ラビリンス

ラビリンス

パブリッシャー Witone

ジャンル オンラインボードゲーム

価格 iOS:1,200円

イスラム過激派VSアメリカ!迷宮のように出口の見えない中東問題をシリアスに描いたシミュレーション

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ラビリンスのレビュー画像

カードの効果を使って各国の政治情勢を変更し、目的達成を目指す。

イスラム過激派とアメリカとの戦いを描いたシリアス系シミュレーションゲーム

「ラビリンス」は、ジハーディストと呼ばれるイスラム過激派とアメリカとの戦いを描いたシミュレーションゲーム。

シミュレーションゲームといっても、戦車や歩兵といったユニットを動かして戦闘するスタイルではない。カードを使ってイベントを起こし、各国の政治姿勢を変更していくというもの。

ジハーディスト側の目的は主に、イスラム文化圏であるムスリム国をジハーディストの支配下に置くこと。一方アメリカ側の目的はその逆。ジハーディストを排除し、ムスリム国の体制を維持すること。

カードゲームというとライトな印象があるかもしれないが、本作は元がボードゲームということもあって重厚で奥深い

また扱っている題材も重いが、その重さに応えるだけのシリアスな姿勢で作られている。結果として、シミュレーションの名を冠するに相応しい、中東の歴史や情勢が学べる一作に仕上がっているぞ。

手札からカードをプレイ!各国に影響を与えよう

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カード長押で、そのカードの使い道が表示される。スワイプでカードを使用できるぞ。

ゲーム進行はジハーディストとアメリカが交互にカードを使用するターン制。いずれの陣営も、1ターンに2枚のカードを使用できるぞ。

カードによっては、使用するためにセルを必要とする。セルとは、ジハーディスト側でいえばテロリスト、アメリカ側であれば軍人のこと。つまりユニット。使用したカードに対して、人員が必要になる…と解釈すればOKだろう。

セルを割り当てると自動的にダイスが振られ、カードの成功・失敗が判定される。成功すれば、そのカードの効果が発動するぞ。

iPad推奨!価格の価値は十分持った作品だが…

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このスクリーンショットはiPhone版。端末の画面で見ると文字が小さい…。

本作は1200円という、スマホゲームとしてはそこそこ値の張る価格で買い切り型として配信されている。ただゲーム内容的には見合っていて、価格分の価値は十分持っている作品だ。

とはいえ問題もないわけではない。もっとも大きな問題が、文字の小ささ

筆者が使用したiPhone 11 Proはスマートフォンの中では比較的大きめの端末だが、それでもチュートリアルやカードの文字が読みにくい。このため、レビューにあたっては12.9インチのiPad Proでプレイしている。

正直、快適にプレイするなら12.9インチとはいかないまでも、iPadをオススメしたい

「ラビリンス」の魅力は奥深いゲーム性とさらに奥深い世界観

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カードの内容は現実に基づいており重い。単純な娯楽とはいえない奥深さを持っている。

「ラビリンス」…「迷宮」というタイトルからは、ファンタジー的な世界観を想像した人も少なくないだろう。

しかし蓋を開けてみるとイスラム文化と中東の利権を巡る政治&軍事というヘビーな世界観。ただ、このテーマの出口の見えない重苦しさを思えば、なるほど確かに「ラビリンス」というタイトルが相応しいのかもしれない。

この重苦しいテーマに真摯に向き合い、奥深いシミュレーションに仕上げていることが本作の魅力だろう。

自軍・他国・敵!奥深い戦略性

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このターン、どのカードを使うか?駆け引きが非常に奥深い。

本作はルールが複雑で奥深いため、何をすればいいのかわかりにくい。

だが整理すると基本的には、他国の政治姿勢を動かすのがメインとわかる。

ただ効率的に他国へはたらきかけるには人員…すなわちセルが必要。そこで、募兵の必要性が浮上する。ここまで整理すれば、大まかな流れは一般的なストラテジーゲーム同様、人員を増やして他国にはたらきかける…というものだと分かるだろう。

ただそれで終わりではない。というのも、それぞれ敵陣営が存在するから。

とはいえ本作には戦闘パートがない。ではどうやって敵陣営との駆け引きが描かれるのかというと、カードを通して。

本作のカードにはジハーディスト、アメリカ、無所属という陣営の違いがあり、効果を発動できるのは自分の陣営のカードのみ。しかし、陣営毎にカードを分けて配るわけではないため、敵陣営のカードも手札に混じることになる。

そして敵陣営のカードは自分が手札から繰り出した際、条件が揃っていれば発動してしまう。もちろん、敵陣営にとって有利な効果が。

このため、敵陣営のカードはなるべくゲーム序盤に処分してしまいたい。けど1ターンに使えるカードは2枚までなので、自軍を強化したり他国へはたらきかけたりもしたい…。ああ~、どうすれば

このジレンマをどう解決していくのか?そのための戦略を考えるという点が本作の奥深さになっている。

プレイしながら学ぶ!シリアスゲームとしての側面

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カードギャラリーにアクセスすると、そのカードの歴史的背景が読める。

中東で戦争が多いというのは、ほとんどの人がニュースなどで聞いて知っていることだろう。

では、これまで実際にどんな出来事があったのか?各陣営はなぜ衝突することになったのか?これまでの出来事が現在の情勢に与えている影響は?…といった詳しいことになると、正直筆者はよくわからん。不勉強で申し訳ない!

