全世界で1兆回遊ばれているゲームデベロッパーの日本支社「King Japan」【Kingインタビューその1】

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執筆者:編集部

スマホ普及の黎明期ともいえる2012年、忽然と世の中に現れた「キャンディークラッシュ」というスマホゲームを知らないアプリゲット読者はいないだろう。

独特の世界観解きごたえのあるパズルが特徴的で、またたく間に多くのスマホにインストールされていった。すでに、全世界で1兆回も遊ばれるという凄まじい実績を残しており、今なお多くのユーザに遊ばれている。電車に乗れば、誰かがスマホで遊んでいるのを目にするだろう。

このゲームを開発したのは、スウェーデンに本拠地を置く企業「King」。キャンディークラッシュ登場以前には、その名前を知っている日本人はほぼいなかったのではないだろうか?このタイトルのリリース以降、急速に成長を遂げ、2015年にはアクティビジョン・ブリザードに約7,000億円強で買収された。

そんな我々にとって謎の多い、世界的な大企業の日本のブランチが「King Japan」。代表取締役を務めるのは枝廣 憲氏。日本人だ。

世界的なトップゲームデベロッパーが日本の代表を任せる枝廣氏とはどのような人物なのだろうか?そして、King Japanはどのようにして、Kingのタイトルを日本で展開しているのだろうか?

都内某所にある隠れ家的なオフィスにお邪魔して、お話を伺ってきた。

全6回に渡って紹介していく本インタビュー。第1回目は世界的なゲームデベロッパーKingにおける日本支社の役割などを中心に伺ったお話をご紹介していく。

本インタビュー記事全6回は、2/17~22の間、毎日12時に更新!

スタジオ13箇所、従業員2,000人以上の欧州の巨大エンタメ企業

――King本社の規模はどのくらいでしょうか?
枝廣氏:
2,000人います。大きく動いているスタジオがヨーロッパに10箇所、中小規模のスタジオも合わせると13箇所になります。基本はヨーロッパで開発しています。

――Kingの会社としてのテーマやコンセプトはありますか?
枝廣氏:
ユーザーさんに対してストレス負荷の少ないカジュアルエンターテインメントをゲームとして提供している会社です。

ユーザーの皆様に楽しい体験をお届けすることをコンセプトにしています。

200以上のコンテンツから、どのタイトルをいつ日本でリリースするのかをハンドリング

――「King Japan」の日本展開は具体的にはどのような業務ですか?
枝廣氏:
色々なことをしていていつも説明が難しいのですが…大きく分けて3つです。

1つ目は戦略策定、いつどんなタイミングでどんなゲームを出していくかどんなプロモーションをしていくのかを考えていきます。

2つ目はローカライズですね。200以上のコンテンツがありますのでその中からどのタイトルをリリースするのか考えていますね。

――その判断は日本支部にすべて委ねられているのですか?
枝廣氏:
たまにこちらがNGだと思っていてもリリースして欲しいと言われるタイトルはありますが、そこは断固として断ります。逆も然りですけどね。(笑)

例えば、2014年に「パパピンボール」というタイトルを日本で先行リリースしました。

このタイトルは日本のユーザーさんが慣れ親しんだ落ちもの系ゲームだったので出すべきだと。

3つ目はTVCMに代表するようなマーケティング。これはオフラインもオンラインも両方とも実施しています。あとは市場の調査ですね。PRや今回のインタビューも含まれます。

弊社のPR担当は、弊社に入ってからwebのコーディングも勉強してホームページの運用もおこなっていますよ。(笑)

――コーディングまで!?外部には任せないのですか?
枝廣氏:
自分たちが運営を行ったほうが、スピード感も上がりますし、スキルとして身につきますからね。ただまだ覚えたてなので、わからなくなったら外部の人に相談します。(笑)

現在、一人前と三人前の中間を行ったり来たりしています。

一同:(笑)

あれだけTVCMを打っているのに、6名の組織だった。

――「King Japan」では何人が働いているのですか?
枝廣氏:
6人です。

――簡単に役割分担を教えていただけますか?
枝廣氏:
いい質問ですね。少ない人数でやっている分、それぞれの役割がクロスオーバーしています。

さきほどWebのコーディングを勉強中と申し上げたPR担当は、去年日本マクドナルドさんとコラボを行ったときはプロジェクトマネジメントをしてもらいましたし。

TVCMを始めとするオフラインのプロモーションやコンテンツで行われる独自のローカルイベントなどを担当しているものもいます。

職能で分かれているというよりも、プロジェクトを分担して行なっています。

――エンジニアはいらっしゃいますか?
枝廣氏:
広い意味ではいますね。

コーディングを行ったりはしませんが、手を動かす手前の段階まで行います。

――会社内はどのような雰囲気ですか?
枝廣氏:
社長ですけどいじられていますからね…昨日も太ったと言われました。(笑)

