「トラック島空襲」の惨劇の中、生き残った奇跡の艦。
数々の砲火の中で立ち回った駆逐艦。
それが―――
駆逐艦「野分」
僚艦を失いつつ戦い生き残り続けた第4艦隊最後の1隻の結末を語ろう。
ダメ…沈む……。筑摩さん……ごめんなさい…。野分…は…。 by野分
駆逐艦「野分」
「野分」は、旧日本海軍の陽炎型駆逐艦の15番艦。
ミッドウェー海戦で、赤城を雷撃処分した駆逐艦の1隻。
マル3計画で建造が計画された陽炎型駆逐艦の最終艦。
ちなみにこの後、陽炎型はマル4計画で4隻が追加建造が決定する。
舞風、嵐、萩風と共に第4駆逐隊を編成し太平洋戦争の開戦と同時に南方作戦に従事する。
開戦日、1941年12月8日に、ノルウェー商船ヘリウスを拿捕に成功。
帝国海軍での拿捕第1号となった。
1944年2月17日早朝、トラック島に無数の航空機が襲来。
「トラック島空襲」
野分もこの時、トラック島にいた。
本来は前日に出港予定だったが1日遅れた事で大きな被害がでてしまう結果となった。
空襲は苛烈を極め、野分は回避に専念するほかない程。
そこに僚艦である舞風に座乗していた磯久研磨第4駆逐隊司令より救助、移乗を求める命令が下る。
しかし、野分が舞風に近づくことすらできず、まして自らが被弾しないように回避するだけで手一杯となっていた。
結局、野分は舞風の沈没を確認することしかできなかった。
更に追い打ちをかけるように水上部隊が現れる。これまでの爆撃とは比にならない程の攻撃―――米軍最新鋭戦艦ニュージャージー・アイオワの砲撃が始まったのだ。
戦艦の砲弾は、直撃すれば駆逐艦など粉砕、至近弾でもどれほどの被害を生むか・・・。
それに続き重巡や駆逐艦からも攻撃が開始され、野分は決死の応戦・回避運動でかいくぐっていく。
激戦は8時間におよび、野分は残弾ゼロで、燃料も枯渇寸前の状態ながら、戦死者1名の被害で戦場を生き抜いた。
正に奇跡と呼べる戦いだった。
無線機も破壊されていた為、どこにも連絡をとれなかった野分。
既に諦められていたのだが、満身創痍の状態で横須賀へと帰投。
この時、幽霊船扱いを受けたほどだった。
その最後―――
レイテ沖海戦では、当時の第4駆逐隊は分散して配備されることとなった。
満潮、朝雲、山雲は西村艦隊へ所属し、野分とは別行動でレイテへ突入を目指した。
野分は、栗田艦隊に加わるかたちで参加。
10月23日、栗田艦隊はパラワン水道で米潜水艦ダーターとデイスの襲撃に合い、重巡愛宕と摩耶を失い、高雄も大破する被害を負う。
24日、栗田艦隊は米機動部隊艦載機の空襲を受ける。
この時、野分は第二部隊輪形陣の先頭に配置されていた。
対空戦闘は苛烈を極め、集中攻撃を受けた戦艦武蔵を失う結果となり、重巡妙高も被雷し撤退を余儀なくされる。
駆逐艦清霜、浜風は武蔵の生存者救出の為に分離。
第17駆逐隊は浜風の分離により編成が浦風、雪風、磯風の3隻となったため、浜風の代艦として野分が同行する編成となった。
10時25日未明、スリガオ海峡夜戦において、西村艦隊は駆逐艦時雨1隻を残し全滅。
第4駆逐隊の満潮、朝雲、山雲も失われた―――。
第二遊撃部隊であった阿武隈も翌26日に失われることとなる。
25日7時以降、栗田艦隊は米護衛空母部隊と遭遇。
「サマール島沖海戦」
野分の所属する第10戦隊は、酸素魚雷を多数発射。
だたし、この雷撃は遠距離過ぎたため、1本の命中も確認できなかったという。
一連の追撃戦で、第7戦隊は熊野の被雷による戦線離脱、鈴谷の誘爆による轟沈、筑摩の被雷による航行不能と大きく被害をうけてしまった。
その救援に雪風が向かう予定だったが、直前にその任は野分に変更された。
野分は筑摩の救援へ向かう為、栗田艦隊から分離する。
