目次
「レッドクイーン」って?
まったくご存知ない方は、まずはレビューをご覧いただきたい。
このゲームは、テンプルランを思わせるグリグリと動く3Dのランゲームなのだが、世界観が「鏡の国のアリス」×スチームパンクという、かなりとがったもの。
アイコンもランゲームを思わせるものではなく、非常にスタイリッシュで、全体的に独特なたたずまい。遊んでみれば、とっつきのいいシンプルな操作体系とは裏腹に、遊び手にスキルを求めてくる骨太なゲーム性だ。
筆者は、言われるまで国産のゲームであることになかなか気づけなかった。
そんなランゲーム「レッドクイーン」は、同じ名前の「株式会社レッドクイーン」の処女作だ。
失礼ながらはじめて耳にした会社名と、これまでにあまり見たことのないゲームの世界観に、非常に興味をそそられ、インタビューを申し込んだ。
回答くださったのは、代表取締役副社長の中村 将和氏、ディレクターの根津幸広氏、プランナーの渡会 知弘氏、そしてマーケティング室長の慶長聖也氏だ。
レッドクイーンというゲームが出来るまで
まずは、レッドクイーンというゲームについて、簡単に紹介をお願いします。
中村:
ルールはできるだけシンプルに。ジャイロ操作で、子どもからご年配の方まで、遊べること。
通常のランゲームと違うのは、キャラクターを強化したり育成したりすると、その強くなったパラメータをプレイヤーが実感できるようにしていることです。
通常のランゲームはそういうのないじゃないですか。アイテムを利用しても、特殊効果がついて、その時間が伸びるだけ。このゲームではキャラクターの育成を楽しめるようにしています。
あとは、鏡の国のアリスから200年後の世界で繰り広げられるストーリーを楽しんで欲しいです。
企画当初・開発当初には、どんなことを考え、思っていましたか?
中村:
個人的にはコアなオンラインゲームのユーザで、洋ゲーからコンシューマゲーム、スマホゲームまで幅広く遊んでいて、その時々に人気のゲームは大体触っています。
プレイスタイルとしては短期間にグッとやり込むことが多くて、カジュアルに遊ぶゲームが流行っている中で、自分が遊びたいようなコアなゲームを作りたくて開発しはじめたタイトルが「レッドクイーン」です。
デバイスはマーケットとして盛り上がっているスマホしか考えていなくて、デバイスの機能やできることをしっかりと活かすことを前提に作り込んでいます。
レッドクイーンを作っている人たちはどんな人たちですか?
中村:
大学生の時にはウルティマやディアブロ、エバークエスト、FFなど、MMORPGにどっぷりハマっていて、大学も規定より多く行ってたんですけど。(笑)
で、まじめに働こうと思って入ったのが現在のLINEでした。当時は160人くらいしかいなくて、ハンゲームでした。2004年かな。
元々MMORPGでって話だったのですが、スタッフが手薄だったパチンコ・パチスロののチームに配属されて、作ったサービスが当たったんですよね。で、事業部化して。なんだかんだでMMORPG以外は、だいたい作ったんじゃないですかね。
そんな感じで、10年くらい、パチンコのサービスやコミュニティ、ゲームアプリをいくつか立ち上げたりしていた時のメンバーと一緒に作った会社が「レッドクイーン」です。
このゲーム(レッドクイーン)をリリースしてからどんなことがありましたか?
