ゲームのコミカライズは、現在数多くある。
その元祖のブームを引き起こした漫画があった。
それが―――
「ゲームセンターあらし」
漫画家「すがやみつる」先生によるゲームプレイヤーを主人公とするゲーム漫画。
今回は、ゲーム漫画というジャンルを生み出した名作「ゲームセンターあらし」を大特集!
おれはゲームなら世界一!おれはゲームセンターあらしだ~~っ! by石野あらし
「ゲームセンターあらし」って?
「ゲームセンターあらし」とは、「すがやみつる」さんによる少年向け漫画作品で、「月刊コロコロコミック(小学館)」にて連載されていた。
2回の読み切りの後、1979年~1983年に連載され、1982年には全26話でTVアニメ化もされている。
ストーリーとしては、主人公あらしがゲームセンターやゲーム大会で、様々なライバルたちとゲームで対決するというモノ。
当時人気を博していたスペースインベーダーを皮切りに、数々の必殺技を駆使してゲームで高得点をたたき出していく。
「水魚のポーズ」
「炎のコマ」
「月面宙返り(ムーンサルト)」
などなど、どうプレイに影響しているのか理解不能ながら、見た目の説得力で押し切る少年漫画として完成された燃える展開だった。
ゲーム漫画の変化
数多くの影響
同様のゲーム漫画が人気に!
大ヒットとなった「ゲームセンターあらし」は、後のファミコン漫画にも影響を与えた。
同様のコンセプトでゲームをプレイするプレイヤーが主人公となる漫画が数多く登場していくコトとなった。
・ファミコンロッキー(あさいもとゆき)
・熱血!ファミコン少年団(さいとうはるお)
・ファミコン風雲児(池原しげと)
などなど、ファミコンで対決して世界を救うような物語が多くなる。
あらしでもそうだったが、戦いは壮大になりすぎていって、核戦争を止めたり、宇宙からの侵略から地球を守ったり……。
ゲームの内容より漫画のストーリーが凄すぎてついていけない人も出てくる程になっていった。
ゲームの変化
プレイヤーが主人公の時代の終焉
数多くのゲームで対決を繰り返していった「ゲームセンターあらし」だったが、後年に影響を残して消えていってしまった。
それは、ゲームの主役がゲームセンターからファミコンへと移り変わっていったから、ファミコンの漫画へ移っていった。
とされるが、実はそれだけではない。
作者の「すがやみつる」さんは、いち早くゲーム漫画の今後を見抜いていたのだ!
あらしの劇中に登場したゲームは以下―――
・ブロックくずし
・スペースインベーダー
・ギャラクシアン
・ギャラクシーウォーズ
・パクパクマン
・バルーンボンバー
・パックマン
・ムーンクレスタ
・クレイジー・クライマー
・ラリーX
・ニューラリーX
・トランキライザーガン
・ドラキュラハンター
・ドンキーコング
・スクランブル
・平安京エイリアン
・ミサイルコマンド
・クイックス
・スペースシーカー
・ワープ&ワープ
・マンホール、ジャッジ、パラシュート(ゲーム&ウオッチ)
・ゲーム電卓
・ゼビウス
・レッドタンク
・ディフェンダー
・ルート16
・スペースパニック
・アタックモグラ
この中の一つが、すがやさんに大きな衝撃を与えた。
そのゲームこそが―――
「ゼビウス」
そう、このゲームには、ゲーム内に世界観が構築されていたのだ。
それまでのゲームには、大まかな設定はあるものの「ドットを食べる」「砲台で敵を倒す」「敵から逃げる」など大まかな役割を持ったキャラクターが記号として存在するだけだった。
ゼビウスには、背景があるだけでも衝撃だったが、それぞれのキャラクターに名称が存在する上、両軍での呼ばれ方の違いやゼビ語と言われる独自の言語まで構成されていた。
つまり、ゲームにキャラクターとストーリーがある!
今では当然になっているコトだが、ここまでの世界観のゲームはそれまでになかった。
これを見た時点で、すがやさんはゲーム漫画は、ゲーム内容自体を描く漫画に変わっていく、と確信していたと言う。
実際、今のゲーム漫画といえば、ゲームをプレイする人ではなくゲーム内容自体が漫画になっている。
というか、ゲームが漫画やアニメ、映画などと同様かそれ以上のストーリー性・世界観を持っているので当然と言えば当然だろう。
だが、現在でもエッセイ漫画として、プレイする人間が主役となる漫画は存在している。
また、「ゲームセンターあらし」のような漫画も読んでみたい、と個人的には思うが、みんなはどうだろう?