ドラマ『大奥〜華の乱〜』の動画を全話無料で見れる配信アプリまとめ

  • 2024年8月6日
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2005年10月〜12月に放送されたドラマ『大奥〜華の乱〜』

この記事では、ドラマ『大奥〜華の乱〜』を無料で全話見ることができる動画配信アプリ・サービスを調査してまとめています。

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ドラマ『大奥〜華の乱〜』はどんな作品?

話数 全10話
放送年 2005年10月期
放送枠 フジテレビ系列 木曜日22時
脚本 浅野妙子
演出 林徹
音楽 石田勝範
主題歌 東京事変「修羅場」
キャスト 内山理名
谷原章介
小池栄子
高岡早紀
北村一輝
中山忍
貫地谷しほり
萬田久子
田辺誠一
平泉成
火野正平
余貴美子
江波杏子
藤原紀香

林徹 浅野妙子 石田勝範 中山忍 余貴美子 内山理名 北村一輝 小池栄子 平泉成 江波杏子 火野正平 田辺誠一 萬田久子 藤原紀香 谷原章介 貫地谷しほり 高岡早紀

主人公

名前(演) 安子(内山理名)
職業など 綱吉の側室

あらすじ

10月からのフジテレビの連続ドラマにあの大ヒットドラマが帰ってくる!
10月13日(木)22時スタートの木曜劇場は、待望の人気シリーズ第3弾となる『大奥~華の乱~』に決定!
2003年6月から9月にかけて放送され、最高視聴率17.3%を記録。火曜20時という時間帯にもかかわらず、女性から絶大な支持を得て一大ブームを巻き起こしたスーパー時代劇「大奥」。
2004年10月期、木曜22時という時間帯に進出したフジテレビ版大河ドラマ「大奥~第一章~」は、平均視聴率17.6%、最高視聴率20.3%を記録。若い女性層に対する揺るぎない強さを発揮、文字通りフジテレビを代表する人気ドラマに成長しました。
その“大奥”シリーズ第3弾が、この秋木曜22時に帰ってきます。
江戸文化が花開き、日本が最も豊かだった時代“元禄”。それは江戸城大奥でも例外ではありませんでした。
今回のシリーズの舞台となるのは、大奥が最も隆盛を極めた時代。日本史上最悪の暗君といわれる第5代将軍・綱吉を取り巻く女たちの悲喜こもごもの愛憎劇をお送りします。

既成概念を打ち破る新感覚エンタテインメント
「大奥」は、“時代劇はお年寄のもの”という既成概念を打ち破り、エンタテインメントとしての可能性に挑戦した“スーパー時代劇”としてもともと企画されました。
勧善懲悪でなくチャンバラもない。主役は刀をもった武士でなく、か弱い女たち…そう、「大奥」は江戸城大奥という場を借りて描かれる女たちの本格人間ドラマなのです。
そんな物語が女性たちの心に響き、これまで時代劇を見たことのない若い女性たちからの支持を集め、「大奥」「大奥~第一章~」ともに、F1(20~34才までの女性)F2(35~49才までの女性)の視聴者層から高視聴率を獲得しました。
視聴率だけではなく、作品のクオリティについても新聞、雑誌等各メディアからも高い評価を得ることができた、視聴者満足度の高いドラマなのです。
時代劇というジャンルの壁を超越し、本格人間ドラマとして世代を超えて支持された良質なエンタテインメントドラマ、それが「大奥」なのです。

今回の主演は若手人気女優の内山理名に決定! 将軍の側用人・牧野成貞の娘にして5代将軍・綱吉の側室となる安子役で、初めての連続時代劇にチャレンジします!
愛する両親・夫との幸せな生活を引き裂かれるという哀しい運命に翻弄され、心ならずも愛憎渦巻く大奥に単身立ち向かわざるを得なくなる主人公を熱演する内山理名に注目! 一体、誰が味方で誰が敵なのか。敵の敵も味方ではない、生き馬の目を抜く油断もすきもない世界。権謀術数、手練手管、弱肉強食、打算と駆け引き、嘘と裏切り、いじめと嫉妬、秘密と陰謀、苦痛と忍耐、愛と憎しみ、復讐と怨念、栄光と挫折……人間が持ちうるあらゆる感情のるつぼと化した「大奥」。パンドラの箱を開けてしまった安子役の内山理名にも、最後に“希望”は見つかるのか……。前2作より熾烈なバトルが展開するシーズン3「大奥~華の乱~」から目が離せません!

共演には豪華キャストが勢ぞろい! この作品が時代劇初出演となる藤原紀香は将軍・綱吉の正室・信子役に決定。
公家出身の御台所として、はんなりとした魅力と都の気品を備えつつも、プライドの高さは人一倍という役どころの藤原紀香。大奥を京風に改革すべく動き出します。複雑に絡み合う大奥内のパワー・バランスの中で怪しくうごめくキーパーソンともいえる信子。安子役の内山理名との関係も一筋縄ではいきません。そして、正室・信子と対立する綱吉の側室・お伝の方を演じるのが、バラエティからドラマまでマルチに活躍中の小池栄子。お世継ぎの徳松の母というポジションで権勢を誇るかのようにみえるが、女性的でストレートな感情をぶつけるキャラクターとして、安子とも対立。三つ巴ならまだしも、十重二十重に絡み合う複雑な人間関係を、前2作も手がけてきた林徹監督が息もつかせぬ展開で描いていきます。“生類憐れみの令”で知られる希代の暗君・綱吉にはスマートな魅力で人気の谷原章介、ほかに高岡早紀、北村一輝、中山忍、貫地谷しほり、萬田久子、田辺誠一、平泉成、火野正平、余貴美子、江波杏子と絢爛豪華なスーパー時代劇にふさわしい顔ぶれがそろっています。

引用元:番組公式サイト

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以下に各話のあらすじや主要動画配信アプリ・サービスでの配信状況をチェックできるリンクを載せておくので、こちらもチェックしてみてください。

『大奥〜華の乱〜』の各話あらすじ

第1話 修羅場

あらすじ

 時は元禄元年。徳川家繁栄の陰で、五代将軍綱吉(谷原章介)は、歌舞音曲に浮かれる享楽の日々を過ごしていた。心配といえば世継ぎの問題だけである。正室・信子(藤原紀香)に子はなく、側室・お伝の方(小池栄子)との間に一男一女をもうけたものの、お伝が卑しい血筋の出身であることが、綱吉の母・桂昌院(江波杏子)の気に入らぬ点であり、また、お世継ぎ候補が一人では不安もあった。桂昌院は、大奥の女性に飽きつつあった綱吉について、切れ者の側用人・柳沢吉保(北村一輝)に相談した。吉保は不敵な顔で一計を案じた。それは側用人の先輩であり、中でも忠臣の鑑・牧野成貞(平泉成)の屋敷への綱吉の御成りを実現させることであった。
牧野家では、成貞のほかその妻・阿久里(萬田久子)とその一人娘・安子(内山理名)、その夫・成住(田辺誠一)が仲良く幸せに暮らしていた。そこへ綱吉一行が現れ、舞など舞って遊興する。綱吉は、成貞の禄を激増させると言い渡し、成貞に向かって阿久里に夜伽の世話をさせるように申し付ける。愕然とする牧野家一同。実は阿久里は大奥の元女中で、幼い綱吉のあこがれの女性であったのだ。
思いをとげた綱吉はご機嫌で、それ以降も幾度となく牧野家を訪れることになり、牧野家はそのたびに震撼する。だが、宮仕えの成貞は唇をかんでそれを忍ぶしかなかった。
ある日、綱吉は、阿久里あてに金員を取らせ、立ち去る。明けぬ闇夜が去ったように安堵する牧野家の人々。しかし、悪夢はこれで終わらなかった。
成貞が綱吉に謁見すると、綱吉はなんと安子を側室に差し出すよう命ずる。絶句する成貞。「安子には夫が……」。「離縁させればよい。まさか家臣の分際で主君に口答えいたすつもりではあるまいの」。家臣の成貞に拒否できるはずもなかった。
しかし、納得がいかないのは安子の夫・成住である。安子は渡さないと屋敷で成貞と言い争っている矢先に、なんと阿久里が自害してしまう。泣き崩れる成貞。成住は上様のご翻意を促すため切腹しようとするが、安子は飛びついてそれを止めた。「あなたが死んでなんになります。これ幸いと上様は私をお召し上げになるに決まっています」。母の亡骸を3人で囲みながら、安子は大奥行きを決意する。それは「復讐」のためであった。
二カ月後、安子は母の形見のかんざしを手に城に向かう駕籠に乗った。
大奥では、信子やお伝の方が、値踏みするが如く冷たい目で安子を見据える。桂昌院も安子の意図を探ろうとする。母が自害して間もないというのに、奥に来たばかりの安子の落ち着きぶりを桂昌院は警戒するのだった。
そしてついに、安子が綱吉を迎える夜がやってきた。綱吉の背中を見据えつつ、刀掛けに目を配る安子であった…。

