韓国発の新感覚RPGであり、ユーザーから圧倒的人気を誇っていた「エラキス」。
「エラキス」といえば、さまざまな固有スキルやサイコロの種類、二種のチャージスキルなどの組み合わせによる高い戦略性と、すごろくという理解しやすく、また絶妙なバランスで設定された運要素が組み合わさった「ダイスRPG」であるが、その進化版とも言える「Lord of Dice」が日本での配信目前となっている。
「Lord of Dice」では、前作を上回る豊富なコンテンツ量、グラフィックスを実現しており、
入り込みやすいストーリーや直感的に理解できるゲーム進行はライトユーザーでも楽しめることは間違いない。
それでいて、前作の長所である高い戦略性は変わらず、コアユーザーも楽しめる内容となっており、まさに前作からの進化と呼べるだろう。
今回は、NGEL GAMESの社長であり「Lord of Dice」のディレクターでもあるパク・ジフン氏にインタビューすることが叶った。
▲インタビューを受けるパク氏
「Lord of Dice」の特徴や前作からの改善点、普段聞くことが出来ない開発者の前歴、開発における裏話などまで余すところなくお話を伺っていこう。
※パク氏は韓国語のため、通訳を介してのインタビューとなっています。
目次
日本や韓国では楽しみ方の傾向が異なる
――パクさんはどのコンテンツがお好きですか?
パク氏
自分の好みを言えば、ほかのユーザーと競争するPVPコンテンツのアリーナが一番好きです。
自分が戦略を生み出すっていう、自分の選択が戦略になるという強みを一番生かせるのはそのコンテンツだと自分は思いますし、戦略をみんなが自分で、それぞれの戦略を生み出すっていう仕組みを強化していく方向で今開発の方向性も固まっていますね。
でも実際韓国でのユーザーでの動向とか反応を見ると、やっぱりレイドとアリーナがあると、みんなからの意見は5:5なんですよ。
もう真っ二つに分かれるんです。
――じゃあ韓国ではみんな割とばらばらに遊んでいるんですね。日本人はどうだと思いますか?
パク氏
日本はどちらかというとPVPにハードルを感じるというのもあるので、レイドのほうにもう少し固まるんじゃないかなというのはあります。
でも、Lord of DiceのPVPというのはほかのPVPとは違う魅力がたくさんあるので、当時のエラキスよりは、今回のLord of Diceのサービスでは、PVPが好きなユーザーさんももう少し増えるんじゃないかなという期待を抱いています。
韓国のストアでランキングに入る程の人気タイトル
――今日来る途中にラインで韓国の友達に、Lord of Dice知っている?って聞いたら、すごいヒット作だよ、って教えてもらったんですよ。韓国とか台湾とか、日本以外のところでのサービスの状況はかなり好調なんですか?
パク氏
韓国の場合は、今年1月にリリースして5カ月目に入るんですけど、一時は韓国の売上ランキング20位まで行ったことあるんですよ。
やっぱり韓国も広告競争が激しい市場なので、こういうNGEL GAMESのような小さな会社が開発したゲームがそこまで行くのはすごい異例的なことだったんですね。
それで、今も好調なのは、韓国のグーグルプレイストアじゃなくて、あとアップルストアじゃなくて、他のストアがあるんですよ。
――他のストアってカカオの事ですか?
パク氏
いえ、カカオはストアではないんですよ。そういうのが全部集まっているプラットフォームで、ワンストアって言うんですけど、例えば韓国の、ソフトバンクみたいなキャリアの方が出したやつなんですよ。
そこにもリリースしていて、売り上げがそこにも少し分散されている感じはあるんですけど、全体的に見るとリリース当初とそこまで変わらない売り上げを今まで維持していて、結構好調ですね。
その他、香港と台湾にもリリースしているんですけど、そこでもランキング10位とか20位とかにもランクインして、韓国だけでなく世界的に愛されるゲームとしてやっていけるという自信をそこで持ちましたね。
日本でのLord of Dice配信の意気込みを語る
――各所で順調な売り上げなんですね。それでは、日本での配信についての意気込みはどうですか?