そういった意味では風通しはとても良いと思います。

僕の娘が来週生まれるですが、社員皆さんの給料を自分が管理しているので、お金持ちだと思われているのか娘のことをマネ子ちゃんという名前つけて呼んでいるんですよ。(※インタビュー後、元気な娘さんが生まれるとのことです。おめでとうございます。)

「マネ子ちゃんもうすぐ生まれますね」とかLINEで。(笑)とにかくみんな仲は良いです。

ゲームの世界観を彷彿とさせるポップな内装のオフィス


――オフィスの内装がポップな作りになっていますが、海外も同様でしょうか?
枝廣氏:
もちろん、海外も同様です!

働く場所をファンプレイス、楽しめる場所にしようねという考えは全社あります。

日本においてはまだ大きな会社ではないので、個人的に家みたいな場所にしたいなという思いがありますね。

――オフィスに関して困ったことはありますか?
枝廣氏:
オフィスとして発見されづらいことですね。

前のオフィスは本当に発見されずに通り過ぎる人が多かったので、家っぽくしすぎたかなと思いました。

なので今回はガラス張りにして外からも見えるようにしました。(※ガラス張りで、King社のロゴが通りから見える)

オフィスビルだったら、看板が出ていて何階だねってわかると思うのですがオフィスビルだと窓も開かないし自由がきかないので…。

看板の代わりに、入り口にはキャンディークラッシュのカラーボムが置いてあります。(笑)

――駅からの道々に、点々とカラーボムが置いてあったらわかりやすいかもしれませんね。(笑)
枝廣氏:
分かりました、今度駅からカラーボムを置いておきます(笑)

海外との綿密なやりとり。全社員で年10回の海外出張

――海外とのやり取りはどのようにおこなっているのか?
枝廣氏:
大きく分けて2つです。実際に行くのと、webを通しておこなうテレカン(電話会議)です。

今も1人本社に行っていて、大体年間10回くらい全社員で海外にいきます。

――枝廣さん自体は英語堪能なのでしょうか?
枝廣氏:
もちろんペラペラです!…と言いたいところですが30歳になるまで日本から出たことなかったのです。

なので、英会話となると、英語ができる社員の100分の1程度の戦闘力になりますね…。(笑)

実際日常会話は問題ありませんが、難しい話になると「a-ha」と言ってうなずいています。

日本に来てもらうと「おれは日本語うまいぞ」っていうアピールできるんですけどね。

――勉強はされているのですか?
枝廣氏:
前の会社でグローバルなマーケティング責任者を任されていました。最初に現地に行って、レストランで注文がまったく通らなかったときは死にたいと思いましたね。(笑)

英語が喋れない中、通訳に交渉してもらっていたのですが、日本語にされた英語を聞いていてもピンとこないのできっと相手もそうなんだろうなと。

その時に自分でやるしかないなと思って、家のテレビを全部BBC NEWS(英国放送)にして会社の行き帰りは英語のラジオを聞いて猛烈に勉強しました。

超有名なあの企業から始まった枝廣氏の社会人キャリア

次回インタビュー予告

第2回は枝廣 憲氏のキャリアや業務の内容について詳しく伺っていきます。乞うご期待!

最新作「バブルウィッチ3」は流石パズルのKingと言える完成度の高いタイトル

「バブルウィッチ3」は、同色のバブルをぶつけて消していくバブルショットパズルシリーズの第3弾。

システムは、お馴染みタイトーのバブルボブルシリーズの基本に、キャンクラのようなステージ毎のクリア条件(ルール)が追加されたもの。

バブルの中の仲間を助け出したり、上へ進むゴーストの道を作ってあげたりとルールは豊富。

しかも、ただのパズルだけでなく、自分の家と庭をコーディネイトするパートもあって、やり込み要素も盛り沢山な作品。

同様のシステムの作品の中でも、流石パズルのKing!と言えるだけの完成度の高いタイトルだ。

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執筆者: 編集部