当時最速の駆逐艦、速力39ノットを記録。
姉妹艦の無い唯一の艦艇。
それが―――
駆逐艦「島風」
その快速性で最後の最期まで直撃弾を避け続けた速すぎた悲劇の大型駆逐艦の結末を語ろう。
速いだけじゃ…ダメなのね… by島風
駆逐艦「島風」
「島風」は、旧日本海軍の島風型駆逐艦。
次世代の艦隊型駆逐艦として16隻の建造が決定していた高速重雷装駆逐艦だったのだが、戦術の変更や水雷戦自体の可能性の低さもあり計画は放棄された。
計画は、秋月型や松型の駆逐艦へ移行していった。
その為、建造されたのは島風1隻のみとなってしまった。
計画時は、丙型駆逐艦という分類であった。ちなみに松型は丁型駆逐艦。
「島風型」のコンセプトは、言わずと知れた『より速く』の一語に尽きる。
艦隊型駆逐艦としての決定版とされる甲型駆逐艦の速度は約35ノット。
十分速い速度ではあるものの、当時、ロンドン軍縮条約が破棄された事もあり、列強の新型戦艦が建造されてその速度が30ノット前後に達していたため、その10ノットの優位速度を得ることが島風型に求められた数値だった。
高速力をもってこれを凌駕する。その為だけに速さは重要なファクターであった。
記録された島風の速力は39ノットだった。
その最後―――
1944年11月4日、島風は、レイテ沖海戦で沈没した能代に代わり、第二水雷戦隊旗艦となった。
大型で通信設備も整っていたことと、その速力の速さから編成が組みにくいこともあり、むしろトップに据えるのが島風の一番の有効活用であるとの判断。
『多号作戦』では、第三次輸送部隊に編入された。
第四次輸送部隊の輸送船が比較的高速の船であるのに対し、第三次輸送部隊は低速の中古の輸送船5隻を中心としたものだった。
流石に39ノットの速力を持つ島風で護衛することに疑念がもたれ、反論もあがったのだが―――
「これは天皇陛下のご命令である」
との勅命を持ち出され、流石に観念したという。
11月5日、第三次輸送部隊がマニラで出撃準備中であった。
そこに空襲により同港停泊中の重巡那智が沈没、救援中の駆逐艦曙も大破という連絡が入る。
第三次輸送部隊は足止めを受ける。
11月8日、第四次輸送部隊が先発することとなるのだった。
翌9日、ついにマニラを出撃。
天候は雨。この雨は、3日間続くと予想された。
日付が変わり10日午前3時、第三次輸送船団の「せれべす丸」がルソン島ボンドック半島西岸の浅瀬で座礁、駆潜艇46号が分離した。
天候も彼らに味方しなかった。
雨は弱まり、11時になる頃には天気は回復してきていた。
そこを遠く哨戒中のB-24に第三次輸送部隊は発見される。
同時刻、第三次輸送部隊に駆逐艦初春、竹の2隻の離脱と、第四次輸送部隊との合流、そしてマニラへの帰投の命が下る。
そして、運命の11月11日―――
未明、B-24からの通報を受けた魚雷艇部隊の襲撃。
だが、これは追い返すことに成功する。
しかし、この後、最大の脅威となるシニア中将率いる第38任務部隊が迫っていた。
空母13隻から347機の攻撃隊が発艦。
この機数は、あの南雲機動部隊が真珠湾攻撃に出撃させた攻撃隊の数とほぼ同数(356機)に及ぶ。
正午、オルモック湾へ到着する予定としていたのだが、電探が14000mの距離に航空機の大軍を探知した。
早急に輸送船を湾内へ突入させて揚陸を開始するように命令され、駆逐艦は煙幕を張った。
オルモック湾に至る水道内で、空を覆う347機の艦載機が攻撃を仕掛けてきた。
瞬く間に輸送船が餌食となってしまう。
輸送船が沈んだ後、即駆逐艦も標的となった。
浜波は艦首にダメージを受け、若月も2発の命中弾で沈没。
艦体の大きな島風に攻撃が集中することになる。
誘爆を防ぐため、島風は魚雷を投棄して身軽にし、上井宏艦長の操艦で攻撃を華麗にかいくぐっていく。
まさに、島風の本領発揮!
最後まで直撃弾、雷撃を受けることなく、攻撃を回避、回避、回避―――
しかし、機銃掃射による被害、至近弾による艦体へのダメージは広がっていく。
小さな傷は島風を徐々に蝕んでいった。
全体に浸水が進み、ついには早川司令が機銃を受け戦死。
負傷者は増え続け、沈没しないだけで被害は甚大。
更に機関から蒸気が噴出、機関回転数が急激に低下―――オーバーヒート。
その快速は、ここまでだった。ついに航行不能に陥った。
朝霜が救助に近づくが、豪雨のような機銃掃射に阻まれてしまう。
上井艦長以下21名が最後に被害を免れたカッターに移り、辛うじて退避できたが、他の内火艇やカッターは銃撃で破壊され使用不能となる。
これによって、ほとんどの乗員が死亡することとなった―――
島風は、冷却機関も停止。暴走した機関は最後に悲鳴を上げた。
午後5時30分、大爆発!
最後まで戦い続けた生き残りの乗員は、脱出できた21名以外、全員行方不明となった。
大海に還った魂に敬礼―――
スマホで遊べる軍艦ゲーム
【戦艦】Warship Saga ウォーシップサーガ
「【戦艦】Warship Saga ウォーシップサーガ」は、リアルなグラフィックの艦隊で戦う架空戦記ストラテジー。
第二次世界大戦を舞台としているので、登場する艦船はもちろん「艦これ」同様に人気のものばかり。
システム的には、入手した設計図から造り出した軍艦で艦隊を結成し、敵国と戦っていくというもの。
艦のカスタムに重点を置いたやり込み要素が豊富で、好きな艦をとことん強くしていくコトができる。
また、艦のグラフィックがとびぬけていて、ウェザリング(汚し)まで再現しているこだわりようがスゴイ。
戦艦少女R
『戦艦少女R(Warship Girls R)』は、アドミラル(提督)となって美少女に擬人化した実在の艦隊を率いて戦うシミュレーションRPG。
設定の通り「艦これ」の亜種的存在で、海外で人気を博していたのが日本にも上陸した。
システムも基本そのままで、資材から新キャラを建造。通常クエのドロップからレアが出たり、やり込みで極めるタイプ。
バトルは全自動で進行だが、艦船のミニキャラが砲台や魚雷を撃ち合うアニメーション付き。これが可愛い。
他にもケッコン!着せ替え!服が大破!見える!といった要素があり、初心者も熟練提督も満足できそうな出来になってるぞ。
「鋼鐵少女」
「鋼鐵少女」は、美少女化された軍艦を育成するシミュレーションRPG!
システムは、ほぼ「艦これ」で台湾版の艦これと噂されている程。
だが、本家よりかなりユーザビリティな作りで―――
・海域の進行条件が見える
・資源回収後に鎮守府に戻る選択肢が出る
・陣形効果が見える
などなど、艦これでの不満点が解消されているような感じ。
イラストやUIは、完全にオリジナルで作られていて完成度が高いぞ。
ローカライズされていないものの、ボイスや書き文字だけ日本語だったり、かなりおススメできる逸品だ。
アプリゲットが贈る艦これ特集「魂の還る海」をご覧ください!
記者むらさきが、艦これファンのために書き下ろした「【魂の還る海】シリーズ」をご覧ください……。