生まれも育ちも神奈川県の山の方。
アプリゲット編集部の阪森です。
「前作は秋になっちゃったけど今度は夏に出るよ!」と聞いていた『Ancient Surfer2』。
北の方では雪も降り始めていますがまだ出てこないので、陸サーファー組合を代表してサマータイムスタジオ代表の弘津さんに聞きにいってきました。
語ってくれたのは「3年後、5年後にDLされても面白いゲームを」という想い。
せっかくなので会社についてや話題になった2つの提携の裏側も聞いています。
それでは、どうぞ。

サマータイムスタジオ代表 弘津健康氏
阪森:今日はよろしくお願いいたします。アプリゲットカップも参加いただいてありがとうございました。最初に、サマータイムスタジオという会社についてあらためて教えていただけますか。
弘津:よろしくお願いします!
サマータイムスタジオは、家庭用のゲームを開発していたメンバーが集まって、スマートフォン向けに3Dのゲームをつくろうということで2011年の6月にできた会社です。
阪森:会社を立ち上げたのには何かきっかけがあったんですか?
弘津:スマートフォンのゲームに当時はまだ3Dが中々なくて、だけど、そこにあえて3Dでハイクオリティなゲームをもってくるということにすごく興味があって立ち上げてみようと思ったのがはじまりでしたね。

フェイスブックページには先日のハロウィンの写真が。場所は守礼門だが、コスプレの影響で守礼門が偽物に見えるから不思議。
阪森:現在は本社を沖縄に置かれていますが、最初は東京に本社があったと伺っています。何故今は拠点が沖縄になったんですか?
弘津:東京で実際に会社が出来たあとに、気候がゆるやかというかあったかくて、環境的にも、じっくりゲームを開発できる環境ということで沖縄に支社をつくったんです。
でも、当時東京にいたメンバーに『どちらでもいいよ』っていう風に話をした結果、全員沖縄に移住することになってしまって(笑)
弘津:そうすると東京のオフィスがいらなくなってしまったので東京のオフィスをなくした結果、本社が沖縄になったという…
阪森:笑。沖縄は支社だったんですね。
弘津:最初は支社でしたね。当時そこらへんまったく考えてなくて、沖縄に支社があればいい、っていうだけだったので、まさか沖縄に本社が出来てってところでは、結構予想外の展開です。
実際結婚して子供がいる家庭もあったのですが、それでもその子も含めて全員…強制ではなかったんですけど、じゃあ全員行きますって話になっちゃったので…。
当時は驚いたんですけど、会社が小さい時に2つに別れるんじゃなくて1つのまま行けたのは振り返ってみるととても大きいですね
目次
平均年齢は23~4歳。おそるべき沖縄の吸引力
阪森:今では何名くらいになっているんですか?
弘津:いま約30名になって、あとは来年の4月に40名の体制になります。
阪森:じゃあ10人入ってくると。
弘津:そうですね。
阪森:新卒入社の方は沖縄と東京どちらになるんですか?
弘津:最初は半々くらいになる予定だったのですが、会社説明会で沖縄本社の話しをすると、全員沖縄勤務希望に変更になってしまって(笑)
その後、内定者全員を一度沖縄に連れて行ったら、とても喜んでいました(笑)
阪森:沖縄は恐ろしいところですね・・・!社員の方は若い方が多いんですか?
弘津:平均年齢でいうと、多分23から24くらい。新卒ないしは卒業して1年目で入ってきてるメンバーが多いので。
社員の構成としては家庭用ゲームでしっかりキャリアを積んだメンバーが中核にいて、技術的なところも含めて教えつつやっています。
阪森:沖縄と東京で、役割って明確に別れていらっしゃるんですか?
弘津:はい。東京のほうは、マーケティング部だったり、プロモーションというところ。あとは提携のような対外交渉的なところですね。
沖縄の方は本当にもう開発のみになっているので、プログラマーと3Dと2Dのアーティストがそれぞれ所属しています。
阪森:いやー働いてみたいですね、沖縄で。
弘津:実際働いてみるとそんなに近くに青い海はないし、海辺でミーティングとか、最初の1回だけなんですよ(笑)
でも不思議なものでやっぱり東京とは違う感じがあって…今の働き方はアリな感じはしますね
仕事はたぶん僕ら東京の会社さんと比べてもそんなにひけをとらない、というか、もう少し僕らのほうがやってるかもしんないって思うくらい、ハードにはやっているぶん、それ以外の時間がゆったりとれることは大きいですね。