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第2話 伏魔殿

あらすじ

 安子(内山理名)は、母・阿久里(萬田久子)の仇を討つ覚悟で綱吉(谷原章介)の閨に入った。刀掛けに目をやりつつ、綱吉の動きを見定めていると、御簾の向こうに人影が…。息をのむ安子。綱吉がその様子に気が付いた。「奥泊まりには必ず宿直(とのい)の者が付くのじゃ」と初めての大奥に戸惑う安子に綱吉は説明する。宿直は中臈・音羽(余貴美子)であった。安子を見張るように座る音羽の牽制により、安子はなすすべもなく綱吉に組み敷かれるのだった。眠る綱吉のかたわらで安子は、気づかれぬよう刀へ手を伸ばした。すると、音羽が声を発した。「ご短慮はお慎みください」。音羽は安子が心に秘めた大奥入りの目的まで察していたのだ。「早う大奥にお慣れ下さいませ」と安子を諭す音羽。
綱吉は大層、安子が気に入り、宴の席で片時も安子の手を離さない。お伝の方(小池栄子)は、それが気に入らない。酒を注ぐ振りをして着物にこぼし、着替えを用意すると言って、安子を宴の席から連れ出した。離れに連れて行かれた安子は、お伝の女中たちに押さえられ、長襦袢一枚にさせられた。お伝は懐刀を取り出し、安子の首に当て、「上様をたぶらかすそなたの体、よう吟味してみたい」と刀を押し付ける。諦めた安子が紐を解こうとしたその時、雷鳴がとどろいた。
宴の庭にいた綱吉は、突然恐れおののき、女中の内掛けを剥ぎ取り、頭からかぶって大奥を走り抜けた。「安子はどこじゃ!」。綱吉は、今まさに裸になろうとしている安子がいる離れに飛び込んできた。お伝は「お着替えの最中でございます」と平然と言ってのけ、「上様は癇の強いお方。時にこのようなことがございます」と何事もなかったように女中と去って行った。
雷が遠ざかっていく。安子は子供のように震え胸にすがっている綱吉に、雷を怖がる理由を尋ねると、綱吉は自分の辛い過去を語りはじめた。ある時、勉学を怠けたことで、母・桂昌院(江波杏子)から真っ暗な納戸に閉じ込められ、そこに雷が落ち気を失った。だが、母は慰めるどころか、胆力に欠けると、さらに叱り飛ばしたのだ。その時優しく接してくれたのが、女中だった安子の母・阿久里だったのだという。
「わしは阿久里が好きじゃった。わしは阿久里を喜ばせたかった。牧野にもようしてやった。何も死ぬことはあるまい」。
安子は唖然とし、母の仇であるこの不器用な男を少し哀れに思い始めるのだった。
そんな様子を音羽から聞き込み、桂昌院は柳沢吉保(北村一輝)と、安子が世継ぎを生むことを笑いながら願うのだった。
そんなある日、綱吉が安子に新しい打掛を誂えてやり、そのお披露目の席が設けられた。気位の高い正室・信子(藤原紀香)は桂昌院の嫌味な言葉が気に障る。お開きになった後、信子は安子に声を掛け、自分の部屋に招いた。そこで信子は「中身のない虚ろな上さんが心を移すたびにおなごの骸が一つ増えるだけ」と安子に語って聞かせる。しかし、もっともっと怖いのは底意地の悪い桂昌院であると。信子いわく、「ここは生き地獄」と大奥の仕組みを一しきり説いた後、「上さんと刺し違える覚悟で大奥へおいでになったのでは。もし左様なら、私も加勢いたします。私には、お心をお開きなさいませ」と安子を取り込む様子を見せるのだった。
綱吉は安子の元夫・成住(田辺誠一)を牧野家から分家させ二万石与えたうえ、なんと新しい妻まであてがっていた。謁見の間に現れた成住に綱吉は、「安子が恋しいか。会わせてやろう」と突然提案した。後日、ある宴の席で、安子は綱吉のそばにいる夫に気が付いた。綱吉は安子と成住の二人に、別席を用意したのでそこに行くよう促した。二人きりになると成住は「そなたが幸せなら、私はそれでよい」などと言うが、安子の健気な気持ちを聞くうち、二人で刺し違えて死ぬことを約束する。
それから間もなく、安子が寛永寺に外出することになった。お供の目を盗んで安子は成住と社の中に逃げ込んだ。「怖くはないか?」「うれしゅうございます」と二人、剣を当てあう。が、安子が急に吐き気を催した。「もしや!?」。二人は綱吉の子を宿す安子に気が付いた。刺し違える決意が鈍る成住に「さあ、早く」とせきたてる安子。だが、そこまでであった。笛が鳴り響き、大勢の足音が二人を取り囲んだ。「お覚悟めされい」。二人は直ちに捕らえられてしまったのだ。大奥では「打ち首をお申しつけ下さいませ」と綱吉に迫る桂昌院の声が響いていた。
二人は、柳沢の屋敷に幽閉された。早速、安子の懐妊が医者によって明らかにされ、桂昌院はほくそ笑んだ。安子を大奥に連れ帰ろうとすると、座敷牢の成住が「武士の最期の頼み。一目妻の顔を拝ませていただきたい」と叫んだ。桂昌院もそれを許し、成住は安子にこう訴える。「そなたは、生き抜け。私は負けた。だが、そなたは勝て」。そして、それが二人の最後の逢瀬となった。
そのころ安子懐妊の報は、大奥の信子やお伝の方の耳に飛び込んでいた。

