらい遊んでたんですか?
ちゃんと計測はできてないんですけど、ほんとに凄いときは1日で数十万はいってたと思いますね。
とんでもないですね!
はじめしゃちょーさんが動画にしてくださったときは凄かったです。
よくはじめしゃちょーさんの動画を見てたので、そんな人が楽しそうに遊んでくれてて・・。
作ってよかったなって思いましたね。
動画面白かったですね!
そりゃー「はじめんとマッチングしました」って出たら反応するよなって。
しかも本当に本人だしw
初恋の人とマッチングしました
自分も名前で遊んだりとかしてましたね。
名前を初恋の人にしたら、「初恋の人とマッチングしました」って出るので、だいたい出だしが「久しぶり」「好きでした」とかになってw
名前がお題出しになってることってありますよねw
そういう遊び方もあるのが凄い秀逸なゲームですよね。
上の句とか完全に引っ張られちゃうんですよね。
確かに毎回似たような上の句になるので飽きて変えましたねw
そこは1個反省点があって。
遊び方がワンパターンになるのをなんとかしたかったんですよ。
確かにしばらくするとやり尽くしたように感じました。
そうですよね。
知らない人とマッチングして俳句を詠むっていうコアな部分が最初で達成できちゃったので。
次「新しい体験を」っていうときに思いつかなくなっちゃって。
Lemonの歌詞と野原みさえ
ちなみに投稿された俳句って見てるんですか?
見てますね。
最初はむしろみんなの俳句を見たくって作ったので。
自分でも詠みたかったし、他の方のを見て笑おうっていうのが作ってるときのモチベーションでした。
印象に残ってる作品とかあります。
五七五になってないやつなんですけど、米津玄師さんのLemonの歌詞を使ったのがあって。
どういうのですか?
まず名前がLemonなんですけど、「あの日の悲しみさえ」「あの日の苦しみさえ」ってきて、最後が「野原みさえ」で終わってて。
しっかり韻踏んでるのが素晴らしいw
あれは見た時、全然五七五じゃないんですけど面白いな~って思いましたねw
相手からこれが返ってきたら笑うでしょうねw
こういう面白い人の作品が見れたときは作ってよかったなと思います。
その返しは凄いっていうのがあるのが楽しいですよね。
プロの方いますよね。
いますいます!
最後きっちり締めてくれると、ほんとに気持ちいいんですよ。
相手にめっちゃグッジョブします。
ヤバイやつとマッチングするのもオンライン
五七五オンラインで困ったことはなにかありますか?
大変なのは報告への対応ですね。
ユーザーさんからいろんな報告もらって対応するんですけど、悪質なユーザーにはマッチング出来ないようにしたりとか。
時々報告見てますか?とか言われたりするんですけど、ちゃんとやってますw
悪質なユーザーってどういうのですか?
結構下ネタとか口説こうとしてる人もいるんですよ。
そういう人いますね。
多いですよね。
「ねえ何歳」とか「なにしてる」とかしょっちゅういます。
下ネタの単語は制限できるんですけど、問いかけとかは仕組みではなかなか難しいのもあって。
でもあれはあれで醍醐味な気もしますけどね。
個人的にはそういうのも楽しんでます。
そう言ってもらえるとありがたいです。
あんまり多いと良くないんですけど、たまにはそういうヤバイやつとマッチングするのがオンラインの面白さでもあるかなって。
自分もそう思います。
小さなことでも意見いただけたら嬉しい
最後にユーザーさんへメッセージをお願いします。
普段遊んで頂いて本当にありがとうございます。
これまで会社に勤めていたので本業と半々だったんですけど、今は独立したので今後1本でやっていきたいと思っています。
要望とかバグ報告とかあればしっかり対応しますので、小さなことでも意見いただけたら嬉しいです。
しばらくは定時退社オンラインを完成させるのが目標で、上司側が実装できたらまたしっかり運用していこうとも思っています。
ちゃんとユーザーさんに価値を提供できるものをしっかり作っていきたいのでこれからもよろしくお願いします。
あともしこの記事を読んで五七五オンラインや定時退社オンラインのようなゲームを一緒に作ってみたい、と興味が湧いたデザイナーさんがいましたらぜひご連絡ください!
オンライン部分の話とかなかなか聞けないので勉強になりました。
これからも魅力的なオンラインゲーム期待してます!
本日はありがとうございました!