『マリオ』や『ロックマン』ならば「アクション」。『グラディウス』や『ゼビウス』なら「シューティング」。
『ポケモン』や『ドラクエ』なら「RPG」…みたいに、ゲームには「ジャンル」というものがあるのだけど、メーカーが主張しているジャンルと実際のゲーム内容が乖離しているものが極稀に出てくることがある。
出典:頭脳戦艦ガル(http://urx.red/tYLF)
ジャンル名「おバカ」とか「君と響き合うRPG」とかの珍妙なジャンル名をつけるだけならともかく、明らかにシューティングなのにRPGを主張するという紛らわしいゲームも…
今回はかつてのスクウェアソフト(現スクウェア・エニックス)がRPGと主張した二つの作品を紹介していこう。
キングスナイト
出典:http://urx.red/tYOH
キングスナイトはスクウェアの出したFCゲーム。ジャンルは「フォーメーションRPG」。
さらわれたお姫様を救い出すために個性的な4人が協力してドラゴンを退治するという実に古典RPGらしいストーリーなのだが…。
プレイ中のゲーム画面は縦スクロールシューティング。敵弾をよけながら前方に飛び道具を放ち、上へ上へと進んでいく姿はどう見ても…
一応、道中のアイテムを集めると自機キャラクターのステータスが上昇したり、最終面で4人の仲間がまとまって戦ったりする部分はRPGっぽく見える。
レーシングラグーン
出典:http://urx.red/tYPZ
レーシングラグーンはスクウェアが1999年に出したPSゲーム。ジャンルは「ハイスピードドライビングRPG」。架空の街YOKOHAMAを舞台に走り屋の主人公たちが速さを競い合う物語。
ノスタルジックな雰囲気とゆったりとした質のいいBGM、主人公のポエミィなセリフの言い回しが独特の世界観を作ってプレイヤーを引き込んでいく。
ゲーム画面はパッと見レースゲームにしか見えないけれど…
レースを繰り返して経験値を稼ぎ、勝利した敵からパーツを奪って自分の車を強化していくっていう部分はRPGらしいと言えばらしいのかな?
とはいえ、現代が舞台で、主人公が戦わずに速さを競うゲームをRPGと判断するのはちょっと難しい。
けれども筆者の考えとは裏腹に、スクウェア側は「これはRPGだ!」と強烈に主張したいようで、作中ではエンジンを攻撃力に、シャシーをすばやさに例えたり、エンジンパーツをガーディアンフォースのジャンクションみたいなもんだと主張したりと(発売日がFF8に近かった)、とにかくRPGを前面に押し出している。
…スクウェアソフトはRPGになにかこだわりがあるのだろうか?
そもそもRPGってなんなんだ?
レーシングラグーンはRPG。ドラゴンクエストもRPG。ゼルダの伝説はアクションRPG。キングスナイトもRPG。
…RPGってなんだ?
ロールプレイングゲーム
略称としてはRole-Playing Gameの頭文字からRPGが使われる。テーブルトークRPGをルーツに持ち、コンピュータゲームとしては『ウィザードリィ』、『ウルティマ』などから発展した。様々な障害を乗り越え解決することで得られる経験値などの蓄積によってプレイヤーキャラクターを強化させ、行動範囲を広げつつ物語のエンディングを目指す。
引用:Wikipedia(http://urx.red/tYUk)
Wikipediaによるとキャラが強化・成長する要素があればRPGだと定義されるっぽい。
出典:http://urx.red/tYXI
そもそもロールプレイングゲームの語源はテーブルトークRPGの「ロールプレイ(role-play・役割を演じる)」からきている。
テーブルトークRPGのプレイヤー(PL)は卓上に作られたキャラクター(PC)になりきり、キャラクターを動かし、キャラクターのセリフを喋り、卓上のキャラの役割を演じるのだ。
……つまりプレイヤーが「マリオ」という役割を演じて操作する『マリオブラザーズ』はRPGだった…?
…いや、んなわけないのはわかるけど、ロールプレイ(role-play)という意味でとらえるならばどんなゲームでもRPGと主張することが出来るのではないだろうか?
…つまりメーカー側がRPGと言えばそのゲームはRPGなのである。スクウェアソフトは正しかった。