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第3話 仇の子

あらすじ

 安子(内山理名)が綱吉(谷原章介)の子を身ごもったことで、大奥での安子の位置は大きく上がり、綱吉のひいきはさらに強くなった。それに伴い安子の苦しみは大きくなるのだが、怪僧・隆光(火野正平)から「安子の子は男子」という卦を聞いた桂昌院(江波杏子)は、世継ぎがお伝(小池栄子)の子だけでなくなるので、上機嫌である。そんな折、綱吉は、隠居していた安子の父・成貞(平泉成)を側用人の筆頭に取り立てた。成貞が上席職になったことは、これまで綱吉の覚えめでたく異例のスピードで出世してきた柳沢吉保(北村一輝)のプライドをいたく傷つけた。
柳沢は自分の側室・染子(貫地谷しほり)を綱吉に差し出すことによって、失地回復を目指すことに。自邸で綱吉を招いた宴を催し、染子に因果を含め、綱吉と閨をともにさせたのだ。自らの出世のため、自分で仕掛けたこととはいえ、柳沢の胸のうちに綱吉への復讐心が芽生えていた。
すでにお世継ぎ候補の長男・徳松を産んでいるお伝(小池栄子)は、安子の存在がいまいましくて仕方がない。このままならば「次の将軍の母」の座は確定しているのに、もし安子が男子を産めば、今の綱吉の安子への寵愛ぶりからすると、その座は危ういものである。慌てて桂昌院に「上様のお墨付きを。長子徳松が世継ぎというご誓詞を」と懇願する。しかし、「身分卑しきそなたをここまでお引き立ていただいた大恩をお忘れか。そなたが口を出すことではない」と桂昌院に一喝される。
その点、御台所・信子(藤原紀香)は、安子妊娠を自分の権勢を拡充する願ってもないチャンスととらえ、安子に近づく。「私と組めば、筋道正しい大奥にすることが出来ましょう」と安子の手を握るが、安子は「産みとうて、上様の子を産むのではありませぬ。人を出し抜き、争いの渦中に身を置くことは…」と拒絶しようとする。すると、信子により「そなたは甘い。この大奥では、人に笑われて泣き寝入りするか、勝って笑うかのどちらかなのじゃ!」と安子は喝破されてしまう。
そして、強引に連れ出され、京都から訪れた常盤井の局(高岡早紀)と信子の面会に同席させられる安子。美しく聡明な常盤井に、信子は自分を助けるため大奥に入ってほしいと誘う。常盤井は「御政道の由々しき有り様、綱吉公は暗愚」と歯に衣着せぬ物言いで安子は呆気に取られる。信子が出す条件を吊り上げながら、常盤井はとうとう桂昌院より上の“大奥総取締”の地位を要求するしたたかさをみせる。常盤井の局に提示した条件を綱吉に認めさせるため、信子は安子に命じるように言った。「そなたの出番じゃ。私の代わりに上さんを口説いては下さらぬか」と。迷う安子。
部屋に戻り、安子は音羽(余貴美子)に問うた。「御台所に呼ばれた向きも分かっていよう。そなたなら如何する」。音羽は「私は武芸を嗜みますが、決闘の場においては、勝つことは即ち生きること。この大奥は武芸者の闘いの場にも劣らぬ優勝劣敗の場と心得まする」と言い残し、去って行った。
不安の募るお伝は、とうとう綱吉に直接、世継ぎのお墨付き話を持ち出した。綱吉は世継ぎを決めるなど、まるで自分が早死にするかのような不吉な話と怒り「そなた、やはり生まれが生まれじゃな」と吐き捨てる。お伝の方の苛立ちは限界に達していた。
柳沢はそんなお伝の様子を見て、こう囁くのだった。「お伝の方様、お辛さお察しします。私も上様の厚情により今日がありますが、古株の重臣の方々からは事あるごとに柳沢の奴めがと、あげつらわれます。似た身の上にございます」と同情を見せたうえで、「安子様のご懐妊祝いの宴のお庭は滑りやすい石段などもございます。間違いなど起きはせぬかと案じております」とお伝の方をたきつけるのだった。
そして吹上の御庭で催された安子の懐妊祝いの宴席。綱吉は成貞を呼び、滑稽な踊りを舞わせる。安子は、喜々として側用人に復職し気弱に道化を演じるように見える父に我慢ならなかった。何のために母や夫が死んだのか。嫌悪感にいたたまれず、安子はその場から走って逃げ出すのだった。
安子は心配する成貞を避け、揺れる心のまま、庭を歩く。すると、お伝の方が声を掛けてきた。下の庭にきれいな牡丹が咲いている、と言う。安子は言葉に従い、石段を降りようとしたその時、鼻緒が切れ石段が崩れる。転がり落ちそうになる安子。それを見ていた成貞が身を挺して安子を抱きかかえ、庇いながら二人して転落してしまう。痛みに苦しみながら、成貞は安子に文を見せた。それは自害した安子の母・阿久里から成貞に当てた遺言であった。そこには「安子にだけは災いの降りかからぬよう、御身に代えてお守り下さいませ」と懇願してあった。成貞が口を開いた。「今のわしにできることはそなたの命と立場を守るだけ。そなたのためなら鬼でも蛇でもなる。わしのことは恨むがよい。なれどその命、阿久里とそなたの夫・成住が身を捨てて守った命であること、ゆめゆめ忘るるな」と。安子は父の言葉を聞き、母と夫の死を無駄にはできないとあらためて強く自覚したのだった。
強くなることを心に誓う安子。お伝の方に対しても「今一度、同じようなことが起こりましたなら、上様にお願いし、大奥の厄払いをしていただく所存」と、今までにない気概で忠告をするまでになる。さらに、綱吉に微笑みかけながら「京の御所に常盤井という御才女がおられます」と進言するのだった。
後日、大奥に新たな火種となる人物がお目見得した。その凛とした美女とは常盤井あらため右衛門佐であった。

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第4話 疫病神

あらすじ

 京から招聘された才色兼備の常磐井の局改め右衛門佐(高岡早紀)は、大奥を激震させた。女中たちは雅な京菓子をほおばりながら、右衛門佐の噂話で持ちきりである。一方で桂昌院(江波杏子)は音羽(余貴美子)を前に、右衛門佐を招いた信子(藤原紀香)の真意を訝っていた。そこへ右衛門佐が菓子を手土産にご挨拶のため訪ねてきた。恭しく挨拶し、柳島妙見堂にお参りした際、桂昌院が寄進した参道の敷石に感服した話などを持ち出して機嫌をとる右衛門佐。思わず上機嫌になる桂昌院、しかし、その隙のない振る舞いに、ますます猜疑心を募らせるのであった。また、お伝の方(小池栄子)は、右衛門佐が自分だけに挨拶に来ないことに、ひがみと劣等感を深くする。
桂昌院は、綱吉(谷原章介)や安子(内山理名)らがいる前で、右衛門佐の話を持ち出した。綱吉の出方を見ようとの策である。お伝の方は自分にだけ挨拶のなかった件を綱吉に言いつけるが、安子が「ご側室様にご遠慮して距離をお取りになるのは、むしろ奥ゆかしさの現れかと」と助け舟を出し、信子を安心させる。綱吉は、ただ右衛門佐とやらの美しさを見てみたいと思うだけであった。
右衛門佐は廊下を歩きながら安子にふと漏らした。「信子様は、私を桂昌院様、お伝の方様と張り合うための道具にしようとしておられる。なれど大奥は、おなごがこの世を動かすことができる唯一の場所」と言ってのけたのだ。物陰からその言葉を聞いていたのは音羽であった。音羽からその話を聞いた桂昌院は「大奥総取締の座を狙うておるのか。この桂昌院が認めぬ限り、大奥総取締などあり得ぬわ」と不快感をあらわにした。同席していた柳沢(北村一輝)は、「確か、ご側室は総取締にはなれぬ…そういう取り決めが」と知恵を授ける。桂昌院はその言葉の意味をすぐに理解し「上様をけしかけてみるかの」とほくそ笑むのだった。
右衛門佐は、大奥で和歌や源氏物語の講義を始めた。女中たちはそれに夢中になった。教養のないお伝の方は、対抗意識を燃やし、必死になってにわか勉強を始める。そんな折、やくざ者の兄が無心しにやって来た。お伝の方は、悲しくも我が身の生い立ちを呪わざるを得なかった。
右衛門佐による源氏物語の講義の日。なんとお伝の方も参加している。講義中、外の廊下を通り掛った綱吉は美しい朗読の声に足を止め、襖の隙間から中を覗く。見目麗しい右衛門佐にたちまち釘付けとなった。覗き見しているところを中の女中たちに気付かれ、引っ込みのつかない綱吉は講義部屋に入るしかない。右衛門佐は綱吉に畏まって挨拶するが、綱吉は「苦しゅうない。朗読に感じ入った。講義を続けよ」と奥に座り込むのだった。
右衛門佐は、ある問いを出題した。お伝の方が名乗り出て、源氏の解釈をスラスラと答えた。一同感心した様子で、右衛門佐もまずはほめるのだが、実は正しい解釈ではないと指摘する。満座の席で恥をかかされたお伝の方の顔色は変わり、隠し持った解釈本の写しを丸める手が悔しさに打ち震えるのだった。その時、綱吉が正答を口にした。右衛門佐は綱吉を大きく持ち上げた。これをきっかけに、綱吉も桂昌院にそそのかされるまま、右衛門佐を側室に迎えるべく動き出す。
その動きを聞いた安子は、「御台様付きの御上臈を側室にしたのでは、御台様に対して申し訳が…」と思い留まるように綱吉に懇願するが、綱吉は「差し出がましい」と激怒する。一方、柳沢は、これで染子(貫地谷しほり)のもとに綱吉が訪れないであろうと、安堵の思いで染子の肩を抱きしめるのだった。
桂昌院は信子に右衛門佐を側室に差し出すよう申し入れた。信子は断るが、なんと、右衛門佐本人が「桂昌院様、ひいては上様の御意とあらば、御台様の御意も同じと心得ます。私に否やがございましょうか」と言い放った。愕然とする信子と安子に、右衛門佐は考えあってのことと伝えるのだった。
ある日、右衛門佐と綱吉は二人きりで城内のあずまやに入った。裏には信子と安子が隠れて聞き耳を立てている。
右衛門佐は「論語に『難きを先にし獲るを後にす』とあります。上様の側室にしていただくことは、私にとっての幸せ。ならばそれは後回しにせねば」と、巧みにじらす。綱吉はばかにするな、と怒りを露わにし始めた。右衛門佐はすかさず綱吉の手を取って自分の胸に当て「肌にかかる情けは一時のこと。政の道でも陰となって上様をお支えし、他のいかなるご側室をも凌ぐ勢いで、上様と結ばれていたい」と訴えるのだった。綱吉も右衛門佐の野心を見抜き、「申してみよ。何が望みじゃ」と右衛門佐の才覚に降参せざるを得なかった。右衛門佐は微笑んだ。
翌日、大奥大広間で綱吉は宣言した。「今日より右衛門佐に大奥総取締の任を申し渡す」。どよめく一同。右衛門佐は野望に向けての第一歩を踏み出したのだった。
安子はお伝の方に呼び出され、突然湯殿に押し込まれた。お伝の方は何かに憑かれたような様子である。「右衛門佐や御台と示し合わせて、徳松を追い落とし、その腹の子を世継ぎにしようと考えておろう! この疫病神!」と安子に迫る。勢いに気圧され、後退さった安子は水風呂に落ちてしまう。お伝の方はそれを見ると湯殿に閂をかけ出て行ってしまった。水から上がった安子は腹を押さえて苦しみ始めるのだった。

