スマートフォンにおける同人活動のこれから―東方ProjectのZUN氏、特別インタビュー

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執筆者:編集部

上海アリス幻樂団の「東方Project」といえば、近年のコミックマーケットでは個別のジャンルが割り当てられる超人気コンテンツだ。オリジナルのゲームの人気にとどまらず、同人誌、同人音楽、キャラクターグッズなど2000年代後半の同人文化を語る上では絶対に無視できない存在だ。

東方神霊廟スクリーンショット

インディーゲームのコラムでも取り上げたモンスターゲーム東方Project。

アプリ★ゲットでは、これまで東方Projectの二次創作ゲームをいくつかレビューしてきた。レビューで扱いながら、「スマートフォンプラットフォームにおける東方Project」について、いくつかの疑問が浮かび上がってきた。そのため、何度か上海アリス幻樂団のZUN氏にお話をうかがえないかと考えていたが、今回のコミックマーケット82にて取材を行なうことに成功した。

コミックマーケット2日目

今年のコミックマーケットでは2日目の東ホールが東方関連で賑わった。

アポイント無しの突撃取材にも関わらず、ZUN氏からは限られた時間の中で丁寧な回答をいただけた。話の内容は、主にスマートフォンにおける東方Projectとその二次創作のあり方に関するものであるが、「同人による創作と流通のあり方」という大きな問題につながるインタビューとなっている。

東方Projectのスマートフォンへの展開の可能性

―急な取材にご協力いただきまして大変ありがとうございます。お聞きしたいことは、主に二点あります。まず第一点目は、上海アリス幻樂団のZUNさんはAndroidやiOSといったスマートフォンのプラットフォームで何か作品をリリースすることをお考えでしょうか?

ZUN氏:

そうですね、今のところ計画はないです。特別にプラットフォームにこだわるということはないですので、周りの動向によっては、考えるかもしれません。

東方ProjectZUN氏1

にこやかに質問にこたえてくださったZUN氏。

東方Projectの二次創作について

―ありがとうございます。もう一点、どうしてもお聞きしたいことがあります。東方Projectの二次創作についてです。AndroidやiPhoneといったスマートフォンで二次創作をリリースする場合、基本的には無料ならば認めているという形なんでしょうか?

ZUN氏:

そうですね。今のガイドラインが、あまり現実には即してないことはあると思いますが、一応、無料であるならば、OKということにしています。

ただ問題は無料でも広告などで収入を得ることができるという点ですよね。実際にスマートフォンでは無料アプリでお金を稼ぐということが多いですよね。今のルールでは、そこははっきりとした線引は行なっておらず、あまりにお金を稼ぐことで目立ってしまうとNGということにしています。そういう時にはこちらか注意するというルールで動いています。

ですが、明確なルール自体はまだはっきりと定まっていません。今のガイドラインは基本的にスマートフォンといったプラットフォームが無い時代のルールなので現実に即していないところはあると思います。

―では今後、App StoreやGoogle Playといったプラットフォームで東方Projectの二次創作を発表するためにガイドラインをまとめるご予定はありますか?

ZUN氏:
まとめる可能性はあります。ただ今のところは様子見の状態です。様子見の状態であるため、有料アプリをリリースしたり、無料アプリの広告で目立って稼いだりすると、基本的にガイドラインに違反しているということになります。

スマートフォン・プラットフォームにおける同人活動のこれから

―同人の制作者でゲームを制作する方が今後ますます増えてきます。そして、スマートフォンのプラットフォームは個人制作の方が比較的自由に活躍できる場所だと考えております。ですから、東方ProjectのZUNさん及び同人でゲーム制作をやっている方がスマートフォンでの活動を積極的にやっていただけるとありがたいかなと考えております。

ZUN氏:

その点、現状、どうして様子見であるのかと言いますと、コミックマーケットにおける同人創作では、商業流通に乗っているものは販売してはいけないというルールがあります。そのため、例えばスマートフォンでアプリをリリースした場合、それは現状では商業流通として扱われるのか、同人流通として扱われるのかが現状では曖昧なんですよ。

もちろん、このルール自体もスマートフォンなどがない時代のもので、現実に即してはいないと思います。コミックマーケットにおけるスマートフォンにおける流通のルールが確立したならば、こちら側も動くかもしれません。

個人的にはスマートフォンでの流通はオッケーでも良いと思います。僕もスマートフォンで何か作ってみたいと思います。ただ現状、そういったものを作ってしまうと、コミックマーケットの同人フロアに参加できなくなり、企業ブースとして出店しなければならないかもしれない。個人でやっている以上、企業ブースで参加するのは厳しいので、そういったことがあるので現在は様子見状態なのです。

―なるほど、わかりました。急な取材に応じていただきありがとうございます!今後もご活躍を期待しております。

東方ProjectZUN氏2

なぜかろくろを回すお茶目なZun氏。

東方Project及び上海アリス幻樂団創作物の二次創作や使用については以下のまとめが詳しい。

また二次創作や画像の使用に関して疑問をもった場合、上海アリス幻樂団公式サイト(http://www16.big.or.jp/~zun/)やZUN氏のブログ(http://kourindou.exblog.jp/)を参照しよう。

執筆者: 編集部