今回はストアランキングの総合1位を獲得した大ヒットアプリ「再現CGメーカー」を3人で作り出した制作者の西尾さん、本村さん、渡邉さんにインタビュー!
鎌倉での制作合宿や操作性のこだわり、無風からの驚きのバズ体験などヒット作の裏側について当時を思い出しながら語っていただきました。
目次
3人で初めて作ったのが再現CGメーカー
それでは皆さんの自己紹介をそれぞれかんたんでいいのでお願いします。
私がアプリの開発兼企画をしてます西尾と申します。
開発に関してはアウトゲーム周りを担当していました。
エンジニア兼デザイナーの本村です。
シーケンスとフレームワーク、あと全体のデザインを担当しました。
エンジニアだけやってる渡邉です。
「だけ」www
1泊2日の合宿で一気に6割出来ました
3人でやろうとなったきっかけはなんだったんですか?
私が思いついた企画があったんですけど、一人でやるにはボリュームが多くて。
元々ツーカーの仲だったんで一緒にやらない?って企画話したらいいねって言ってくれたので結成をした感じですね。
なるほど。
それで持ち込んだ企画が再現CGメーカーだったと。
そうです。
原案は自分が作ったんですが、その後2人からも意見を聞いてブラッシュアップしていきました。
去年の夏に発足して、最初に鎌倉で合宿をしたりして一気に6割位は作り上げました。
どれくらいの期間合宿したんですか?
1泊2日です。
えっ?
1泊で6割ですか?
そうですねw
それで6割ということは2日でだいぶ形になるところまで出来たんですか?
実は2日じゃないんですよね。
2日目も頑張ろうと思ってたんですけど、鎌倉の誘惑に負けちゃって。
ちょっと観光して帰るっていうw
それは鎌倉なので仕方ないですねw
でも1日で6割進んだんなら十分ですよ。
ほぼほぼベースは出来てて、残りはオブジェクトをどれくらい増やすとか操作性をどこまで向上できるかとかでしたね。
確かに内容はシンプルなゲームですもんね。
それでも話だけ聞くと1日で6割というのはびっくりしますね。
ただその6割完成した後が長いんですよ。
残り4割が半年くらい。
4割がだいぶ長いですねww
そういうもんなんですよw
そういうもんです。
3人ともモチベーションがシュッと消えて
1回頓挫しそうな時期もあったんです。
そうなんですか!
「これどうする・・」みたいな空気が流れてることもあったり。
3人ともモチベーションがシュッと消えてw
みんな「どうする?やる?」って。
完成させるまで長いと大変なんですね。
本業が忙しくなるとどうしても。
同じ会社だと全員忙しくなるんで。
3人同じ会社にいるせいで忙しくなるタイミングが同じになるんですよね。
皆さん同じ会社なんですね。
なので、やらない言い訳が全員一致しちゃうんですよ。
「今忙しいし」ってw
それは逆に3人揃ってたのはチームが崩れなくてよかったかもですねw
みんな忙しいって状況が理解できるでしょうし。
いかにシンプルに制約を設けるか
開発段階で印象に残ってることとかあります?
それはやっぱり最初の合宿ですね。
あとはリリース前に会社のオフィスでもやった合宿ですね。
直前に合宿してそこで大詰めするっていう。
合宿やるとやっぱり一気に進みますね。
ちなみに合宿って詳しくはどんな感じのことやるんですか?
鎌倉の時は民宿みたいなとこのロビーで。
パソコン開いてひたすらやりました。
電源を確保しづらい場所だったんで交代交代に充電したり。
マジですかw
俺充電できたから次このPCでいくわって。
そんななかで全体のベースがほぼほぼ出来たんですねw
最初に仕様を話し合って。
もう担当を決めちゃってじゃあ実装しようってバーーーっと一気に実装して。
なんかボツになったアイデアとかありました?
寄り道とか。
いや、特にはないですね。
なにもブレずにいきました。
でも絶対にブレさせたくないコンセプトはあって、そこからズレないようにだけは気をつけてました。
こだわりはありましたね。
ちなみにこだわりはどういう部分ですか?