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第5話 逆襲

あらすじ

 お伝の方(小池栄子)に水風呂に突き落とされ、湯殿に閉じ込められた身重の安子(内山理名)は、お腹の子もろとも命の危険にさらされる。薄れゆく意識の中で、父母や夫の言葉が浮かぶ……「そなたは、生き抜け。……そなた自身と、そなたの子を守り抜け」。安子は母・阿久里の形見の簪で閂を開け、やっとの思いで湯殿の外に出たが、そこで意識を失った。
音羽(余貴美子)に発見された安子は、そのまま産屋に運ばれ、綱吉(谷原章介)らの必死の励ましを受けながら、男児を無事出産した。
男児は長丸と名付けられた。新たな世継ぎの誕生は江戸城・大奥を揺るがした。湯殿の騒ぎに不審を感じる右衛門佐(高岡早紀)は、お伝の方に、鎌をかけた。なぜなら、お伝の方が、その時湯殿の方から走り去るのを右衛門佐は見かけていたのだ。お伝の方は、その場をうまく言い逃れたが、右衛門佐にはお見通しであった。
長丸は健やかに育っていった。綱吉は、安子と長丸の部屋に入り浸りとなり、安子は、信子(藤原紀香)にまで不興を買うようになる。
そんなある日、安子とお伝の方が城内で出くわした。緊張が走る。安子が声を掛けた。「湯殿での出来事、どなたにも、申し上げるつもりはございませぬ。」それは「あなた様が、二人の御子の母君だからです」と。お伝の方は「言いがかりも大概になさいませ」と白を切るが安子は続けた。「石段で、草履の鼻緒が切れた時に一度。此度が二度目。三度目は無いものとお心得下さい」。お伝の方は目に涙をため「世継ぎは徳松じゃ!」と去り行く安子の背中に向かって叫ぶ。安子はそんなお伝の方を、ふと哀れに思うのだった。すると、そこに右衛門佐が控えていた。
安子は、右衛門佐に事の次第を説明した。「私は子を産んで、むしろあの方のお気持ちも分かるようになりました。お伝の方様がかほどにお世継ぎにご執着しておられるなら、私はお譲りしてもよいと思うているのです」と。右衛門佐は、そう語る安子の中に、子どもを産んで、女性の幸せをしみじみ味わう母親の姿を見たのだった。
一方、桂昌院(江波杏子)は長丸誕生を手放しで喜んだものの、安子と長丸の部屋に入り浸る綱吉の腑甲斐なさが気に入らない上、さらなる世継ぎを望むのだった。綱吉に「たまにはお伝殿を見舞うてやるがよろしい」と促す。渋々、お伝の方の部屋を訪れると、お伝の方は習いたての孟子を引用して、長幼の序の教えになぞらえながら、長男・徳松をお世継ぎにと、またぞろ懇願する。お伝の方のしつこい執着ぶりに、綱吉はとうとう堪忍袋の緒が切れ、部屋を出て行くのだった。
綱吉の寵愛を得られずじまいのお伝の方をいい気味と高笑いする信子だったが、今が長丸をお世継ぎにするチャンスと安子をけしかける。しかし、安子は、長男の徳松を差し置いて、我が子・長丸をお世継ぎに推せば、あちこちで恨みを買うことになり、それでは親として忍びないと辞退する。それが道理と安子の意見に同意する右衛門佐。安子ばかりか、自分が大奥に引き入れた右衛門佐までもが安子側について、自分に逆らうとは……まさかの事態に、信子の心の中で尋常ならぬ嫉妬の心が芽生え始めていた。
政治にも関心を示さず、母の目が気になって、安子と長丸のもとにも行き難くなった綱吉は暇を持て余していた。柳沢吉保(北村一輝)は、綱吉を再び染子(貫地谷しほり)のいる自宅へと誘った。染子は綱吉に抱かれた後、綱吉のいる閨で自殺を図ろうとした。あわやのところで助けられたが、柳沢は窮地に陥る。だが綱吉は、事件を不問にし「そなた悪い男じゃな。これ以上わしに罪を作らせるな」と言い残し去っていった。柳沢はひたすら自分への愛を貫く染子を不憫に思い、それから毎晩染子を抱くのだった。
柳沢は、綱吉に打ち捨てられ、生気の抜けたお伝の方に近づき、こう囁いた。「危ないのは、長丸君のお年頃。この季節は、庭に落ちた青梅などお口にしようものならたちどころに毒に当たってお命を落とすこともございましょう」と。柳沢の示唆することに気づきはっとするお伝の方。お伝の方は徳松に言い聞かせ、青梅を長丸に食べさせるようそそのかすのだった。その絶好のチャンスが訪れた。一緒に遊ぶ徳松と長丸。鼓動を抑えながら見つめるお伝の方。その時、長丸が縁側から落ちて怪我をしてしまう。青梅を食べさせることには失敗したが、大騒ぎとなってしまった。
見舞いに来た綱吉は、人と張り合うことを好まぬ安子の優しい心根に触れ、心休まるひと時を過ごす。また、お伝の方は、弟・長丸を心配する徳松を見て、複雑な気持ちになり、安子の部屋に長丸を見舞った。そこへ信子からの使いが来て安子を呼び出した。安子は長丸を侍女とお伝の方と共に部屋に残していくことを気にしつつも、信子の部屋に行くことにした。しかし、信子の部屋にはなぜか信子付きの中臈しかおらず、信子から長丸への贈答品を安子に選ばせようとするのだった。
安子が離れたすきに、お伝の方の心にまた邪心が沸き起こる。侍女に用を言いつけ部屋を外させ、拾った青梅を長丸の口に突っ込んだ。喉を詰まらせる長丸。我に帰ったお伝の方は「吐き出しなされ!」と長丸の背中を叩くが、たまらず部屋を飛び出した。
安子が部屋に戻ろうとすると廊下で信子に出くわす。「私も長丸君のお顔を見てと思い立ち、行き違いになったようです」と信子。二人そろって安子の部屋に入ると、なんと長丸が意識を失って倒れていた。
そのころ、染子の懐妊が発覚した。染子に柳沢は「ようやった」と手放しの喜びようを見せるのだった。
安子は長丸に駆け寄り取りすがるが反応がない。信子はそっとその場を離れる。茫然自失の安子。ふと庭に落ちた袱紗に目が留まった。お伝の方のものである。中には食べかけの青梅。お伝の方の仕業と確信する安子の目に炎が……。しかし、安子の知らぬところで高笑いしている人物がいたのだった。

