ファミコン発売2年前にゲームブームを巻き起こしたハード。
低価格を実現し、40万台以上売り上げたエポック社のマシン。
それが―――
「カセットビジョン」
アクション、シューティング、パズルなど様々なタイトルでゲームファンを生んだ家庭用ゲーム機を大特集!
カセットビジョン
カセットビジョンは、1981年7月30日にエポック社が発売した家庭用ゲーム機。
日本製のカセット交換式ゲームハードとしては、ファミリーコンピューター(ファミコン)が発売されるまでの2年間最も売れた。
販売台数は、40万台~45万台を売り上げ、1983年9月まで日本でトップシェアを誇った。
最大の特徴は、当時のカセット交換式ハードの基本価格が5万円前後だったのに対し、本体価格が12000円と非常に低価格だったこと。
ACアダプタが別売り1500円だったが、後に同梱版が13500円で発売。
ソフトも4980円で安価なものだった。
この低価格設定が功を奏し、販売台数を大きく伸ばした。
1983年には、廉価版であるカセットビジョンJr.が発売。
更なる低価格だったが、コントローラーの関係上で未対応のソフトがあった。
性能面
画面は54×62ピクセル、色数は8色という粗いものだった。
ファミコンを含む当時のライバルハードが128から256ドット程度の画面解像度だったことを考えると、相当粗いがキャラが見やすいという意見もあったようだ。
他のハードには無い三角形のドットも珍しい。
音源が同時発音数は単音と他のハードに比べて貧弱で、バックグラウンドが単色表示であるなど、当時の技術的にみても低性能だった事は否めない。
ゲームソフト側で工夫しているものも見受けられ、ゲームによっては和音に聞こえるように調整してあったり、キャラクターの配置座標をずらすことでスクロールを表現したりなどがあった。
コントローラーも本体に配置されているという今では考えられない仕様になっていた。
デザインの関係上か、ボタンなどの配置が全て左右対象になっている為、1P側は左手でレバーを、2P側は右手でレバーを操作するというもの。
左右コントロールレバー、ボタン、ダイアルコントローラーという構成。
廉価版であるカセットビジョンJr.では、2P側が無かったり、ダイアルコントローラーの廃止などの変更があった。
カセットビジョン対応ソフト
様々なジャンルの11作品が発表。スポーツ作品3タイトルはカセットビジョンJr.では遊べない。
カセットビジョンJr.対応タイトル
きこりの与作:カセットビジョンの題名とともいえるアクション。アーケード版の移植作品。
ギャラクシアン:ナムコ版とは別物。後に版権料を支払ったらしい。
バトルベーダー:テレビベーダーのカセットビジョン版。
パクパクモンスター:エポック社の『パクパクマン』同様で、大きくアレンジされたパックマン風ドットイートゲーム。
モンスターマンション:エポック社の『モンスターパニック』のようなドンキーコング風アクションゲーム。
アストロコマンド:エポック社の『FLスペースディフェンダー』の作者によるスクランブル風シューティングゲーム
モンスターブロック:ペンゴ風パズルアクションゲーム。
エレベーターパニック:エレベーター要素のあるモンスターマンション風アクションゲーム。価格が3980円と低価格。
カセットビジョン専用
ベースボール:『テレビ野球ゲーム』のカセットビジョン版
ビッグスポーツ12:『システム10』を元にした『スーパー10』のカセットビジョン版。このゲームのみ光線銃対応。
ニューベースボール:1人プレイにも対応したベースボール
販売中止タイトル
グランドチャンピオン:トップビューのレースゲーム。
※販売直前に致命的なバグ(「ゴールできない」「ゴールしても止まらない」)が発見、修正されたが結局は販売中止となったらしい。
コピーゲームのようなタイトルが多いが、それぞれスペック内で工夫された当時としては面白いソフトだった。
次世代機となる『スーパーカセットビジョン』も発売されたが、それはまた別の話としておこう。
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