「艦隊これくしょん -艦これ-」の聖地巡礼として横須賀の「記念艦 三笠」を訪れた前回。
第2回となる今回はその三笠の中、様々な戦争の記録ともいえる品々が展示されている船内へ突入してみよう。
また、三笠が現在の姿になる前、実は艤装部分を全て外され、甲板にはダンスホールや水族館が設置されていた事を知っているだろうか?
戦艦としての姿を取り戻すまでの三笠とは!?そのエピソードにも軽く触れておこうと思う。
廃艦から荒廃
そして復元へ・・・
ワシントン軍縮条約により、廃艦が決定した三笠は、1923年9月1日の関東大震災で岸壁に衝突し、そのまま着底。
ウラジオストク沖で破損した部位が応急修理の状態であった為、そこから浸水したのが原因だった。
同年9月20日に帝国海軍から除籍、そのまま廃艦後に解体される予定であったのだが、保存運動が起こる。
1925年1月に記念艦として、保存んすることが閣議決定され、同年6月18日に工事が開始、11月10日に完了。
船体は海底に固定された状態となった。
1945年の太平洋戦争末期に機銃掃射を受けるも被害を受けずにいたのだが敗戦後、日露戦争での敗北を忘れられないロシア帝国の後継国家ソ連のクズマ・テレビヤンコ中将からの要求で解体処分されそうになる。
だが、この時はアメリカ陸軍のチャールズ・ウィロビー少将らの尽力によりこれを逃れる事ができたのだった。
しかし、横須賀港を接収したアメリカ軍のための娯楽施設が艦上に設置されてしまう。
更に、戦後の資材不足の影響もあり、金属製のパーツはガス切断で取り外せそうな位置から盗まれ、チーク材の甲板も薪や建材にする為に剥がされていった。
艦上は荒廃していき、後に後部主砲部分に水族館が設置される等、元の戦艦であった姿とはかけ離れたモノになってしまっていた。
東郷平八郎を敬愛していたアメリカ海軍のチェスター・ニミッツ提督などの尽力もあり、三笠の復元保存運動が徐々に盛り上がっていく。
復元工事は1959年から開始となり、2年の歳月を費やして完了した。
復元にあたって、設置されていたテーブルなどの家具類をはじめ、アメリカ軍が撤去した記録のあるものはほぼ全てが完全な形で変換された。
艤装は同じイギリス建造艦であるチリ海軍の戦艦「アルミランテ・ラトーレ」のものがチリ政府より寄贈された。
持ち去った者が不明な物は戻ってきてはいないのだが、こうしてほぼ当時の姿を取り戻した三笠は、現在の記念艦としてその姿を現在の場所に残せる事となったのだ。
記念艦 内部へ!
いよいよ記念艦の内部へ突入。
様々な戦争の記録、その時代の遺品の数々が展示されている。
艦首方向にある階段から降りると、さっそく展示品が目に入る。
艦首方向の空間は劇場になっている。
入る事はできないが、普通に映画館みないなつくり。
中央の大部屋が展示用の部屋。
当時使われていたものから、後年に戦争を記した歴史的な資料がたくさん。
こちらの絵画などは、知っている人も多いんじゃないかな?
色は点いていないが、こちらも実際に使用されていたZ旗。
紐パンじゃないぞ!w
当時撮られた写真。
かなり鮮明に写っているので、現在の形状が完全に再現されたものだと実感できる。
海戦の記録。
こまかな移動海路と、どこにどの艦船が配置されていたのかがわかる。
記録は、詳細に残っているようだ。
人の大きさ程もある模型。
艤装の細かいディテールまで再現されている迫力のあるモデル。
これ以外にも、日露戦争以前から太平洋戦争時、そして現在の護衛艦までの艦船の模型が廊下のケースに展示されている。
当時の甲板に使われていたチーク材。
機銃掃射によって開けられた穴。
戦争を物語る明確な傷跡。
船室を利用した展示
多くの旧日本軍海兵たちが行き来した通路にも展示品がある。
士官たちの部屋もそのまま展示室になっている。
家具なども返還されたものがそのまま配置。
ソファーなどは、部屋ごとの形に合わせてしつらえられた革張りの高級なもの。
士官たちの集まる会議室。
戦艦の中だというのを忘れてしまいそうな程の高級感。
まるでホテルだ。
ユニットバス。士官用のモノだけでなく、艦長用は別になっていたようだ。
室内に配置されている大砲を見ると、ここが戦艦の中だと感じられた。
艦長室と専用階段
東郷元帥の遺髪。艦長室手前の部屋に収められている。
艦長室手前の部屋。
長テーブルに数々の高級家具が配置されている。
絨毯もここからは別のもの。スゴイふっかふかだw
そして、艦尾の艦長室へ。
楕円の形状になっている部屋に合わせた家具が設置。
大きな鏡や扉の形状など、おしゃれな感じ。
側面の扉から後部デッキへ。
この艦長室のみ、この構造になっている。上が後部甲板だ。
このソファーを見るとわかると思うが、全てが部屋の形状に合わせたオーダーメイド。
部屋の角にぴったりと収まるように設計されている。
しかも、艦長室のソファーは、他の士官の部屋のものとはまた違った素材で作られているようにみえる。
艦長室近くに配置されたキッチン。
士官たちはここでお茶を淹れたりしたんだろうか。
そして、後部甲板への階段は、二種類ある。
片方は、普通の階段で一般用。もう一方は、作りも違う艦長専用の階段。
最期に、甲板中央にこの絵画を引き延ばした立て看板が設置されている。
そう、等身大風にまで大きくなっているので、東郷元帥と一緒に写真が撮れるって代物だ!w
「記念艦 三笠」に行った際は、是非、ここで艦隊司令、提督な気分を味わってみてほしい。
紹介しきれていない箇所も多いとは感じるが、今回はここまでにしておこう。
次回、第3回からは横須賀と言えばもう一つの外せない聖地「軍港」を紹介していくぞ!