沖縄本社は比較的内陸部にある。
開発メンバーはプラグラマーと2D3Dのアーティストのみ。アーティストもUnityを使う。
阪森:リリースの頻度の高さは感じますね。ゲームをつくるときはどんな体制なんですか。
弘津:少人数でやっていますね、基本は。
今はちょっと開発のボリューム増えてるゲームが多いですが、それでも5名くらいがコアメンバーにいて、その仕事の開発のボリュームが時期によって変わってくるので、それに応じて一時的に2Dのアーティストをこっちに2人いれて、とか、そういうのをこう調整しながらやってる感じですね。
うちが特徴的なのは、2Dと3DのアーティストもそれぞれUnityを使っているんです。
それは単純にデータを入れるとかいうだけではなくて、2Dは2Dの領域で出来る演出部分とか動きとか、アニメーションまでを、Unityで作ってしまうんです。
同じく3Dアーティストも自分たちの領域でできることをUnity使って自分たちでプログラムサイドまでやっています。
自分で入れて、調整をして、終わったらプログラマーにあげるんです。
プログラマーはそれ以外の部分でプログラマーサイドの仕事に集中できるんですよ。
阪森:じゃあ、よくありがちな、画像をプログラマーに実装してもらって、触ってみて、あ、イメージと違うっていうやり取りがない?
弘津:そうなんです。
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン、Glu Mobileとの提携について
阪森:今お伺いしたUnityと、それからGlu Mobileと大きな提携が2つありましたが、それはサマータイムスタジオからのもちかけだったんですか?
弘津:両社とも声をかけていただいた感じですね。
Glu Mobileさんのほうは、本当にたまたま、別の企業さんに紹介頂いて。
今だから言えるんですけどサマータイムスタジオが沖縄に移って最初に作った「Okinawa’s Summoner」という沖縄を舞台にしたタワーディフェンスがGlu Mobileの「SAMURAI vs ZOMBIES DEFENSE」の真似だったんですよ。
阪森:(笑)

SAMURAI vs ZOMBIES DEFENSE

Okinawa’s Summoner
弘津:あれが当時僕らの中ですごい流行ってて、自分たちでつくるんだったらあれを作りたいって。
そのことを、紹介いただいた席でGlu Mobileさんにも、『いやー実は・・・』って先に謝ったら逆に決め手になったみたいで(笑)
『Glu Mobileの作品そこまで好きになってくれてありがとう』と。
まさか自分たちが今、同じ船にのってるっていうのはまったく想像してなかったですが、好きでよかったなあと思いますね。
阪森:何がどう転ぶかわからないですね!
弘津:わかんないですねー。で、Unityさんも全く一緒。Unity Games Japanっていう、そのUnityとしてのゲームをパブリッシングする状況の立場って、最初プレスリリースみたとき『これ、どうするんだろう』って

Unity Games Japan
阪森:そうですね。中々立場的に難しい。
弘津:そう、難しい。そして僕らどうなるんだろう、ってちょっと思っていたら、そこの部分で一緒にできないかっていうお話を頂いたんです。
彼らとしては中立な立場をとるっていうのは全然変わっていなくて。むしろ、Unity使ってる人をもっと後押しするために、Unityとしてパブリッシングをバックアップするということだったみたいで。
阪森:うん。なるほど。じゃ、どっちも好きで使っていたからこその提携だったんですね。
弘津:いや~、本当そうですね
Ancient Surfer2 はいつ出る?
阪森:提携でも大きな話題になりましたが、自社パブリッシングとしては『Ancient Surfer2』が期待されています。リリースは夏ということを聞いてたものが…、このインタビューの時点で10月になってしまっていますが…
弘津:はい(笑)

