『株式会社アプリボット』は、「神式一閃カムライトライブ」や漫画RPG「ジョーカー~ギャングロード~」(以下、ジョーカー)を提供しているゲーム会社だ。
「ジョーカー」は、漫画とバトルを融合させたアプリで、魅力的なイラストが多いのも特徴の一つだ。
漫画は「ジョーカー」のホームページ内でも楽しむことができるため、興味がある方は是非閲覧して欲しい。
また、同社が開発した「グリモア~私立グリモワール魔法学園」(グリモア)は200万DLを記録し、メガヒット作となっている。キャラクターと疑似的に交流できる独自のシステムが、ユーザー層から熱く支持されている作品だ。
今回は本作プロデューサーの佐藤氏に普段聞けないことを直球で伺ったので、じっくりとご紹介していきたい。
なお今回のインタビューの模様は、全2回に渡ってお届けする。(後編はこちらから)
目次
初めは全然違うゲームシステムだった!?リリース直前で大幅変更!
――「グリモア~私立グリモワール魔法学園~」を作ろうとしたきっかけは?
佐藤氏:
「グリモア」は元々とGVG(ギルドとギルドで戦うゲームシステム)というゲームスキームでモチーフをいくつか変えて展開しようという会社の戦略が決まったことから始まりました。
それが「ジョーカー~ギャングロード~」や「グリモア」になります。
――すごいですね…!全然中身が違いますよね。
佐藤氏:
もともとはGVGとしてスタートして、恐らく開発をはじめて半年ぐらいで変更したと思います。
――内容はダーク寄りな印象を受けます。
佐藤氏:
そうですね。結構シリアスな展開と戦う要素が入っています。元々はギルドバトルを行う前提で作っていました。
それを、制作途中で今のスキームに作り替えました。もうほぼ、リリースできる状態だったんですが、そこから4カ月ぐらいかけて作り変えました。
――何があったのですか?
佐藤氏:
女の子同士戦わせることにどうしても違和感がありました。リリース間近になり、改めて議論した結果「やっぱり、女の子同士は戦わないだろう!」となり、スキームを変えました。
大幅変更には追加で4か月、出せるものを作り直すというのはなかなか辛かったです…。
ーー先にリリースしたタイトルの動きを見て、次作は作り変えよう!と言う判断でしょうか?
佐藤氏:
どちらかというと女の子同士が戦っているゲームで売れているものはほとんど存在していなかったこともあり、じゃあ違うゲームスキームにしようとなりました。
――それは佐藤さんから提案した内容なのでしょうか?
佐藤氏:
はい。私が初期からプロデューサーとして入り、その後GVGを完成まで作り上げました。
でも、やっぱり違うよねと不完全燃焼になり社長にお願いをしました。「もう4カ月間だけ時間をください」と言って、全部作り替えて出しました。
――それはかなり辛かったのでは?
佐藤氏:
つらかったです、もう出せるのに…。笑
――作っている時に分かる部分だと思うのですが違うのでしょうか?
佐藤氏:
違和感を感じてはいたのですが、作り終えた後でもその違和感がぬぐえなかったのが変更をする決め手でした。
イラストも大幅修正。今見返すと全然違います…汗
佐藤氏:
大幅変更をした期間で、イラストも全部変えたんです。
―― 1番お金が掛かるのでは?
佐藤氏:
クリエイティブディレクターが判断して対応しました。ゲーム画面も、絵も全部刷新しました。
今のイラストはとても可愛いんですけど、昔のイラストはたまにチーム内でも話題にあがります。「昔の岸田 夏海はこんな感じだったんだ汗」みたいな。
――この話は表に出ているのでしょうか?
佐藤氏:
事前登録サイトで昔のイラストは既に出ていました。リリースを1月か2月ぐらいにしようと思っていたので、1月ぐらいから事前登録サイトがそのイラストで出ていました。
それを知っているお客様には「昔の絵ってこんなだったんだよ」と今でも話題に出してくれる方もいます。
――なぜ今のゲームに変えたのでしょうか?
