弘前大学在学中の2010年に、電撃文庫(アスキー・メディアワークス)から『神と奴隷の誕生構文』で小説家、ライトノベル作家としてデビューした宇野朴人氏。
そんな彼が手掛けた小説が「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」。2012年6月に刊行され、アニメにもなり大人気作となった。その人気は原作累計発行75万部にも及ぶ!
そんな大人気作である「アルデラミン」が今度はゲームとなって登場した!それが「天鏡のアルデラミン ROAD OF ROYAL KNIGHTS」。
これは、原作者の宇野氏はもちろんのこと石坂氏率いる部隊が一丸となって創り上げた作品だ。元々『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』を題材にしたリアルタイムバトルRPGで、原作でお馴染みのキャラクターが登場し、そのストーリーをゲームで体験することができる。
原作でお馴染みのキャラクターを自分で操作できることもあり、原作ファンにはたまらない作品だ。内容は、バトル部分がしっかり作りこまれているので原作を知らない人でも本格的にゲームを楽しむことが出来る。
そんな「天鏡のアルデラミン ROAD OF ROYAL KNIGHTS」の原作者である宇野朴人氏そして一緒に創り上げてきた石坂氏の素顔に迫り、その誕生秘話を聞いてきた。原作を知っている方も知らない方も、この機会に宇野氏、石坂氏そしてこの作品の魅力を知ってほしい。
なおこのインタビューの様子は、全6回に分けてお届けする。各回のインタビューへはこちらから。
目次
- 1 作家になって8年目。年間文字数40万字以上!
- 2 ”伏線の回収”が着地点での忙しさ。どうしても文字量が濃くなってしまうが「エンディングのビジョンは初めから決まっていた。」
- 3 これからも新作は書いていく!その中でゲームにできるものがあれば、もちろんやっていきたい。
- 4 面白いのは原作だけじゃない。ゲームでも新しいアルデラミンが楽しめる!
- 5 ゲームの難易度をどこにもっていくのかが難しい。
- 6 アップデートの準備はリリース前から。あの”気球”も!が、バランスがやはり難しい。
- 7 宇野氏と石坂氏はグッドパートナー。「多少ズレても気にせず、面白いものを作りましょう!」
- 8 【インタビューその⑤】まとめ
- 9 天鏡のアルデラミンROAD OF ROYAL KNIGHTS 帝国と共和国の終わりなき戦争の果てにキミは何を見る!?アニメを追体験しながら遊べる軍略RPG
作家になって8年目。年間文字数40万字以上!
――宇野さんは作家になって何年でしょう?
宇野氏:
おそらく今年で8年目だと思います。なんとか食ってきたという感じです。
――1年間に書く文字量はどのくらいですか?
宇野氏:
1番多かったのが、デビューから3年間ぐらいだと思います。最近はむしろ若干筆のスピードが落ちているところもありますからね。
ただ年間に3冊は書きたいと思っていて。今出している本は、アルデラミンが12冊+3冊、2冊ときているから…年平均2.5冊ぐらいしか出せていません。もうちょっとですね。
石坂氏:
世に出ていない部分もありますからね。
宇野氏:
それも多少ありますね。
1冊1冊の文字数は多い方なので、15万字くらいと仮定して…おそらく年間40万字以上は書いていると思います。地の文が多いもので、言ってみればもう少し省エネな作品でいけるなら、それはそれで良いなと思います(笑)。
”伏線の回収”が着地点での忙しさ。どうしても文字量が濃くなってしまうが「エンディングのビジョンは初めから決まっていた。」
――圧倒的ですね…。文字が多い理由としてはどういった点があるのでしょう?例えば、状況説明の部分など。
宇野氏:
まさにその状況説明が原因かもしれませんね。やはり設定やキャラクター数がかなり増えてきましたしね、出てくる国の世界観の説明も。
今、シリーズ全体をまとめにかかっているところもあるのですが、そうなるとこれまでの伏線を全部拾っていかなければなりませんので、文字数は増えます。
――なるほど、伏線の回収。
宇野氏:
よく”風呂敷を畳む”という表現をしますけど、本当にそこが1番大変です。
――エンディングを見据えて、今書いていらっしゃると。
宇野氏:
そうですね。シリーズを始めた時から、この話はこういう形で決着しようというビジョンがありましたので、その辺りは割としっかり見えています。
石坂氏:
とあるマンガは、金庫の中に最終話が入っていて…という話がありますよね。
宇野氏:
そんなだったらもっと余裕綽々で書いています(笑)。
海外の小説でもありますもんね、実はもう全部できちゃっていた、というような事が。
これからも新作は書いていく!その中でゲームにできるものがあれば、もちろんやっていきたい。
――新作についてはいかがでしょう?
宇野氏:
もちろん!書いていきます。
――目を輝かせてる人(石坂氏)がいますが、ゲーム化へのお気持ちは?
宇野氏:
そりゃあゲームにして貰えるのなら、いくらでもやりますよ。
石坂氏:
楽しみだな。
――これからの小説は、もしかしたらゲーム化のし易さがあるのかもしれませんね。
石坂氏:
そうですね、メディアミックスのしやすさが。
宇野氏:
ソシャゲになった時にゲームシステム的に面白くなりそうなものだったら、いいかもしれないですね。
面白いのは原作だけじゃない。ゲームでも新しいアルデラミンが楽しめる!
