ザクとは、「機動戦士ガンダム」シリーズに登場する有人操縦式人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」の一つ。
ロボットアニメ作品において、量産型ロボット兵器の概念を定着させた記念すべきメカ。
主役メカであるガンダムと双璧をなす程の人気で、ガンプラの中でもガンダム同様にリファインを繰り返され続けている程だ。
ファンの間でも愛され続けているザクは、作品を越えて様々なガンダム作品で活躍している。
この春、ガンダムを差し置いて「ザク」のみの「一番くじ」も発売(一番くじ 機動戦士ガンダム~MS-06 ザクⅡ~)されるので、ここらでザクの特集をしておこう!
春のザク祭り開催だ!
「こ、これが、ジオンのザクか」byアムロ・レイ
ロボットアニメに革新を与えたザクという存在
「機動戦士ガンダム」以前のロボットアニメというのは、いわゆるロボットプロレスといわれるようなもので、敵は毎回違うやられ役が登場して商品化されるコトはまず無かった。
スポンサーからすれば、玩具として売れる商品は、主役メカとそのサポートメカという図式だった為、メカニックデザイナーである大河原邦夫さんはジオン軍のMSは、かなり自由にデザインしたようだ。
だが、案の定アニメ放映当時(1979年4月~1980年1月:打ち切り)には、ガンダムやGファイターなどの玩具が発売されたが、ジオン軍のメカなどの商品化は無かった。
革新は、1980年9月に発売された「1/144 シャア専用ザク」の発売。同年7月に発売していた「1/144 ガンダム」の大ヒットと同等の売り上げを見せたコトで、その後の玩具業界に大きな変化が起こることとなった。
当時のCMでも、ガンダムのプラモデルの宣伝なのに、ザクなどの製造工程を再現した映像に、以下のセリフが使われているコトからも新たなブームを予感させた。
「ジオン驚異のメカニズム!」
そう、プラモデルも大ヒットした作品「宇宙戦艦ヤマト」の再来を感じさせ……。
戦車や戦闘機などのスケールモデル同様のミリタリーブームをアニメに持ち込むコトに成功……。
そして、「1/144 量産型ザク」は当時のファンたちが量産型として並べる為に複数買う程のガンプラブームを巻き起こした。
それまでになかった主役メカ以外も主力商品にラインナップされる時代が、ロボットアニメに来たのだった。
他にも様々な影響を及ぼしたが、やはりザクの存在は、ロボットアニメが進化する一旦を作りだしたといっても過言ではないだろう。
敵メカとしてザク以上に売れた商品は、他のロボットアニメには無い。
今も愛され続けるザクという存在は、現在のロボットアニメには越える事が困難な巨大すぎるハードルなのかも知れない。
各作品のザクシリーズ
MS-O5 ザクⅠ
登場作品:機動戦士ガンダム 他
旧ザクの名称で知られる作中で登場するザクの旧型機。MSVシリーズで、黒い三連星専用機やランバ・ラル専用機などがある。
また、ザクスナイパーのようなカスタム機もあり、後の作品でも活躍した。
ザクⅡに比べるとスマートなシルエットでファンも多い。何といってもTVアニメでの搭乗者であるガデムの名台詞が忘れられない。
「素人め、間合いが遠いわ」byガデム
MS-06 ザクⅡ
登場作品:機動戦士ガンダム 他
ザクの基本形。F型やJ型などのバリエーションが豊富で、作品毎にデザインをリファインしつつもモノアイに右肩の盾、左肩のスパイク、動力パイプなどの特徴的なシルエットは継承される傾向がある。
特に「MS-06S ザクⅡ」シャア専用ザクは作中でも圧倒的に強く、人気が高い機体。この他にもドズル専用、ガルマ専用など専用機も多い。
デザイン当初は、シールドは左肩に装備されていたが、デザイン画の構図(左肩を画面手前に持ってくるポーズ)の関係上、腕が見えなくなるのを防ぐために左右を反転して描いたものが、そのまま正式採用となった。
モチーフは、サラリーマンの背広とガスマスク。ドイツ風の解釈は後々のデザイナーたちによるもの。
MS-11 アクト・ザク
登場作品:MS-Xシリーズ 他
一年戦争末期、ジオン公国軍によりペズン基地で開発された高性能機。
マグネットコーティングを施した駆動系と、ビーム兵器を搭載可能なジェネレーターと破格の性能のザク。正にガンダム並み。
ちなみに、「MS-X」とは「MSV(モビルスーツバリエーション)」シリーズの続編として企画されていたもの。
MSVでは、ザクキャノンやデザートザクなどの局地戦をイメージしたものが多かったのに対し、ペズン計画という新たなストーリーラインが用意されていた。後のシリーズに登場するガルバルディβの元であるガルバルディαはここ出身。