パク氏
さっきも申しましたように、初めてゲームを開発しようとした理由が、仲間と一緒にみんなで楽しむゲームを作りたいっていうのが大きかったので、韓国と台湾では実際にたくさんのユーザーさんに楽しんでいただいてます。
そして、日本は特別で、エラキスとして前もサービスしたことがある、初めて披露した市場です。
今回はより多くのユーザーさんから愛してもらえるよう、売上よりも、1人でも多くのユーザーさんにこのゲームを知らせたい、披露したいという気持ちがあります。
今はどうやったらもっと広くこれを知らせることができるかということを考えています。
独特のゲームが目立つ日本でも劣らないオリジナリティ
―― 日本のユーザーに特にここを注目してほしいというポイントはどこですか?
パク氏
エラキスを初めてリリースしたときにちょっと残念だったのは、韓国と日本って、ネットワーク環境もそうですし端末環境もそうですし、結構違うところが多いじゃないですか。
そういう技術というかインフラ的なローカライズをすることに注力して、そっちがより大事だと思っていたので、アップデートが遅くなることがあったのが残念だったんですけど、それ以来、1年に近い時間をかけて韓国とか台湾とかリリースしながら、もともと作りたかった企画的な面が今全部完成している状態なので、今が本当のLord of Diceだと思うんですね。
それを長年かけて協業してきた日本のパブリッシャーとのチームワークも今は自信もありますので、チームワークもゲームも全部そろった状態でも1回やれるっていうのが、ある意味新しい始まりな感覚です。
それで一人でも多くのお客さんが来てくれたら幸いですね。
――日本のユーザーに一言お願いできますか?
パク氏
日本というゲーム市場は一番独特なゲーム性を持ったゲームが一番出てくる、開発者としては非常に興味深くて、いつも楽しく見ている市場です。
でもLord of Diceもそれに劣らず、独特なゲーム性を持っていると自負できますので、今回来ていただいたお客さんにはそういう新しい体験をたくさんしてもらえるという自信があります。
ぜひ一度お試しいただければと思います。
Lord of DiceはエラキスにRPG要素が組み合わさった完成版
――ありがとうございます。それで、ここからの質問なんですけど、ちょっとネガティブな質問も入っています。ご容赦ください。
パク氏
はい、わかりました。
――まず、Lord of Diceは日本でリリースしたエラキスの新しいバージョンだと思いますが、今回再チャレンジということでしょうか?
パク氏
先ほども申しましたように、エラキスがLord of Diceになっているというのは確かで、間違いないです。
でも、エラキスのときは完成し切れなかったコンテンツが今は全部完成しているということです。
もう少し詳しく言いますと、開発元自体がPVPが好きなので、もともとエラキスっていう、今はLord of DiceっていうタイトルはPVPゲームとして開発をしていたんですね。でもやっぱり日本もそうですけど、大体今のユーザーさんってRPGに慣れているじゃないですか。
だからどうしてもRPG要素が欲しかった、それでRPG要素を開発してて、それが未完成だった状態がエラキスなんですね。先ほどのインフラ的な部分が整ってなくて、そっちに注力して、コンテンツとしてRPGの要素を完成し切れなかったんです。
それが、ここ1年間ずっと開発をし続けてやっと完成して、PVPとRPGがうまく溶け合っているゲームとして生まれ変わったので、ある意味今回正式にお披露目するっていう感覚ですね。
エラキスでの課題を生かし、コンテンツ同士の有機性を高めた作品になっている。
――エラキスは「未完成」という言葉が出てきましたが、見切り発車だったというか、作り途中で出してしまったというような感じなのか、それとも、スキルが足りていなかったというような感じなのか、どっちのニュアンスなんでしょう?
パク氏
表現が難しくて、どれなんだろうってずっと悩んでたんですけど、ある意味どれも当てはまるんです。
でも、完成できなくて捨てたっていうのもあれですし、スキルが足りていなかったという事もなくて、ただ、コンテンツ同士の有機性っていうのが足りてなかったんですね。
それぞれのシナジー効果と言いますか。そういう有機性、みんなが独立したコンテンツじゃなくて全てが関わっているじゃないですか。
――なるほど、少しバラバラといった感じがあったんですね。それはゲームのサイクルといった事でしょうか?
パク氏
サイクルですね。エラキスのときもそれぞれのコンテンツは楽しかったかもしれないですけど、それが全部組み合わさってなくて、これ一つのゲームなの?どうなの?っていう違和感があったんですけど、そういうのも全部ばっちり合わせてて、一つのゲームとしての完成度が高まっていると思います。
しかもコンテンツそれぞれのボリュームもさらにアップしていて、前よりはずっと楽しめるゲームになっていると思います。
――どうもありがとうございます。
(つづく)