中村:
2016年の5月2日にゲームをリリースして、その後に実は、ほぼ全部直しています。出しはしたものの、正直なところ納得の出来ではなかったんですよね。
会社を作ってから、ずっと会社の管理のほうの仕事をしていたのですが、最近は現場に戻って、プロデューサーとしてゲーム作りを頑張っています。
リリースしてから作り直すにあたっては、心強い昔からの仲間を呼び戻しました。(ディレクターの根津さんを見ながら)
5月のバージョンを昔の仲間に見てもらったら「あ、これ中村さん作ってないよね」って言われちゃいまして。
そんなわけで、改めて設計を見直して、ベースの部分を自分が作り直しながら、ディレクターやプランナー陣に、イベントなんかを作ってもらっています。
7月22日にアップデートして、だいぶん良くなったと思います。ちなみに、5月から7月までの記憶はありません。(笑)
根津:
開発チームのキャパの問題も大きくて、実はアップデートで、コース数を減らしています。52クエストから44クエストに減らして、制作チームの負荷を減らしてスケジュールを引き直しました。
開発は、どんな規模で、何名くらいでやっている(いた)のですか?
中村:
開発当初は6名ほど。デザイナーもプログラマも、サーバエンジニアもそれぞれ1名。(笑)
今では、20名ほどまで増やして対応していますが、デザイナーは2名。まだまだ足りませんね。
作り直しは勇気が要りますよね。7月のアップデートの内容はどのようなものだったのでしょう?
中村:
プレイしたときの気持ちよさとか、ゲームのベースとなる部分については、自分が作り直しています。逆に、そのほかの部分はよく分かっていないんですけど。(笑)
渡会:
(笑)プレイアブルの部分は自分がいじりました。
キャラクターの成長が分かるような設計にしてくれているので、コースデザインもキャラクター育成が実感できるよう心がけてやっています。
あとはイベントを楽しめるよう、コラボイベントなんかも開発・実装しました。
中村:
今回のコラボイベントが始まって、ようやくユーザの皆さんが、ゲームの楽しみ方を分かってくれるんじゃないかと思っています。今はまだコースをクリアするところまでなんじゃないかなと。
コラボイベントを遊ぶことで、例えばカズくんの衣装を99枚沢山集めたりっていう楽しみ方に気づいてくれると期待しています。
逆に言えば、今はまだゲームの楽しみ方を伝えきれていないと思っているんですよね。
TV番組「教えて!アプリ先生」とのコラボ
※コラボの第一報を伝えるニュースは、こちら。
教えて!アプリ先生とのコラボイベントについて教えてください。
中村:
正直、ここまでモデリングしちゃうとは思わなかったですね。(笑)
慶長:
今回、テレビで取り上げてもらえる話と、コラボしてみません?ていうお話をいただいて、社内で検討した結果ですね。
中村:
せっかくやるなら、いかにもよその会社もやりそう、みたいなことじゃなくて、やりきりたい!という気持ちがあって、専用のクエストまで用意しちゃったんですけど。
慶長:
実は、プレイヤーの皆さんがやぐっちゃんになってカズくんを捕まえる、っていう案もあったんですよ。
中村:
プレイヤーの皆さんが永久にやぐっちゃんを使えちゃうと色々困るので、ボツになりましたけど。(笑)
今後もコラボはいろいろとやっていきたいなと思っているんです。いいコラボ先、教えてください!(笑)
コラボイベントの詳細(スケジュール)について教えていただけますか?
慶長:
バナーなんかをご覧いただいたら、なんとなく伝わるとは思うのですが、番組に登場する皆さんがゲーム内で暴れまわります。
ステージ自体は、初級・中級・上級に分かれていて、9月13日から1週ごとに、順次公開していきます。
難易度はもちろん、登場する有名人が異なるので、どのステージも楽しんで遊んでいただければと思います。
ちなみに、皆さんしゃべりますよ!
スケジュールとステージの画像素材をいただいたので以下に掲載する。
初級クエスト「脱走!カズくんを捕まえろ」:9月13日(火)~10月4日(火)
中級クエスト「なっちゃん、増殖!?」:9月20日(火)~10月4日(火)
上級クエスト「爆走娘。降臨!」:9月27日(火)~10月4日(火)
実際に遊ばせていただいたのですが、コラボステージは、やることが多くて面白かったですね。特にジャンプの浮遊感が気持ちよかったです。これまでのコースと違って難易度が高く、ゲームの印象が変わりました。今後は通常ステージも、凝った構成になっていきますか?
