「機動戦士ガンダム」のシリーズの中でも異端とされる「機動武闘伝Gガンダム」。
その奇抜さは、それまでのガンダムシリーズの常識を軽くひっくり返してからミキサーで混ぜてふっくら焼き上げた程だ。
そんな異端作品を作り上げた「今川泰宏」監督は、実は数々のインパクトのある演出・問題作を作り出す名物演出家だった!
今回は、そんなガンダムの歴史を変えた監督「今川泰宏」さんを大特集!
それではぁ!ガンダムファイト!レディィィィィ・・・ゴオォォォォォ! byストーカー
「機動武闘伝Gガンダム」って?
「機動武闘伝Gガンダム 石破天驚 Blu-ray Box」が、9/27より全2巻で発売が決定している。
以前にも別の特集で書いている為、今回は簡単に説明しよう。
ガンダム作品の中でも、宇宙世紀以外の物語が描かれた初めての作品で、現在のガンダムシリーズ発展の原点となる。
それまでのリアルロボット路線とはイメージが一新され、世界各国のガンダムが地球を舞台に格闘バトルを繰り広げるというモノ。
前作にあたる「機動戦士Vガンダム」が大人向けな作風であり、玩具などの収益が悪かったコトを受け、子供受けを狙ってとにかく豪快なアクション性が求められた。
その結果、白羽の矢が立ったのが「今川泰宏」監督と言うわけだ。
「今川泰宏」監督大暴れ!
「今川泰宏」監督は、数多くの作品でダイナミックな演出で観る人の度肝を抜くコトで有名。
また、ロボットものを描かせると、荒唐無稽さが際立つ展開を持ってくる。
そういった作品の多くには、超人的なキャラが登場し、時にロボットすら圧倒する活躍をしたりするのが作風。
関わった作品には、伝説的な回なども生まれる程でGガンダムでも数々の名シーンが誕生した。
伝説の始まり
その伝説の始まりは、やはりロボットモノである「聖戦士ダンバイン」の37話「ハイパー・ジェリル」の演出だろう。
この回では、敵であるジェリルがオーラ力を暴走させ「ハイパー化」するという回。
演出はもちろん今川さんで、どう演出したかというと、暴走したエネルギーにより彼女の乗るレプラカーンが巨大化するというモノだった。
それはもうウルトラマンもビックリな巨大化っぷりで、この設定がそのまま最終話まで使われていくコトとなる。
まさに伝説の始まりだっただろう。当時のファンもこの演出には驚愕したw
ロボ以外でも伝説達成!
今川さんは、ロボットモノ以外でも監督・演出をしっかり行っている。
その代表的なモノの一つが、「プロゴルファー猿」だ。
シリーズの絵コンテ・演出を担当し、数々の必殺技や荒唐無稽な展開を描いた。
独特な雰囲気で大ヒットとなった「プロゴルファー猿」が終了すると、サンライズに戻って新たな伝説を作り出すコトとなる。
それが、初の監督作品―――
「ミスター味っ子」
料理を食べると口からビームを発射したり、巨大化して大阪城と一体化したりする評論方法は、後の料理アニメのモデルとなっていく。
やり過ぎな作風はここから始まっていて、こちらの作品は原作者の方と少々もめる結果となった。
だが、この手法が間違っていなかったという証明は、作品が大ヒットして1年の放送予定を大幅に上回る2年間の放映作品となったコトでわかるだろう。
いまだに「ミスター味っ子」はネタになる程、インパクトの強い作品だったのだ。
やっちまった伝説
1992年には、自身もファンである「横山光輝」の作品をアニメ化するコトとなった。
「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」
製作に足掛け6年を費やし完成させたOVA作品だ。
しかし、この作品は年単位で続きが出なかった時期があった。
それは何故か?
予算を使い切ったからだ!
演出や作画にこだわり、予算の多くを費やしてしまい、続編が作れない状態になっていたというエピソードがある。
どうやって予算をひねり出したのか?
同シリーズに登場する美女キャラクター銀鈴のOVAを低予算で制作し、資金を稼いだという伝説があった。
何してくれてんの?監督!
このエピソードは、後々の作品にも大きく影響を与えていくコトとなる。
ジャイアントロボの制作期間の最中、「機動武闘伝Gガンダム」にも着手。
そして、そこでも最終話の演出の為、製作費をOPにつぎ込んだり、いろいろとやったらしい。
こうした予算絡みのエピソードがスポンサーたちには悪い印象を与えてしまったようだ。
視聴者からしたら、ものすごい演出をハイクオリティで観れる為、今川監督の人気はかなり高くなっていった。
なんとも皮肉なコトだ。
監督就任―――なしよ?
1998年、OVA「真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日」に監督就任するという一報があった。
今川ファンは、歓喜してジャイアントロボの再来を期待した。
だが、同年8月の月刊ニュータイプで降板が知らされるコトに……。
スポンサー側からの要請での降板らしかった。
結局、作品に関わったかどうかはクレジットにも名前が無い為、正確なところはわからない。
それでも、同作品には、今川監督の血脈を感じずにいられない演出が多数存在しているので、ファンの間では今川作品として見られるコトもある。
萌え系の監督もやってた
これまでの作風は、ロボットで熱血で超人的な作品・作風が多く、どちらかというと男性キャラメインの暑苦しい系統が多かった。
でも、「七人のナナ」という萌え系なアニメの監督もやっていたのだ。
どうせロボットが出てきたり、素手でビルをフッ飛ばしたりする展開になるんだろう?
と言われていたが、思いのほか可愛い作品で、いろんな意味で期待を裏切る結果になった。
まぁ、設定や演出などを見ると今川監督らしい荒唐無稽な部分もちらほらw
やはりこうだよ!ロボットモノ
2004年にはジャイアントロボ同様、横山作品である「鉄人28号」の再アニメ化に着手。
監督らしい作品だった。
というか、ジャイアントロボの過去を描いているような作風に、ファンは熱狂した。
その5年後には「真マジンガー 衝撃! Z編 on television」で、血管が切れそうなほど熱いロボット作品を生み出している。
やはり、今川監督といったらこうだろう!というところをまざまざと見せつけた。
なにせ、素手で機械獣をぶん殴るようなキャラや、マジンガーがロケットパンチに変形するような作品だ。熱くならないわけがない!
この後は、ロボット作品で監督を務めてはいないが、いろいろな作品で演出や絵コンテを切っている。
意外なところでは「デュラララ!!×2 承」にも絵コンテで参加していた。
ファンとしては、また熱いロボット作品を期待したいところだ!
・・・予算には気を付けつつねw