また、既存のガンプラとの組み合わせ可能な企画として「スキウレ」などの砲台兵器の設定もここで作られたもの。
RMS-106 ハイザック
登場作品:機動戦士Zガンダム 他
地球連邦軍がジオン公国軍から接収したザクIIF2型をベースに、連邦規格で開発された量産型MS。
見た目はザクⅡをそのまま発展させたようなシルエット。地球連邦軍がザクを使っているという衝撃が当時のファンの間では忘れられないモノだった。
RMS-108 マラサイ
登場作品:機動戦士Zガンダム 他
アナハイムがエゥーゴ向けにネモと同時開発していたジオニックの技術をベースに開発した高性能MS。
ガンダムMk-Ⅱ強奪事件への関与を疑われたアナハイムが、矛先を変える為にティターンズに無償供給したコトでティターンズ側のMSとして登場する。
独特なヘッドパーツの形状だが、右肩にシールド、左肩のスパイクなど、間違いなくザクのシルエット。
AMX-011 ザクⅢ
登場作品:機動戦士ガンダムZZ 他
旧ジオン公国軍の傑作量産型MS「ザクⅡ」の正式な発展型MS。
指揮官機のザクⅢ改や、ザクⅢ後期型、ザクⅢ強行偵察型など、ザクⅡにもあったようなバリエーションも存在する。
連邦軍のハイザックやマラサイをザクシリーズと認めない旧ジオニックの残党が、正式なザクの後継機を作るコンセプトの元に生み出した機体。
後のギラ・ドーガにも言えるコトだが、シリーズ全体を通して汎用性の高さが売りの為、武装なども豊富でどのような局面でも戦えるように設計されていた。
RMS-141 ゼク・アイン
登場作品:ガンダム・センチネル 他
連邦軍を離反した青年将校による反乱部隊「ニューディサイズ」の主力機。
ゼク・ツヴァイ、ゼク・ドライという発展機も存在。デザインは、ザクⅢがベース。
モデルグラフィックスの企画であるセンチネルのMSはモデラーたちの意匠もあり、立体的に設計されている為、ゴツイ見た目のわりにしっかりとした立体的な解釈や設計がポイント。
AMS-119 ギラ・ドーガ
登場作品:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 他
シャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオン軍の量産型MS。
ザクシリーズの集大成と呼ぶべき名機で、ザクの基本コンセプトである「人間の機能を拡大した汎用性の高い機動歩兵」を体現している。
デザイン面でもザクⅡの延長線上のシルエットと、マラサイと同形状の盾など正に集大成。特徴でもある様々なバリエーションも豊富。
流れとしては、0080の「MS-06FZ ザク改」からの引き継ぎと考えると、ドイツ軍兵士風の風貌の理由が分かると思う。まぁ、デザイナーも一緒だし。
AMS-129 ギラ・ズール
登場作品:機動戦士ガンダムUC 他
フル・フロンタル率いるネオ・ジオン軍残党「袖付き」の主力MS。
ギラ・ドーガの流用改修機。その為、武装などもそのまま使用可能となっている。
バリエーションとして、クラーケ・ズール(バンデジネ登場のサイコミュ搭載機)や、ローゼン・ズール(サイコフレーム搭載機)などサイコミュに特化した機体もある。
水中用のゼー・ズールもあり、元のザクのコンセプトを引き継いでいるコトが分かる。
ZGMF-1000 ザクウォーリア
登場作品:機動戦士ガンダムSEED DESTINY 他
「プラント」の軍事組織「ザフト」が運用する主力量産型MS。
名称は、宇宙世紀とは違い、Zaft Armed Keeper of Unity ザフト・アーマード・キーパー・オブ・ユニティ(ザフトの輝かしい新時代を担うもの)の略称で「ZAKU」となる。
指揮官機であるザクファントムの他、武装の違うガナーザクウォーリア、ガナーザクファントムなどがある。
MS-06 ボルジャーノン
登場作品:∀ガンダム 他
ルジャーナ・ミリシャの発掘MS。
アメリア大陸ルジャーナ領の首都オールトンの西に位置するマウンテンサイクルで発掘された。領主のボルジャーノン公の名前から命名される。
ザクⅡがナノマシンで再構築されたもので、ザクⅠの形状の機体が隊長機として使用された。
MS-06R-AB ザクアメイジング
登場作品:ガンダムビルドファイターズ 他
ユウキ・タツヤ(三代目メイジン・カワグチ)の作成したガンプラ。
「高機動型ザクⅡ」をベースとするカスタム機で、肩や足にリアクティブアーマーを装着し、バックパックにアメイジングブースターを装着。
ぶっちゃけ、ガンプラそのものである!そのカッコ良さやガンダムと双璧を成す存在として作り出された背景など、ザクの派生形としては完璧ともいえる作品。
「ガンプラは自由だ!」by三代目メイジン・カワグチ