根津:
通常コースの設計は、操作に徐々に慣れてもらうために難易度の設定をゆるやかにしているんですよ。
その分、イベントのほうは楽しめる感じに作っています。通常ステージはストーリーを楽しんでもらって、イベントのステージで沢山遊んでもらいたいです。
中村:
常設されている通常コースはあくまで練習で、期間限定のイベントステージではガッツリ楽しんでもらう、っていうのが理想です。
逆に練習のほうが面白くて、本番のほうがつまらなかったら残念なので。イベントのほうが面白くて、リワードもよくて、というようにしたいです。
ただ、いまイベントが始まっていないので(※1)、お客様にはそのあたりを楽しんでいただけないんですけど。ゲームのポテンシャルが高い分、コンセプトが変な方向にいっちゃうこともあるのかなと。なので、今は焦らないよう、丁寧に開発しています。
※1 8月末のインタビュー時点。
中村:
今度実装する「まりょくえ」というステージを遊んでみませんか?
ーーーえっ、いいんですか!?
というわけで、遊ばせていただいた通称「まりょくえ」は、魔力の源であるクリスタルを大量にゲットできるボーナスステージのようなステージ。
コースレイアウトが通常のステージよりも凝っていて、スピード感あふれるコースになっていた。
中村:
こういう楽しみもあるんだぞ、っていう。こんな遊びを沢山実装していきたいんです。
レッドクイーンというゲームの今後
レッドクイーンというゲームをどんな風に進化させていきたいですか?
中村:
ぼくの設計のイメージではエクストリームスポーツなんですよね。そっち系のアクティビティをゲーム内で充実させていきたいんです。
今は、パルクール&ランだけしかないんですけど、スカイダイビングとかスキー的なものとか、要素を追加して、ゲーム性を深めていきたいんですよ。
現時点では、コース状になっているところを走るのみなんですけど、オープンにフィールド自体で色々できるように作ってあるんで、今後どうやって広げていくか楽しみなんですよね。
基本的にはジャイロを活かしていって、浮遊感を感じてもらったり、疾走感を感じてもらったりしたいんですよね。
ポテンシャルはあると思うので、今後どう伸ばすかが非常に重要で、気を付けてやっていきたいです。コンセプトが崩れないように。
インタビュー前にちらっと対戦なんかの要素も盛り込みたいというお話を伺いました。課金要素のあるスマホゲームとe-Sportsの相性については、どのようにお考えですか?
中村:
大会のときは、レベル制限とか実施するものだとは思いますが、現在の大手のスマホゲームの大会では何でもありだったりしますね。すごいDL数のゲームで、実際そういうことが当たり前だったりしています。
そのあたりは、各社、ユーザの課金状況やユーザ数などから考えているんじゃないでしょうか。
レッドクイーンの場合は1レベルでもクリアできてしまうゲームになっているので、検討ですね。
根津:
コースは全部レベル1の状態の、初期衣装でもクリアできるというように作っていますので、ユーザの皆さんの努力次第です。あとはレベルをあげたり、衣装を着替えたりすることで、より自分が強くなったなと感じてもらえると思います。
中村:
今後、有名なYouTuberの方にレベル1でステージをクリアして行ってもらえたら、伝わるんじゃないかなと。(笑)
この間のリオオリンピックなんか見ていたら、e-Sportsもそうですが、AR、VRなんかも、今後来るんじゃないかなぁと思いましたね。
VR方面の仕掛けは、なにか考えていらっしゃるんですか?
中村:
実は、VRを意識して、このゲームを立ち上げたというのもあるんです。Oculus Riftなんかも社内に数台あるんですけど。
ただ、いまはゲームがサードパーソンだったりするので、どうやっていくか、というのもあります。
ゲームがもっと売れないと!というのもあるんで、キャラクター追加したり、内容を増やしていきたいです。
近々で、レッドクイーンのファンの方に紹介できるようなアップデート情報はありますか?
