今回はRPGアツマールの「レベル上げにちょうどいい島」「ぶきあつめ」など、多数の人気作を生み出したゲーム制作者「kagaya」さんにインタビュー!
名作の制作秘話に中学生からゲームを作るようになったきっかけなど、バカゲーしか作れない宿命を背負った男の貴重な話を包み隠さず語っていただきました。
kagayaさん
「レベル上げにちょうどいい島」「ぶきあつめ」などRPGアツマールの人気作を生み出す大学生クリエイター。現在国家試験に向けて勉強中だが、ついゲーム作りに手が伸びてしまうバカゲーバカ。
好きなゲーム:マインクラフト、Stardew Valley、カイロソフト全般
Twitter:kagaya
作者HP:kagaya Game Okiba
作品一覧:kagaya RPGアツマール
目次
薬剤師を目指しつつ趣味でゲーム作ってます
まずはじめに自己紹介をよろしくお願いします。
kagayaと申します。
ゲーム作りが趣味の大学生です。
大学では薬剤師を目指していて、趣味で学業のかたわらゲームを作っているという感じです。
ちょっとゲームを作りすぎて国家試験に落ちそうになってます。
やばいじゃないですかw
もし国家試験に受かったら薬剤師として生きていくつもりなんですか?
ゲームは趣味では作り続けようと思ってますけど、ゲーム制作1本でとは考えてないですね。
それはちょっと残念ですね。
もし大手のゲームメーカーから声がかかったらどうしますか?
う~ん、たぶん1週間ぐらいはものすごく悩むと思います。
でも、今のところは個人開発で続けたいなと思いますね。
「レベル上げにちょうどいい島」はダンジョンメーカーに感動して作った
「レベル上げにちょうどいい島」について聞かせてください。
ちょっと変わったタイプのゲームですが、作ろうと思ったきっかけはどういうところからだったんですか?
スマホにダンジョンメーカーというゲームがあるんですけど、それを薦められて遊んだ時にこんなに面白いゲームがあるのか!と感動しまして。
その面白さを分析して自分なりに再現して、ダンジョンメーカーのリスペクト的な作品としてなにか作れないかなと思って作ったのが「レベル上げにちょうどいい島」でした。
そうだったんですね!
超似てるんですよ。
あれは神ゲーですね!
勇者が動き回る部分は大変でした
開発は結構苦労しましたか?
プログラミング面でいうと、RPGツクールに無いシステムを使いたかったので0から作ることになり大変でした。
ただアツマールのクリエイターズキャンプがモチベーションが上がるキャンプだったので、勢いで作りきったと言いますか。
キャンプの力も借りたおかげですね。
※RPGアツマール ゲームクリエイターズキャンプ・・・ゲームの制作力を向上する共同制作イベント
自動で動き回る勇者とか、今まで作ってきたものとは違う分野の技術が必要そうでしたよね。
そうですね。
ああいうゲームってなかなかないと思うので。
シミュレーション形式というのが初めてで、結構難儀する部分はあったんですけど。
いやー、なんとか出来てよかったです。
どのへんが一番難しかったですか。
やっぱり勇者が島に来てリアルタイムで動き回るシーンはちょっと苦労しましたね。
あそこは複雑ですよね。
かなり動き回るので技術的に凄いなと思いました。
動き回って戦ってる時に、ステートっていう状態異常とかがたくさん発動するんですけど。
勇者がランダムに動くので、テストがなかなか狙ったとおりにいかなくて。
ある効果がうまく動いてるかを見たいのに全然出なかったり。
デバッグ的なことが難しいんですね。
デバッグが超大変でした。
ランダム要素が多いゲームなので、全部見るとなるとそれだけで大変でした。
調整で1ヶ月くらいはかかりました。
マジですか・・。
ほんとに実装より時間かかったかもしれません。
それだけやった分結構いいバランスになってた気がしました。
もちろん細かい部分見ればもっと調整したかったところはあると思うんですけど。
そうですね。
ちょっと調整が足りてなくて、序盤はいいと思うんですけどやりこんでいくとアラが見えると思います。
自覚してますそこは。
100日のところでシナリオを入れたかった
レベル上げのリリース後にも色々あったと思うんですけど。
リリース時はぶきあつめを作った人の新作ということで取り上げていただいて。
それで10万回ほどプレイしていただいたんですけど・・・。
正直自分の中では自信がなくて。
バランス調整がしきれてないところとか、忙しくて詰めれるところも詰めきれなかった状態での公開だったので。
思ったよりはプレイしていただいたんですけど、ぶきあつめ程はプレイ回数もいかずという感じでした。
その詰めたかった部分というのはどういうところだったんですか?
