兵器としてのガンダム。命と戦場。これまでのシリーズの中でも最も泥臭いガンダムだったと感じる「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」が最終回を迎えた。
同時に番組最後に告知された一文。
「2016年 秋 鉄華団、再び」
二期決定の予告だった。確かに彼ら鉄華団のはじめての仕事は、様々な傷跡を体と心に残しながら終わった。
だが、世界各国の動向は、これから激化する予感をにおわせつつ幕が下りていた。
続きを楽しみにしつつ、一度終焉を迎えた鉄華団の旅を各章ごとに振り返ってみたいと思う。ここは俺たちの居場所の一つなんだから。なぁ、ミカ…。
ねえ、次はどうすればいい?オルガby三日月・オーガス
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズとは?
「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は、「とらドラ!」や「とある科学の超電磁砲」、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」で監督を務めた長井龍雪監督作品。
世界観は、宇宙世紀とは別のガンダム作品で、完全オリジナル。
300年前の厄祭戦(やくさいせん)により激変した世界経済と、火星のテラフォーミングが完了したという経済圏の格差を抱えた社会がキーポイントとなる。
主人公、三日月たちは虐げられる存在であり、そこから這い上がって戦場を潜り抜けながら成長していくというもの。
キャッチコピーは、「いのちの糧は、戦場にある。」
鉄華団の旅を
名シーンと共に振り返ろう!
画像出典:画像出典:http://g-tekketsu.com/story/index.php
CGS編(第1話~第3話)
CGSで奴隷同然のような扱いで働かされる非正規の少年兵である主人公、三日月たちは、火星の独立運動を指揮する少女クーデリア・藍那・バーンスタインの仕事を請け負った事で運命を大きく変えていく。
CGSを乗っ取り、新たに「鉄華団」としてクーデリアを地球圏へ送り届ける為に動き出す。
印象的なシーンは、1話~2話のバルバトスの起動から戦闘シーンかもしれないが、あえて第3話「散華」のここを選出したい。三日月がギャラルホルンのクランク二尉を撃つシーン。
「俺はもう・・・自分で終わる事すら出来ない・・・」そう言うクランクに無表情に弾丸を撃ち込む三日月の機械的な行動に、背筋が寒くなった。
鉄血編(第4話~第6話)
チョコレートの人、マクギリス・ファリドとガエリオ・ボードウィンが参戦し、物語が火星から宇宙へと移る。強襲装甲艦「イサリビ」に乗り込み鉄華団は地球圏へ旅立つ。
ここでは第6話「彼等について」より、クーデリアに文字を教わる鉄華団の少年たちをピックアップ。
戦場に出て戦う少年兵たちだが、火星の貧困地域の彼らは教育を受けずに育っている。熱心にそして楽しそうに勉強をする彼らは、生きるために戦う事しか知らない。
「ふ~ん。じゃああんたが俺たちを幸せにしてくれるんだ?」という三日月のセリフは、クーデリアとの世界観の違いを感じさせた。
テイワズ編(第7話~第10話)
地球圏への案内役を失った鉄華団だったが、一度は戦ったテイワズの下部組織「タービンズ」のリーダー、名瀬・タービンと和解し、テイワズの一員となる事に成功する。
オルガは名瀬と義兄弟の杯を交わし、名瀬を案内役として地球圏へ進む事となる。
やはり外せないシーンは第9話「盃」より、この杯を交わすシーンだろう。和風の任侠もののような杯の交わし方で、妙に印象に残る。
宇宙世紀のガンダムでは、あまりこういった和風のものが画面に出る事は多くないが、オルフェンズでは日本がキーになっている。
そして、もうひとつ次のブルワーズ編につながる場面として、第10話「明日からの手紙」より、昭弘や三日月たちの過去のエピソードが語られるシーン。
とくに昭弘と弟のシーンは次の章で重要になる。
ブルワーズ編(第11話~第13話)
タービンズの先導で地球を目指す鉄華団は、クーデリアの身柄を狙う宇宙海賊「ブルワーズ」の襲撃を受ける。その中に昭弘の弟の姿が・・・。
兄弟が戦場で出会い、戦うというお約束ながらドラマチックな展開。
フラグ立ちまくりだったのでわかりすぎる決着だが、第13話「葬送」よりこの兄弟最後の会話のシーン。
一度は戦う事を選んだ昌弘だが、兄の危機に咄嗟に庇ってしまう。生き残った兄である昭弘は、この後大きく成長していく。
また、この回のセリフでは、「まっいいか。こいつは死んでいいヤツだから」という三日月の冷徹なセリフが耳に残った。生死を選定している三日月、戦場では彼の選択は非常で悲しい。
ある意味、視聴者もクダルの胸糞悪いキャラにいらついていただろうから、三日月のあのセリフに共感してしまうのだろうが、セリフの重さを考えると恐ろしさが残る。
コロニー編(第14話~第17話)
物語の後半、地球圏へ辿り着いた鉄華団。コロニーでのクーデリアを担ぎあげるような反乱運動に巻き込まれていくが、そんな中メインキャラの中で不穏な行動を取り続けていたフミタンが動き出し・・・。
クーデリアを支えていた姉的存在であるフミタンの死。第16話「フミタン・アドモス」でのこのシーンは、物語が佳境に迫っている事を表すターニングポイントだったんだと感じる。
メインメンバーとして初の離脱者となった彼女の抜けた穴は非常に大きく、ここからのクーデリアは立ち止まる事なく革命の乙女としての運命を受け入れていく。
そして、この物語は誰が死んでもおかしくないものだと認識させられた瞬間だった。
地球降下編(第18話~第21話)
ここから更に状況が変化していく。仮面の男「モンターク」として秘密裏に行動するマクギリスが支援を申し出たことで、鉄華団は、地球へ降下しクーデリアは交渉相手の蒔苗東護ノ介と対面することができる。
だが、蒔苗と共にギャラルホルンの包囲を脱出する際、第二の大きすぎる犠牲を出す事に・・・。
第21話「還るべき場所へ」で、ギャラルホルンのカルタ・イシューの襲撃の最中、鉄華団の屋台骨を支えてくれていた副官的存在であるビスケットを失う事となった。
第1話から、オルガの無茶ぶりを受けつつ、しっかりと鉄華団を一つの集団として存続させてくれていた影の功労者の離脱は、フミタンの死にも動じなかった三日月の中にも何か感情を揺らがせる。
「オルガ・・・俺たちで・・・鉄華団を・・・」ビスケットの最後の言葉。死んじゃいけない男の死に際のセリフは胸に刺さって痛い。
地球編(第22話~第25話)
ビスケットの死でオルガは塞ぎこんでしまうが、三日月の言葉で最後の決意をする。鉄華団は、目的地に向けて移動を開始し、エドモントンで最終決戦を迎える。
アインのグレイズ・アインが立ち塞がる。第25話「鉄華団」での最終決戦は、機械と同化するという阿頼耶識本来の完成した姿となったアインは、不完全な阿頼耶識の三日月を圧倒する。
立ち向かう為に、三日月は体の限界を超えてバルバトスの本来の能力を引き出し、グレイズ・アインを打ち破るのだった。
戦闘シーンとして屈指の名バトルだと思う。
同第25話「鉄華団」のこのシーン。ここは居場所の一つで、まだ彼らの戦いは続いていく。
失ったものは大きかったが、彼らの結束はより強いものになり、未来へ続く。
さて、火星への帰路につく鉄華団。その続きは2016年秋放送予定の第二期を心待ちにしておこう。
ガンダム記事。結構、「力」入れてます。
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