11時20分、栗田艦隊司令に筑摩の位置を問い合わせた野分は、その後筑摩の乗員救助に向かう。
救助の後、沈みゆく筑摩には雷撃処分が下命されていた。
生き残った乗員に見守られる中、野分による筑摩の雷撃処分は実行される。
乗員の増えた野分は、栗田艦隊に合流する為の航路へ。
周囲が暗闇に包まれた深夜の事、本体から大きく遅れていた野分は足早に海上を進んでいた。
そこで米高速戦艦部隊、ニュージャージー・アイオワ・軽巡3隻・駆逐艦8隻に捕捉されてしまった。
奇しくも、因縁の戦艦群との遭遇である。
そして、運命の10月26日―――
野分は米軍側からは、巡洋艦もしくは大型駆逐艦と判断されていた。
回避運動を開始する野分だったが、ここで使用されたのがレーダー射撃。
避けられない程の集中砲火が野分に一斉に襲い掛かった。
正確な攻撃が艦体を射抜き、野分は大破炎上。
そこへ駆逐艦群からの雷撃が命中―――。
北緯13度0分 東経124度54分の地点で野分は海中に消えていった。
艦長以下272名、筑摩乗員120~130名のほとんどが戦死。
生き残ったのは、米軍に救助された1名のみだったという。
大海に還った魂に敬礼―――
スマホで遊べる軍艦ゲーム
【戦艦】Warship Saga ウォーシップサーガ
「【戦艦】Warship Saga ウォーシップサーガ」は、リアルなグラフィックの艦隊で戦う架空戦記ストラテジー。
第二次世界大戦を舞台としているので、登場する艦船はもちろん「艦これ」同様に人気のものばかり。
システム的には、入手した設計図から造り出した軍艦で艦隊を結成し、敵国と戦っていくというもの。
艦のカスタムに重点を置いたやり込み要素が豊富で、好きな艦をとことん強くしていくコトができる。
また、艦のグラフィックがとびぬけていて、ウェザリング(汚し)まで再現しているこだわりようがスゴイ。
戦艦帝国
戦艦帝国は、戦艦を集めて艦隊を作り、他の艦隊と戦っていくシミュレーションゲームだ。
戦艦のグラフィックは非常にリアルで精密に描かれており、これならミリタリーマニアも満足できるのではないかという出来だ。
基本的には、戦艦を集めて装備をパワーアップさせて艦隊を編成。
海域を選んで他の艦隊と戦っていく。
海域等の構成は、第二次世界大戦から採用されている模様。
…つまりこれは、リアル版「艦隊これくしょん」といっていいゲーム。
「白露型」駆逐艦を入手した場合、艦名を「白露」「時雨」「村雨」「夕立」「春雨」「五月雨」「海風」「山風」「江風」「涼風」などから選ぶ事もできる。
ただもちろん、あの「艦これ」とは全く別物。
美女は登場するが美少女ではなく、グラマラスで大人な雰囲気。しかも音声がカタコトでSiriみたい…なので「艦これ」を期待してしまうと、「コレジャナイ!」と叫びたくなるだろう。
だが、リアルな戦艦が好きな人なら、必ずやその出来に満足できるゲームだ!
「鋼鐵少女」
「鋼鐵少女」は、美少女化された軍艦を育成するシミュレーションRPG!
システムは、ほぼ「艦これ」で台湾版の艦これと噂されている程。
だが、本家よりかなりユーザビリティな作りで―――
・海域の進行条件が見える
・資源回収後に鎮守府に戻る選択肢が出る
・陣形効果が見える
などなど、艦これでの不満点が解消されているような感じ。
イラストやUIは、完全にオリジナルで作られていて完成度が高いぞ。
ローカライズされていないものの、ボイスや書き文字だけ日本語だったり、かなりおススメできる逸品だ。
アプリゲットが贈る艦これ特集「魂の還る海」をご覧ください!
記者むらさきが、艦これファンのために書き下ろした「【魂の還る海】シリーズ」をご覧ください……。