今もシリーズが継続している日本ファルコムの人気作品。
数多くのプラットフォームで発売され続ける日本のアクションRPGの原点の一つ。
それが―――
「イース」
その初代の2作品は前後編のようなスタイルだが、実は一つの作品として開発されていた。
それが何故分割されるコトになったのか?その理由に迫ってみよう!
今、RPGは優しさの時代へ。 by「イース」キャッチコピー
「イース」って?
赤毛の剣士「アドル・クリスティン」を主人公とする冒険ファンタジー作品。
PC-8801向けのアクションRPGとして1987年に発売された。
キャッチコピーである「今、RPGは優しさの時代へ。」とある通り、万民がクリアできるコトを掲げ、後のJRPGの歴史を変えたとされる作品でもある。
それ以前のRPGは、難しさを競うように作成されている時代だった。
クリアそのものがマニアでも難解なレベルだったようなところがある。
それを変える為にイースでは、難しいが少し考えれば進める絶妙な難易度設定がなされていた。
初作である「イース」(後にイースⅠと明記される作品)は、大ヒットとなり「イースⅡ」も制作されるコトとなる。
だが、内容としては前後編の関係になり、片方だけのプレイでは全容がわからないモノとなっていた。
分割された作品
イースシリーズには、アドル自身が後年に記載した冒険譚としての本の原題を元とした「副題」が存在する。
「Ⅰ」には、「失われし古代王国 序章 (Ancient Ys Vanished Omen)」。
「Ⅱ」には、「失われし古代王国 最終章 (Ancient Ys Vanished The Final Chapter)」。
となっていて、発売当初のⅠには表記されるコトはなかった。
これは、分割時にⅠが売れなかった場合は、そこでシリーズは打ち切りになる予定だった為だ。
肝心の分割された理由だが、今では考えられない理由で―――
予定のディスク枚数で収まらないから。
ここで理由を理解できた人は、きっと30代以上の人ではないだろうか?w
わからなかった人の為に、説明しておこう。
これは、現代とは違い記憶媒体が、あのドクター中松の発明したフロッピーディスクというモノだったコトが起因する。
フロッピーディスクは、今の記憶媒体(BDやハードディスク、USBメモリーなど)に比べると制限されたモノだった。
その為、大容量のゲームなどはフロッピーディスク数枚組で発売されるのが定番となっていたのだ。
後期には、FD40枚組なんていうとんでもないゲームも発売されていた。
そういったディスクの枚数には、各社で制限を設けたりしていて、企画されていた枚数内で全てを収められないと判断されたイースは、分割するという決断に至ったようだ。
ダームの塔
実は追加されたダンジョンだった!?
Ⅰの後半と言うと、ダームの塔の中での長い戦い。
―――なのだが、実はこのダンジョンは分割が原因で追加されたモノだった!
後年にリメイクされた作品では、ダームの塔ありきで作成されているので、そう思えない作りだ。
だが、PC-8801版やその移植版では、ダームの塔に入る前にレベルはカンストして純粋なアクションゲームの作りとなっていた。
分割されたもう一つの理由が、スケジュール的な厳しさもあったので、こういった作りになっていった。
それでも作り込まれた謎解きや、謎を残しつつも激闘の末にエンディングを迎えるⅠは、夏休み商戦に当てたコトとザナドゥでのファルコムブランドへの信頼もあって大ヒットとなる。
満を持して制作されたⅡも、今でも名作と謳われる作品となっていく。
知名度を最大に上げたのは、PCエンジンでリメイクされた「イースⅠ・Ⅱ」で、分割されていた作品を本来の形である一つの作品として繋げた名作。
これ以降、様々なプラットフォームでリメイクされ続けていくコトとなった。
イースⅠ・Ⅱは、リメイク作のクロニクルズがスマホでも遊べる。
発売も近くなった最新作「イースⅧ」も期待しつつ、過去の名作にも触れてみるのもいいかも知れない。