シナリオが全然なくて。
あーなるほど!
ほんとは100日経ったらシナリオがあって、というところまで作れたらプレイヤーに達成感もあったと思いますし。
確かに。
でも、ないならないでそういうものとして楽しめましたね。
まあ必須ではなかったかもしれないんですけど、気持ち的には作りたかったなと思いますね。
バカゲーしか作れない宿命
確かに「レベル上げにちょうどいい島」にシナリオあったらもっと面白かったでしょうね。
kagayaさんのゲームはセリフ面白いんですよね。
ほんとですか?!
自分では自信ないんですけど。
過去作ですけど「otoshiana」とか登場人物面白いキャラ多かったですよ。
みんないいキャラしてるなって。
なんか変な人を作るのは得意なのかもしれないですね。
逆に一般人を作れないんですよw
あーなるほど!
確かにまともなキャラがいなかったかもしれませんw
そうなんです。
普通にしようと思っても変な人になるんですよ。
もうバカゲーしか作れない宿命背負ってるんで。
中学生からゲームを作っていた
元々シナリオは書いてたんですか?
いやシナリオはゲームを作る時に仕方なく書き出した感じです。
ということはアツマール1作目の「ミンミンゼミ」からですか?
いえ、中学生の時にRPGツクールでゲームを作り出してからです。
中学生の頃から作ってたんですか!
中学生の時から作り始めて、高校で一旦やめたんですけど大学でまた作り始めた感じですね。
中学生でゲーム作るって早いですね!!
その頃はどうやって作ってたんですか?
RPGツクール VXを広告で見かけて、気がついたら買ってて。
それを使ってPCで作ってました。
すごい早熟ですね。
周りに作ってる人とかいました?
いやマジで0人でした。
そうですよねw
クリアした先を用意できなかった
「レベル上げにちょうどいい島」でやり残したこととかあったりします?
シナリオ入れたかったのもそうなんですけど、ゲームをクリアした先を用意できなかったことですね。
もっとやり込み用に無限ダンジョンとか作りたかったんですけど。
時間がなくて諦めちゃいました。
時間がなかったというのはやっぱり勉強のためですか?
勉強もあるんですけど、そのころ3つゲームを作ってまして。
ぶきあつめのSteam版ですね。
はい。
それと「異世界の主役は我々だ!」も参加してて。
※グルッペン・フューラーさんの物語にゲーム作成&介護としてkagayaさんが参加。
なるほど。
その3つが同時進行してたんですね。
おまけに国家試験があるとかやばいですねw
ちょっと調子に乗りすぎましたw
実況者の力は偉大です
「レベル上げにちょうどいい島」で印象に残ってることはなんですか?
最終的にYoutuberの牛沢さんに実況していただいて凄く伸びたので実況者の力は偉大だなと思います。
ほんとに偉大ですね。
アプリゲットでも牛沢さん実況以降しばらく1位独走してましたからね。
まじですか・・・。
もうちょっとちゃんと頑張って作っておけばよかったです。
皆さん十分楽しんでると思いますよw
ほんとにありがたいですね。
遊んでくれた人からは「時間を忘れてプレイした」だったり、「8時間溶けた」っていう声を頂いたり。
それはダンジョンメーカーをやってて感じたことだったので、それを再現できたのは凄い嬉しかったです。
3択は革命的なものだと思います
ちなみにダンジョンメーカーを分析してこれだと思ったのはどこだったんですか。
3択が出てきて、それを選んでいくというところですね。
お手軽なんですけど自分で選んでよくなっていく達成感というか、いろいろな報酬の中から一番良さそうなものを選んでいくっていう。
なるほど。
レベル上げでも3択は活用されてましたね。
あの選択肢はポイントでしたね。
ゲームシステムとして結構革命的なものだと思います。
「ぶきあつめ」はなんでもシリーズの集大成
「ぶきあつめ」を作るきっかけは何だったんですか。
あれは息抜き的な感じで作りはじめて。
へー息抜き。
あれはなんでも武器になるっていう話なんですけど、中学時代からなんでもシリーズを作ってて。
アツマールで作った「ミンミンゼミ」というゲームも、虫以外にもなんでも捕まえられるようなゲームでした。
そういうなんでもシリーズの集大成として「ぶきあつめ」は作りました。
ではぶきあつめの開発自体はサクサクできたんですかね。
3ヶ月半でできました。
アイデアは最初からポンポン浮かんでたんでスムーズに作れたかなと。
個人で3ヶ月半で作ってあんなに面白いのはすごいですね。
Steam版で世界展開までしてましたよね。
はい。
4言語でリリースしました。
武器300個かー
アイデアはポンポン浮かんだとして、なにか作る上で苦労したことはありましたか?