佐藤氏:
開発中、「なにを強みとして作っていくんだ」と、色々話が上がりました。話し合った結果、ストーリーがすごく大事だとなり、ストーリーを基本軸にした設計を今までのゲームスキームに追加しました。
毎月必ずメインのストーリーが追加されて、それに応じて月初のイベントが連動していく。当時、そんなしっかりとしたストーリーを丸々1本提供する様なものはあまりありませんでした。その当時でいう目新しさみたいなものは、強みとしては作れたのではと思っています。
――ストーリー追加型のゲームがあんまりなかったんですね。
佐藤氏:
あったんですけど、イベント単体で成立するストーリーのものが多かったですね。
――読み切りのような。
佐藤氏:
そうです。「グリモア」の場合は全てのストーリーが繋がっているので、1本の物語をずっとゲーム運用と共に表現していく。今は結構スタンダードなんですけど、昔はあまりなかったんです。
未経験からスタート、デバッグ業務からプロデューサーへ。
――もうずっと、サイバーエージェントにいらっしゃるのですか?
佐藤氏:
そうですね。ゲームをつくり始めたのは、このグリモアをやる1年ぐらい前からなので、現在6年目ですね。
――未経験でゲームづくりに挑戦をしたのですか?
佐藤氏:
そうです。初めはプランナーやデバッガーとして挑戦させてもらいました。様々な経験をした後、元々プロデューサーをしたいという希望もあったので、プロデューサーを既存の運用タイトルで担当させていただきました。
――デバッガーもされていたのですか?
佐藤氏:
2010年にサイバーエージェントに新卒入社した当初は、タレント関係やエンタメ事業に携わっていました。
そこから、ゲームが作りたくてアプリボットに異動しました。ゲーム全体のことを理解するために、最初はデバッグから担当しました。
――アプリボットにいらしたのは何年になりますか?
佐藤氏:
2012年の9月ぐらいです。1年間ぐらい運用を担当して、2013年の10月頃から「グリモア」の開発を始めて、翌年の8月にリリースしました。
――なぜゲーム事業に興味をもったのですか?
佐藤氏:
ゲーム市場はかなり大きかったので、大きな市場で挑戦をしたかったということと、元々もの作りがすごく好きだったので、インパクトのある事業で且つもの作りができると考えた時に、やはりゲームが一番だったんです。
――ダイナミックなビジネス、って感じですね。
佐藤氏:
ただ、ゲームをやってみて、生半可なものでは無いとすごく感じました。お客様の熱量は本当にすごい。中途半端な覚悟じゃ続けていけない。
でも、すごく面白いんですよ。ゲームには、「モノづくり」の最高峰の面白さが秘められていると思っています。
運営で気をつけているのは、常に話題を提供すること。
――運営していく上で気をつけている部分はありますか?
佐藤氏:
基本的には、SNSなどインターネット上で盛り上がるように話題をちゃんと提供できているかどうかを気にしています。
――話題の提供というと?
佐藤氏:
例えば、ゲーム内で展開しているストーリなどがちゃんと話題になっているか。または、新しい機能を入れて、その機能がこれは良いアップデートだよねとなってくれればそれも話題になると思っています。
ライトノベルやキャラクターソングなど、お客様に提供したものがしっかりと話題になっているかを気にしています。
――なるほど。評判になるくらいということですね。
佐藤氏:
基本的に、美少女系のタイトルは競合が沢山います。常に話題が提供されていないと飽きてしまいます。なので、例えばですが「グリモア」ではエイプリルフールにも運営が自分たちで楽しみながら全力を出して取り組んでいたりします(笑)。
そういったひとつひとつのイベントの内容から、お客様に面白いと感じてもらい、だから「グリモア」をプレイし続けたいと思ってもらえることがとても大事だと思っています。
第2回へつづく。