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第6話 殺意

あらすじ

 大奥という闇の中に、安子(内山理名)が見出した、たった一つの希望の光。それは我が子・長丸であった。しかし、看病の甲斐も虚しく、長丸を亡くした安子と綱吉(谷原章介)は悲しみのどん底に。桂昌院(江波杏子)は、幼児から目を離した安子の非を責める。綱吉は安子をかばうが、桂昌院は自分に楯突く綱吉をも罵倒する。思い余った安子は、お伝の方(小池栄子)が落としていった袱紗を示しながら、長丸に毒のあるものを口に含ませたのはお伝の方に違いないと訴えた。これまでに二度お伝の方に殺されかかった安子は、後生だから詮議に諮って欲しいと懇願する。綱吉と桂昌院は、お伝の方に申し開きをさせるものの、お伝の方が認めるはずもなかった。音羽(余貴美子)も、お伝の行動に不審な点があると、報告するが、桂昌院は「世継ぎの母親を罪人にすることは出来ぬ」と安子の言い分を黙殺することにした。
安子は長丸が遊んでいたでんでん太鼓を手に、涙にくれていた。もはやお伝の方に対する恨みと怒りは押さえ切れなくなってきた安子…そんな安子の様子を楽しんでいる別の人物がいるとも知らずに。長丸の葬儀が執り行われる中、微笑をたたえながら「あのお薬をいただいてからは、ぐっすり眠れるようになりました」と柳沢(北村一輝)に薬の礼を言う信子(藤原紀香)はただならぬ凄みを見せるのであった。
桂昌院は、隆光(火野正平)に卦を立てさせた。隆光は、長丸が「産まれべからざる罪の御子」であり「この世にあったお印をすべて取り除く」べきであると進言する。桂昌院はその託宣に従い、長丸に関するものをすべて火にくべてしまう。抗議する安子に「二度と長丸君の名、人前で口にいたすな。上様のお側にも近づかぬよう。呪われた子は一人でたくさん」と、桂昌院は言い放ち、逆に、お伝に対しては、徳松に世継ぎのお墨付きをもらうことを勧めるのであった。
しばらくして、大奥に新たな火種が降って来た。徳松だけでは心もとないと考えた桂昌院が、京から公家の娘・大典侍(中山忍)を側室に招いたのだ。気位の高さは信子以上、才気も右衛門佐(高岡早紀)をしのぐばかり。早速、条件として、新御殿の造営を要求してきた。
信子は仲間が現れたとばかりに、大典侍を部屋に招いて、右衛門佐を交え、大奥の処し方などを忠告する。だが、部屋を出るなり、大典侍は右衛門佐に「大奥にては、子を持つことこそが第一に人の上に立つ道。私が上さんの子を身籠ればすぐさまお立場は逆になりまする。辛抱も今のうちだけ」と言ってのける。信子は障子越しに、その言葉を聞き逃さなかった。
大典侍は、積極的であった。綱吉に恋焦がれる歌など詠んで気を引こうとする。綱吉はまだ長丸の死が心に影を落としており、大典侍と閨をともにする気にならない。桂昌院は大層立腹するが、さすがに綱吉も母の強引な振る舞いに「次から次に子を作れといわれても無理です! 明日は安子をお呼びください」と申し渡すのであった。
翌日の奥泊まりで安子は「お伝の方様をお調べになられましたか」と綱吉に尋ねる。しかし、綱吉は「わしはもう疲れた。今宵は二人で起きていよう。長丸の弔いじゃ」と悲しみに沈む父親の表情を見せるのだった。綱吉が安子のもとを訪れたことは早速大典侍の耳にも入った。安子をライバル視する新たな敵が生まれた。
普請中の別殿のそばで、大典侍とお伝の方が対峙した。大典侍は「身籠ればすぐに御同格になりまする」とお伝の方を挑発し、さらに自分が側室に呼ばれた理由は「お伝のお方の御血筋がご不満だからとしかお察しのしようがないのでございますが」と面罵する。怒り心頭に発するお伝の方。そのすきに徳松が、庭に降りて行った。
庭で一人安子が佇んでいると、ふと普請場にころがっている鞠を見つける。長丸との幸せな日々を思い出し涙ぐむが、怒りと憎しみがふつふつと込み上げてくる。鞠を捜しに普請場に迷い込んだ徳松。安子は殺意を抱き徳松に近づく…。その瞬間、徳松は資材に足を引っ掛けてしまう。崩れ落ちる材木…。安子は反射的に徳松の身をかばった。轟音に驚き、音羽やお伝の方が駆けつけた。徳松は足に怪我をしていた。
徳松はその晩から高熱で苦しみ始めた。そして三日目には危篤となり、お伝の方の懸命の看病も虚しく息を引き取った。
徳松の容態を気にした安子が廊下に出ると、泣き腫らした顔のお伝の方と出会う。お伝の方は「そなたが徳松をあのようにしたのじゃな。もとに戻してくりゃれ」と、安子につかみ掛かる。安子も負けずに「同じ言葉、あなた様にお返しします」と動じない。お伝の方は「青い梅などで人は死なぬ」と勢いで白状してしまった。二人は取っ組み合いの大乱闘に。半狂乱となったお伝の方は「そなたは鬼じゃ!」とわめき散らしながら、連れて行かれた。安子は、その時、廊下の人だかりの中で、一人薄笑いを浮かべる信子の姿を見逃さなかった。
一方、柳沢の屋敷では、染子(貫地谷しほり)が男児を出産した。「殿に似て…」と喜ぶ染子を制し、「いや、わしには似ておらぬ。この子はいずれ天下を取る」と微笑む柳沢がいた。

