天空の世界シェルテーラ

けがれた地上から隔離された浮遊大陸「シェルテーラ」。

冒険者を夢見る少年「クロード」は、浮遊大陸が地上に落下する危機に瀕していることを知る。

彼はオルロック王家の仲間や「アーティファクト」という精霊たちとともに世界の危機を救うために旅立つ、というのがあらすじ。

物語を進めながらキャラを育成し、強敵を倒すオーソドックスなRPGであり、特定のモンスターを攻撃すると一定の確率で新しい技をひらめく「ラーニング」システムが搭載されている。

バトル中に召喚獣を出現させてパーティを援護する「アーティファクト」、その精霊たちにも装備品を装着できるなど様々な面でキャラを育てられるようだ。

バトルシーンの見せ方やキャラ絵も好きな部類なのだが、正直なところ操作性や世界観に穴がある。

ゲームパッドだと町やダンジョンでの移動速度が速すぎて誤操作を起こしやすく、バトルスピードにおいても、微妙に遅いためキャラがのっそり攻撃する。

どちらも「設定」で調整できず、従来のケムコさんのRPGで整えられていた操作性の良さが損なわれている。

さらに、RPGの根幹である物語も淡々としていて、その際たるものが物語冒頭の親子のやりとりだろう。

父親が主人公に精霊「イグニス」を渡す重要な場面なのだが、幼少の主人公と両親は全員村人と見間違えるほどキャラグラフィックに個性がない（モブの家族が話しているんだと思った）。

のん気なBGMと説明口調の会話も相まって、これからはじまる冒険に対するワクワク感を覚えられなかった。

掴みであるはずのファーストシーンにおけるキャラの作りこみ不足や演出の悪さ。

ほぼ一本道のメインストーリー。

これらを加味したうえで945円という少々高めの値段設定がされているのはいただけない。

「ランタン」というレアモンスターを倒してSTPを溜め、希少なアクセサリなどと交換する「SHOP」システムも利用したいところだ。

ただし、ひとつ前にリリースされたRPG「フォルトナの魔術師」と比べると上記のポイントを溜めにくく、隠しダンジョンの場合は入るたびにポイントを消費させられる。

溜めたポイントが物として残らない鬼仕様になっていた。

好きなデベロッパーさんだからこそ言わせてもらうが、操作性やSHOPシステムの改善、各キャラにスポットをあてたクエストの追加といった世界観の補完を求めたくなる出来だった。