あのーめちゃくちゃ重くなってしまってゲームが。
マップのもの全部武器として取れるようにしたんですよ。
そしたらマップに描くだけで良かったものを、全部オブジェクトとして新たに置いたので。
なるほどw
武器って何種類くらいあったんでしたっけ?
全部で318種類ですね。
そんなにw
はい。
軽量化が本当に一番大変でした。
武器の種類はこれくらい作ろうと思って300種類も作ったんですか?
いや、最初マップを1回作ってから、全部しらみつぶしにこれ武器になるなってやっていった結果が318個でした。
ほんとになんでも武器にしちゃったんですねw
普通多すぎるとマップ削ろうとか考えるもんだと思いますけど。
300個かーみたいな。
kagayaさんゲームバカですねw
海は正直頭がおかしかったです
なんでも武器にできるは、ネタとしてわかりやすくていいですよね。
考える人はいたと思うんですけど、まさかやる人がいるのかっていう。
そうなんですよねw
結構悔しがってる人いると思います。
かもしれないですね。
たしかにそれやればウケそうなんだけど・・・みたいな。
海のインパクトすごかったですもんwww
なんでもって言うことはそうだよな!って。
海・・・そうですね・・・海作ろうと思った時は正直頭がおかしかったです。
自分でも何故作ったのか覚えてない・・。
そうなんですか!
「海作ったらウケるぞ!」とかじゃないんですね。
じゃないですね。
なんかリストに海があったんですよ、気づいたら。
あんな大ネタなのに理由が「リストに海があったんですよ」ってw
ほんとに頭おかしかったんでしょうね。
えんため大賞は嬉しかった
リリースした後はどうでしたか?
公開した瞬間からかなり反響頂いて、Youtuberのアブさんが実況してくれたこともあって結構長い間RPGアツマールの1位を獲らせてもらいました。
その上えんため大賞も。
※エンターブレインえんため大賞・・・小説・コミック・ゲームなどを中心に新人作家の発掘を目的とする新人賞
凄いですね、えんため大賞優秀賞は。
コンテスト的にシナリオ重視の賞なので、その中で入れたというのは嬉しいですね。
シナリオの面でも評価されたんですね。
あのぶっ飛んだ内容が賞レースにも受け入れられる・・・えんためさんだいぶ懐が深いですねw
いやーほんとに。
結構申し訳なかったです。
www
受賞の時はどういうところを評価してもらったんですか?
システムがいいというのを中心に褒めていただいて。
シナリオもクセがあっていいと書いていただきました。
確かにクセありますねw
我々はあのふざけた感じが好みなので凄く楽しかったです!
4言語翻訳は一生終わらないかと
ぶきあつめのSteam版についてお聞きしたいんですけど、移植で大変だったことってありました?
Steam版は新たに特典としてローグライクダンジョン「裏世界ダンジョン」や必殺奥義など追加コンテンツを沢山入れたんですけど、それ以上に翻訳版の作成が大変でした。
翻訳は大変そうですね。
翻訳はパブリッシャーであるドワンゴさんを通じて外注していただいたのですが、翻訳を想定して作ってなかったのでゲーム内のテキストを全部差し替えるのが大変でした。
英語と韓国語に中国語が繁体字と簡体字の2種類あって、それを全部入れ替えないといけなくて。
うわっw
テキスト全差し替えを4回もやる必要があったんですね。
それは厳しいのでEXCELで対応表を作って、その表から参照して差し替えるプログラムを作ってなんとかしました。
それはプログラム作ったほうがマシですね。
そうしないと一生終わらないと思いました。
あとUIとかになるとイラストから作り直さないといけなくて、結局4言語分のUIを一から作ることになりました。
外国語対応をしようというのは自分で提案したんですか?
いや提案は向こうから最初頂いて、自分もやってみたいという感じで承諾しました。
こんなに大変になるとはw
普通一人でやることじゃないでしょうから大変ですよね。
一人で作ってるとごちゃごちゃしてしまって、自分以外はわからないのでやるしかなかったです。
個人開発あるあるですねw
注目作は「キミガシネ」ほかたくさんある
他の作者さんで注目してるアツマール作品とかありますか?