中村:
キャラクターが追加されるのと、ギアが追加されます。
動物の能力をモチーフにしたギアというものを追加して、モチーフにされた動物によって装備した時に得られる能力が違う、というようなものを考えています。
根津:
これ、ぼくが作ったやつなんですけど…
ーーーすごい!ディレクションしながらデザインもされるんですね。
中村:
あとはオーラというのがあって、装備を99集めると、性能は変わらないんですけど、こんな風にオーラを纏うという。コアユーザ向けのネタですね。
ただ、これがないとクリアできない、ということではなくて、ゲーム内で友だちになっておくと、そのキャラクターが使えるじゃないですか。そのときにオーラをまとってておお!ってなるようなものを考えています。
キャラとギアとオーラとお話を伺ったのですが、10月のアップデートのテーマはあるんでしょうか?
根津:
ギアに関しては、レッドクイーンのゲーム性を考えて、ゲームが進めやすくなるような性能を主体に考えています。動いていないガチャに追加しようと考えています。なくても遊べるんですけど。
中村:
結局、なくても大丈夫なんですけどね。難易度が高いと言われているので、それを下げるために追加した、という感じですね。
難易度が高いと言われているけれども、実際には1レベルでクリアできるんですよね?そのあたりのユーザへの案内というかコミュニケーションが難しそうですね。
中村:
コース取りとかここでジャンプする!とか攻略方法が結構あって、それがわかるとすっごいゲームが楽しくなるんですよ。一人で遊んでいるとコースの分析をしていくのがなかなか難しいので、そこらへんを動画とか記事とかで伝えていきたいですよね。
根津:
どうやったら伝わっていくかな、というが困っている部分でもありますね。
実は、社内では結構みんながやっていて、攻略法もこういうの見つけたよとかいって、すげえ!とかいって教え合ってるんですよ。(笑)
作っている人たちが結構楽しんで遊んでいるんですよね。仕事だからやってるとかじゃなくて面白いからやってくれてる人が多いんですよ。そのあたりが、今までいた現場と違っていて。
中村:
1-4-5のステージでどれだけスコアいくかを頑張ってますね。おれは3万点とったぞとか、おれは3万5千点とったぞとかいって、どんどん研究してスコアを更新していって。いま4万5千だっけな。
根津:
4万6千点。
それが終わるとまた別なステージで、キノコをすり抜けてどうやっていくんだとか。みんなで攻略しはじめるんですよ。
中村:
はじめは2万点とかだったんですけどね。ここを通ればクリアまであと6秒短縮できるぞ、そうすれば3千点は変わるかなとか、そんな風にしてスコアをあげていくんですよ。(笑)
でも、なかなかそういう遊び方を、今は伝えられていないんですよね。
根津:
タマゴとったら千点とか、スタミナのアイテムとると変わるとか、モンスターを倒したらさらに上乗せされるとか。そうやって作っているんですけどね。遊び方をちゃんと伝えきれていないですね。
ーーーとりあえず、1-4-5で4万6千点取ったら、自慢できるんですね?(笑)
中村:
いや、相当ですよ。
そのクラスのプレイを見たら、きっとびっくりしますよ!(笑)
ということで、後日送っていただいた4万6千点の証拠画像がこちら。
インタビューを終えて
実は、このインタビューの最後で、レッドクイーン社のトップレベルのプレイヤーのプレイを見せていただいた。
それはもう、正確無比なジャイロ操作と流れるようなコース取りで、例えるならば「スーファミ版のマリオカートのタイムアタック」といえば分かっていただけるだろうか?
F1ドライバーはミリ単位で車を制御するというが、まさに日々のやり込みの結果、そういうレベルのプレイを眼の前で見せていただいた。
まさしく、やり込めばやり込んだだけ、プレイヤーが成長していくスポ根、骨太なレッドクイーン。
今後が楽しみな国産ゲームだ。