でもそんな筆者でも、本作をプレイして中東の情勢がある程度理解できた。地図上でどんな国が取り合っているのか、どこの国で石油が取れるのか…などの地政学的な情報がビジュアル化されているし、なんと各カードには歴史的な出来事まで記載されている

プレイしながら現実の出来事に詳しくなっていくこの感覚は、「This War of Mine」「Plague Inc. -伝染病株式会社」といったシリアスゲーム作品の感覚に近いと感じた。

シリアスゲームとは、戦争や教育など現実的な事柄を学ぶという側面を持ったゲームのこと。「This War of Mine」であれば戦争被害者の生活について、「Plague Inc. -伝染病株式会社」であれば伝染病の広がり方について学ぶことができるという側面を持っていた。

本作もこうしたゲームと同じように、学ぶ楽しさを持っている。このため、レイした後、中東の問題について思いを馳せる…というところまで含めて本作といえるように感じた。

ゲームの流れ

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本作は、オフラインBot対戦(ソロ)、オフライン対人対戦、オンライン対戦という3つのモードに対応している。

「メインメニュー」をタップすることでルールブックを読むこともできるが、まずは「オフラインをプレイ」からチュートリアルをプレイしよう。

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「オフラインをプレイ」をタップするとこの画面へ。プレイ中のゲームがあれば、画面右にリスト表示される。

チュートリアルをプレイする場合は画面右上の「チュートリアル」をタップ。Botや対人対戦をプレイするなら、画面左下の「ゲームを作る」をタップしよう。

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「ゲームを作る」をタップすると、この画面へ。アメリカとジハーディスト、どちらの陣営でプレイするかを選ぶぞ。

左側がアメリカで右側がジハーディストになっており、それぞれ担当するのが人間なのかBotなのかを選択する。決まったら画面右下の「ゲームを開始する」をタップしよう。

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ゲームスタート。ターンが回ってきたら画面上部のターン表示の欄が光るので、カードを使ってゲームを進めよう。

ゲームそのものはおもしろいが、ゲーム進行はちょっと遅め。ややテンポが悪いように感じた。

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タイトル画面で「オンラインをプレイ」をタップすると、自分のアカウントでログインした後にこの画面へ。

ログイン方法はメールアドレスを使ったものしか提供されていないため、最初は新規登録が必要になる。個人激にはGameCenterなど、他のログイン手段にも対応してほしかった…。

「ラビリンス」の序盤攻略のコツはチュートリアルの繰り返しプレイ

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ルールブックには細かなルールが書かれている。ただチュートリアルの方がオススメ。

本作は複雑なルールが複雑。ルールブックも用意されているものの、文字を読んだだけで理解できる程度の内容ではない。

なので、確実にチュートリアルをプレイしよう。プレイするのはコンポーネントについてのみじゃなく、全部!

全部プレイした上で、ルールを理解できるまで繰り返しプレイするというのがコツだぞ。

文章に注意!アイコンを参考にチュートリアルを進めよう

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手札にないカードを引き抜けと言われても…。この不具合は早急に直してほしい。

本作のチュートリアルにはバグがある。なんと、次の行動を促す文章に間違ったものが表示されてしまうのだ。

間違っているといっても誤字があるというわけではない。「〇〇のカードをプレイせよ」といった具合に、文章自体は日本語として成立している。しかし、その〇〇のカードは現在のチュートリアルとまるで関係がない。おそらく、文章そのものの指定が間違っているのだろう。

アイコンなどの表示については正しいようなので、チュートリアルをプレイする際は文章よりアイコンを参考にして進めよう

まずはBOT相手に訓練!オンラインはそれから

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まずはbot相手に経験を積もう。オンラインはルールと戦術をモノにしてから。

チュートリアルが終わったら、いよいよオンラインで対戦…するのではなく、オフラインでBOTと対戦しよう

正直なところ、チュートリアルを一度プレイしたくらいではわからないことが多い。

なので、単純な動きをするBOT相手にプレイし、ルールだけでなく戦い方をしっかり身に着けよう。オンラインでの対戦に挑戦するのは、BOT相手では物足りない…と感じたタイミングがオススメ。