一つはいかにシンプルにするかでした。
制約が大事だと思っていて、作り込んだらいくらでも凄いツールになるんですよ。
でもやりすぎると使えるユーザーは限られてくるので。
いかにシンプルに制約を設けるかというとこを気をつけてましたね。
確かに。
こだわればプロのツールみたいに細かく設定できるようにもできそうですね。
実は手の動きとか細かく調整できるようにすることも出来たんですけど、それをやってしまうと難しくなっていってしまうので。
考えた結果、決められた形・決められたポーズを選んでもらうようにしました。
ではああいうポーズがいっぱいある中から選んでもらうというのは最初の方から決まってたんですね。
そうです。
あとはまあ、そもそも3Dデザイナーがいないというのもあってw
なるほどw
だから有り物で戦うしか無いっていう。
用意できるのが決まりきったものしかなかったので、そもそもそういう土俵で戦おうと決めました。
制作の制約ともシンプルにという制約にもマッチしてたのでこのまま進もうと。
何言ってるかよくわかんないけど、とりあえず作ってみようかな
アイデアは西尾さんからということでしたが、おふたりは最初再現CGメーカーのアイデアを聞いてどう思ったんですか?
『あ、面白そう。』
『何言ってるかよくわかんないけど、とりあえず作ってみようかな』ですね。
何言ってるかよくわかんないけど作ってはみたかったんですねww
とりあえず作ってみてから考えたいんですよw
企画だけだと良し悪しがよくわからない人間なんで。
なるほど。
ちなみに作ってみて良し悪しはどうでした?
作った後もよくわからないって言ってたよね。
アプリを作ってみてもわかんなかったけど、実際に作品とか作っていくと面白いなこれって感じました。
徹底して操作性にこだわった
開発で大変だったのはどういうところでしたか。
操作性が一番ですね。
そこは本村が苦労されてたと思うんですけど。
自分はひたすら操作性をやってましたね。
スマホで3D空間に思い通りに物を置くのって普通の人ならかなり難易度が高いことなので。
そこをいかに気持ちよく動かせるかというところをずっとやってましたね。
それがあの矢印で縦と横と奥行きから選択して動かすやつですね。
そうです。
矢印とか回転とか。
回転とかもスワイプで自由に回すか、ポチポチって押して決まった角度回転するようにするか、両方実装して試したり。
最初はプロのツールみたいに細かく出来るようにしてたんですけど。
それだとやっぱりきついってなって。
角度とかは押したら一定量回転する方がいいだろうってなって。
なるほど。
ユーザーが誰でも簡単に扱えるというところを重視したんですね。
我々は3人とも前職も一緒なんですけど、そこでソーシャルゲームを作ってたんです。
なのでユーザー目線で見て考えるのは意識してる方かなと自負してて。
1度経験してると違いますよね。
ユーザー目線で考えて実装したものでこれは良かったっていうのはあります?
複製機能はリリース後にすぐ実装しました。
あとシェア機能ですかね。
拡散するっていう一連の体験として、シェアまでの流れを作れるようにしましたね。
再現CGメーカーはシェアしてなんぼのツールなので。
たしかに。
あれはシェアするためのツールですね。
表現方法の新しい手段を作ったのかなと
買い切りにしようとは思わなかったんですか?
そういう声はあったんです。
実は3Dモデルがグチャッと壊れたり、アゴが凄い長くなったりと製品としてはまずい部分も結構あって。
買い切りにしちゃうとそのへんの品質を担保しないといけなくなるんですけど、本業ではないのでユーザーさんにちゃんと向き合うのは難しいと思ってやらなかったです。
なので無料で配信するという風にしました。
ちなみに合計ダウンロードはいくつくらいだったんですか?
たぶん当時で両OSで合わせて50万DLいってたと思います。
すごい数ですね!
