『バンドリ』バンドストーリーまとめシリーズ。今回からPastel*Palettes編です。まずは1・2話からどうぞ。
『Pastel Palettes』(パスパレ)は、アイドルをイメージした5人組バンド。『Poppin’ Party』『Afterglow』とは違い、ストーリーはバンド結成前の時点からスタートします。
第1話 演奏しないアイドルバンド
ある日、芸能事務所に所属するアイドルの丸山彩は、緊急ミーティングという名目で事務所に呼び出されます。
白鷺千聖は、同じ事務所の先輩。普段はお仕事で忙しい千聖は、事務所に来ることはめったにないそうです。
続いてやってきたのは若宮イヴ。フィンランド人の母を持つ帰国子女で、日本文化に興味があるようで、”寄り合い”という古めかしい言葉もそのためです。
彩、千聖、イヴの3人は、同じミーティングに呼ばれたらしく、事務所スタッフは「あと1人が来て揃ったら始める」というので、しばらく待つことに。
そうしているうちに、4人目と思われる氷川日菜が入ってきました。遅刻を咎められますが、あっけらかんとした様子です。
ミーティングの内容は率直でした。4人は新人アイドル『Pastel*Palettes』としてデビューするのだそうです。
事務所の研究生として活躍していた彩にとっては絶好のチャンス。ようやく頑張りが報われ、大喜びでこれを承諾します。
モデルが専門だったイヴもまた、歌って踊るのが専門のアイドルデビューには意欲的です。
4人はここで初めての顔合わせとなるため、順番に自己紹介していきます。
イヴは”ブシドー”をはじめ日本文化に強い興味があるらしく、それが他のメンバーの関心を引いているようです。
千聖は、タレントとしては大ベテラン。子役時代からドラマや映画に出ている、キャリアの長い女優です。
最後は日菜。バンドのオーディションにノリで出たら受かってしまったそうです。
バンドのオーディションに出たのにアイドルユニットでデビューするの? 彩は疑問を投げかけますが、特にバンドということにこだわりはないそうです。
かといって、バックバンドのメンバーというわけでもなさそう。むしろ日菜は、他のみんなが楽器をやらないことを不思議がっています。
考えがいろいろと食い違っているようですが、要は”アイドルバンド”としてのデビューだそうです。かなり重要なことを言い忘れるスタッフ。仕事しろ。
お披露目は2週間後のステージ。楽器の演奏はバックでプロの演奏を流し、パスパレは楽器を演奏しているフリをする、つまり”エア演奏”のユニットだとか。
ですが、それはお客さんに対して嘘をつくということになるのでは?
千聖はドライです。アイドルとしての魅力と、上手に演奏できることは必ずしもイコールとは限らない。同じく賛成の日菜は、単純に面白がっています。
釈然としない様子の彩は、さらにボーカルを言い渡されます。それも本番では、事前に収録したものを流すといいいます。
日菜はギター、千聖はベース、イヴはキーボードを任されます。ドラムはいま手配中とのこと。
突然、ボーカルを務めることを言い渡された彩。何か心に引っかかりを残しつつ、4人は2週間後のステージに向けて動き出します。
第2話 思った通り、美人ね
打ち合わせが一通り済んだあと、千聖は、ドラム担当がいつ決まるのかとスタッフに質問します。
ドラムはもっともエアで演奏しているふうに見せるのが難しい楽器。それもあって、ドラムに関しては、実際に叩ける人を探しているのですが、なかなか見つからないとのことでした。
正式に決定するまでは、同じ事務所のスタジオで働いている人を代理で入れるそうです。
そういってスタッフが呼んだのが大和麻弥。正式に決まり次第、スタッフから連絡があるということで、その日は解散に。千聖は次の仕事に、麻弥は別のリハが入っているとのこと。
ずっとチャンスを伺っていたアイドルの仕事をせっかく手にすることができたのに、素直に喜べない彩。
イヴもまた、ブシドーを重んずる人として、バンドなのに楽器を弾かないというシンプルな矛盾に頭を抱えています。
これに対し、日菜は「どうせ嘘をつくなら完璧にやりきればいいんじゃない?」と前向きに捉えています。新渡戸稲造から一気にお釈迦様の考え方へ……。
確かに、嘘も見破られなければ真実になる。そもそも、アイドルというもの自体、虚構を演じて人に夢を与える存在です。確かに、何を今さらと言われれば、そうですね。
「やるからには貫き通せ」という言葉が武士道的だからか、最終的にイヴは納得できたようです。
いずれにせよ、これは彩にとっても研究生として最後のチャンス。どうせやるなら前向きに捉えたほうが健全です。
その後、事務所の別室で、日菜は千聖に改めてあいさつをします。日菜は、テレビでも見たことがある芸能人と一緒に仕事をすることに驚いています。
千聖はアイドルとしては新人。どうして自分が選ばれたのかわからないけど、これから勉強していきたいと意欲的です。
日菜はそれを意外そうに受け取ります。女優としてのプライドが、口パク、エア演奏を許さないんじゃないか、と思っていたそうです。
日菜と別れたあと、千聖は言葉を漏らします。「成功にもっとも近い道を選びたいだけ」だと。
1週間後。レッスンを積み重ねるパスパレ。毎日レッスンをしてるけど、スタッフから熱意を感じないことで、彩はますます不安を募らせています。
さらに、千聖はレッスンにほとんど参加せず、心の距離は埋まらないままです。
麻弥は楽器に詳しいそうで、音楽機材のエンジニア的な知識があるようです。実際、楽器のエンジニアを目指しており、ドラム自体も始めて5年。臨時メンバーであることが惜しい人です。
結成から1週間経っても、正式なドラム担当が決まらないパスパレ。もしこのまま進展がなければ、自分たちはどうなるんだろう?
ふと、千聖は麻弥に、メガネを外すよう頼みます。
あっ……(かわいい)
千聖は麻弥を、臨時ではなく、正式にパスパレのメンバーに勧誘します。