ライター高野京介がインディーデベロッパーを紹介するシリーズ。
今回は時間泥棒系RPG「ダンジョンメーカー」が異例のヒットを飛ばしているGameCoasterを紹介したい。
目次
異例の大ヒット有料ゲーム「ダンジョンメーカー」の魅力
2018年、ゲーム好きにとって「ダンジョンメーカー」をプレイしない手はない。
魔王となってダンジョンに罠とモンスターを配置・育成して、攻め込んでくる勇者たちを撃退していくダンジョン経営ゲームだ。
本作の面白さ、独創性、絶妙なゲームバランス、モンスター女子ビジュアルやテンポのよさは、2018年のスマホゲーム、ひいてはゲームの歴史に残るだろう。スマホゲーマーだけじゃなく、コンシューマゲームを愛好するゲーマーにも届くと断言する。
レビュー時、自分はこのように書いた。
完全な名作!「不思議のダンジョン」好きはハマり確定。エロめの美少女ドット絵+ローグライク+タワーディフェンスRPG-アプリゲット
反省している。肉感的な美少女魔王のドット絵やポップなビジュアルアートは確かに強烈だが、「ダンジョンメーカー」の魅力の一角であって本質ではないからだ。
では「ダンジョンメーカー」の恐ろしい中毒性とはなんなのか。それを今一度噛み砕いて紹介したい。
あまりの中毒性に各ゲームメディアが絶賛
レアリティの高いキャラを獲得したときのあの高揚感。
「人間の生活を壊すほど楽しい」。本作の人気をおそらく最も早く、そして情熱的に牽引したゲームキャストの言は、何ら誇張ではない。気がつけば朝になるような魅力的なゲーム体験がここにはある。
「時間が溶ける恐怖のアプリ」「ゲーム・ドラッグとして公安にチェックされかれないレベルの中毒性」など各メディアで絶賛されるようになるには時間はかからなかった。まあ最後の物言いは僕のレビューだが、魅力的な作品がヒットすることを本当に嬉しく思う。さて、その魅力はどこにあるのか?
「トルネコ」「シレン」のようなランダム性の強いローグライク要素
毎回変化するダンジョン。落ちているアイテム、イベントもランダムに発生する。そして、どんなに強くなっても、例え最強キャラを作成しても、やられてしまったら経験値やアイテムはリセットされる…。
リスクとリターンが大きいイベントは「パワプロ」のようでユニークだ。
リプレイを重ねる。いいキャラが当たる。もっと最適な戦術を思いつく。何回も何回もプレイする。緊張感とプレイするたびに斬新な高揚をもたらす。そして…ハマる。
こうして、何時間も時間を溶かしていく。
奥の深い戦略性のあるタワーディフェンスのようなバトル
ダンジョンにモンスターと罠を配置していくタワーディフェンスのようなバトルも特徴だ。キャラクターの配置、戦闘施設や罠といった組み合わせを考える戦略性が非常に高い。
現状、若干翻訳の硬さもあってわかりづらいのだが、様々な属性やバフ・デバフを付与して戦う戦闘システムが秀逸だ。理解するごとにプレイヤーは圧倒的に有利になっていく。
ザコのスライムだって、合成やスキル次第で十分に活用できる。モンスターを合成させて強いモンスターを作るのは、女神転生みたいでもある。
倍速プレイも実装。周回プレイすればオートスキルなども開放されていく。操作性は抜群によい。スマホでも快適にプレイできるよう操作方法はシンプルにまとめられている。
リプレイするほどに強くなる魔王と継承要素(時間さえかければ無課金でもアンロック可能)
魔王がやられ、ゲームオーバーになっても、転生によって魔王は成長し、スキルが解放される。繰り返しプレイできる面白さは損なわれない。
そして、新しい魔王(強力)やモンスターや罠の継承など、新要素も解禁されていく。新しい要素も自分で3択から選べるしくみもユニークだ。
つまり無課金でも、いつかは(ほぼ)すべての要素をアンロックしてプレイできるということだ。僕はガマンできず課金してしまったが、課金圧力はゼロに近い。だが、課金したらこんなに楽しくなるのか!僕は大満足である。
プレイヤー本人が成長する楽しみをとことん追求したゲーム性
はじめてキャラを融合させて超強キャラを手に入れた時の興奮よ。
チュンソフトの名作「トルネコの大冒険」についた「1000回遊べるRPG」と言うキャッチコピーは非常に秀逸だ。
成長するのはキャラクターではなく、プレイヤーだ。バトルの戦術や立ち回りというテクニック。本作のバトルやイベントを取捨選択する過程の中で、少しずつプレイヤーはランダム要素をコントロールできるようになっていく。
周回プレイによるキャラの獲得やシステムの開放といった、継承要素だけじゃない。システムの把握、プレイヤースキルを獲得していく。リプレイとゲームオーバーを繰り返しすこの成長過程にこそ、ゲームの本質的な魅力がある。
本作もまた、1000回遊べるRPGであることは間違いない。
今、この「ダンジョンメーカー」をプレイしない選択肢はない
今一度言う。2018年、ゲーム好きなら「ダンジョンメーカー」をプレイしない手はない。
本作を手がけたのは韓国のゲームデベロッパー、GameCoaster。ヒット作「ダンジョン守り : 勇者の侵攻」をリリース後の作品となった。
だが、インタビューによると、「ダンジョンメーカー」のリリースまでの道は順風満帆ではなかったという。何本もの失敗を重ね、最後に作りたいと思ったプロジェクトだったというのだ。
まるで倒産寸前のスクウェアの雑居ビルで、4人で「最後の夢」として開発された「ファイナルファンタジー」のようではないか…。その高い完成度とこだわりはプレイした皆さんなら痛いほどに伝わっていると思う。
300円ちょいで何十時間も遊べてしまう感動のコストパフォーマンスは驚嘆である。課金して作者を支援したい、そう思える完成度に震えた。
だが告白しよう。僕はもう3200円課金している。おかげで超快適!後悔は1秒もない!課金サイコー!
乗るしかない このビッグウェーブに
手探りで攻略法を探す。友達と競い合う。もし友達がいないなら、Twitterで「ダンジョンメーカー」でも「スパルナ」「ドライニード」など、検索してみるといい。同じ悩みをもったユーザー達が日々熱く語り合っている。超親切な公認Wikiもあるぞ。
最後になるが、本作の魅力を熱く紹介し、SNSの海に拡散し、大ヒットを牽引したゲームキャスト氏に心からの絶賛を送りたい。あまつさえメーカー公認のWikiまで制作したその行動力。人はそれをきっと愛と呼ぶのだろう。