――本編12冊のうち今回は3巻までですよね。世界観としてはまだまだこれから!というところでしょうか?
宇野氏:
そうですね、これから広がっていくところはあります。
もし最初からゲームになることがある程度見込めている作品であれば、もっとネームキャラクターがたくさん出せるタイプの作品にして…もっと面白いかもしれませんね。
――ホームページで、「今までにないアルデラミンの世界」というキャッチがありますが、それは今回のコンセプトの一つだと。
石坂氏:
そうですね。やはり、原作のファンが喜べる新しいものとは?という事で、ここでしか読めないシナリオの追加などが、まず最優先だったかなと思います。
あとイラストもですね。原作のさんばさんや竜徹さんに描いてもらったので、そういうところでも原作ファンに楽しんで貰えるかと。
ゲームの難易度をどこにもっていくのかが難しい。
――ユーザーからの反応はいかがでしょう?
宇野氏:
それなりにエゴサーチして探っています。ゲームそのものに対する評判は割と良いかなと。個人的に1番見ていたのは、書き下ろしシナリオに対する感想ですね。
そっちも評判が良くて…本当にホッとしました。
――石坂さんはどうですか?
石坂氏:
当初の想定が大人向けだったので、他のゲームよりもちょっと難しくしたんですが、「すごく面白いです。」というユーザーさんと「難しくてクリアできません。」というユーザーさんの二極に分かれしまっていまして。
そこはずっと苦労していました。そのユーザーさんをフォローするのか、本当に難易度を下げるのか。難易度を下げると”ポチポチ”になっちゃうし、現状を面白いと感じているユーザーさんにはなんと言おうかと…。ゲームバランスの苦労をずっとしていたというのはありました。
――原作のお客さんが好きそうなシステムのイメージと、沢山のユーザーに楽しんで貰うためのシステムのイメージ。そのどっちで行くのかという悩み、と。
石坂氏:
そうです、本当にそこが難しくて。ゲームをただ単に簡単にするわけにはいきませんからね。
Twitterや攻略記事などでは、「戦い方のポイント」といったようなフォローを入れて、プレイヤーを底上げしてあげるような感じで対応していました。
アップデートの準備はリリース前から。あの”気球”も!が、バランスがやはり難しい。
――宇野さんや石坂さんがゲームを見ていて、今後よりよくして行きたい部分はありますか?
石坂氏:
実はアップデート用の新しいものは、リリースする前からモデルを作っていました。既に準備をしていた、と言いますか。具体的にいうと気球だったり。
宇野氏:
なるほど、もうあるんですか。
石坂氏:
あとはシュミレーションゲームによく出てくる大型の武器種みたいなものがあるのですが、バランスブレーカーすぎるので検討中、といったところです。
ーー難しいところですね。
宇野氏と石坂氏はグッドパートナー。「多少ズレても気にせず、面白いものを作りましょう!」
――原作の中でも気球は無双?
宇野氏:
原作で気球に対する対策が生まれるのは5巻なのです。ゲームは現状3巻までですからね。
今のところ気球が浮かんでいると、撃ち落とす手段がない!
――宇野さんに新しい手段を作ってもらうというのはどうなのでしょう(笑)。
石坂氏:
それを気軽に入れちゃうと、バランスが難しくなってしまうので考えものですね(笑)。
宇野氏:
でもせっかくのゲームですから。ある程度原作から飛び出してでも、面白いゲーム性を採っていくスタンスもいいかもなとは思いますよ。
――お許しがでましたね。
石坂氏:
せっかく作ったから、なんとかいい形で出してあげたいです。
宇野氏:
多少元々の設定との摩擦はあまり気にしないで。出して頂ければ何かしらこじつけて調整しますので。
石坂氏:
嬉しいです。
――凄く協力的ですね。
石坂氏:
ええ、本当に助かっています。
【インタビューその⑤】まとめ
今回は、ユーザーの反応やゲームの難易度を調整する難しさなどを伺うことが出来ました。宇野氏と石坂氏のやり取りで、お二人が良い関係でお仕事をされているのがよく伝わってきました。だからこそ、アルデラミンという良い作品が出来たのでしょう。
次回はいよいよ最終回となります。最終回では、本作のおススメポイントなどをじっくり伺います。
お楽しみに!
各回のインタビューへはこちらから。
天鏡のアルデラミンROAD OF ROYAL KNIGHTS
帝国と共和国の終わりなき戦争の果てにキミは何を見る!?アニメを追体験しながら遊べる軍略RPG
TVアニメからの新規要素も豊富な戦略RPG!
「天鏡のアルデラミンROAD OF ROYAL KNIGHTS」は、アニメの物語を追体験しながら戦場を駆けるリアルタイム戦略RPGだ。
2016年7月からアニメ放送された宇野朴人 氏による人気ライトノベル「天鏡のアルデラミン」をゲームアプリ化。
プレイヤーは主人公であるカトヴァーナ帝国の少年「イクタ・ソローク」やその仲間たちと共に、士官学校での日々を体験しながら帝国とキオカ共和国をめぐる戦乱に巻き込まれていく。
バトルはリアルタイムストラテジー(RTS)形式になっており、指揮官と2人の副官をセットした5つの部隊を操作する。
部隊を引っぱって移動、射程内に敵が入ると自動で攻撃を行い、指揮官や副官の固有のスキル(属性変更)を発動させて戦況を有利に進めよう。