黄昏ウィズ - Twilight Invocation -

「黄昏ウィズ – Twilight Invocation -」は、子どもたちへ永遠の救いを施す場所『ネヴァーランド』をめぐるシネマティックノベルゲームだ。

主人公である高校生「八重樫晴人」は1年前に両親を亡くし、妹の「春海」とともに暮らしていた。

ある時、両親の墓参りに向かった晴人は艶やかな着物を纏った少女「月宮翡翠」と出会い、『お主の幸せを、わらわが実現させてみせようか』と語りかけられる。

ふと気づくと翡翠の姿はなく、替わりに彼女と同じ顔をした同級生の少女「月宮和葉」が佇んでいた。

和葉は翡翠のことを覚えておらず、先ほどの出来事が嘘であったかのように2人は学校で会おうと簡単な約束をし、それぞれの家路についた。

次の日、晴人を慕う同級生の「小鳥遊栞夏」と学校へ赴いたその帰り道。

翡翠と出会ったその場所に白紫色の髪をした少女「ユリウス・サーラ」が現れ、こう言った。

『黄昏の地に生まれ落ちた救世主よ、神の国での英雄となれ』

たくさんの子どもが暮らす”その世界”に忍び寄る黒い陰謀と、真っ白で純粋な人を信じる心。

神の国の救世主となった春人の運命は――。

文字とボイス演出で語られる謎めいた冒頭→黄昏の中で語り合う謎の2人の人物→そこから本編のプロローグがはじまる。

プロローグでも現実的な日常描写と、魔法陣が出てくるような非現実的な場面が唐突に入り交じり、どのシーンも不確かな情報しか示されないため、しっかりと読み込まないと話の流れを追えなくなっている。

初見のプレイヤーだとここでリタイアしてしまうこともあるので、時系列や場面の繋がりを意識して並べ替えるなりカットするなりしてほしかった。

本筋がおもしろいだけにもったいない。

その点を除けばビジュアルノベルとしての完成度が高く、春海、和葉、栞夏、サーラといった主要なキャラには瞬きする立ち絵やイベントCGが豊富に収録されている。

機能面も充実していてセーブスロットの数が多く、スキップやオートモードやバックログも使える。

本文に難しい小説表現がなく、淡々と物語に浸ることができ、シナリオボリュームも30時間とほど良く収録されていた。

ノベルゲーム好きなら一読して損はないアプリだ。

基本は画面をタップしてテキストを読み進め、物語を楽しむことに集中する。

歯車アイコンをタップすると設定メニューを開けるので、セーブ・ロードやテキストの表示スピードの調整等はそこで行おう。

また、設定メニューの中にはシーンセレクトという項目があり、プロローグとなる0章から終幕が近い8章まで、既読していなくてもワンボタンで各章の冒頭までスキップできる。

前の章を振り返って読みたいときはこの機能を利用しよう。