こちらは配信中の「Ancient Surfer」昨年の9月にリリースされている。
阪森:状況としては今どういう感じになってるんでしょうか?
弘津:ゲームとしては、7月あたりから出来ていて、ただ、プレイフィールを試しながらテストしてみると、当初見えていなかった部分で、これはあったほうがいいんじゃないかとか、むしろ、これ無くしたほうがいいんじゃないかっていうところを、抜本的なところを含めて足したり引いたりっていうのをやっています。
それで、9月には最悪でも出そう、って。
阪森:まだ暑いし!…っていう?
弘津:そうそうそう。まだいけると思って笑。
去年『Ancient Surfer』のリリースが9月だったので同じ理由でいけるかも、ってところで思ってたんですけど、それでも9月に入っても「やっぱりこれとこれが」っていうのがあって…今に至ってるって感じです
ナンバリングを作らない、という決め事を破るからには今できる最高のものを
弘津:会社として、絶対的にっていう形ではないんですけど、基本的に僕らナンバリングタイトルを作らないって決めていたんですね。
なので、一本一本その時に考えうることを出して、つくって出してみて、それでもダメだったら、それで「2」をつくればいいってことではなくて…。
そのノウハウとかユーザーさんからの声を違う作品に活かそうって決めてるんです。
なので、サーフィンに関して言うと、今回『2』出すのって、そのポリシーに反している分、逆に言うと、もう『3』がでなくてもいいっていうくらいまでもう徹底的に作りこむためにやっているんです。
阪森:ただそこまでは今は足りてない?
弘津:足りてないですね。
3年後、5年後にDLされても面白いゲームを作りたい
阪森:なるほど。
ただ、もうそろそろ冬になりますが、そうなるとマーケティングの視点から難しさが出てきてしまいませんか?
弘津:そうですねー。まあ本当であればユーザーさんが一番欲しい時期だったりとか。っていうのはやっぱり重視したいんですけど…。
でも、僕らは、3年後でも5年後でも面白いゲームを作りたいと思っていて、もちろんリリースの時に一番ダウンロードされるとは思うんですけどそれでも僕らのリリースから2年経ってるタイトルとかもまだダウンロードはされ続けていて、それでいいんじゃないかなって思っているんです。
瞬間的な一ヶ月二ヶ月で何万ダウンロードではなくて、2年3年くらいで100万ダウンロード行くくらいでも、ゲームってなんかそういうもんでいいんじゃないかと思ってるので、冬に出して来年夏いっぱい伸びてくれたらいいなとも考えています。
阪森:なるほど。来年の夏、再来年の夏。夏はなんども来ますからね。
弘津:はい。そういう考えで出すことを決めたときに、今じゃなくてもいい技術だったり表現だっていうのも、逆にきちんとつくっておきたいんです。
阪森:じゃあもう、やりぬくしかないですね。
弘津:いやーやりぬく、という感じですね。難しいっすね。
阪森:どこかで判断はしなきゃいけないですしね。
弘津:そうなんですよね。そういえば、ゲームつくって『よっしゃ、完成!』って時ってなんかこう…なんだろう…経験はないんですけど、その…こどもが結婚して嫁に出すみたいな…ああいう悲しさがちょっとあるんですよ。
自分たちが作ってたゲームなんですけど、もちろん著作権とかも含めて、自分たちのゲームなんですけど…。手元からね、『スッ』ていなくなる感じが…。あとはなんか…みなさんよろしく、みたいな。あれはなんか不思議な感じですね。
お嫁に出す父親の気持ちは多分、こういうものだろうなとおもいながら(笑)
阪森:その感覚は本気でゲームを作った経験がある人でなければわからないかもしれませんね(笑)
それでは、時間も来てしまいましたので、首を長くして待っている娘婿の皆さんや陸サーファーの皆様に一言いただければと思います。
弘津:前回遊んでいただいた方もそうだと思いますし、今回続編からはじめてサーフィンのゲームをやるって言う人に関しても、ゲームならではのサーフィンの世界の美しさも、今回はステージをかなり追求しているので、海の色、綺麗な色を観たりとか、そこでサーフィンしてる感じも出せていると思います。
あとはそれでいて、『Ancient Surfer』から遊んでいただいた方で『これ、本当はこうだよね』って思ってたところは大体入っているはずなので、そこはこう…優しく見て頂けるといいなと。
『2』の方、はじめての人も、優しくちゃんとプレイできるようには今回バランスも組んでいるし、自分たちのタイプによって、ボディボードにしたりとかってこともできるはずなので、楽しんで貰えればうれしいです。
阪森:後は…待っていてください、と。
弘津:笑。待っててください。
阪森:期待して待っています。宜しくお願いします。本日はありがとうございました。
弘津:ありがとうございました。
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