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第7話 真の敵

あらすじ

 徳松も亡くなり半狂乱のお伝の方(小池栄子)と大乱闘を繰り広げた安子(内山理名)は、そんな状況を見ても薄ら笑いを浮かべる信子(藤原紀香)に不審の念を抱き、長丸が亡くなった際の行動を問い詰める、信子は「私がそなたの御子を手にかけたとて、何の得になると言うのや。御子同士がお世継ぎ争いをなさっている、お伝殿なればともかく、ホホホ」と安子の追及をかわす。右衛門佐(高岡早紀)も長丸の死には疑念を抱き、思い当たる人物について安子と話し合うのだが…。
ついに、世継ぎがいなくなってしまったことに気をもむ桂昌院(江波杏子)はこの不幸の連続の原因を隆光(火野正平)に質す。隆光は、徳松が亡くなったのも、不吉な子・長丸のせいであるとし、この世に長丸が存在したという印を全て焼き払うようにというご託宣を守っていないからではと苦し紛れに言う。桂昌院は安子の部屋に乗り込み、安子が隠し持っていた長丸の形見の“でんでん太鼓”を投げ捨て、安子に「長丸の恨み悲しみが徳松に取り憑き、道連れにしたのです。失せるがよい」と非難する。
さらに、悲嘆にくれるお伝の方には、娘・鶴姫を紀州家に嫁がせよと言い付ける。鶴姫までも失うことになる悲しみで乱心のお伝の方は、思わず庭の青梅を頬張り、病に臥せってしまう。その哀れな姿を見舞った安子は、お伝の方だけへ恨みを抱く場合ではないと痛感するのだった。
まさに、そんな折、大典侍(中山忍)は綱吉(谷原章介)と桂昌院に対し、徳松の上に柱を倒したのは安子であると、ウソの報告をし、大奥から放り出すべきであると進言する。桂昌院はこれは追い風とばかりに綱吉に同意を求めるが、綱吉は「このうえ安子にまで行かれたら、わしが困る」と寂しげにその提案を拒否するのだった。
そんなある日、綱吉は柳沢(北村一輝)と将軍になる前、館林にいた頃の思い出話などしながらぼんやりと釣りをしていた。綱吉は「おなご同士は何ゆえ、相争うのであろうの」と柳沢に問う。そこにひとなつこい野良犬がやってきた。刀に手をかける家来を制し、綱吉は「そなたたちより、この犬のほうがましじゃ」と、城に連れ戻って竹丸と名付け溺愛する。
犬にうつつを抜かす綱吉に対して、桂昌院もさすがに苛立ち、奥泊まりの日には「大典侍殿をお閨にお呼びくださいますよう」と迫る。その気迫に怯えたか竹丸は廊下に飛び出した。綱吉と桂昌院がそれを追う。そこにばったり出くわした隆光は、戌年生まれの綱吉は、子孫繁栄のために生き物、特に犬を大事にするべきである、と託宣を述べる。桂昌院に「いかにすれば、一刻も早く、上様に新たなるお世継ぎが生まれ、そのお血筋を絶やさずに済むか」と迫られての、でまかせであったが、綱吉は我が意を得たりとばかりにそれに従い、結果として、歴史的悪法「生類憐みの令」が制定されたのだ。
ある夜、綱吉と大典侍のいる閨に、女中の菊江が忍び足で近づいていく。懐には小刀。気付いた音羽(余貴美子)が取り押さえ、人に知られぬよう別室に連れて行った。音羽は、その部屋に、安子と右衛門佐を呼んだ。菊江は下級役人の娘だったが、野良犬に襲われた菊江を助けようと斬り付けた父が、「生類憐みの令」により切腹させられたというのだ。綱吉に近づいたのは仇討ちのつもりだったのだと言う。「この場にて自害をお許しください」と菊江。右衛門佐は、もう我慢ならぬとばかり菊江に言う。「憎むべきは世の掟。私が恨みを晴らして差し上げます」。
右衛門佐は、隠密裏に徳川御三家の水戸家ご老公・徳川光圀(大杉漣)を訪ね、政道の乱れを訴えた。光圀も綱吉の悪政に業を煮やしており、その裏には柳沢が隠然たる勢力を張り巡らせていることを明らかにした。光圀は言った。「悪のはびこる世は、続かせてはならぬ」。
そんな夜、綱吉はお忍びで安子の部屋を訪ねてきた。長丸をしのびながら「人は何故死ぬのであろうの。虚しうてならぬ。政も、何もかも。何も考えとうない。そなたとこうしていたいのじゃ」と腑抜けたこと言う。安子はピシャリとさえぎった。「なりませぬ。長丸はこの世の醜い争いの生贄にされたのだ」と迫った。が、綱吉は「そなたまで指図するか」と興奮し始め、なんと、そこで倒れてしまった。
それから1カ月以上も綱吉は高熱を出して病の床に臥せった。
その頃柳沢の邸では、柳沢が染子(貫地谷しほり)に「これからはお方さまとお呼びいたそう。吉里君と共に大奥に入って頂くのだから」と冷ややかに言い放っていた。政治の道具に成り果てていく母子の運命を染子は呪わざるを得なかった。
安子の部屋に右衛門佐が現れ、小さな赤い紙包みを渡す。それは毒薬であった。大奥を腐らせ、表の世を乱しているのは綱吉にほかならないと言う。「上様の病床に近づけるのはあなた様お一人。一匙、上様にお含ませくださいませ」。愕然とする安子。そこに信子が登場し、そそくさと立ち去る安子を見送りながら「安子殿にできますやら」と不敵に微笑むのだった。
その頃、中奥では、ある会合が…。中心は光圀。老中や柳沢、成貞(平泉成)も列座している。次期将軍候補の詮議であった。甲府の綱豊公と紀州の綱教公の名が挙がる。どちらかに決めようとしたその時、もう一人候補がいると柳沢が衝撃の発言をした。「実は上様には今一人御子がおられるのです」。騒然とする一同。「わが邸の染子にめでたく若君が生まれましてございます」。大いなる陰謀が動き出したのだった…。

