出典:http://www.famicom.biz/
敵と戦わない。謎も解かない。
他者と競い合わない。恋愛もしない。
アドベンチャーに似ているけどそれともちょっとだけ違う。
今回は『ただお話を進めてストーリーを「見るだけ」のゲーム』について語っていきたいと思います。
紹介するのは『イーハトーヴォ物語』。宮沢賢治の童話の世界を舞台にした、ゆったりとした雰囲気のSFCゲームです。
…え、マイナーすぎる?
いや、まあVCにもなってないし、実際そうなんだけど、こういうゲームもあるよってことでひとつ…。
イーハトーヴォ物語
出典:http://qq3q.biz/tXna
イーハトーヴォ(イーハトーブ)とは宮沢賢治の出身地である岩手県をエスぺランド語風にもじった岩手のようで岩手じゃない地名であり…まあ、要は賢治の童話の世界だと思っとけばいい。
主人公はそんなイーハトーヴォに立ち寄った一人の名もなき青年だ。彼を通して宮沢賢治の様々な童話のストーリーに触れ行くのがこのゲームの主旨ではある。取り上げられている童話は「貝の火」「グスコーブドリの伝記」「銀河鉄道の夜」「虔十公園林」などメジャーなものからマイナーなものまでそろっている。
もちろん宮沢賢治の童話全部を網羅しているわけではないが、主人公の行動で異なる童話同士のつながりが微妙にできたりと、ただ原作をなぞるだけのゲームではないのが特徴と言えば特徴かな?
とはいえ、このゲームの主人公はあくまで傍観者。本来の主人公の手伝いをしたり、後日談を聞いたりと、本編の当事者とはちょっと外れた位置から物語を見る立場にある。
知らぬ間に猫の事務所が解散していたりと主人公のあずかり知らぬところでストーリーが進行しているなんてこともしばしば。
原作を知っている人なら「ははあ、きっと原作のあのようなことが起きたわけだな」みたいな感じで楽しめるわけだが…。
…え、原作を知らない?ならば青空文庫へGOだ(http://qq3q.biz/tXnU)
…まあ、ぶっちゃけ宮沢賢治のファン専用ゲームって感はありますね。
ジャンルコード・RPG
このゲーム、メーカーの主張するジャンルコードはなんとRPG。
ロールプレイングゲームを「役割(ロール)を演じるゲーム」と解釈すればいちおう合っている…のかな?
引用:http://qq3q.biz/tXsl
いや、確かに見下ろし型の2Dドット画面を見てるとドラクエっぽくは見えるんだけど…。
レベルもステータスもない、戦いもない。アイテムを使うぐらいしかRPG的な要素が無い、ただ話を追うだけのゲーム。けれどもアドベンチャーというにはちょっと違うような気がする。
要はRPGのお使い要素を凝縮したようなゲーム?
なんだか非常につまんなそうに聞こえるけど、美しい音楽を聴きながら、ドットとはいえ実際にキャラを動かして話を進めているとリアルに童話に触れている感覚がわりと楽しめるゲームですよ?
RPGから戦闘要素を排してお話だけを追うゲーム…文学好きとかに意外と受けると思うんだけど…?
筆者の知る限りこの手のゲームは「イーハトーヴォ物語」と「moon」しか無いのが残念だ…。