縁起者！

「縁起者！」は江戸時代が舞台の、恋愛あり戦闘ありのSF冒険活劇アドベンチャー。
言うてみれば「弟切草」「かまいたちの夜」のような、文章を読み進め、選択肢を選ぶノベルゲームだ。

主人公は季節外れの猛吹雪にあい、意識を失ってしまう。

目覚めた先は、なんと江戸時代。

剣道一筋だった主人公は、ひょんなことから旅の仲間を得て、江戸を目指して旅をすることとなる。

慣れない旅路の果てに、真実の強さとはなにかを少しずつ掴んでいく…。

「ひとかた」など、堅実かつボリュームのある文章と演出に定評のある、ten†cross（テンクロス）制作のゲームの中でも、江戸時代を舞台にしたゲームは異色作。

BGMもメロディアスかつ、ノスタルジーな音色で、オープニングから胸をつかんでくる。

なお、序章以降はアプリ内課金(￥500)が必要になるが、外部サイトに登録するなど、「スタンプ」を集めることで無料でもプレイ可能とのこと。

こういうノベルゲームは主人公のキャラを好きになれるかどうかで評価が別れるものだ。
その点このゲームの主人公は変に斜に構えてたり病的じゃなくてイイネ！
物語は、主人公の剣道一筋に打ち込む少年が、同級生に告白するシーンからスタートする。

少年は猪突猛進で脳天気。

更に言うとバカ。

そんな彼が少しずつ成長していく姿は、好き嫌いなく、心燃えるシーンがあるはずだ。

音楽、ストーリー、テンポがよく、読み進めるのに作業感はない。

道中出会う仲間たちには秘密と旅に出る理由がある。

選択肢を間違えると即バッドエンドだってありうる。

剣の道はシビアなのだ。

少し時代を逆行したようなイラストも、考えようによっては懐かしい。

選択肢まで戻れたりブックマークを挟めたりとシステム面もいい感じだ。

まさに真剣勝負。
剣の道を極めようとする物語なだけはある。

最初の選択肢ですら、選択を間違えると、すぐにバッドエンドだ。

しかし、そこは良心的なテンクロスさん。

バッドエンドになったら、どうしてバッドエンドになったか、キャラクターたちが教えてくれる。

少し楽屋オチみたいで、違和感がないと言えば嘘になるのだが…。

もちろん選択肢から再プレイすることもできるし、

既読の文章をプレイバックしたり、お気に入りのシーンにしおりを挟むことも出来るので安心だ。

少年は旅路の果てに真の強さを獲得できるのだろうか…。

そして現代に戻ることはできるのだろうか？

もはや言うことは1つしかないようだな。

やっちゃおう！