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第8話 お犬様

あらすじ

 世の乱れも大奥で女性が苦しむのも全ては綱吉(谷原章介)のせいと右衛門佐(高岡早紀)と信子(藤原紀香)にたきつけられ、病床に伏せる綱吉に毒を盛ろうとした安子(内山理名)。綱吉は、「全てはわしが悪い。長丸が死んだことも、何もかも……」と安子の手を握り、「将軍の座など譲ってやる。ただそなたと、二人でいたい」と涙を流す。綱吉の言葉に心動かされ、安子が毒を飲み水に混ぜるのを逡巡したその瞬間、後継将軍選びの席で、綱吉にはもう一人若君がいると柳沢(北村一輝)が衝撃の発言をしたことが伝えられた。その若君・吉里とともに染子(貫地谷しほり)は綱吉の側室として大奥入りを果たした。思いがけないお世継ぎ出現に桂昌院(江波杏子)は大喜び。綱吉の病状も快方に向かう。そんな中、一人染子だけが、柳沢の印籠を握り締め、悲しげな様子でいるのに安子は気が付くのだった。お伝の方(小池栄子)は、徳松亡き後、世継ぎとなるべき紀州家に娘・鶴姫を泣く泣く嫁がせたのに、そんなことはおかまいなしに吉里出現を喜ぶ桂昌院に対して苛立ちを隠せない。
エスカレートする“生類憐みの令”に民衆が苦しみ、その悪政の裏で私腹を肥やす柳沢の影もちらつくようになっていた。世直しを願う水戸光圀(大杉漣)を見舞う右衛門佐。光圀は、自分の配下の隠密として、これまで大奥の動静を探らせていた音羽(余貴美子)が、今後右衛門佐の味方なるであろうと伝える。病床にありながら、光圀は、江戸城に犬の毛皮を送りつけ大奥に騒ぎを巻き起こす。綱吉の家臣は知られてはならぬと箱ごと隠したものの、なんと綱吉の飼い犬・竹丸がくわえて持ち出してしまったのだ。
そんな最中、もともと柳沢の側室であった染子の子・吉里は、綱吉の子ではなく、実は柳沢の子ではないかと右衛門佐は疑いを持つ。右衛門佐は染子を訪ね、吉里を可愛がる振りをしつつ、誕生日を聞き出した。綱吉が柳沢邸を訪れた日付と誕生日をすり合わせるのである。早速、信子の部屋に行き、同席した安子にも「染子殿が身籠ったころに上様は柳沢邸に足を運んでいらっしゃいませぬ」と報告する。右衛門佐は、証拠をつかみ柳沢を追い詰める覚悟である。しかし、信子はなんとその計画を事前に柳沢にばらしてしまう。知らせてくれたことを感謝する柳沢に対して「誰が世継ぎになろうとわたしには関わりのないこと……私はただ、奥で埋もれて死ぬ定めに抗おうとしているのかも……」と信子は自嘲気味に笑うのであった。
竹丸の姿が見えなくなり桂昌院は大騒ぎで、大奥中を探し回る。お伝の方がうんざりして部屋に戻ると、くだんの犬の毛皮が落ちている。もしや竹丸の毛皮ではと青ざめるお伝の方。「誰かが罪を着せようとしておるのじゃ」と思い込むお伝の方は大典侍(中山忍)を疑う。桂昌院を手伝って竹丸を探し疲れた大典侍が、今度は部屋に帰って驚く番であった。犬の毛皮をお伝の方が置いたのだった。慌てる大典侍。見つからないよう処理しようと箱に入れ、廊下に出ると女中にぶつかり毛皮が飛び出した。うろたえる大典侍。そこへ安子が現れた。慌てふためいて大典侍は「犬を殺した濡れ衣など着せられたら、どんな仕置きを受けるか……」と安子に必死で口止めをする。しかし、間の悪いことに桂昌院が通りかかり、毛皮を見てあわや気を失いそうになる。「誰がこのようなことを」と一同に問う。「私でございます」と声を上げたのは、なんと安子であった。
安子は、綱吉と桂昌院から詰問された。「この罰当たり! 生類憐みの令のご利益をふいにする気か!?」と激昂する桂昌院に、安子は果敢に「女の悲しみの上に成り立つご利益などございましょうか」と立ち向かう。そこへ、右衛門佐が現れ「吉里君の出自に疑念がございます」と爆弾発言を。毛皮どころでない大騒ぎが勃発した。
柳沢が呼び出され、綱吉らの前に座る。右衛門佐は神社の宮参り祈祷控えを証拠として持ち出した。しかし、柳沢は「それは安産祈願。宮司殿の書き間違いでしょう。」とかわしたばかりか、「どのようにして手に入れられた」と即座に反撃を仕掛ける。お骨折りされたのは「水戸光圀公では」と見抜かれたちまち形勢逆転してしまう。
再び安子の詮議に戻った。安子の処分に気乗りしない綱吉を桂昌院が責める。綱吉は「もうわしの好きにさせてはいただけませぬか。わしの望みは安子と共に心安らかに過ごすこと、ただそれだけなのです」と桂昌院に反抗する。怒りの矛先を安子に向けようとする桂昌院の前に、犬が……。竹丸ではないか。そのてんまつを音羽から聞いて、光圀は溜飲を下げつつも、ほどなくして亡くなった。
安子の父・成貞(平泉成)が隠居を申し出たため側用人筆頭の地位を得た柳沢の権勢は揺るぎなきものとなっていった。柳沢は朝廷に働きかけ、桂昌院に女性として最高の従一位の位を献上する。ますます権勢をほこる柳沢は、その宴を自邸で催すことにして、綱吉らを筆頭に関係者を招いた。綱吉も興に乗り舞を舞う。柳沢は太鼓を打ち始めた。
賑やかな宴が盛り上がる中、よちよち歩きの吉里が菓子を望んで女中のもとへやって来た。女中が与えようとすると吉里は左手で受け取る。それを見た染子が青ざめた。安子はその様子を不審に思いつい柳沢に目を移すと、柳沢が得意げに左手で太鼓を打っているではないか。それに桂昌院も気が付いた。右衛門佐も信子も……。
桂昌院がふらりと立ち上がって震える手に持った扇子で柳沢の太鼓の手を指す。舞に興じていた綱吉は、母の異常な様子にようやく気付いた。「いかがされました」と声をかけた瞬間、桂昌院は喉をかきむしり、その場に倒れるのであった。取り乱す綱吉。
大奥に渦巻く大いなる陰謀と本当の敵が姿を現しつつあることを安子は悟るのだった……。

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第9話 遺言

あらすじ

 柳沢(北村一輝)の邸で、世継ぎの吉里が柳沢と同じ左利きであることを見た桂昌院(江波杏子)は昏倒した。その騒ぎの中、柳沢は安子(内山理名)を別室に招じ入れた。そこには死罪となったはずの安子の夫・成住(田辺誠一)が幽閉されていた。思いがけない再会に涙する安子に、成住は「恨みは何も生まぬ。それよりも上様がよりよく生きられるよう、お導き申すのじゃ」と語る。成住を打ち首から救ったのは柳沢だったが、それは自らの野望を遂げるのに妨げとなりかねない安子に、あらぬ行動を取らせぬようにするための人質であった。柳沢は、安子に、成住の命が大切なら「あなた様のなすべきことと、なさざるべきことは、自ずからおわかりでしょうな」と脅すのであった。
そんなある日、桂昌院を信子(藤原紀香)が見舞う。桂昌院は「すべては上様のため。許してくだされ」と謝るが、信子は「そのお言葉で何もかもが許されるとお思いか」と突っぱねる。さらに「若君はまことに上さんの御子でしょうか」と煽ったうえで、激怒する桂昌院に追い討ちをかけた。「所詮は町家育ち、お末上がりの浅ましさ」と侮蔑し、桂昌院が大奥下働きであったころの名「お玉」と呼び捨てにし、「染子と柳沢の仲はまだ続いておりまする」と微笑みながら言い放ったのだ。病床の桂昌院は怒りに震え息を荒くするのであった。
染子(貫地谷しほり)は、世継ぎの母を演じる重圧に耐えられなくなってきていた。安子が、染子の部屋を訪ねると、染子は「吉里は上様の御子ではございませぬ」と告白する。そのやりとりを隣室で聞いていた音羽(余貴美子)と右衛門佐(高岡早紀)が踏み込み、桂昌院の前でそう証言するよう申し渡す。しかし、いざ桂昌院の前に出た染子は葛藤の末、「吉里は、上様の御子」と断言する。いらぬ憶測を避けるため、吉里の後見人から柳沢を退かせようとする桂昌院に、それだけはどうか考え直してほしいと染子は必死に訴えたのだった。
一方、柳沢は酒を持って成住を訪ねた。お互い「同じ主君に仕え、宮仕えの辛さを味おうた同じ穴の狢」と言って成住に酒を勧める。柳沢は「拙者も若い時上様におなごを寝取られました。しかし、そのおなごはその後、死に申した」と。興味を持つ成住。「拙者は出世の階を上り詰めたその先を考えるようになりました。頂点に立てば上様をも見下ろせるやもしれぬと」と柳沢は本音を漏らす。「頂点まであと一息。邪魔者は斬って捨て、進まねばなりませぬ。おなごでも容赦は致しませぬぞ。無論、貴殿の奥方でも」と。
見舞いに訪れた安子に、染子の言っていたことは嘘でしょうと桂昌院は言い出す。驚く安子に桂昌院は「だが今のままでよい。上様はさらなるお悲しみに耐えるお力はありますまい。わたくし亡き後はそなたが庇うて差し上げてくだされ」と安子の手を握り締めるのであった。
もはや最期かと、綱吉(谷原章介)たちが桂昌院の周りに集まった。桂昌院は最後の力で「仏法に則り精進節制を」など綱吉を諌める遺言を申し渡す。そして綱吉を呼び寄せ抱きしめた。綱吉もすがりつく。しかし臨終の瞬間、桂昌院が発した言葉は「春日局様…お出迎え恐れ入りまする。将軍家の御血筋の橋渡し、力の及ぶ限り勤めましてございます」と、生涯追い求めた権力の幻影を見ながら桂昌院は息を引き取った。
染子が倒れたとの知らせが届き、柳沢が染子を見舞った。染子に強烈な覚悟がみなぎっている。染子は「いつかこの重荷に耐えられなくなり、我知らず、言うてはならぬことをもらしてしまうのが、恐ろしいのです。その前に私の命を、殿の手で絶って下さいませ」と懇願する。「死んで身の潔白を証する」という遺書まで用意してある。柳沢は躊躇するが苦渋の決断で刀を手にする。染子は最後の願いとして「名前をお呼び下さいませ。染子と…」と柳沢に頼む。柳沢は望みどおり名前を呼びながら染子の胸に刃を突き立てた。声を殺して泣く柳沢。だが、襖を開け「染子様が御自害なされた」と告げた時には既に冷徹な官吏の顔に戻っていたのだった。
そのころ安子は綱吉のもとを訪ね、覚悟を決め切り出した。「吉里君は上様の御子ではございません」。綱吉は表情を緩め、「わしが気付かなんだと思うか。初めから察しておった。世継ぎに立てたのは母上のためじゃ」と答えたのだ。安子は桂昌院も綱吉のために黙っていたと打ち明けた。感じ入る綱吉に安子は続けた。「お墨付きの取り下げ、柳沢様にご処分を」。その時、染子自害の報が飛び込んできた……。