たくさんあるんですけど、「キミガシネ」は全部クオリティが凄いです。
音楽とかグラフィックとかも全部1人で作られてて、もう本当に桁が違うなっていう。
kagayaさんがそんなに言うってことは相当凄いんですね。
あと「ぼくらのアイランド」も凄いです。
ずっとアツマールで1位になってて、結構オンラインプレイでお祭り的な感じでプレイ数が伸びてるって思われがちなんですけど、放置ゲーの新しい形を作ったと思います。
「ぼくらのアイランド」はシステム凄いですよね。
他にも面白い作品はいっぱいあって挙げればきりがないんですけど、注目してるので言うと「世界は貧乳に包まれたい?」というゲームがありまして。
貧乳ですか。
これは貧乳の女の子がマップにあるものをなんでも胸で挟んで、どんどん巨乳になっていくと。
「ぶきあつめ」みたいななんでも系の感じなんですけど、どんどん成長していく感じとかが僕の作るなんでも系とは違う面白さがあって凄いです。
なるほど、大きくなっていくというのでプラスアルファがありますね。
これは単純にアイデアがめちゃくちゃ面白いです!
良く出来てるなと思いました。
RPGアツマール クリエイターズキャンプ
少し話にも出ましたが、RPGアツマールのクリエイターズキャンプについても聞かせてください。
これはゲームを作る人が何十人も集まって一斉にゲームを作るっていうイベントですね。
だいたい5ヶ月くらいの長期間開発して作品を作ります。
じゃあこれは1箇所に集まって合宿して、情報交換的なことをしつつやるとかじゃないんですね。
違いますね。
実際に集まりはしなくて、チャットツールの「slack」上で交流しながらそれぞれ開発していく感じです。
なるほど、期間を決めて一斉にそれぞれ作品を作りあうんですね。
そうです。
自分が参加した時は、1作品以上ゲームを完成させて公開した人なら誰でもという条件でした。
ただ、なめてかかると難易度が高くて。
ゲーム制作に取り掛かる前に課題をクリアしないといけないんですけど、完成されたゲームを改造して手触りを良くするというか演出を気持ちよくするという課題で。
ゲームのグレードアップとかクオリティアップの部分ですね。
そうですね。
初心者からするとかなり難しいだろうなっていうので。
確かに。
初心者だと作るだけでも精一杯だろうに、完成したものを更に良くしろというのはなかなかハードル高いですよね。
そうなんですよ。
ゲーム作るだけでもハードル高いので、結構脱落者も出ましたね。
ちなみにkagayaさんは課題どれくらいかかったんですか?
課題は1週間位で終わりましたね。
ゲーム作りに慣れてればそうでもないです。
なるほど。
でも初心者だと1ヶ月位かかりそうですね。
そこは慣れてる方からSlack上でアドバイスもらいながらやれるので。
それがキャンプのいいところですね。
それは凄くいいですね。
モチベーションが上がりやすい
みんな進歩とかをSlackにあげたり、ノウハウだったり制作あるあるとかを自由に発言してそれがどんどん流れてくるんです。
初心者からするともちろん勉強になりますし、楽しいのでモチベーションがかなり上がりやすかったと思います。
それは個人制作の人には凄くありがたいでしょうね。
ほんとにめったに無い機会なんで。
作りたいと思ってる人はぜひ参加してほしいですね。
蝿キャノンなどいろんないい作品がここから生まれてたり楽しいイベントです。
※2019年11月7日より新たなゲームクリエイターズCHキャンプ参加者の募集が開始されました。
RPGアツマールCHの月額入会者ならいつでも参加可能。
月替わりでゲーム制作力を向上するための課題を運営が用意する形式になっています。
詳しくは下記の公式HPをご確認ください。
興味が少しでもある人は自分で作ってみてほしい
では最後にアツマールファンの方にメッセージをもらえますか。
ゲームを作るのは本当に面白くて、一人でアツマールで作るのって創作の総合格闘技なんです。
絵やシナリオ、プログラム、UI、システムといろんな事をやる必要があります。
その分自由度が高くて楽しいしやりがいのあることなんで、興味が少しでもある人は自分で作ってみてほしいなと思います。
もっとたくさんクリエイターが増えるといいですね!
これからもkagayaさんのバカゲーを楽しみにしてます。
試験勉強でお忙しいところありがとうございました!
kagayaさん
「レベル上げにちょうどいい島」「ぶきあつめ」などRPGアツマールの人気作を生み出す大学生クリエイター。現在国家試験に向けて勉強中だが、ついゲーム作りに手が伸びてしまうバカゲーバカ。
好きなゲーム:マインクラフト、Stardew Valley、カイロソフト全般
Twitter:kagaya
作者HP:kagaya Game Okiba
作品一覧:kagaya RPGアツマール