50万DLあれば普通だったらもう引退するくらい儲けてると思うんですけど。
まあ最初ユーザーさんに楽しく使ってもらいたいっていう思いがあって、マネタイズは強くしてなかったんですね。
それがあったから広がったかもしれないですし、ただそのせいで収益が全然だったというのがリアルの話です。
そうなんですよー。
ほんとに残念でしたね。
とはいえプライスレスないいことはいっぱいありましたね。
取材もそうですし、テレビで使っていいですかとか、貴重な経験は色々できました。
ダウンロードで50万だと、知ってる数は下手したら500万人とかいってるかもですね。
そういうなかなか出来ない経験をさせてもらえましたし、ユーザーさんに広がっていくのをみれたのも嬉しかったです。
なんでしょうね・・・「こう使ってほしいな」が、ほんとにそのまま広がっていったていうのは達成感がありましたね。
私が絵をかけない人間なので、こういう場面を見せたいって思ったときに表現できるツールとして使えるみたいな。
表現方法の新しい手段を作ったのかなっていう・・ちょっとオーバーに言うとですけどw
いや本当にそうだと思います!
これいらすとや並の発明かなと思いましたもん。
こんなニュースで使われそうなクオリティの高いものが誰でも簡単に作れて、面白い状況や特殊な構図が再現できるのは凄いなと思いました。
リリースしてみてこれ嬉しいなと思ったのは、自分たちが作ったアプリで作った画像でバズる人がいて。
そういう手助けができたというのは嬉しいなと思いました。
どうやったらこんな発想できるんだ
たくさんの投稿がTwitterにあがってましたが、何か印象に残っている作品とかありましたか?
使い方としては想定してる楽しみ方をしてもらえたんですけど、ここまでやるかっていう人もいて。
北斎の富嶽三十六景の波を表現してくれてる人がいたんですよ。
富嶽三十六景ですか。
人が青いじゃないですか。
それをたくさん組み合わせて波に見立てて。
あーーーー!
どうやったらこんな発想できるんだみたいなw
それは凄いですね。
あと影でいろんな表現する人も結構いましたね。
影が調整できるのは凄いなと思いましたね。
3本指で照明の当て方を変えれるのは凄くやりやすかったです。
ありがとうございます。
それはこだわったところなので嬉しいです。
ただ頑張ってやりやすく作ったとはいえ、初めて触る人にどれだけ理解してもらえるだろうというのは不安でしたね。
実際最初の頃は「難しい」「わからない」っていう声もあって。
いきなりは難しいかもしれないですね。
いろんな作品が投稿されて、こういうのが出来るんだっていう前提が出来たので使ってもらえるようになったんだろうなと思います。
マネタイズはやっておけばよかった
後悔してることはありますか?
マネタイズの部分です。
そこしかないっすね。
マネタイズですね。
相当悔やんでますねw
広告会社さんからもなんてもったいない掲載の仕方してるんですかって言われましたね。
広告も軌道になったらちゃんとやろうと思ってたんですけど、伸び方が一気にバン!って上がったので。
そうだったね。
そこが急すぎたんですね。
バズるきっかけはあるTwitterの投稿
バズる速度は想定外でした。
最初はほんとにチョロチョロだったんですよ。
それでバズらないからもういいやだったんですよ。
そうそう!
そうだったんですか。
出して2ヶ月位は無風だったんですよ。
それでまあこんなもんかって。
自分の計画だとバズると思ってたけどバズらなかったな・・と心折れて放置しかけた頃に、急にTwitterでバン!って伸びて。
2,3日であれよあれよとストア1位になってる状態だったんです。
なるほど。
ちなみにTwitterでバズったっていうのは有名な方がつぶやいてくれたんですか?
最初のツイートをしてくれた方は、おそらく一般の方だと思います。
ネタも我々にはよくわからないものだったんですけど、再現CGメーカー楽しいとつぶやいてくれた作品があって。
「レベル35で覚えた」等と供述というものだったんですけど、その界隈ではあるあるみたいなことだったらしく。
きっかけのツイートはこちら
へー。
その方がツイートしてくれた後に、使い方もツイートしてくれてて。
Twitterでバズったあとはネタ画像を投稿してました。
Youtuberの方も動画投稿してくれてましたけど、その影響はどうでしたか?
そこは正直ストア1位になってからはわからない状態で。
まじですか!
Youtuberさんの影響がわからないほどっていうのは凄いですね。
まったく無風の状態が続いて・・
バズった時はどんな気持ちでしたか?