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第10話 乱心

あらすじ

 安子(内山理名)が綱吉(谷原章介)に、吉里を綱吉の子であると偽った柳沢(北村一輝)への処分を迫っているまさにその時、染子(貫地谷しほり)死去の報が飛び込んできた。柳沢の手に掛けられながらも、染子は「吉里の出生疑惑の無念を死んで晴らす」旨の遺書を残しており、意に感じた綱吉は、柳沢の子と知りながら、吉里出生について異を唱えぬよう臣下らに厳しく言い渡すのであった。それを以って大奥にも平安な日常が戻ったように見えた。
そんな中、お伝の方(小池栄子)が安子を徳松の墓参りに呼んだ。お伝の方は、目に涙をため「お許しくだされ」と長丸に青梅を口にさせたことを謝ると、安子は手を取り、「あなた様は御子を亡くされ、十分に苦しまれた。私も同じ苦しみを嘗めました。責めを負うべきは、あなた様ではございません」と許すのだった。「すべてを失うた今、惜しいのは帰らぬ命だけ。人を慈しみ、子を慈しんで生きるよりほかに、おなごにどんな生き方があろう」とお伝の方は涙を流す。
また、安子は信子(藤原紀香)の部屋にも呼ばれた。右衛門佐(高岡早紀)は「世にはびこる悪政の元凶は柳沢。上様の優柔不断なご性格が、柳沢のような悪人を跋扈させ、染子殿を死に至らしめたのです。このままにしておけば、おなごが泣く世は終わりになりませぬ」と安子に迫る。信子は、毒薬を安子に手渡し、再び綱吉毒殺を指示する。だが、人を殺めるよりも先に綱吉を説得すべきと、今回安子はきっぱりとそれを断った。信子は怒りで胸の発作が起きてしまうほどである。すると、突然襖の外で声がした。「そのお役目、私にお任せください」。なんと大典侍(中山忍)である。驚く一同。大典侍は続けた。「私が上さんの御子を生み、世継ぎになれば、万事治まりまする」と言う。「たわけたことを」と信子はますます激昂するが、大典侍は子どもを身ごもったことをほのめかし、周囲を唖然とさせるのだった。
いよいよ嫉妬で狂気じみてきた信子は、その夜、大典侍の部屋の外廊下にロウを塗るという狂気の沙汰に及ぶ。「転んで腹の子もろとも死ねばよいのじゃ」。憑かれたようにロウを塗るうち、足元に置いた灯火が倒れ、床や着物に燃え移ってしまった。信子は大火傷を負った上、持病も悪化し病床に臥すことに。
安子が大典侍に妊娠を確認すると、大典侍は「御台さんがあんまりお高う止まっておいでなので慌てるお顔を見とうなっただけです。ご自分に御子のないのが余程お悔しいのでしょうなあ」とまたもや大胆発言。「あの方のなさること、ただのいけずではないようや」と信子の尋常ならざる執念に思い至らせるのであった。
大奥の乱れはすべて柳沢のせいであると考える安子は、再び綱吉に直談判した。だが、綱吉はこう言うのであった。「愛しいおなごを死に追いやってまで、あの男が手に入れたいものは何か。わしにはない執念があの男にはある。行く末を見届けたい」と。安子はらちが明かぬと「成住(田辺誠一)も柳沢様に捕らえられております」と柳沢の背信を明らかにする。綱吉の顔色が変わった。「二度とその名を口にいたすな」。綱吉は、怒りとやるせなさを混ぜながら、去っていくのであった。
綱吉はその足で信子を見舞った。信子は余命幾ばくもないので側を離れたくないと綱吉にすがり、口移しで薬を飲ませてくれと懇願する。綱吉は願いをかなえてやろうと、信子から薬包を受け取った。それは、あの毒薬であった。水をふくみ薬を口に入れる綱吉。それを見届けると信子は不意に綱吉の口を手で塞いだ。「お飲み下さいませ。これは毒じゃ」。綱吉は薬を吐き出すが、力が抜けてくる。「お苦しみになるがよい。独り寝の日々は地獄にございました。長丸を殺めたのもこの私です。柳沢がこれを使えと渡して下さいました故」。綱吉は愕然とした。「吉保が!?」。信子が「一緒に死んで下さいませ」と言うや綱吉は意識を失った。ようやく上様が自分のものになったと動かなくなった綱吉を抱きしめながら、信子は残った薬を飲み干した。
信子は亡くなり、綱吉は生死をさまよう日々が続いた。そんなある日、音羽(余貴美子)は柳沢の邸に忍び込み、幽閉されている成住に接触した。音羽は、「このまま座していては、柳沢様の天下が来てしまいます」と言い成住に懐刀を手渡すのだった。
柳沢が座敷牢にやってきた。様子がおかしいと、中に入る。倒れている成住に気付き手を取ろうとする瞬間、成住が懐刀を振りかざした。「安子には指一本触れさせぬ!」。よける柳沢。二人はもみ合いになった……。
江戸城ですれ違った柳沢の足袋を安子が振り返り見ると小さな血痕が……。「成住様はご無事か」。胸騒ぎのする安子は尋ねた。「その方は上様の御下知にてお命を頂戴しました」と柳沢。声も出ない安子。部屋に戻り、安子は泣きじゃくるばかりであった。
奇跡的に綱吉は快癒した。柳沢は政務を仕切り、再び以前と変わらぬ江戸城が戻って来た。綱吉全快の祝いの宴が庭園で催されることになった。そこで、綱吉は安子を一人だけにして語り始めた。「将軍職を退こうと思う」。綱吉は寂し気である。そこへ、柳沢が迎えに来た。安子は懐刀を取り出すや「夫の仇」と柳沢に斬りかかった。手をひねり上げる柳沢。「よせ」と割って入る綱吉の体に刃先がめり込んだ。綱吉はその刃をさらに自分に突き立てた。崩れ落ちる綱吉。縋り付く安子。そして立ちすくむ柳沢。綱吉は柳沢に言う。「これがそなたのしたかったことであろう。長丸を手にかけた。それだけが余計じゃった」。それから安子に向き「こやつの毒で長丸は死んだ。毒を飲ませたは御台であった。その恨みを育てたのはこのわしじゃ。許せ、安子」。瀕死の綱吉は続けた。「生まれ変わったらそなたと夫婦になりたい。いや、花になりたい。そなたの手で、手折られて散りたいものじゃ」。そう言って綱吉は絶命した。そこへ家臣が到着した。安子は、邪悪なものが消えた柳沢の様子を見て「上様は自害なさいました」ととっさの判断で言い、柳沢には「生きて償っていただこう」と申し渡した。
新たな将軍が江戸城に入り大奥に新しい時代の幕が開いた。柳沢は染子の思い出に浸りながら逼塞し、落飾した安子は音羽と共に尼寺に向かうのであった……。

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引用元:番組公式サイト

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