正直実感はなくて。
自分は仕事できなかったですね。
ずっとTwitter見ちゃいました。
Twitterの通知がやばいんです。
ほんとに止まらないんです。
自分はすぐに通知切りましたけど、本村さんはずっとオンにしてましたもんね。
もうずっと通知が流れ続けてて。
本当に通知がすごかったです。
自分が最初見たときの印象ってこれめっちゃ面白いやつだ!って感じだったんです。
なのに最初の頃は流行らないというのは運も大事というか、色々と難しいんだなって思いますね。
作ってるとほんとに感じるんですけど、人に知ってもらうのは本当に今難しくて。
めちゃくちゃレッドオーシャンなんでアプリ業界は。
リリースした後しばらくはまったく流行らなくて。
バズるまではこれ世の中には受け入れられないものだったんだなってへこんだりもしましたね。
当初の目論見はどんな感じだったんですか。
出して。
即面白い人が見つけて。
バズる。
っていうのが理想の想定でしたね。
ところがまったく無風の状態が続いて・・。
長かったですよね。
面白いことに敏感な人達がすぐに拡散してくれるだろうって楽観的に考えてましたね。
自分がもし作っても同じこと考えたと思いますね。
早いものがちだぞ!くらいにw
ほんとにそれくらい自信満々だったんですけどねw
Unityのゲームエンジンの画面にそっくり
再現CGメーカーはテレビの再現CGの仕組みを参考にしてる部分もあるんですか?
実は再現CGの画面っていうのが、Unityというアプリ開発などに使われるゲームエンジンの画面にそっくりなんです。
操作性とかも似通ってて。
そうなんですねw
それは一般ユーザーは全然わからないですよね。
完全にニュースで見たあれだとしか思ってなかったです。
そうですよね。
ただわかる人にはあの画面だって思われてたでしょうね。
リリース当初に、アプリ開発者からは「まんまUnityじゃん」ってw
完成度は120%
リリースしたときに完成度としてはどれくらいの状態だったんですか?
8割ぐらいですね。
もう出し切らんとこれは世に出ないかもって。
8割ぐらいまで作ると全く進まなくなるんですよ。
なるほど。
なのでここは全部切ってもうリリースしよって感じで出しましたけどね。
詰め込みたくなっちゃうんですよね。
あれも入れようこれも入れようってなって。
そうですね。
どうしても完璧主義的なところが出てきてしまうので。
おしり決めて、もうここでリリースするぞ!って。
なるほど。
ちなみに残りの2割の中で一番実装したかったものは何だったんですか?
複製機能とあと反転とか。
入れたほうがいいとは言ってたんですけど、デザインどうしようかとか悩んで進まないので「一旦なし!」って言って。
そうだったんですね。
それらはあとで実装されましたもんね。
今はもう100%ですか?
当初予定したものは全部入れきっちゃったし。
入れきったね。
かつプラスプラスで盛っちゃってるから、120%くらいになってるんじゃないかな。
えっ?!
クオリティはともかく機能面はそうですねw
ただ当初のシンプルっていう目標はあったんで20%超えちゃってるのはいいのか悪いのかわからないですね。
やっぱ作った人から話聞くとそういうとこ面白いですねw
20%超えちゃってるとか考えてるとは思わなかったです。
新作は〇〇メーカー!
今は次回作を作ってらっしゃるとか。
タイトルは〇〇メーカーなんですけど。
あるものを簡単に作れるアプリです。
あっ!
これは〇〇が凄い簡単に作れますね。
なるほど、わかりやすいし使いやすい!
ちょっと〇〇メーカーシリーズで攻めていってみようかなって。
限られた制約の中で大喜利をするっていうのが肝です。
センスある人がやったら面白いものが出来る気はしますね。
リリースはどれくらいを目指してるんですか?
本来ならもうリリースされてるはずだったんですけどね。
今週から本気だすぞって4回くらい号令かけて誰も何もしないっていう。
今7割くらいまできてますかね、
わかりましたw
完成した〇〇メーカーがどうなるのか楽しみにしてます!
新しいゲームを用意してますのでご期待ください!
では最後に再現CGメーカーを遊んでくれたユーザーにメッセージをお願いします。
月並みなことですけど、再現CGメーカーを遊んでくれて本当にありがとうございますということしか出てこないですね。
現状放置モードなので、今申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ新しいゲームを用意してますので、ぜひ次回作にご期待ください!
ぜひ新作はマネタイズもしっかりとw
本日はありがとうございました!